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王太子殿下の前で私を馬鹿にした偽聖女を水大砲で攻撃してしまいました
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放課後、我がクラスは全員訓練場にやって来た。
「なんか仰々しく無い?」
私は皆を見て言ったが、
「皆、あんたなんかは見てないわよ。王太子殿下が目的よ」
マリアンが言ってくれた。
それはそうだと思う。私はマリアンから、くれぐれも王太子殿下の前だからと言って喜んで無理しないように、と釘を刺されていた。ばれないように気を付けろと。
それはそうだ。本当に王太子殿下の前では喜んだら何でもしそうだ。
気を付けようと私は心に誓った。
ピーターはヤル気満々だった。騎士団の正装をしている。
一方の私は制服だったけど大丈夫だろうか?
まあこの前、レイモンド様の前ではそんなに変わらないワンピースだったし、もし、魔王と戦うことになったら着替える暇なんか無いはずだ。実戦形式ということで。
「え、エレ制服のままなのか?」
私を見てピーターが驚いて言った。
「魔術をお見せするだけなんでしょ」
「でも模擬戦を希望されるかも知れないぞ」
「あのそれ絶対に無理。王太子殿下と向き合っただけで、心臓破裂するから戦えない」
私は首をブルブル振った。
「えっ!」
「嘘っ?」
「信じられないだろう? あの歩く図太さの見本のエレが」
驚いたクラスの連中にピーターが余計な事を言ってくれる。
「本当にエレは王太子命なんだな」
「まあ夢は大きくよ!」
ポールの言葉に私は頷くが、
「無謀な夢」
「身の程知らず」
「井の中の眼鏡、大海を知らず」
「眼鏡に小判」
皆好きなことを言ってくれる。でも何か違うし、間違ってるのもあるぞ!
「ま、夢見るのはただだからね。エレは良いわ」
「本当にエレは天然よね」
呆れてローズとクラリッサが言った。
うーん、そこまで言われる必要あるのか。
「ふんっ、なんだったら王太子殿下に紹介してあげようかなって思ったけど、ムカついたからやってやんない」
私がブスッとして言うと、
「嘘!エレ様」
「ローズ、何を言ってんだよ。エレは殿下の前では赤くなって話せないんだから、紹介なんて無理だろ」
「何言ってんのよ。私が練習している横で練習してたら良いでしょ。殿下の目に留まるかも知れないじゃない」
「えっ、そんな事なの!」
ローズががっかりするが、
「ムカつくやつは邪魔で出来ないって言って追い出してやるんだから」
「えええ! エレ横暴!」
ローズが叫ぶ。
「フッフン、さあ、みんなで私の事少しは褒めて」
「天然」
「心の声駄々漏れ」
「歩く問題児」
「見た目だけ真面目」
「ちょっと、ちょっと、全然褒めてないじゃ無い!」
「えええ!そうか?これでも褒めたつもりなんだけど」
「あっそ」
私はブーたれた。
「まあ、エレ、遊びはそのくらいにして、殿下がいらっしゃったわよ」
私はマリアンの声にさっと固まってしまった。
「やあ、みんな、凄いな、クラス全員が来てくれたのかい。ワイルダー嬢とピーター君は人望があるんだね」
殿下がおっしゃって微笑みかけられた。
パリーン、私はその笑顔を見て固まってしまった。
「うそ」
「あのエレが固まっているぞ」
「キングストン先生を目の前にてっぺんハゲと言い放ったエレが・・・・・」
クラスの奴らは珍しいものを見るように言うの止めて!
