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閑話 ヴァレンタインに手作りチョコレートを皇子様に渡しました
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今日は学園は休み。
でも、私達クラス女子は朝から宮殿の厨房の一角を借りてチョコ菓子作りに精を出していたのだ。
「えっ、シンシアってチョコレート菓子作れるの?」
「当然ですわ。私こう見えても、お菓子は作れますのよ」
学園でシンシアが胸を張って自慢してきた。
「じゃあ、ぜひとも教えてほしいわ」
「えっ、でも、本当に簡単なものですわよ」
シンシアが少し躊躇するが、
「良いのよ。私でも作れる簡単で美味しそうなものであれば」
私が言うと
「それならなんとかなると思いますけど」
「じゃあ、宜しく」
私はシンシアの手を握ったのだ。
「でも、お菓子なんて宮殿のシェフに頼めばいくらでも作ってもらえるのでは?」
シンシアが聞いてきた。
「何言っているのよ。ヴァレンタインのチョコレートは自分で作らないと」
私は腕まくりして言った。
「ヴァレンタインって?」
「何でも、アオイによると前の世界では、好きな男に女の子から手作りのチョコレートを渡すそうよ」
シンシアの質問にポーラが答えてくれた。
「えっ、それって、ひょっとして、作ったものを第一王子殿下に渡すんですか?」
青い顔をしてシンシアが言うんだけど。
「そうだけど」
私が少し赤くなって言うと、
「そ、そんな畏れ多い、私なんて本当に簡単なお菓子なんですよ。王宮のシェフに教えてもらえば良いのでは」
悲鳴を上げてシンシアが言うけれど、
「大丈夫だって。何しろ私が作るんだから。凝ったものだと私が作れないじゃない」
私が言うと
「いや、あの、本当に簡単なものですよ。決して第一王子殿下に食べていただけるようなものでは」
必死に抵抗するシンシアをなだめすかして、今日、宮殿の厨房の一角を借りたのだ。
クラスの女の子も皆、喜んで参加してきたのだ。
「では、皆さん板チョコを頑張って、細かく切って下さい」
シンシアの手本を皆、見様見真似で包丁片手にチョコを切っていた。
「ちょっと、アオイ様。その持ち方は」
「ええええ、駄目?」
そう言いながら、隣のポーラを見る。
ポーラは包丁を小刀を持つようにして持っているんだけど。
「ちょっと、アオイ様。包丁で人の手に触れないで」
シンシアが注意してきた。
「あっ、少し切れているじゃ無いですか」
シンシアが悲鳴を上げるが
「えっ、こんなの全然問題ないわ」
ポーラは気にしていないようだが、ポーラの手から血が少し流れ出していた。
「あっ、ごめん、ヒール」
私は慌ててヒールをかけた。
一瞬でポーラの手の怪我が治る。
「皆も怪我したら言ってね。すぐに治すから」
私は言うが、周りでハラハラして見ていたエイミー等は頭を抱えているんだけど……
これ以降、私は包丁を持つのが禁止されてしまった……
なんとか皆が作り上げるまでに、私は二回くらいヒールをかけた……
シンシアやエイミーは疲れ切っていたんだけど、何でだろ?
