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歴史の授業で魔物討伐の心構えを聞かされました。
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昼前の歴史の授業は退屈だった。ツルピカ先生は抑揚のない話し方でいつも眠りそうになる。これが食後だったら確実に寝ていた。
でも、今日は魔物と人間の関わりの歴史だった。毎年5月に魔物討伐の合宿があるのだ。
王都では10年前のスタンピード以来魔物が現れたことはないが、魔物に対処する方法を学ぶことはこの国で生きていくためには必要なことで、これは王族であろうが、貴族の令嬢であろうが必ず必修だった。騎士訓練校ではもっと本格的にやるのだが、まあ学園のはお遊び程度だと先生方は言っていた。しかし、危険なことには変わりないだろう。
私は先生の話を聞きながらノートを書いていると
前のピーターがこくりこくりと船を漕いでいる。私がつつこうかと思ったときだ。
「ピーター君」
先生が当てた。
私は慌てて後ろからつついた
「えっ」
目を開けて周りを見る。
「ピーター君」
「す、すいません」
先生の声に慌ててピーターは立上った。
「私の話はつまらないですか」
「い、いえ」
「今日は魔物と人間の歴史です。あなた方が、5月に行く魔物討伐のための基礎知識なんです。寝ていると大変なことになるかもしれませんよ」
「はい、すいません」
「みなさんも、宜しいですか。あなた方の行く魔物討伐は、今回は1年生ということもあって基本的には危険はないはずです。あまり危険な魔物はいないはずです。しかし、完璧なことはないのです。どこに危険な魔物がいるかは判りません。最悪の状態を想定して日々訓練に励んでくださいね」
「はい」
皆その言葉に改めて身を引き締めていた。
それまで寝ていた子らも一生懸命ノートを取り出した。
この時はあまり実感がなかったが、後でこのときの先生の言葉をどれだけありがたがったことか・・・・
食事の時間になった。
一般生徒の食堂は結構混んでいたが、私達は端の所に陣取っていた。私は配られた魔物討伐資料を見ていた。
「あんた、よくそれだけ食べられるわね」
マリアンが私の食器を見ていった。
私の食器はおかずとご飯が結合山盛りになっていた。食堂のおばちゃんが私を見ると、よく食べる子は育つのよと言ってたくさん入れてくれるのだ。
「頭使うとお腹すくのよね」
「あんたそれだけ食べて太らないの?」
「そんなに太らない体質みたい」
そう言えば祖母にもお前は食べ過ぎだとよく怒られていた。
まあ、私の体は胸と同じでスリムだ。
「ああだから胸も大きくならないのね」
マリアンが余計な一言を言う。
「ふんっ、あんたも大きくないじゃない」
「そう、食が細いから育たないのかなと思っていたけど、あんたの食事量見てたら違うのがよく判ったわ」
「ふんっ、いずれは育つはわよ」
私が言った。
「お前ら男の前でそんな事言ってるなよな」
横にいたピーターが言う。
「あんたらそんなに気にしないでしょ」
マリアンがあっさり言う。
「そらあそうだけど、なんだかな」
横のポールも言う。ポールも平民の子だ。魔力は土魔術だ。
「あんたらじゃ、婿の対象にならないじゃない」
クラリッサはどうしようもないという顔で言った。
「なんだよそれは」
「だって、貴族の血を引くとか人脈が広いとか、何か商売に対して特技があるとか、何かあるの?」
「それを言われるとなんもないけど」
ブスッとしてピーターが言った。
「だってこの中であんたでも良いとなると、ローズも相手は私とそう変わらないと思うし、マリアンはお貴族様だから相手もお貴族様でしょ。というとエレくらいよ」
「えっ、エレかあああ」
がっかりしたようにピーターが言う。
「何その反応。失礼しちゃうわ。まあ、私は王太子殿下命だから関係ないけど」
私も少しブスッとして言う。
「本当にもうこの子、それは夢見すぎよ」
「夢見るのはただだし」
私が言うと
「まあ、そうだけどね」
「別に私、貴族で無くてもいいわよ」
マリアンが言った。
「えっ、本当か」
ピーターがとたんに喜んで言う。
「何その反応。私と全然違うじゃない」
私がぶーたれる。
「だってエレじゃなあ」
ピーターが隣のポールに同意を求める。
「いや、別に俺はエレでもいいよ。エレといると面白そうだし」
ポールがボソリと言った。
「えええ」
「本当に」
ローズとクラリッサがその声に過剰に反応する。
「うん、ポールは初いやつじゃ。ノートくらいいくらでも融通するわよ」
私が喜んで言った。
「いや、別にノートが欲しくていったんじゃ」
ポールが下を向いてボソボソ言うが
「それよりも来たるべき魔物討伐よね」
私はもってきたパンフレットを見ていった。
父がスタンピードで亡くなったので、魔物討伐には私は興味があるのだ。スタンピードは魔物が暴走して起こるのだ。先生はその魔物を少しでも少なくしておくことがスタンピードの制御になると言っていた。私みたいな孤児を出さないためにも是非とも真面目に取り組まねば。
私はがんばって食事をかきこみだした。
ため息をついているポールと残念なものを見るように皆私を見ているのは何でだろう?
