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公爵に特性チーズケーキをもらって私はあっさりと公爵に陥落しました。
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ボールドウィン公爵は「貧相な」という所で私の胸をバッチリ見て言ってくれたのだ。
残念なものを見るように!
「公爵、アオイは愛人ではないぞ」
クリフが言ってくれたが、
「それは失礼いたしました。愛人でなければ黒髪の愛玩奴隷ですかな。殿下がこのようなお子様趣味とは存じ上げませんでした」
更に失礼なことを公爵は言ってくれるんだけど。
たしかに私は奴隷の首輪をしているかもしれないけれど、お子様趣味とは何だ。私はこれでも16歳の大人なのだ。胸がないだけだ。
「クリフ、帝国では頭の天辺を剃るのが流行っているの?」
完全に切れた私はクリフに聞いてやったのだ。
公爵の髪の毛は真ん中が剥げている、天辺ハゲだった。
私の言葉に帝国軍の騎士たちの中でも吹き出すものがいた。
よく見ればジムだった。
「何だと! 小娘、私に喧嘩を売るのか」
よほど気にしていたのだろう。公爵は真っ赤になって叫んできた。
「ふんっ、喧嘩を売ってきたのは公爵様ですよね。なにがペチャパイなんですか? これでも慎ましやかに有るんです。真っ平らだとか、貧乳とか言ってほしくありません」
私が胸を指して言うと、
「いや、私はそんな事は言っていないが」
戸惑った公爵がいた。
「そうだ。アオイ様は自分で言っているよな」
余計なことを言っているジム等を睨みつけて黙らせると
「心の中で思いましたよね。それに私はもう16歳です。子供ではないんです」
私が言い切ると
「何を言うやら。良くも人様の髪の毛を馬鹿にしてくれたな。そこにに直れ! その根性を叩き直してやるわ」
「やれるものなら、やってご覧なさいよ」
売り言葉に書い言葉だ。
「何だと!」
「何よ!」
私と公爵は睨み合ったのだ。
その様子を周りの面々はおっかなびっくりで見てくれているんだけど。障らぬ神に祟りなし、みたいな感じだった。
「いやあ、バレーフィールド騎士団長、こたびは色々大変でしたな」
「いやあ、ヒューム騎士団長。公爵領の騎士の方々には色々お手伝いいただきありがとうございました」
公爵と私が一触即発の睨み合いにらみ合いしているのに、お互いの騎士団長達が優雅に挨拶を始めたんだけど。
「お前ら、何を敵とじゃれ合っておるのだ」
公爵が怒って言うが、
「まあ、閣下もつまらないことで争わないで下さい。今回は我が領の騎士も聖女様に癒やし魔術をかけていただいたのです。聖女様、ありがとうございました」
公爵領の騎士団長のヒュームさんが頭を下げてくれた。
「いえ、あの、公爵領の騎士様たちには色々お世話になりました」
仕方がなく私も礼をした。
「貴様ら何を敵と馴れ合っておるのだ!」
公爵が更に怒ってきたが、
「まあ、閣下。今回は閣下が先に聖女様に貧乳っとおっしゃったのがいけないのでは」
「私は貧乳など言っておらんぞ。貧相なと申しただけだ」
「何も違わないかと」
「何を言う。ぜんぜん違うぞ。そもそも、この女が私の髪を天辺ハゲとバカにしおったのだぞ」
公爵はなおも言い張るのだが、
「まあ、ここは閣下のほうが大人なのですから素直に謝られては」
「ふんっ、この小娘をそう簡単に許せるものか」
公爵はそう言うが、私の顔を見て
「まあ、仕方がない。小娘。私に逆らった勇気に免じて我が領地の名産、チーズケーキなるものをやろう」
公爵が侍従に合図すると侍従が一口サイズに切ったチーズケーキなるものを差し出してくれたのだ。
お菓子なんて久しぶりだ。
でも、私は首を振った。
こんな事で馴れ合ってはいけないと。
「何だ小娘食べないのか?」
公爵はそう言うと侍従からこのお菓子をもらうと口に入れたのだ。
「えっ」
私は美味しそうに食べる公爵を唖然としてみていた。
「閣下、それではあまりにも大人げないのでは」
騎士団長が言ってくれるが、本当にそのとおりだ。
今度公爵が私の眼の前にお菓子を出してくれたときには私は思わず食いついていたのだ。
「おい、アオイ!」
クリフが注意してきたが、私はそれどころではなかった。
「美味しい」
私は思わず声に出していた。
「こんなに美味しいチーズケーキは今まで食べたことがないわ」
何しろこのチーズケーキは口の中に入った途端とろけたのだ。
「そうだろう、そうだろう。我が領地の特産のチーズをいれたケーキだからの」
公爵が満面の笑みを浮かべて言ってくれたんだけど。
「そうか、そんなに美味しかったか、小娘」
「はい。なんか天国にいる気分になりました」
公爵の言葉に私は頷いていた。
「このケーキは特別に作らせたものでまだ世間では売っておらんからな。小娘。まだまだケーキは馬車に積んであるが、よければ一緒に乗るか?」
「おい、アオイ!」
私は公爵と私を乗せたそうにしていたクリフを見比べる間もなく、私はあっさりと公爵の馬車に同乗させてもらったのだった。
だって、いつ公爵の気分が変わって食べさせてもらえなくなるか判らなかったんだもの……
****************************************************
喧嘩していてもあっさりとケーキに釣られるアオイでした……
残念なものを見るように!