私はとても楽しかった。
そして、ヴァレンタインデー当日。
「はい」
私はボビーにラッピングされたチョコレートを渡したのだ。
「えっ、アオイ、これは?」
「私からのプレゼント」
そう、余り物でクラスの皆にも作ったのだ。
「嘘! 本当に! すごく嬉しい。大切にするよ」
とても嬉しそうにボビーが言うんだけど。
「えっ、チョコレートよ。私が作った」
「ええええ! 手作りのチョコレートなのか!」
更に感激してくれて、なんか渡した方が罪悪感を感じるほどなんだけど……
それにクラスの全員に同じものを渡したんだけど……
なんかボビーは一人で自分の世界に入って感激しているし……
まあ、喜んでくれたら良いだろう。
クラスの他の子達も喜んでくれた。
そして、宮殿に帰って、自分の部屋で作ったチョコ菓子を前にクリフを待っていたのだ。
「アオイ、どういう事だ! 他の奴にはお前の手作りチョコレートを渡したそうじゃないか!」
そこへ怒ってクリフが入ってきたんだけど。
「なんで俺の分は無いんだ!」
そう言う、クリフに私は
「はい、これ」
と言って特大のチョコ菓子の箱を渡したのだ。
他の皆にはチョコを溶かして流し込んだだけだが、クリフのは中に牛乳を入れたり、卵を入れたりして何層にもなった手間のかかった物なのだ。
「えっ、これ? こんな大きいのを貰えるのか?」
「だってクリフだもの。他の皆には義理だけど、クリフは私の婚約者だから」
私は赤くなって言った。
「えっ、有難う! 大切に食べるよ」
そう言うとクリフは私を抱きしめてくれたのだ。
「そうか、他のは義理か、なるほどね」
「でも、初めて作ったからうまく作れているかどうか不安なんだけど」
「いや、アオイの作ってくれたものなら、何だって良いけれど」
心配そうに見る私にクリフが言って包装を開けてくれた。
「本当に美味しそうに見えるぞ」
「どうかな」
私が不安そうに見る中でクリフが一つ食べてくれた。
「美味しい!」
クリフが言ってくれた。
「そう、良かった」
私はホッとした。
「はい、アオイも」
そう言うとクリフは私の口の中に一つ放り込んでくれたのだ。
「あっ、美味しい」
口の中でチョコレートがとろけた。
「じゃあ、俺にも食べさせてよ」
「はい、あーん」
「美味しい!」
食べさせ合う私達二人をエイミーとか護衛の近衛騎士とかが生暖かい目で見ているのを私は知らなかったのだ……
これ以降、帝国では女の子から男の子に手作りのチョコレート菓子を渡すのが聖女の日として習慣になっていったそうだ。
でも、私達クラス女子は朝から宮殿の厨房の一角を借りてチョコ菓子作りに精を出していたのだ。
「えっ、シンシアってチョコレート菓子作れるの?」
「当然ですわ。私こう見えても、お菓子は作れますのよ」
学園でシンシアが胸を張って自慢してきた。
「じゃあ、ぜひとも教えてほしいわ」
「えっ、でも、本当に簡単なものですわよ」
シンシアが少し躊躇するが、
「良いのよ。私でも作れる簡単で美味しそうなものであれば」
私が言うと
「それならなんとかなると思いますけど」
「じゃあ、宜しく」
私はシンシアの手を握ったのだ。
「でも、お菓子なんて宮殿のシェフに頼めばいくらでも作ってもらえるのでは?」
シンシアが聞いてきた。
「何言っているのよ。ヴァレンタインのチョコレートは自分で作らないと」
私は腕まくりして言った。
「ヴァレンタインって?」
「何でも、アオイによると前の世界では、好きな男に女の子から手作りのチョコレートを渡すそうよ」
シンシアの質問にポーラが答えてくれた。
「えっ、それって、ひょっとして、作ったものを第一王子殿下に渡すんですか?」
青い顔をしてシンシアが言うんだけど。
「そうだけど」
私が少し赤くなって言うと、
「そ、そんな畏れ多い、私なんて本当に簡単なお菓子なんですよ。王宮のシェフに教えてもらえば良いのでは」
悲鳴を上げてシンシアが言うけれど、
「大丈夫だって。何しろ私が作るんだから。凝ったものだと私が作れないじゃない」
