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第一皇子視点7 アオイを婚約者にするためにまず公爵家から攻めました
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サフォーク村の黒死病を、なんとアオイがヒールで本当に治してくれたのだ。
俺には信じられなかった。
癒やし魔術で病まで治せる者は我が帝国にはいない。
というか、おそらく、世界広しと言えどもアオイしかいないだろう。
俺は俺の大怪我を一瞬でヒールで治してくれたアオイが聖女ではないかと密かに思っていたが、今回の件でアオイが聖女なのは確定したと思う。
アオイを追い出したリンとか言う女はおそらく聖女ではない。
まあ、二人共聖女だという可能性も少しは有るとは思うが……
俺が過去の文献を調べた限りは聖女が二人存在した事はなかったのだ。
下手したら、今頃アリストン王国は聖女がいないと混乱しているのではないか?
アオイが聖女だったと判明したらおそらくアリストン王国はアオイの返還を要求してくるだろう。
でも、そもそもアオイを追い出したのは、アリストン王国だ。
それも召喚して間もない、右も左も判らぬアオイを文字通り叩き出したのだ。
たまたま通りかかった、いや、聖女召喚の様子を見に行った俺が、たまたま追放されたアオイを保護しなかったら今頃アオイはどうなったか判らない。
そのままだったら破落戸におもちゃにされて娼館に叩き売られただろう。
そんなアリストン王国にアオイを返すなんて俺からしたら絶対に許されないことだった。
アオイにしても絶対に嫌だと言うだろう。
まあ、アリストンに帰りたいとアオイが言っても返すつもりはなかったが。
俺は早急にアオイを婚約者にするために行動することにしたのだ。
まず、両親に今回のことを詳細を書いて報告したのだ。
そして、その報告書にアオイを婚約者にしたいとはっきりと書き込んだのだ。
そのためには、まず国内の有力者の賛同を得なければいけない。
でも、今貴族連中は婚約者のいなくなった俺に自分の娘を充てがおうと血眼になっていた。
当然、一番身近な親戚のボールドウィン公爵にしても俺の婚約者に自分の孫娘をあてがおうとしていたのだ。
「殿下、お久しぶりですな。自ら疫病の渦中に飛び込まれるなど王子殿下のされることではありませんぞ」
会うなり、公爵は俺にに苦言を呈してきた。
その上、
「これはこれはまた貧相な愛人を連れていらっしゃるのですな」
アオイの事をけなしてきたのだ。
「公爵、アオイは愛人ではないぞ」
「それは失礼いたしました。愛人でなければ黒髪の愛玩奴隷ですかな。殿下がこのようなお子様趣味とは存じ上げませんでした」
こんな事を言う公爵の賛同を得るのはとても難しいのではないか思った矢先だ。
「クリフ、帝国では頭の天辺を剃るのが流行っているの?」
アオイが更に公爵の頭を見て喧嘩を売ってくれたのだ。
「何だと! 小娘、私に喧嘩を売るのか」
「ふんっ、喧嘩を売ってきたのは公爵様ですよね。なにがペチャパイなんですか? これでも慎ましやかに有るんです。真っ平らだとか、貧乳とか言ってほしくありません」
売り言葉に書い言葉だ。
「何だと!」
「何よ!」
私と公爵は睨み合ったのだ。
「まあ、ここは閣下のほうが大人なのですから素直に謝られては」
「ふんっ、この小娘をそう簡単に許せるものか」
にらみあった二人を見て公爵の騎士団長が首をすくめた。
しかし、流石に公爵は年の功でアオイの前にお菓子を出してきたのだ。
アオイは怒っていたことも忘れて公爵が出したお菓子を食べて機嫌を直したのだ。
簡単にお菓子でつられるなんて、なんて安い女なんだと思わないわけでもなかったが……
二人が仲直りしたと思ったのも束の間だ。
「あっ、殿下、お久しぶりです」
公爵邸でその公爵の孫娘が俺の腕に大きな胸をこれでもかとアオイに見せつけるように抱きついてきたのだ。
「閣下、早速、閣下の自慢の放牧場を見せてくださいませ」
アオイはそんな俺等に怒って公爵の手を取って牧場へ行ってしまったのだ。
「ホワイト」
アオイはホワイトに抱きついていた。
「ほう、ホワイトが懐くとは珍しい」
公爵が驚いてアオイを見た。
「えっ、ホワイトって人懐こいですよね」
「何を言う小娘。こいつは悍馬での。中々人には懐かずに調教するのが大変じゃったのじゃ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうじゃ。この騎士団長と他の皆がどれだけ苦労したことか」
「と言うかホワイトはこの公爵領で育てられたのですか?」
「そうだ。ホワイトとはこの牧場で出会ったんだよ」
俺はアオイに教えてやった。
「殿下。ホワイトを私にも紹介してください!」
コーデリアが横からしゃしゃり出てきた。しかし、元々ホワイトはこの牧場の馬じゃないか?
