聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラ物語

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第二皇子殿下に側妃様がとても怒っている旨を聞いて私は背筋が冷えました

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「アオイ、お前のせいで昨日は酷い目にあったんだぞ」
殿下が私を廊下に引っ張って来て、文句を言い出したんだけど……

ボビーもさすがに第二皇子殿下の前には立ちふさがったくれなかった。
まあ、第二皇子殿下は今のところ次の皇帝に一番近い人だからし、下手に喧嘩してくれたら、庇えないし、今度はボビーが退学になってしまうかもしれない……

それも不味いから、仕方がない。
誰しも自分が可愛いとは思うけれど、
第二皇子除けの為には、

皇后様を……いや、ダメだ。私が耐えられない。
皇太后様……宮殿では可能だけれど、学園まで来てもらうのは……
クリフ……無理言ったら来てくれるかもしれないけれど、未来の皇帝になるかもしれない人をこのためだけに駆りだすのは無理だ。

そうだ。この時の為に、クリフの特大ストラップがあった。見せたら少しは許してくれるだろうか?
いや、却って火に油を注ぐ結果になるかもしれない。

そう現実逃避していたら

「アオイ、聞いているのか?」
殿下が私を見て言ってくる。
こんな所で叫ぶのはもう止めてほしい。一寸声が大きいって! 端で話している意味がないじゃない!

「何をおっしゃっているのかわかりませんが、私は側妃様から言われたことをそのまま言い返しただけですよ」
私はちゃんと言い訳した。

「はああああ! どう転んでそうなる。昨日は深夜に来なくていいのに、酔っぱらった母が乱入してきてだな、延々、愚痴られた俺の身にもなってみろ」
確かにそれは大変だったかもしれないが、今クラス皆の前で愚痴られてる私の身にもなって欲しいんだけど……

「母が言うにはお前に『妾の分際で聖女たる私の前でデカい顔をするな』と言い切ったらしいな」
「えっ」
皆ギョッとして私を見るんだけど。だから、声がでかいって!

それにちょっと待ってよ、なによそれは……私はそんな事は言っていない。
それに私は聖女じゃないし……

「母が額に包帯を巻いていたからどうしたのか聞いたら『お前のせいだ』と言っていたんだが、お前は鉄扇か何かで母の額を叩いたのか? いくら聖女と言えども皇帝陛下の側妃に手を上げると処罰されるのではないのか?」
凄まじい勢いで殿下が話されるんだけど。

「あの殿下。私は側妃様に手など上げていませんよ」
私ははっきりと否定した。

「じゃあ、なぜ、母は怪我していたんだ?」
「それは知りません」
そうだ。その理由が聞きたいのは私だ。

「お前が何かしたのではないのか?」
「するわけないでしょう。側妃様は十人以上の取り巻きの方をお連れでしたから、私が手が出せるわけないでしょう。それに、もし、私が手を出していたら、側妃様の性格からして、私は倍以上返されているのではないのですか?」
私が言うと

「それはそうだな」
あっさりと第二皇子は頷いた。良かった、手を出さなくて、出してたら今頃殺されていたかも……

「いや、しかし、そこに皇后様の侍女頭が顔を出したから仕返しが出来なかったと言っていたぞ」
何か物騒な事を皇子は言ってくれるんだけど。

「ちょっと待ってくださいよ。仕返しって私が第一皇子殿下の妾だって言われたから、違います。妾と言うのならば陛下の妾は貴方でしょう」って言い返しただけですよ」
私がそう言うと、何故か第二皇子殿下が頭を押さえていた。

「お前は、凄いな。あの母にそんな事を言ったのか?」
「だって私は第一皇子殿下の妾ではないのに妾だって嘘言われたから本当の事を言っただけじゃないですか」
私の言葉に更に殿下は頭を抱え込まれているんですけれど。なんで?

「まあ、そうかもしれないが、お前としても、兄上の婚約者か恋人か知らないけれど、妾と言われたらショックを受けたのだろう」
「えっ」
「えっ、じゃないぞ。ここだけの話にしてほしいのだが、花よ蝶よと大切に育てられたキンロス王国の王女だった母上にとって、今の第二夫人でいるという事はとても、耐えられない事なんだよ。だから本来は側妃と言われるのも嫌なのだ。それをお前は『妾』なんて言ってくれたから母としては耐えられないほどの屈辱だったんだよ」

なるほど、それは、確かに屈辱だったかも。確かに側妃様は気が強そうだ。母国では王女様で周りにかしずかれていた人が、この国に来たら第二夫人の位置にいて、皇后様の下にいるというのが、耐えられないのかもしれない。

「お前も気をつけろよ。あの母は何をするか判らないからな」
そう、実の息子に言われて私はさあああああっと血が引いた。

そうだ。あの最後に私を睨んでいたあの目はやばい目だった。
下手したら、飛んでもないことをされるかもしれない。

私は青くなった。

「まあ、恋人のお前の事は兄上が守ってくれると思うが」
殿下が何か勘違いなさっているが、

「殿下、私と殿下は恋愛関係にはないですよ。変な事を言わないでください」
私がそう言うと

「えっ、そんな訳ないだろう」
殿下が平然と否定してくるんだけど、

私は平民で癒し魔術が少し使えるから殿下としても無下にできないから、大切にされているけれど、平民の私では到底殿下の横には立てないのだ。だから、変な噂を流されたら困る。

「お前と兄上を見ていたら、どう見ても恋人に見えるが」
「それは殿下の勘違いです。第一皇子殿下としても私をここに連れて来た責任があるので、面倒を見て頂いているだけです」
私が言うととても呆れた顔をされたんだけど。

「まあ、そういう事にしておくか」
そう肩をすくめて帰られたんだけど、何でだ?
去り際に「くれぐれも身体には気を付けるんだぞ、あの母は何をするか判らないからな」
の捨て台詞を残していくんだけど、ちょっと待ってよ!
実の息子にそこまで言わすってどういう事よ。

私は自分の命がやばくなっていることを嫌と言うほど実感させられたんだけど……どうしよう?
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