私が言うと
「いや、あの、本当に簡単なものですよ。決して第一王子殿下に食べていただけるようなものでは」
必死に抵抗するシンシアをなだめすかして、今日、宮殿の厨房の一角を借りたのだ。
クラスの女の子も皆、喜んで参加してきたのだ。
「では、皆さん板チョコを頑張って、細かく切って下さい」
シンシアの手本を皆、見様見真似で包丁片手にチョコを切っていた。
「ちょっと、アオイ様。その持ち方は」
「ええええ、駄目?」
そう言いながら、隣のポーラを見る。
ポーラは包丁を小刀を持つようにして持っているんだけど。
「ちょっと、アオイ様。包丁で人の手に触れないで」
シンシアが注意してきた。
「あっ、少し切れているじゃ無いですか」
シンシアが悲鳴を上げるが
「えっ、こんなの全然問題ないわ」
ポーラは気にしていないようだが、ポーラの手から血が少し流れ出していた。
「あっ、ごめん、ヒール」
私は慌ててヒールをかけた。
一瞬でポーラの手の怪我が治る。
「皆も怪我したら言ってね。すぐに治すから」
私は言うが、周りでハラハラして見ていたエイミー等は頭を抱えているんだけど……
これ以降、私は包丁を持つのが禁止されてしまった……
なんとか皆が作り上げるまでに、私は二回くらいヒールをかけた……
シンシアやエイミーは疲れ切っていたんだけど、何でだろ?
私はとても楽しかった。
そして、ヴァレンタインデー当日。
「はい」
私はボビーにラッピングされたチョコレートを渡したのだ。
「えっ、アオイ、これは?」
「私からのプレゼント」
そう、余り物でクラスの皆にも作ったのだ。
「嘘! 本当に! すごく嬉しい。大切にするよ」
とても嬉しそうにボビーが言うんだけど。
「えっ、チョコレートよ。私が作った」
「ええええ! 手作りのチョコレートなのか!」
更に感激してくれて、なんか渡した方が罪悪感を感じるほどなんだけど……
それにクラスの全員に同じものを渡したんだけど……
なんかボビーは一人で自分の世界に入って感激しているし……
まあ、喜んでくれたら良いだろう。
クラスの他の子達も喜んでくれた。
そして、宮殿に帰って、自分の部屋で作ったチョコ菓子を前にクリフを待っていたのだ。
「アオイ、どういう事だ! 他の奴にはお前の手作りチョコレートを渡したそうじゃないか!」
そこへ怒ってクリフが入ってきたんだけど。
「なんで俺の分は無いんだ!」
そう言う、クリフに私は
「はい、これ」
と言って特大のチョコ菓子の箱を渡したのだ。
他の皆にはチョコを溶かして流し込んだだけだが、クリフのは中に牛乳を入れたり、卵を入れたりして何層にもなった手間のかかった物なのだ。
「えっ、これ? こんな大きいのを貰えるのか?」
「だってクリフだもの。他の皆には義理だけど、クリフは私の婚約者だから」
私は赤くなって言った。
「えっ、有難う! 大切に食べるよ」
そう言うとクリフは私を抱きしめてくれたのだ。
「そうか、他のは義理か、なるほどね」
「でも、初めて作ったからうまく作れているかどうか不安なんだけど」
「いや、アオイの作ってくれたものなら、何だって良いけれど」
心配そうに見る私にクリフが言って包装を開けてくれた。
「本当に美味しそうに見えるぞ」
「どうかな」
私が不安そうに見る中でクリフが一つ食べてくれた。
「美味しい!」
クリフが言ってくれた。
「そう、良かった」
私はホッとした。
「はい、アオイも」
そう言うとクリフは私の口の中に一つ放り込んでくれたのだ。
「あっ、美味しい」
口の中でチョコレートがとろけた。
「じゃあ、俺にも食べさせてよ」
「はい、あーん」
「美味しい!」
食べさせ合う私達二人をエイミーとか護衛の近衛騎士とかが生暖かい目で見ているのを私は知らなかったのだ……
これ以降、帝国では女の子から男の子に手作りのチョコレート菓子を渡すのが聖女の日として習慣になっていったそうだ。
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