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伯爵令嬢が皇子の筆入れを壊そうとして雷撃を浴びていました
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「ちょっとそこの貴方。平民の分際で全身に第一皇子殿下の色を纏うなんて、あまりにも不敬だわ」
「そうよ、何様のつもりなの?」
「本当にちょっとヒールが使えるからって言い気になるんじゃないわよ」
ええええ! 次の移動教室に行くために外に出たら、怖そうな令嬢方に囲まれてしまったんだけど……
大半はクラスの男爵令嬢だ。ごく一部他のクラスの高位貴族がいる。
そもそもこれは私が纏ったんじゃない! クリフに纏わされたのだ!
と私は言いたかった。でも、そんな事言ったら、またややこしくなるのは確実だ。
「あんなでかい殿下の似顔絵のストラップなんて、見たことないわ。何処で売っていたのよ?」
クラスの女の子の一人の確かシンシアとか言う男爵令嬢が私に詰め寄ってきたんだけど、そんなの知らないわよ。
だってあれ付けたのクリフだし。ひょっとして特注かもしれない。
本当にでかすぎて邪魔なのだ!
「何言っているのよ、シンシア、そんなの今はどうでも良いでしょう!」
横の女が叫んだ。たしかコニーとか言う男爵令嬢だ。
「だって、殿下のストラップよ、それも特大の。こんなの見たことないわ」
「そんなの後で聞けば良いでしょ!」
「そう言えばそうね」
「あなた達宜しくて」
偉そうな令嬢が二人を睨みつけた。
「はい、すみません」
二人は慌てて、頭を下げる。
私は好きで持ってる訳じゃないし、あげて良いのなら渡したい。渡したら、クルフが絶対にうるさく言うと思うので、渡さないけれど……
「と、言うわけで、こんな事は止めなさい」
令嬢は私に、命令してきたのだ。
でも、それをさせているのは、クリフであって、私ではない。私は止めたいけれど、クリフが許してくれそうにない。
どうすれば良いのよ?
「ちょっとそこのあなた。伯爵令嬢のダリア様は親切で仰っているのよ。あなたの事が、キャサリン様にバレてご覧なさい。どうなっても知らないわよ」
コニーが言ってくれた。
キャサリンは生徒会長の第一皇女だ。なにがどうなっても知らないのかよくわからないのだけれど。
皇女様が怒ったら、最悪そのまま、クリフを捕まえて文句を言ってもらえれば良い。私も令嬢方に絡まれて文句を言われるのならば、こんな格好はしたくないのだ。
角が立つから言わないけれど、どうすればいいのよ?
「ちょっと、そこのあなた。私達が静かに聞いているうちに、謝ったほうが良いわよ。ヴァーノン族の女みたいになりたくなかったら」
伯爵令嬢のダリアが言ってくれた。
ヴァーノン族の女って誰だっけ? ってポーラだ。
そう言えば、さっきの休み時間、いなかった。授業にも遅れてきた。
何かあったのかって聞いたら、なんでもないと言っていたけれど、そう言えば目が少し赤くなっていた。
「あなた達、ポーラに何かしたの?」
私はダリアを睨みつけていた。
「ちょっとあなた、ダリア様になんて態度を取るのよ」
「学園長が言っておられた事を真に受けんじやないわよ。学園でははっきり身分の差があるのよ」
「そうよ。さっさと謝りなさいよ」
女たちが私に詰め寄ってきたんだけど……
流石に一対十で戦っても勝てないけれど、エイブとボビーの決闘を間近で見た私には大した圧力は感じなかった。
病弱だった昔と違って、元気になった今は少し強気になっているのだ。
「ポーラに酷いことをしたあなた達は許さないわ」
私は言い切ったのだ。やるならやれって感じだった。絶対に負けないのだ。気持ちでは……