それを聞いて、殿下の側近の方々が吹き出していた。
ちょっと止めてよ。もう私は更に真っ赤だった。
「殿下。私のヒールも見てください」
昼休みに断られたのに、懲りないモモンガさんがそこにはいた。
でも、私は今はモモンガどころではなかった。
「モーガン嬢、申し訳ないが、昼も言ったように、今日はピーター君とワイルダー嬢を見るから君は見ないよ」
殿下が断っていた。
「そう言わずに少しだけでも」
「まあ、時間が余ればね」
殿下は邪険にそう言うと
「テディ! ピーター君と手合わせしてやってくれ」
殿下が指示していた。
「よろしくお願いします」
ピーターが訓練場の中央に進み出る。
模擬剣を二人は構える。
「では、やろうか」
テディ・アンセル子爵令息が声を上げる。
「はい」
二人は剣を構えて途中で止める。
「ウォーーー」
ピーターが上段から振り下ろした。
それをテディがまともに受ける。
ガキンッと大きな音がする。
ピーターは何回も振り下ろす。ただただ何回も。
渾身の力を込めて。
テディは何回か打ち合うと真横に飛んで斜めに振り下ろした。
ピーターはそれを剣で受け止められなかった。
鎧あてで受けて吹っ飛ばされた。
「負けました」
横腹を押さえてピーターは頭を下げた。
「いや、馬鹿力だな。この調子で鍛錬を積めば、ますます強くなるよ」
「ありがとうございます」
テディに褒めてもらってピーターは喜んでいた。
「じゃあ、次はワイルダー嬢、お願いできるかな」
王太子殿下のお言葉に私はカクカク頷いた。
もう緊張でカチコチで固まっていた。
「ど、どうしたのエレ」
マリアンが驚いている。
周りの皆も唖然としていた。
「じゃあ、今度は私の相手にしてくれるかな」
ウィリアム・ノーゼン侯爵令息が笑っていってくれた。彼は王太子殿下の側近で卒業生だけど、わざわざ来てくれたらしい。
でも、殿下に見られてやるなんて基本無理。
私は緊張でカチコチだった。
「じゃあ、彼に向けて水魔術を使ってくれるか」
王太子殿下に言われたので、私はカチコチになりながら、手を中途半端に上げて
「ウォタ」
小さく詠唱する。
チョロチョロと水が手から少しだけ出る。
皆唖然としていた。
「な、なんてちゃちなの」
モモンガさんの馬鹿にした声が響いた。
「おいおい、あの消防車がいらないほどの大量の水をいつもガバガバと出している、エレがあれだけしか出ないって、どういうことだ?」
「あのエレが緊張するなんて」
「レイモンド様に対しても、緊張なんて微塵もしないで言われぬままにカバ先生に水魔術を直撃していたのに」
「王太子殿下のお力って凄い」
もうクラスの面々は珍獣を見る感じだ。
「えっ、そんなに王太子殿下の前だと緊張するの?」
驚いてウィリアム様が聞いてこられた。
彼はマリアンのことも知っているらしく、マリアンを見て言うし。
「殿下、そんな出来ない言い訳する人なんて無視して私を見てくださいよ」
モモンガのやつが余計なことを言う。
殿下さえいなければ水流で押し流してやるのに。
私は歯噛みした。
「モーガン嬢。緊張している人間にその言葉は良くないな。君が聖女目指しているなら言葉も気をつけないと」
「申し訳ありません。王太子殿下。つい、言ってしまいました」
モモンガが私を睨みつけて言ってきた。
本来ならこんだけバカにされたら発動するはずなのに、やっぱり殿下の前じゃ無理。
「本当にもう、エレは信じられないわ」
マリアンはそう言うと殿下に向き直った。
「殿下、すいません。少しだけ視界を閉ざしていいですか」
殿下の前に厚紙の画用紙を出してマリアンが言った。
「いや、まあ、なんかおかしくないか」
殿下は抵抗するが、
「マアマア、力さえ判れば良いんですよね。側近方はちゃんと見ていただいていますから」
意地悪そうな笑みを浮かべてマリアンが言った。
「判った。じゃあ10秒だけ」
「エレが発動したらすぐに取りますから。エレ、判った?」
なんかマリアンの声も怖いんだけど・・・・・
私の視界から王太子殿下の視線が消えた。全く感じなくなった。
その瞬間、私ははっと我に返った。
「ウォーター」
右手を上げて、大水量の水流を放つ。
そして、マリアンが王太子殿下の前の画用紙を引っ込めた。
殿下の視線を感じるが、もう発した後だ。
それは一直線に、私を馬鹿にしたモモンガを直撃したのだった。
「ぎゃーーー」
モモンガ軍団が一纏めにして流されていく・・・・
いやちょっと待って!、殿下の前でやってしまった。これでは嫉妬に狂った馬鹿ではないか。
私は真っ赤になって固まってしまった。
それを王太子殿下の側近たちは唖然と、いつも見慣れているクラスメートは当然のように見ていた。
「彼奴等も馬鹿だよね。怪獣エレの逆鱗に触れるなんて」
「おいおいピーターそんな事言っていいのか」
「大丈夫、やばくなったら殿下の影に隠れるから」
「おいおい君たち。殿下を弾除けに使うのは止めてくれよ」
ウィリアム様にまで言われてしまった・・・・・
ああん、これじゃあ、もうお嫁に行けない・・・・
私は真っ赤になって顔を押さえていた。
「なんか仰々しく無い?」
私は皆を見て言ったが、
「皆、あんたなんかは見てないわよ。王太子殿下が目的よ」
マリアンが言ってくれた。
それはそうだと思う。私はマリアンから、くれぐれも王太子殿下の前だからと言って喜んで無理しないように、と釘を刺されていた。ばれないように気を付けろと。
それはそうだ。本当に王太子殿下の前では喜んだら何でもしそうだ。
気を付けようと私は心に誓った。
ピーターはヤル気満々だった。騎士団の正装をしている。
一方の私は制服だったけど大丈夫だろうか?