それを紹介した所でおそらく鼻息かけられて終わりではないかと危惧した以上に、ホワイトが棹立ちになって押さえるのが大変だった。
その上、アオイも俺がコーデリアに胸を押し付けられていたと怒っていた。
仕方がないからアオイを抱き上げてホワイトに乗せて走ると
「ちょっと、クリフ、落ちるわ」
アオイは必死に俺にしがみついてきたのだ。
「きゃっ、怖い」
「大丈夫だ。ちゃんと抱いているから」
「キャッ、そんな事言ったって」
「大丈夫だったら」
俺は少しやりすぎて後でアオイに怒られたけれど、俺はアオイとじゃれ合って楽しかった。
アオイの機嫌の悪いのも直ったはずだ。
その日の夜、公爵邸での晩餐に俺はアオイと出た。
一番の問題は大叔母のクララだ。何しろ母の叔母で、気が強いので有名なのだ。
いつも宮殿に来たら色々騒動を起こすので、侍女たちは大叔母が来るのをとても怖れていた。
そんな大叔母にアオイは臆することなく、胸に輝いているルビーを褒めだしたのた。
何しろそのルビーは大叔母が皇室からもらった一品でとても高価なものなのだ。大叔母の自慢の逸品だった。それをアオイは褒めまくったのだ。
流石の大叔母も悪い気はしない。アオイはどこでそんな情報を仕入れたんだろう?
大叔母があっさりアオイに陥落するのに時間はかからなかった。
「まあ、公爵夫人なんて堅苦しい言い方をしなくていいわ。アオイさんだったかしら。私のことはクララと呼んでね」
いきなり名前呼びを許すなんて余程大叔母はアオイのことが余程気に入ったんだろう。
ここまでで懸案事項はクリアできた。
更には俺がアオイに渡した守りの首輪に言及してくれたのだ。
「ところでクリフォード、あなた、アオイさんに渡したこの首輪の意味判っているのよね。グレイスは一番大切な人に渡せって言ってたわよ」
そう、この首輪は俺の婚約者に渡すように、母にははっきりと言われていたのだ。
まあ、その婚約者だった元聖女は渡す前に事故で死んだが、今もその言葉は有効のはずだ。
何しろこの首輪は代々の皇帝がその皇后の身を守るために渡していた代物なのだ。
母はそれを父に頼み込んで俺に渡してくれたのだ。
本来ならば未来の皇后が持つものなのだ。
普通の女に渡すものとはわけが違うのだ。
それをコーデリアもその両親も聞いていたのだろう。急に静かになった。
コーデリアなんて首をたれてがっかりしていた。
俺がその婚約者の印のまもりの首輪を既にアオイに渡していることに今更気付いたのだ。
「当然ですよ。大叔母様」
俺ははっきりと皆に宣言したのだ。
この首輪を有しているイコール俺の未来の配偶者なのだ。
最初は死にそうだったアオイの命を守るために渡していたのだが、今はアオイを俺の婚約者にするつもりだった。
俺の言葉にコーデリアは更にショックを受けていて、その後は俺に話しかけてこなかった。
そして、この首輪の意味を気付いていないのは、この中ではアオイ本人だけだったのだ。
**************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きをお楽しみに
俺には信じられなかった。
癒やし魔術で病まで治せる者は我が帝国にはいない。
というか、おそらく、世界広しと言えどもアオイしかいないだろう。
俺は俺の大怪我を一瞬でヒールで治してくれたアオイが聖女ではないかと密かに思っていたが、今回の件でアオイが聖女なのは確定したと思う。
アオイを追い出したリンとか言う女はおそらく聖女ではない。
まあ、二人共聖女だという可能性も少しは有るとは思うが……
俺が過去の文献を調べた限りは聖女が二人存在した事はなかったのだ。
下手したら、今頃アリストン王国は聖女がいないと混乱しているのではないか?