でも、今日は魔物と人間の関わりの歴史だった。毎年5月に魔物討伐の合宿があるのだ。
王都では10年前のスタンピード以来魔物が現れたことはないが、魔物に対処する方法を学ぶことはこの国で生きていくためには必要なことで、これは王族であろうが、貴族の令嬢であろうが必ず必修だった。騎士訓練校ではもっと本格的にやるのだが、まあ学園のはお遊び程度だと先生方は言っていた。しかし、危険なことには変わりないだろう。
私は先生の話を聞きながらノートを書いていると
前のピーターがこくりこくりと船を漕いでいる。私がつつこうかと思ったときだ。
「ピーター君」
先生が当てた。
私は慌てて後ろからつついた
「えっ」
目を開けて周りを見る。
「ピーター君」
「す、すいません」
先生の声に慌ててピーターは立上った。
「私の話はつまらないですか」
「い、いえ」
「今日は魔物と人間の歴史です。あなた方が、5月に行く魔物討伐のための基礎知識なんです。寝ていると大変なことになるかもしれませんよ」
「はい、すいません」
「みなさんも、宜しいですか。あなた方の行く魔物討伐は、今回は1年生ということもあって基本的には危険はないはずです。あまり危険な魔物はいないはずです。しかし、完璧なことはないのです。どこに危険な魔物がいるかは判りません。最悪の状態を想定して日々訓練に励んでくださいね」
「はい」
皆その言葉に改めて身を引き締めていた。
それまで寝ていた子らも一生懸命ノートを取り出した。
この時はあまり実感がなかったが、後でこのときの先生の言葉をどれだけありがたがったことか・・・・
食事の時間になった。
一般生徒の食堂は結構混んでいたが、私達は端の所に陣取っていた。私は配られた魔物討伐資料を見ていた。
「あんた、よくそれだけ食べられるわね」
マリアンが私の食器を見ていった。
私の食器はおかずとご飯が結合山盛りになっていた。食堂のおばちゃんが私を見ると、よく食べる子は育つのよと言ってたくさん入れてくれるのだ。
「頭使うとお腹すくのよね」
「あんたそれだけ食べて太らないの?」
「そんなに太らない体質みたい」
そう言えば祖母にもお前は食べ過ぎだとよく怒られていた。
まあ、私の体は胸と同じでスリムだ。
「ああだから胸も大きくならないのね」
マリアンが余計な一言を言う。
「ふんっ、あんたも大きくないじゃない」
「そう、食が細いから育たないのかなと思っていたけど、あんたの食事量見てたら違うのがよく判ったわ」
「ふんっ、いずれは育つはわよ」
私が言った。
「お前ら男の前でそんな事言ってるなよな」
横にいたピーターが言う。
「あんたらそんなに気にしないでしょ」
マリアンがあっさり言う。
「そらあそうだけど、なんだかな」
横のポールも言う。ポールも平民の子だ。魔力は土魔術だ。
「あんたらじゃ、婿の対象にならないじゃない」
クラリッサはどうしようもないという顔で言った。
「なんだよそれは」
「だって、貴族の血を引くとか人脈が広いとか、何か商売に対して特技があるとか、何かあるの?」
「それを言われるとなんもないけど」
ブスッとしてピーターが言った。
「だってこの中であんたでも良いとなると、ローズも相手は私とそう変わらないと思うし、マリアンはお貴族様だから相手もお貴族様でしょ。というとエレくらいよ」
「えっ、エレかあああ」
がっかりしたようにピーターが言う。
「何その反応。失礼しちゃうわ。まあ、私は王太子殿下命だから関係ないけど」
私も少しブスッとして言う。
「本当にもうこの子、それは夢見すぎよ」
「夢見るのはただだし」
私が言うと
「まあ、そうだけどね」
「別に私、貴族で無くてもいいわよ」
マリアンが言った。
「えっ、本当か」
ピーターがとたんに喜んで言う。
「何その反応。私と全然違うじゃない」
私がぶーたれる。
「だってエレじゃなあ」
ピーターが隣のポールに同意を求める。
「いや、別に俺はエレでもいいよ。エレといると面白そうだし」
ポールがボソリと言った。
「えええ」
「本当に」
ローズとクラリッサがその声に過剰に反応する。
「うん、ポールは初いやつじゃ。ノートくらいいくらでも融通するわよ」
私が喜んで言った。
「いや、別にノートが欲しくていったんじゃ」
ポールが下を向いてボソボソ言うが
「それよりも来たるべき魔物討伐よね」
私はもってきたパンフレットを見ていった。
父がスタンピードで亡くなったので、魔物討伐には私は興味があるのだ。スタンピードは魔物が暴走して起こるのだ。先生はその魔物を少しでも少なくしておくことがスタンピードの制御になると言っていた。私みたいな孤児を出さないためにも是非とも真面目に取り組まねば。
私はがんばって食事をかきこみだした。
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