ブス眼鏡と呼ばれても王太子に恋してる~私が本物の聖女なのに魔王の仕返しが怖いので、目立たないようにしているつもりです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
40 / 51

王太子殿下とのデートについてうじうじ悩みました

しおりを挟む
その夜、私達はマリアンの屋敷に帰ったのだが、マリアンが王太子殿下とのデートの約束を取り付けてくれた事で私は頭の中がパンクしていた。

なにしろ、あの憧れの王太子殿下とのデートなのだ。
私の命の恩人とのデート。一緒に食事した、マリアンが一緒だったけど、だけでも奇跡だったのだ。
それも一度ならず数回している。

そのうえ今度は一緒にカフェに行ってデートなんて、そんな事が許されて良いのだろうか?。

「良いこと。あなた達のためにお兄様とのデートセッティングしてあげたんだから、感謝してよね」
「別に頼んでないわよ」
私が言い訳した。

「えっ、あんた判っていないの? お兄様は本当に人気あるのよ。私、王宮にいるときに何度周りから頼まれたことか。それが面倒だからこの屋敷に戻ってきたというのもあるのよ。今まで一度もセッティングしたことなかったデートを、私の親友のためにセッティングしてあげたんだから」
「えっ、マリアン、私のこと親友だと思ってくれているの」
「あんたそこ、感激するところ」
「と言うか、天涯孤独な私にとってその言葉とても嬉しい」
私は涙目になって言った。

「いや、あま、そうなんだど、じゃあ、親友のお願い聞いてくれるよね」
「いや、でも、王太子殿下となんてとても」
私が躊躇すると

「何言っているのよ。お兄様はあれだけ言い寄られてまだデートしたこと無いのよ」
「うそ!」
私は信じられなかった。何しろ王太子殿下はイケメンだし、優しいし、頼りになるし、本当に良い方なのだ。

「本当よ。今までどんなに頼まれても、お父様から命令されても、断っていたのよ。どこにいるかわからない、昔助けられた女の子に操を立てるために」

「えっ、それ本当に本当のことなの」
「私と一緒にカフェに行ったことはあるけど、肉親以外では無いはずよ。食事も女性と二人で取ったことのあるのは王妃様か私だけで、肉親以外ではないはずよ」
あの麗しの殿下が女の子とデートしたこともないなんて信じられなかった。

「じゃあ、その子に操立てているのに、私なんかとデートしてもいいの?」
そう言う私をマリアンは本当に残念なものでも見るように見ていた。何故?

「だってどこの誰かも判らないのよ。生きているかどうかも定かでないし」
何故かじっと意味ありげな顔でマリアンは私を見つめていた。

「でも、その子の事を思っていらっしゃるなら私とデートなんて」
私が言うと

「何言ってんのよ。お兄様も今、いろいろと陛下とか王妃様から言われているのよ。女の子とデートしたってなれば少しくらいその圧力が弱まるから、お兄様にとってもプラスなのよ。それにどうやら、エレはその本人みたいだし」
私はエレの最後の言葉はよく聞こえていなかった。

「それに、王太子殿下の初デートが私なんて」
「あんただから良いんじゃない。周りからブス眼鏡と言われている平民の女の子と二人きりでデート、ブス眼鏡と呼ばれて虐められている女の子の、昔からの憧れをかなえられるお優しい王太子殿下、ということで王族のイメージアップに繋がるのよ」
「うーん、何かそれだけ聞くと利用されているだけの気がするんだけど」
「そうでしょ。だから大したこと無いから楽しんでいらっしゃい」
マリアンはそう言ってくれるけど、あの王太子殿下とデートなんて無理・・・・

「いや、でもやっぱり・・・」
「ああん、本当にウジウジウジ、あんたらしくない。いい加減にしなさい。それとも何。あのモモンガに先越されていいと思うの?」
「それは嫌だけど」
そうだ、モモンガに先越されるのだけは嫌だ。

