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怪獣デブゴン巨体化する・フシ川の大勝利

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ハレルヤとチェラムの国境のフシ川河畔。
チャイチュアは本軍をフシ川を背に布陣させていた。
川を背に布陣してはいけないという事は兵法では基本の基本である。
昔ユラシアの東端にあった大帝国ハンの将軍ハンシンが兵法の常識を破って背水の陣(川を背にして陣取る)で勝った例はあるそうだが、それ以来ほとんどない。

しかし、20万という大軍をバックにチャイチュアはハレルヤが攻撃してくるとは夢にも思っていなかった。
というか渡河して疲れたし、ハレルヤ本城までは距離があるし寡兵ではここまで攻めてこないと油断しきっていた。

その近くの草むらをの中をハル姫をはじめとする100人はチャイチュア本陣に隠れて接近していた。

途中哨戒の兵を5人ほど眠らせてきた。さすがに哨戒はしていた。
しかし、見つかるのは時間の問題だ。

「チン。本当にやらないといけないの。」
ハルは本陣を手前に小声でごねていた。
「当然です。」
チンがしたり顔でいう。

「でも、バカみたいじゃない。」
ハルがごねる。
「何をいまさらおっしゃりますか。」
その体の方が恥ずかしいだろ・・・
最後のところは口が裂けていも言えなかったが。

「こんなことしたらお嫁に行けない」
かわい子ぶっていう。周りの兵はげんなりしたが…・
「いまさら言うか。」
ぼそりとチンは言った。
「チン、何か言った?」
「いえっ姫様。貰い手が無かったら私がもらってあげますから」
バシンっ
その瞬間ハルの平手打ちがチンにヒットしてチンは弾き飛ばされる。
「あなたね。身分違いも甚だしいわ。
チンのに分際で…私を嫁にする!」
ハルは何故か赤くなって叫んでいた。
この戦場で叫んでいた。
静かにしなければいけない隠密行動中に。
当然・・・

「おいっそこで何している」
歩哨していた兵士が気づいた。

「姫様!」
チンが叫ぶ。
ハルは覚悟を決めた。これもケーキのためだ。

「ガオー」
姫が立ち上がると兵士の前に巨大化したハル姫がこつ然と現れた。
高さは15メートルくらいあるだろうか。
両手を振り回して叫んでいる。

「ヒー―――」
兵士は腰を抜かして倒れ込んだ。

「敵襲」
慌てて兵士たちは立ち上がる。

「ガオー」
その目の前に雄たけびを上げている怪獣デブゴンが現れたのだ。

兵士たちはど肝を抜かれた。

そして、「ガオー」
と再度怪獣が咆哮すると火を噴いた。

それは乾燥した枯草に燃え移りたちまち周りは火の海になった。
そして怪獣が巨体を動かして前に進むたびに、地響きがして木が倒されていく。

「逃げろ」
ダージリンらは真っ先に駆け出した。

「わあああ」
北方の前衛の方に大軍が攻めるかかる声が聞こえた。

「チャイチュア様。敵襲です。」
侍従が慌ててチャイチェアをたたき起こす。

「なんだと。」
慌ててチャイチュアは起きる

「ダージリンは」

「どこにも見当たりません。」
「なんだと」

どしんどしんとすさまじい足音がする。

そして、テントが弾き飛ばされた。
そこには目を怒らせた巨体化した怪獣デブゴンがいた。
「ヒエエエ」
チャイチュアはベッドから転がり落ちた。

「ガオー―――」
怪獣が咆哮した。

「助けて―――」
チャイチュアはその声に我に返り一目散に逃げだした。

浅い川を必死になって駆け抜けようとする。
途中で何回も転んでずぶぬれになりながら。

あと少しで岸だという時に濁流がチャイチュアを飲み込んでいた。

怪獣が現れると同時に上流に堰き止めてあった堰を切ったのだった。

混乱した帝国軍は溺死者3万人。火攻めによる焼死者2万人
戦死者5千人。を出した。

そして逃げ道が濁流によってふさがれ、
後ろから怒り狂った怪獣に迫られた時に大半の兵は投降した。

チェムラに逃げ帰った帝国軍兵士は4万人にも満たなかった。
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