アオイが聖女だったと判明したらおそらくアリストン王国はアオイの返還を要求してくるだろう。
でも、そもそもアオイを追い出したのは、アリストン王国だ。
それも召喚して間もない、右も左も判らぬアオイを文字通り叩き出したのだ。
たまたま通りかかった、いや、聖女召喚の様子を見に行った俺が、たまたま追放されたアオイを保護しなかったら今頃アオイはどうなったか判らない。
そのままだったら破落戸におもちゃにされて娼館に叩き売られただろう。
そんなアリストン王国にアオイを返すなんて俺からしたら絶対に許されないことだった。
アオイにしても絶対に嫌だと言うだろう。
まあ、アリストンに帰りたいとアオイが言っても返すつもりはなかったが。
俺は早急にアオイを婚約者にするために行動することにしたのだ。
まず、両親に今回のことを詳細を書いて報告したのだ。
そして、その報告書にアオイを婚約者にしたいとはっきりと書き込んだのだ。
そのためには、まず国内の有力者の賛同を得なければいけない。
でも、今貴族連中は婚約者のいなくなった俺に自分の娘を充てがおうと血眼になっていた。
当然、一番身近な親戚のボールドウィン公爵にしても俺の婚約者に自分の孫娘をあてがおうとしていたのだ。
「殿下、お久しぶりですな。自ら疫病の渦中に飛び込まれるなど王子殿下のされることではありませんぞ」
会うなり、公爵は俺にに苦言を呈してきた。
その上、
「これはこれはまた貧相な愛人を連れていらっしゃるのですな」
アオイの事をけなしてきたのだ。
「公爵、アオイは愛人ではないぞ」
「それは失礼いたしました。愛人でなければ黒髪の愛玩奴隷ですかな。殿下がこのようなお子様趣味とは存じ上げませんでした」
こんな事を言う公爵の賛同を得るのはとても難しいのではないか思った矢先だ。
「クリフ、帝国では頭の天辺を剃るのが流行っているの?」
アオイが更に公爵の頭を見て喧嘩を売ってくれたのだ。
「何だと! 小娘、私に喧嘩を売るのか」
「ふんっ、喧嘩を売ってきたのは公爵様ですよね。なにがペチャパイなんですか? これでも慎ましやかに有るんです。真っ平らだとか、貧乳とか言ってほしくありません」
売り言葉に書い言葉だ。
「何だと!」
「何よ!」
私と公爵は睨み合ったのだ。
「まあ、ここは閣下のほうが大人なのですから素直に謝られては」
「ふんっ、この小娘をそう簡単に許せるものか」
にらみあった二人を見て公爵の騎士団長が首をすくめた。
しかし、流石に公爵は年の功でアオイの前にお菓子を出してきたのだ。
アオイは怒っていたことも忘れて公爵が出したお菓子を食べて機嫌を直したのだ。
簡単にお菓子でつられるなんて、なんて安い女なんだと思わないわけでもなかったが……
二人が仲直りしたと思ったのも束の間だ。
「あっ、殿下、お久しぶりです」
公爵邸でその公爵の孫娘が俺の腕に大きな胸をこれでもかとアオイに見せつけるように抱きついてきたのだ。
「閣下、早速、閣下の自慢の放牧場を見せてくださいませ」
アオイはそんな俺等に怒って公爵の手を取って牧場へ行ってしまったのだ。
「ホワイト」
アオイはホワイトに抱きついていた。
「ほう、ホワイトが懐くとは珍しい」
公爵が驚いてアオイを見た。
「えっ、ホワイトって人懐こいですよね」
「何を言う小娘。こいつは悍馬での。中々人には懐かずに調教するのが大変じゃったのじゃ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうじゃ。この騎士団長と他の皆がどれだけ苦労したことか」
「と言うかホワイトはこの公爵領で育てられたのですか?」
「そうだ。ホワイトとはこの牧場で出会ったんだよ」
俺はアオイに教えてやった。
「殿下。ホワイトを私にも紹介してください!」
コーデリアが横からしゃしゃり出てきた。しかし、元々ホワイトはこの牧場の馬じゃないか?