「公爵、アオイは愛人ではないぞ」
クリフが言ってくれたが、
「それは失礼いたしました。愛人でなければ黒髪の愛玩奴隷ですかな。殿下がこのようなお子様趣味とは存じ上げませんでした」
更に失礼なことを公爵は言ってくれるんだけど。
たしかに私は奴隷の首輪をしているかもしれないけれど、お子様趣味とは何だ。私はこれでも16歳の大人なのだ。胸がないだけだ。
「クリフ、帝国では頭の天辺を剃るのが流行っているの?」
完全に切れた私はクリフに聞いてやったのだ。
公爵の髪の毛は真ん中が剥げている、天辺ハゲだった。
私の言葉に帝国軍の騎士たちの中でも吹き出すものがいた。
よく見ればジムだった。
「何だと! 小娘、私に喧嘩を売るのか」
よほど気にしていたのだろう。公爵は真っ赤になって叫んできた。
「ふんっ、喧嘩を売ってきたのは公爵様ですよね。なにがペチャパイなんですか? これでも慎ましやかに有るんです。真っ平らだとか、貧乳とか言ってほしくありません」
私が胸を指して言うと、
「いや、私はそんな事は言っていないが」
戸惑った公爵がいた。
「そうだ。アオイ様は自分で言っているよな」
余計なことを言っているジム等を睨みつけて黙らせると
「心の中で思いましたよね。それに私はもう16歳です。子供ではないんです」
私が言い切ると
「何を言うやら。良くも人様の髪の毛を馬鹿にしてくれたな。そこにに直れ! その根性を叩き直してやるわ」
「やれるものなら、やってご覧なさいよ」
売り言葉に書い言葉だ。
「何だと!」
「何よ!」
私と公爵は睨み合ったのだ。
その様子を周りの面々はおっかなびっくりで見てくれているんだけど。障らぬ神に祟りなし、みたいな感じだった。
「いやあ、バレーフィールド騎士団長、こたびは色々大変でしたな」
「いやあ、ヒューム騎士団長。公爵領の騎士の方々には色々お手伝いいただきありがとうございました」
公爵と私が一触即発の睨み合いにらみ合いしているのに、お互いの騎士団長達が優雅に挨拶を始めたんだけど。
「お前ら、何を敵とじゃれ合っておるのだ」
公爵が怒って言うが、
「まあ、閣下もつまらないことで争わないで下さい。今回は我が領の騎士も聖女様に癒やし魔術をかけていただいたのです。聖女様、ありがとうございました」
公爵領の騎士団長のヒュームさんが頭を下げてくれた。
「いえ、あの、公爵領の騎士様たちには色々お世話になりました」
仕方がなく私も礼をした。
「貴様ら何を敵と馴れ合っておるのだ!」
公爵が更に怒ってきたが、
「まあ、閣下。今回は閣下が先に聖女様に貧乳っとおっしゃったのがいけないのでは」
「私は貧乳など言っておらんぞ。貧相なと申しただけだ」
「何も違わないかと」
「何を言う。ぜんぜん違うぞ。そもそも、この女が私の髪を天辺ハゲとバカにしおったのだぞ」
公爵はなおも言い張るのだが、
「まあ、ここは閣下のほうが大人なのですから素直に謝られては」
「ふんっ、この小娘をそう簡単に許せるものか」
公爵はそう言うが、私の顔を見て
「まあ、仕方がない。小娘。私に逆らった勇気に免じて我が領地の名産、チーズケーキなるものをやろう」
公爵が侍従に合図すると侍従が一口サイズに切ったチーズケーキなるものを差し出してくれたのだ。
お菓子なんて久しぶりだ。
でも、私は首を振った。
こんな事で馴れ合ってはいけないと。
「何だ小娘食べないのか?」
公爵はそう言うと侍従からこのお菓子をもらうと口に入れたのだ。
「えっ」
私は美味しそうに食べる公爵を唖然としてみていた。
「閣下、それではあまりにも大人げないのでは」
騎士団長が言ってくれるが、本当にそのとおりだ。
今度公爵が私の眼の前にお菓子を出してくれたときには私は思わず食いついていたのだ。
「おい、アオイ!」
クリフが注意してきたが、私はそれどころではなかった。
「美味しい」
私は思わず声に出していた。
「こんなに美味しいチーズケーキは今まで食べたことがないわ」
何しろこのチーズケーキは口の中に入った途端とろけたのだ。
「そうだろう、そうだろう。我が領地の特産のチーズをいれたケーキだからの」
公爵が満面の笑みを浮かべて言ってくれたんだけど。
「そうか、そんなに美味しかったか、小娘」
「はい。なんか天国にいる気分になりました」
公爵の言葉に私は頷いていた。
「このケーキは特別に作らせたものでまだ世間では売っておらんからな。小娘。まだまだケーキは馬車に積んであるが、よければ一緒に乗るか?」
「おい、アオイ!」
私は公爵と私を乗せたそうにしていたクリフを見比べる間もなく、私はあっさりと公爵の馬車に同乗させてもらったのだった。
だって、いつ公爵の気分が変わって食べさせてもらえなくなるか判らなかったんだもの……
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喧嘩していてもあっさりとケーキに釣られるアオイでした……
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