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魔物討伐準備編 チーム分けを決めました
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4月も終わりになるとそろそろ学校にも慣れてきた。さすが王国最高府の学問処だけあって勉強は結構大変だった。今はそれにプラスして、もうじきある魔物討伐についての準備で皆忙しい。私達は実技や座学の授業では出てくる可能性のある魔物についての対処法を学んでいた。
今回行く王都から100キロ離れたところでは過去に出てきた最強の魔物はサラマンダーだそうだ。火蜥蜴なので水魔術が有効になる。
「本当にサラマンダーなんて出てくるのかしら?」
マリアンが不審そうに言う。私がその対策をやってみようと言ったのだ。
「でも最悪の準備をしていた方が良いわよ。でなかったら儲けものって感じで」
「まあ、そらあそうだけど」
「行くわよ」
「えっちょっと待ってよ」
マリアンが慌てるが、
「ウォーター!」
私は目の前にサラマンダーがいるつもりで水大砲を放出した。
ドカーンという凄まじい水量の水が出現して、次の瞬間、校庭は水浸しになった。
「アチャー、やり過ぎた?」
「だから言ったのに」
私の言葉にマリアンがぶつぶつ言う。
「おい、エレ、ドボドボじゃないか」
ピーターたちが文句言ってきた。
「ごめん、ちょっとやりすぎちゃった」
「ドラゴンでも相手にするつもりなのかよ」
ピーターが文句を言った。
カバ先生には
「ワイルダーさんは魔力が有り余っているんですから、本番以外は力を制御して下さい」と注意されてしまった。
夜に食堂で私達は相談していた。
「でチームはどうするの?」
マリアンが聞いてきた。
「まあ、この6人でいいんじゃない。私とマリアンが水魔術師、ピーターが剣士で水魔術、ポールが土、ローズとクラリッサが風で」
私が言う。
「まあ火がいないけど」
「水属性に強いのって陸にはいないから問題無いんじゃない?」
「そうよね」
マリアンが頷いた。
そこへピンク頭のモモンガさんが取り巻きを連れて現れた。
「ねえ、眼鏡のあなた」
私に呼び掛けてきやがった。眼鏡のあなたってなんだ?人の名前くらい覚えろよ。私は自分のことは棚に上げて思った。
「返事くらいしてよね。わざわざ来てあげたんだから」
こいつ何様?
私達の白い視線を全く気にせず、堂々と立ってる。さすがニセ聖女だ。
「そこの君。折角ルイーズが声かけているんだから」
隣の伯爵令息が言う。
「なんか御用?」
私はさっさと消えろモードを出しながら聞いた。
「用があるから来てあげたのよ。無かったらこんなところまでわざわざ来ないわよ」
今日もモモンガさんは絶好調だ。
「あのう私達も忙しいんだけど」
マリアンが言うと
「あなたには用はないわ」
「あっそ、じゃあさようなら」
マリアンの怒りもびくともせずにモモンガさんは言う。
「実はメンバーが一人足りないのよ。あなた少しは水魔術適正があるみたいだから、私のチームに混ぜてあげてもいいわよ」
「・・・・」
私は唖然としてモモンガを見た。
なんでこいつに入れてもらわなければいけないのだろう?