それを紹介した所でおそらく鼻息かけられて終わりではないかと危惧した以上に、ホワイトが棹立ちになって押さえるのが大変だった。
その上、アオイも俺がコーデリアに胸を押し付けられていたと怒っていた。
仕方がないからアオイを抱き上げてホワイトに乗せて走ると
「ちょっと、クリフ、落ちるわ」
アオイは必死に俺にしがみついてきたのだ。
「きゃっ、怖い」
「大丈夫だ。ちゃんと抱いているから」
「キャッ、そんな事言ったって」
「大丈夫だったら」
俺は少しやりすぎて後でアオイに怒られたけれど、俺はアオイとじゃれ合って楽しかった。
アオイの機嫌の悪いのも直ったはずだ。
その日の夜、公爵邸での晩餐に俺はアオイと出た。
一番の問題は大叔母のクララだ。何しろ母の叔母で、気が強いので有名なのだ。
いつも宮殿に来たら色々騒動を起こすので、侍女たちは大叔母が来るのをとても怖れていた。
そんな大叔母にアオイは臆することなく、胸に輝いているルビーを褒めだしたのた。
何しろそのルビーは大叔母が皇室からもらった一品でとても高価なものなのだ。大叔母の自慢の逸品だった。それをアオイは褒めまくったのだ。
流石の大叔母も悪い気はしない。アオイはどこでそんな情報を仕入れたんだろう?
大叔母があっさりアオイに陥落するのに時間はかからなかった。
「まあ、公爵夫人なんて堅苦しい言い方をしなくていいわ。アオイさんだったかしら。私のことはクララと呼んでね」
いきなり名前呼びを許すなんて余程大叔母はアオイのことが余程気に入ったんだろう。
ここまでで懸案事項はクリアできた。
更には俺がアオイに渡した守りの首輪に言及してくれたのだ。
「ところでクリフォード、あなた、アオイさんに渡したこの首輪の意味判っているのよね。グレイスは一番大切な人に渡せって言ってたわよ」
そう、この首輪は俺の婚約者に渡すように、母にははっきりと言われていたのだ。
まあ、その婚約者だった元聖女は渡す前に事故で死んだが、今もその言葉は有効のはずだ。
何しろこの首輪は代々の皇帝がその皇后の身を守るために渡していた代物なのだ。
母はそれを父に頼み込んで俺に渡してくれたのだ。
本来ならば未来の皇后が持つものなのだ。
普通の女に渡すものとはわけが違うのだ。
それをコーデリアもその両親も聞いていたのだろう。急に静かになった。
コーデリアなんて首をたれてがっかりしていた。
俺がその婚約者の印のまもりの首輪を既にアオイに渡していることに今更気付いたのだ。
「当然ですよ。大叔母様」
俺ははっきりと皆に宣言したのだ。
この首輪を有しているイコール俺の未来の配偶者なのだ。
最初は死にそうだったアオイの命を守るために渡していたのだが、今はアオイを俺の婚約者にするつもりだった。
俺の言葉にコーデリアは更にショックを受けていて、その後は俺に話しかけてこなかった。
そして、この首輪の意味を気付いていないのは、この中ではアオイ本人だけだったのだ。
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