まあこの前、レイモンド様の前ではそんなに変わらないワンピースだったし、もし、魔王と戦うことになったら着替える暇なんか無いはずだ。実戦形式ということで。
「え、エレ制服のままなのか?」
私を見てピーターが驚いて言った。
「魔術をお見せするだけなんでしょ」
「でも模擬戦を希望されるかも知れないぞ」
「あのそれ絶対に無理。王太子殿下と向き合っただけで、心臓破裂するから戦えない」
私は首をブルブル振った。
「えっ!」
「嘘っ?」
「信じられないだろう? あの歩く図太さの見本のエレが」
驚いたクラスの連中にピーターが余計な事を言ってくれる。
「本当にエレは王太子命なんだな」
「まあ夢は大きくよ!」
ポールの言葉に私は頷くが、
「無謀な夢」
「身の程知らず」
「井の中の眼鏡、大海を知らず」
「眼鏡に小判」
皆好きなことを言ってくれる。でも何か違うし、間違ってるのもあるぞ!
「ま、夢見るのはただだからね。エレは良いわ」
「本当にエレは天然よね」
呆れてローズとクラリッサが言った。
うーん、そこまで言われる必要あるのか。
「ふんっ、なんだったら王太子殿下に紹介してあげようかなって思ったけど、ムカついたからやってやんない」
私がブスッとして言うと、
「嘘!エレ様」
「ローズ、何を言ってんだよ。エレは殿下の前では赤くなって話せないんだから、紹介なんて無理だろ」
「何言ってんのよ。私が練習している横で練習してたら良いでしょ。殿下の目に留まるかも知れないじゃない」
「えっ、そんな事なの!」
ローズががっかりするが、
「ムカつくやつは邪魔で出来ないって言って追い出してやるんだから」
「えええ! エレ横暴!」
ローズが叫ぶ。
「フッフン、さあ、みんなで私の事少しは褒めて」
「天然」
「心の声駄々漏れ」
「歩く問題児」
「見た目だけ真面目」
「ちょっと、ちょっと、全然褒めてないじゃ無い!」
「えええ!そうか?これでも褒めたつもりなんだけど」
「あっそ」
私はブーたれた。
「まあ、エレ、遊びはそのくらいにして、殿下がいらっしゃったわよ」
私はマリアンの声にさっと固まってしまった。
「やあ、みんな、凄いな、クラス全員が来てくれたのかい。ワイルダー嬢とピーター君は人望があるんだね」
殿下がおっしゃって微笑みかけられた。
パリーン、私はその笑顔を見て固まってしまった。
「うそ」
「あのエレが固まっているぞ」
「キングストン先生を目の前にてっぺんハゲと言い放ったエレが・・・・・」
クラスの奴らは珍しいものを見るように言うの止めて!