少し修羅場を見てきた私はとても強くなっていたのだ。でも、いくら相手が女だからといって、攻撃の武器を何一つもたない私が勝てるわけは無かったのだ。ただ、友達がやられたと聞いて切れていたのだ。
「なんですって。黙って聞いていればいい気になって。あなたと言い、ヴァーノンの女といい、馬鹿な女ね」
そう言うと、女は私の荷物から筆入れを取り上げたのだ。
「ちょっと返してよ」
私が取り返そうとすると他の女たちが邪魔してくれたのだ。
「ふんっ」
そう言うと、ダリアは筆入れを地面に落としてくれたのだ。
そして、足を振り上げて踏みつけようとしてくれた。
「どうなの? ヴァーノンの女はその髪飾りを取り上げて踏みつけようとしたら泣いて謝ってきたわ」
「な、なんて酷いことをするのよ。あなた達それでも人間なの?」
「ふん、蛮族と庶民は人間じゃないのよ」
「なんですって。あんたらもそんな事するのは人間じゃないわ。あんたの見た目は良いかもしれないけれど、心は髪振り乱した山姥と同じね」
ダリアの言葉に私は完全に切れていたのだ。
「山姥ですって! よくも言ってくれたわ。後悔してももう遅いわよ」
ダリアは目を吊り上げて怒り出した。本当に山姥そっくりだ。でも、そのまま足を踏み降ろそうとしたのだ。
「えっ、ちょっと待って、それ私のじゃないのよ。それまずいから」
私は慌てて言ったが、
「ふんっ、そんなの知ったことじゃないわよ」
そう叫ぶとダリアはクリフの筆入れを思いっきり踏みつけていたのだ。
私は思わず目をつぶっていた。
その瞬間だ、
ピカっと筆入れが光って
「ギャッ」
ダリアの悲鳴が聞こえた。
そして、髪を逆立てて、ダリアは痙攣するとドサリと倒れたのだ。
周りの女どもも何人か巻き込まれて倒れていた。
音を聞いて先生等がかけてきた。
私達は直ちに先生方に囲まれてしまったのだ。
*****************************************
クリフの筆入れは防御魔術がかけられていました……
持ち主のアオイの運命やいかに?
続きをこうご期待
「そうよ、何様のつもりなの?」
「本当にちょっとヒールが使えるからって言い気になるんじゃないわよ」
ええええ! 次の移動教室に行くために外に出たら、怖そうな令嬢方に囲まれてしまったんだけど……
大半はクラスの男爵令嬢だ。ごく一部他のクラスの高位貴族がいる。
そもそもこれは私が纏ったんじゃない! クリフに纏わされたのだ!
と私は言いたかった。でも、そんな事言ったら、またややこしくなるのは確実だ。
「あんなでかい殿下の似顔絵のストラップなんて、見たことないわ。何処で売っていたのよ?」
クラスの女の子の一人の確かシンシアとか言う男爵令嬢が私に詰め寄ってきたんだけど、そんなの知らないわよ。
だってあれ付けたのクリフだし。ひょっとして特注かもしれない。
本当にでかすぎて邪魔なのだ!
「何言っているのよ、シンシア、そんなの今はどうでも良いでしょう!」
横の女が叫んだ。たしかコニーとか言う男爵令嬢だ。
「だって、殿下のストラップよ、それも特大の。こんなの見たことないわ」
「そんなの後で聞けば良いでしょ!」
「そう言えばそうね」
「あなた達宜しくて」
偉そうな令嬢が二人を睨みつけた。
「はい、すみません」
二人は慌てて、頭を下げる。
私は好きで持ってる訳じゃないし、あげて良いのなら渡したい。渡したら、クルフが絶対にうるさく言うと思うので、渡さないけれど……
「と、言うわけで、こんな事は止めなさい」
令嬢は私に、命令してきたのだ。
でも、それをさせているのは、クリフであって、私ではない。私は止めたいけれど、クリフが許してくれそうにない。
どうすれば良いのよ?