「あんたらバカなの」
思わずローズが言った。
「貴様、俺たちにバカとはなんだ」
「だってどう見ても弱っちいチームになんでエレが入らなければならないのよ。知ってる?エレの魔力量の大きさは全生徒のベスト5に入るのよ。普通そういう人を誘うにはお願いするのが筋じゃないの」
「何言ってるこちらには未来の聖女様がいるんだぞ」
「それは聖女様になってから言ってよ」
「聞いたわよ。まだ簡単な傷しか治せないんでしょ。街の治療院でも雇ってもらえるかどうかの力しかないそうじゃない」
ローズにクラリッサが加勢する。
「な、何言ってるのよ。まだ現実に怪我人がそんなにいないから出来ないだけよ」
モモンガさんは言い訳した。
「何言ってんのよ。そこのあんた、水魔術だから今日の授業のエレ見てたでしょ」
ローズは取り巻きの騎士団長の息子か何かに声をかけていた。
「グランド全体を水没させたエレの方が圧倒的に上でしょ」
「いや、まあ」
そいつがローズに頷いていた。
「ハイハイ。未来の聖女様は頑張って練習して下さい私はこのクラスでチームに入りましたから、他のチームに行くのは無理です」
私がしかたなく声を出した。このままやっていても仕方がないだろう。
「な、なんだと」
伯爵令息はまさか断られるとは露ほども思っていなかったらしい。
「後で後悔してもしらないからな」
後悔はしないけど。それよりモモンガさんだ。
「ちょっとモモンガさん」
「誰がモモンガよ。私はモーガンよ。いい加減に覚えなさいよね」
私を眼鏡というモモンガには言われたくないが、
「これ、『魔法聖女エリ』の絵本。このとおりやれば絶対にうまく出来るようになるから貸してあげるから読めばいいわ」
私は家に何冊もあった魔法聖女エリの絵本を差し出した。
「本当に」
「そうよ。私はそのとおりにしたら魔力量が100倍くらいになったんだから」
「判ったわ。借りていくわね
モモンガさんは思った以上に素直だった。
「おい、エレ、お前、腕上げるって、やっぱり『魔法聖女エリ』の影響だったのかよ」
呆れたようにピーターが言った。
「えっ、『魔法聖女エリ』をピーターも知っているの」
私は嬉しくなって聞いた。
「何でも売れない本を騎士とか王宮の文官とか子供のいる勤め人に大量に渡したやつだろ。うちにも2冊あったような」
「えっ、そうなの。うちには5冊くらいあって何でだろうって思っていたんだけど」
「子供のいる使用人で特に女の子のいる家には多くもって帰らされたみたいだぞ」
ピーターが呆れて言った。
私を何故か残念なものを見るようにマリアンが見ていた。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
お気に入り登録、感想ありがとうございます。
まだの方はぜひともしていただくと有り難いです!
今回行く王都から100キロ離れたところでは過去に出てきた最強の魔物はサラマンダーだそうだ。火蜥蜴なので水魔術が有効になる。
「本当にサラマンダーなんて出てくるのかしら?」
マリアンが不審そうに言う。私がその対策をやってみようと言ったのだ。
「でも最悪の準備をしていた方が良いわよ。でなかったら儲けものって感じで」
「まあ、そらあそうだけど」
「行くわよ」
「えっちょっと待ってよ」
マリアンが慌てるが、
「ウォーター!」
私は目の前にサラマンダーがいるつもりで水大砲を放出した。
ドカーンという凄まじい水量の水が出現して、次の瞬間、校庭は水浸しになった。
「アチャー、やり過ぎた?」
「だから言ったのに」
私の言葉にマリアンがぶつぶつ言う。
「おい、エレ、ドボドボじゃないか」
ピーターたちが文句言ってきた。
「ごめん、ちょっとやりすぎちゃった」
「ドラゴンでも相手にするつもりなのかよ」
ピーターが文句を言った。
カバ先生には
「ワイルダーさんは魔力が有り余っているんですから、本番以外は力を制御して下さい」と注意されてしまった。
夜に食堂で私達は相談していた。
「でチームはどうするの?」
マリアンが聞いてきた。
「まあ、この6人でいいんじゃない。私とマリアンが水魔術師、ピーターが剣士で水魔術、ポールが土、ローズとクラリッサが風で」
私が言う。
「まあ火がいないけど」
「水属性に強いのって陸にはいないから問題無いんじゃない?」
「そうよね」
マリアンが頷いた。
そこへピンク頭のモモンガさんが取り巻きを連れて現れた。
「ねえ、眼鏡のあなた」
私に呼び掛けてきやがった。眼鏡のあなたってなんだ?人の名前くらい覚えろよ。私は自分のことは棚に上げて思った。
「返事くらいしてよね。わざわざ来てあげたんだから」
こいつ何様?