それを聞いて、殿下の側近の方々が吹き出していた。
ちょっと止めてよ。もう私は更に真っ赤だった。
「殿下。私のヒールも見てください」
昼休みに断られたのに、懲りないモモンガさんがそこにはいた。
でも、私は今はモモンガどころではなかった。
「モーガン嬢、申し訳ないが、昼も言ったように、今日はピーター君とワイルダー嬢を見るから君は見ないよ」
殿下が断っていた。
「そう言わずに少しだけでも」
「まあ、時間が余ればね」
殿下は邪険にそう言うと
「テディ! ピーター君と手合わせしてやってくれ」
殿下が指示していた。
「よろしくお願いします」
ピーターが訓練場の中央に進み出る。
模擬剣を二人は構える。
「では、やろうか」
テディ・アンセル子爵令息が声を上げる。
「はい」
二人は剣を構えて途中で止める。
「ウォーーー」
ピーターが上段から振り下ろした。
それをテディがまともに受ける。
ガキンッと大きな音がする。
ピーターは何回も振り下ろす。ただただ何回も。
渾身の力を込めて。
テディは何回か打ち合うと真横に飛んで斜めに振り下ろした。
ピーターはそれを剣で受け止められなかった。
鎧あてで受けて吹っ飛ばされた。
「負けました」
横腹を押さえてピーターは頭を下げた。
「いや、馬鹿力だな。この調子で鍛錬を積めば、ますます強くなるよ」
「ありがとうございます」
テディに褒めてもらってピーターは喜んでいた。
「じゃあ、次はワイルダー嬢、お願いできるかな」
王太子殿下のお言葉に私はカクカク頷いた。
もう緊張でカチコチで固まっていた。
「ど、どうしたのエレ」
マリアンが驚いている。
周りの皆も唖然としていた。
「じゃあ、今度は私の相手にしてくれるかな」
ウィリアム・ノーゼン侯爵令息が笑っていってくれた。彼は王太子殿下の側近で卒業生だけど、わざわざ来てくれたらしい。
でも、殿下に見られてやるなんて基本無理。
私は緊張でカチコチだった。
「じゃあ、彼に向けて水魔術を使ってくれるか」
王太子殿下に言われたので、私はカチコチになりながら、手を中途半端に上げて
「ウォタ」
小さく詠唱する。
チョロチョロと水が手から少しだけ出る。
皆唖然としていた。
「な、なんてちゃちなの」
モモンガさんの馬鹿にした声が響いた。
「おいおい、あの消防車がいらないほどの大量の水をいつもガバガバと出している、エレがあれだけしか出ないって、どういうことだ?」
「あのエレが緊張するなんて」
「レイモンド様に対しても、緊張なんて微塵もしないで言われぬままにカバ先生に水魔術を直撃していたのに」
「王太子殿下のお力って凄い」
もうクラスの面々は珍獣を見る感じだ。
「えっ、そんなに王太子殿下の前だと緊張するの?」
驚いてウィリアム様が聞いてこられた。
彼はマリアンのことも知っているらしく、マリアンを見て言うし。
「殿下、そんな出来ない言い訳する人なんて無視して私を見てくださいよ」
モモンガのやつが余計なことを言う。
殿下さえいなければ水流で押し流してやるのに。
私は歯噛みした。
「モーガン嬢。緊張している人間にその言葉は良くないな。君が聖女目指しているなら言葉も気をつけないと」
「申し訳ありません。王太子殿下。つい、言ってしまいました」
モモンガが私を睨みつけて言ってきた。
本来ならこんだけバカにされたら発動するはずなのに、やっぱり殿下の前じゃ無理。
「本当にもう、エレは信じられないわ」
マリアンはそう言うと殿下に向き直った。
「殿下、すいません。少しだけ視界を閉ざしていいですか」
殿下の前に厚紙の画用紙を出してマリアンが言った。
「いや、まあ、なんかおかしくないか」
殿下は抵抗するが、
「マアマア、力さえ判れば良いんですよね。側近方はちゃんと見ていただいていますから」
意地悪そうな笑みを浮かべてマリアンが言った。
「判った。じゃあ10秒だけ」
「エレが発動したらすぐに取りますから。エレ、判った?」
なんかマリアンの声も怖いんだけど・・・・・
私の視界から王太子殿下の視線が消えた。全く感じなくなった。
その瞬間、私ははっと我に返った。
「ウォーター」
右手を上げて、大水量の水流を放つ。
そして、マリアンが王太子殿下の前の画用紙を引っ込めた。
殿下の視線を感じるが、もう発した後だ。
それは一直線に、私を馬鹿にしたモモンガを直撃したのだった。
「ぎゃーーー」
モモンガ軍団が一纏めにして流されていく・・・・
いやちょっと待って!、殿下の前でやってしまった。これでは嫉妬に狂った馬鹿ではないか。
私は真っ赤になって固まってしまった。
それを王太子殿下の側近たちは唖然と、いつも見慣れているクラスメートは当然のように見ていた。
「彼奴等も馬鹿だよね。怪獣エレの逆鱗に触れるなんて」
「おいおいピーターそんな事言っていいのか」
「大丈夫、やばくなったら殿下の影に隠れるから」
「おいおい君たち。殿下を弾除けに使うのは止めてくれよ」
ウィリアム様にまで言われてしまった・・・・・
ああん、これじゃあ、もうお嫁に行けない・・・・
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