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王太子殿下と一緒に食事ができて幸せのあまりもう死んでもいいと思いました

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風呂から上がって私の涙を皆で冷やしてくれて、私達4人は連れ立って食堂に向かった。

食堂の入り口も結構混んでいた。

でも、その入口には、な、なんと憧れの王太子殿下が立っていらっしゃったのだ。

王太子はこちらを向くとふわりと笑われた。

嘘ーーーー、私に向かって微笑みかけられた。

私はそれを見て真っ赤になった。

ローズとクラリッサも真っ赤になっていた。


「ナイトリーさん、ちょっといいかな」
王太子殿下は私らでなくて、マリアンに声をかけた。

そらそうだよね。私になんか声をかけてくれるわけ無い・・・・
でも、王太子殿下はなんとマリアンの顔と名前を覚えていたのだ。凄い、マリアンって男爵令嬢なのに王太子殿下に名前を覚えられているんだ。


「はい。何でしょうか?」
でも、マリアンは大物で、全く動じずに返したのだ。マリアンって何者?私はとても感動した。と言うかマリアンの話し方からは忙しい時に話しかけてくるなモード全開なんだけど。

王太子殿下相手にこんな対応できるなんて私は絶対ムリだ。


「いや・・・・、君の魔力測定見させてもらったんだけど、私と同じ水魔術で素晴らしい魔力量だったから、一度話してみたいと思ったんだ」
殿下が戸惑って話される。

そらあ、そうだろう。王太子が話しかけているのに、忙しいから話すななんて言う対応取られるなんて普通は思わないよね。

「私の属性が水魔術で、検定の時の水晶の輝きが大きかったからお話されたいとのことですか」
マリアンの声が冷たく感じられた。なんか怒っている。

「ああ、そうだが」
でも王太子殿下はそんな事は気にせずに答えられる。

「殿下、この子も私と同じ水魔法で輝きも同じくらいだったんですけど」、
私の手を取ってマリアンが言った。

えっ、私?

次の瞬間私は固まってしまった。

「えっ?、そうだったんだ」
殿下は驚いておられた。そらあ平民の私なんて見ていないよね。そうか、マリアンの水晶の光の強さの大きさだけ見て、席を立たれたわけね。

私は少し、悲しかった。

「殿下、この学園は生徒は皆平等ですよね」
「当然だ」
「じゃあ、この子も連れて行っていいですよね」
「それは・・・・当然だよ」
殿下は絶対にマリアンの脅迫に屈したのだ。

「えっ」
私は驚きのあまり固まってしまった。
あの恩人の王太子殿下とご一緒するなんて無理。

「いえ、あの、殿下はマリアンとお話されたいのでは」
「いや、私の認識不足だった。君も魔力量が大きいのならば、ぜひ」
「で、でも」
「何固まっているのよ。いつものあんたらしくない。ご一緒しましょう。
ローズとクラリッサは今日はごめん」
「いえいえ、そんな、殿下のご要望が最優先ですから」
「はい。どうぞどうぞ」
二人は私達を送り出してくれた。
でも、その目は後で色々教えろと言っていた。


殿下とマリアンとおまけの私は貴族専用食堂に案内された。

それも個室だ。

私は殿下と一緒にいられるだけで、もう言葉も出なかった。

「好きなものを頼んでくれ」
殿下は言ってくれたが、私はメニューを見ても高価なものはよく判らなかった。
こう言う時は全て右に習えだ。
私はマリアンと同じ物を頼んだ。

「えっ? 一緒でいいの?」
マリアンが驚いて聞いてくれた意味がよく判らなかった。

でも、それが運ばれてきて意味が判った。なんとマリアンはカタツムリを頼んだのだ・・・・
そんな、私がそんなゲテモノ食べられるわけないじゃない。マリアンはめっちゃ意地悪だ・・・・

「ところで二人共学園にはなれた?」
殿下が聞いてくれた。

「まだ一週間しか経っていませんが、友達も出来ましたし、少しは慣れました」
マリアンは模範解答をした。

殿下が私を見る。

あの殿下が私を見てくれる。私は固まってしまった。

「殿下、この子はエレイン・ワイルダー。私の隣の部屋で私の友人です」
「そうか、ワイルダー嬢というのか」
私は辛うじて頷いた。

「殿下に昔助けてもらったことがあるみたいで、今も感激のあまり話せないみたいです」
「えっ、そうなのか。それは光栄だな。いつの話かな」
殿下が私を見て微笑んでくれた。私はもう死んでも良かった。
もう呆けて、何も答えられなかった。でも、覚えてもらっていないという事に少し悲しかった。私にとっては一大事だったんだけど・・・・。

「昨年、王都で人買いに売られそうになって、その時に」
「ああ、そう言う事があったな。君はその時の令嬢だったのか」
「はい」
まあ、地味な顔だから印象に残らなかったのも仕方がないが・・・

「それから大丈夫だったか。後は配下の者に頼んだのだが」
憂いをもった顔で尋ねられた。私について話してくれている。そう思っただけで、私はもう目いっぱいになって頷くことしか出来なかった。

「なんか、本当に感激しているみたいで、いつもはこんな事ないんですよ。魔法学のキングストン先生をてっぺんハゲってよんだり、歴史のレイランド先生をツルピカ先生って言ってみたり、本当にユニークなんですから」
私が話せないのを良いことに、これ幸いと、マリアンが私の黒歴史を話してくれる。ちょっと待ってよ。私の殿下に話さないで・・・・。

私は更に真っ赤になって固まった。

「それは凄いな」
殿下も笑っているし・・・・・

「聖女候補のモーガンさんをモモンガさんってよんだり、あの聖魔法の光を見てめっちゃちゃちって言ったりしているんですから」

もうマリアン止めて。私は涙目になった。

メガネしているから見えないんだけど・・・・

「へえええ、ワイルダーさんは、見た目は真面目そうだど、言う事は言うんだね」
殿下が面白がっていう。

もう止めて。これが殿下の前じゃなかったら思いっきりマリアンをしばいているところだった。

「ワイルダー嬢。エスカルゴは口に合わないのかな」
殿下が言って来た。


えええ、このカタツムリ、食べないといけないの?

二人が興味深く私を見ている。

私は止むをえず、一口食べた。

なんとか食べられるレベルだった。

でも、今は王太子殿下の斜め向かいにいられるだけで幸せだった。

「お口に合わないのならば違う料理を頼もうか」
と言われたが、私は食欲が進むとは到底思えないので断った。

結局私はマリアンと殿下が話すのをただ見ているだけしか出来なかった。

マリアンは私の黒歴史を延々と話してくれて私は死にたかったんだけど・・・・

でも王太子殿下と一緒に食事が出来たのだ。これは私の一生の思い出だ。

私もよんでくれたマリアンにはとても感謝したのだった。

その日は興奮して私はよく眠れなかった。
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