私達の白い視線を全く気にせず、堂々と立ってる。さすがニセ聖女だ。
「そこの君。折角ルイーズが声かけているんだから」
隣の伯爵令息が言う。
「なんか御用?」
私はさっさと消えろモードを出しながら聞いた。
「用があるから来てあげたのよ。無かったらこんなところまでわざわざ来ないわよ」
今日もモモンガさんは絶好調だ。
「あのう私達も忙しいんだけど」
マリアンが言うと
「あなたには用はないわ」
「あっそ、じゃあさようなら」
マリアンの怒りもびくともせずにモモンガさんは言う。
「実はメンバーが一人足りないのよ。あなた少しは水魔術適正があるみたいだから、私のチームに混ぜてあげてもいいわよ」
「・・・・」
私は唖然としてモモンガを見た。
なんでこいつに入れてもらわなければいけないのだろう?
「あんたらバカなの」
思わずローズが言った。
「貴様、俺たちにバカとはなんだ」
「だってどう見ても弱っちいチームになんでエレが入らなければならないのよ。知ってる?エレの魔力量の大きさは全生徒のベスト5に入るのよ。普通そういう人を誘うにはお願いするのが筋じゃないの」
「何言ってるこちらには未来の聖女様がいるんだぞ」
「それは聖女様になってから言ってよ」
「聞いたわよ。まだ簡単な傷しか治せないんでしょ。街の治療院でも雇ってもらえるかどうかの力しかないそうじゃない」
ローズにクラリッサが加勢する。
「な、何言ってるのよ。まだ現実に怪我人がそんなにいないから出来ないだけよ」
モモンガさんは言い訳した。
「何言ってんのよ。そこのあんた、水魔術だから今日の授業のエレ見てたでしょ」
ローズは取り巻きの騎士団長の息子か何かに声をかけていた。
「グランド全体を水没させたエレの方が圧倒的に上でしょ」
「いや、まあ」
そいつがローズに頷いていた。
「ハイハイ。未来の聖女様は頑張って練習して下さい私はこのクラスでチームに入りましたから、他のチームに行くのは無理です」
私がしかたなく声を出した。このままやっていても仕方がないだろう。
「な、なんだと」
伯爵令息はまさか断られるとは露ほども思っていなかったらしい。
「後で後悔してもしらないからな」
後悔はしないけど。それよりモモンガさんだ。
「ちょっとモモンガさん」
「誰がモモンガよ。私はモーガンよ。いい加減に覚えなさいよね」
私を眼鏡というモモンガには言われたくないが、
「これ、『魔法聖女エリ』の絵本。このとおりやれば絶対にうまく出来るようになるから貸してあげるから読めばいいわ」
私は家に何冊もあった魔法聖女エリの絵本を差し出した。
「本当に」
「そうよ。私はそのとおりにしたら魔力量が100倍くらいになったんだから」
「判ったわ。借りていくわね
モモンガさんは思った以上に素直だった。
「おい、エレ、お前、腕上げるって、やっぱり『魔法聖女エリ』の影響だったのかよ」
呆れたようにピーターが言った。
「えっ、『魔法聖女エリ』をピーターも知っているの」
私は嬉しくなって聞いた。
「何でも売れない本を騎士とか王宮の文官とか子供のいる勤め人に大量に渡したやつだろ。うちにも2冊あったような」
「えっ、そうなの。うちには5冊くらいあって何でだろうって思っていたんだけど」
「子供のいる使用人で特に女の子のいる家には多くもって帰らされたみたいだぞ」
ピーターが呆れて言った。
私を何故か残念なものを見るようにマリアンが見ていた。
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