「ちょっとそこのあなた。伯爵令嬢のダリア様は親切で仰っているのよ。あなたの事が、キャサリン様にバレてご覧なさい。どうなっても知らないわよ」
コニーが言ってくれた。
キャサリンは生徒会長の第一皇女だ。なにがどうなっても知らないのかよくわからないのだけれど。
皇女様が怒ったら、最悪そのまま、クリフを捕まえて文句を言ってもらえれば良い。私も令嬢方に絡まれて文句を言われるのならば、こんな格好はしたくないのだ。
角が立つから言わないけれど、どうすればいいのよ?
「ちょっと、そこのあなた。私達が静かに聞いているうちに、謝ったほうが良いわよ。ヴァーノン族の女みたいになりたくなかったら」
伯爵令嬢のダリアが言ってくれた。
ヴァーノン族の女って誰だっけ? ってポーラだ。
そう言えば、さっきの休み時間、いなかった。授業にも遅れてきた。
何かあったのかって聞いたら、なんでもないと言っていたけれど、そう言えば目が少し赤くなっていた。
「あなた達、ポーラに何かしたの?」
私はダリアを睨みつけていた。
「ちょっとあなた、ダリア様になんて態度を取るのよ」
「学園長が言っておられた事を真に受けんじやないわよ。学園でははっきり身分の差があるのよ」
「そうよ。さっさと謝りなさいよ」
女たちが私に詰め寄ってきたんだけど……
流石に一対十で戦っても勝てないけれど、エイブとボビーの決闘を間近で見た私には大した圧力は感じなかった。
病弱だった昔と違って、元気になった今は少し強気になっているのだ。
「ポーラに酷いことをしたあなた達は許さないわ」
私は言い切ったのだ。やるならやれって感じだった。絶対に負けないのだ。気持ちでは……
少し修羅場を見てきた私はとても強くなっていたのだ。でも、いくら相手が女だからといって、攻撃の武器を何一つもたない私が勝てるわけは無かったのだ。ただ、友達がやられたと聞いて切れていたのだ。
「なんですって。黙って聞いていればいい気になって。あなたと言い、ヴァーノンの女といい、馬鹿な女ね」
そう言うと、女は私の荷物から筆入れを取り上げたのだ。
「ちょっと返してよ」
私が取り返そうとすると他の女たちが邪魔してくれたのだ。
「ふんっ」
そう言うと、ダリアは筆入れを地面に落としてくれたのだ。
そして、足を振り上げて踏みつけようとしてくれた。
「どうなの? ヴァーノンの女はその髪飾りを取り上げて踏みつけようとしたら泣いて謝ってきたわ」
「な、なんて酷いことをするのよ。あなた達それでも人間なの?」
「ふん、蛮族と庶民は人間じゃないのよ」
「なんですって。あんたらもそんな事するのは人間じゃないわ。あんたの見た目は良いかもしれないけれど、心は髪振り乱した山姥と同じね」
ダリアの言葉に私は完全に切れていたのだ。
「山姥ですって! よくも言ってくれたわ。後悔してももう遅いわよ」
ダリアは目を吊り上げて怒り出した。本当に山姥そっくりだ。でも、そのまま足を踏み降ろそうとしたのだ。
「えっ、ちょっと待って、それ私のじゃないのよ。それまずいから」
私は慌てて言ったが、
「ふんっ、そんなの知ったことじゃないわよ」
そう叫ぶとダリアはクリフの筆入れを思いっきり踏みつけていたのだ。
私は思わず目をつぶっていた。
その瞬間だ、
ピカっと筆入れが光って
「ギャッ」
ダリアの悲鳴が聞こえた。
そして、髪を逆立てて、ダリアは痙攣するとドサリと倒れたのだ。
周りの女どもも何人か巻き込まれて倒れていた。
音を聞いて先生等がかけてきた。
私達は直ちに先生方に囲まれてしまったのだ。
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クリフの筆入れは防御魔術がかけられていました……
持ち主のアオイの運命やいかに?
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