「あの子も聖女候補なのよ。あんたが隠れているから。あんたが聖女だって告白すれば全て丸く収まるけどそれは嫌なんでしょ」
私は頷いた。どう丸く収まるか聞いてみたい気もしたけれど・・・・。魔王に殺されるのは嫌だ。

「王太子のお相手が聖女でも問題ないわけよ。お兄様のお相手があのモモンガになる可能性もあるわけ。あんたそれでいいの?」
「良い訳無いじゃ無い」
私ははっきりと言った。

「じゃあ良いじゃない」
マリアンが言い切ってくれた。

「あんた一生独身でいると決めているかもしれないけど、一生に一度くらいデートしても良いと思わないの。それもそのお相手はあんたの大好きな王太子殿下よ」
「そらあ、そうだけど、王太子殿下とお話できる気がしないんだけど・・・・」
私が言うと、

「本当にあんた変よね。陛下とも普通に話せたのに、お兄様だけが駄目って、カカシと思って話せば良いんじゃない。そうか、黙っているつもりで、いつものように心の声をダダ漏れさせれば丁度いいかも」
何かマリアンにめちゃくちゃ言われているんだけど。

確かに、王太子殿下といるだけで緊張してしまって全然話せないだけど。王太子殿下をカカシと思えって、それ絶対に無理だし、黙っているつもりで心の声ダダ漏れって、まあ、確かにその方がまだ可能性はあるかもしれない。でも、それはデートでやることか。それも、もう絶対に二度と出来ないことだ。

あのあこがれの王太子殿下とデートなんて・・・・夢にまで見た殿下とデート・・・・
ああああああ!もう絶対に無理!

私は頭を抱えて真っ赤になってしまった。

「まあ、食い意地の張ったあんたのことだから、チョコレートパフェ見て食べれないってことはありえないけど」

私はマリアンの言葉もよく聞いていなかった。

その夜は緊張して全然寝れなかったのだ。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい

砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。 風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。 イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。 一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。 強欲悪役令嬢ストーリー(笑) 二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。

憧れの推しの義妹になれたと思ったら、妬まれたあげく呪いで小鳥にされてしまいました。どさくさで義兄に拾われたので、楽しい小鳥生活を満喫中です

石河 翠
恋愛
奨学生として魔術学園に通っている平民のクリスタルは、ファンクラブに入るほど侯爵令息のジェロームにベタ惚れだ。 そんなある日、クリスタルの母がジェロームの父と再婚することに。 憧れの先輩の義妹になれるなんて幸せと感動したものの、ジェロームには「妹だと思うことはない」と言い切られ、拒絶される。 挙げ句の果てに、ジェロームの家族となったことを妬んだ従姉妹から、呪いを受けてしまった。 すんでのところで彼の使い魔として助けられたクリスタルは、彼が報われない片思いをしていることを知る。大好きな彼を応援するのだが相手が誰なのかを知り……。 元気で真っ直ぐなヒロインと、素直に好きと言えないヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID3087587)をお借りしております。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~

甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。 その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。 そんな折、気がついた。 「悪役令嬢になればいいじゃない?」 悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。 貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。 よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。 これで万事解決。 ……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの? ※全12話で完結です。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語 母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・? ※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています

【完結】王太子妃候補の悪役令嬢は、どうしても野獣辺境伯を手に入れたい

たまこ
恋愛
公爵令嬢のアレクサンドラは優秀な王太子妃候補だと、誰も(一部関係者を除く)が認める完璧な淑女である。 王家が開く祝賀会にて、アレクサンドラは婚約者のクリストファー王太子によって婚約破棄を言い渡される。そして王太子の隣には義妹のマーガレットがにんまりと笑っていた。衆目の下、冤罪により婚約破棄されてしまったアレクサンドラを助けたのは野獣辺境伯の異名を持つアルバートだった。 しかし、この婚約破棄、どうも裏があったようで・・・。

美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました

葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。 前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ! だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます! 「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」 ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?  私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー! ※約六万字で完結するので、長編というより中編です。 ※他サイトにも投稿しています。

処理中です...