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第一皇子視点2 アオイは俺が守ると心に決めました。
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俺が騒ぎ出したことで辺境伯が飛んできたので、直ちにアオイの所に案内させたのだ。
「この剣で叩き切ってやる」
騎士の大声が聞こえた。
「お前ら止めろ」
先頭にいた辺境伯が慌てて止めてくれた。
「しかし、お館様。この女が変な魔導具を使ってくれて」
「愚か者、その首輪は帝室の秘宝、守りの首輪だ」
辺境伯は光り輝いている銀の首輪を見て即座に理解したみたいだった。王家の秘宝、王族を守ってくれる守りの首輪だ。主に王族の配偶者や婚約者に渡されて、彼女らを守る魔道具だった。
高位貴族にはこの首輪のことは良く知られているらしい。
「アオイ、大丈夫か?」
俺は慌ててアオイに駆け寄った。
「クリフ!」
その俺にアオイが抱きついてきたのだ。
「ああん、怖かったよ。皆して、私を拷問にかけるって」
「な、何だと」
俺はその言葉に辺境伯を睨みつけた。
「どういうことだ、辺境伯!」
「も、申し訳ありません。殿下の意識が戻られないので、我々も少し慌てまして」
「こんなか弱い子供を拷問するとはどういうことだ! いつから帝国の騎士団はそのような卑劣なことをするようになったのだ」
俺は激怒した。こいつらはアオイになんてことをしてくれたのだ。
「重ね重ね申し訳ありません」
慌てて辺境伯が頭を下げた。
辺境伯等は納得のいっていない騎士達にも頭を下げさせた。アオイに剣を向けていた騎士も。
「愚か者。貴様は帝国の至宝、守りの首輪に弾き飛ばされたのだぞ。下手したら反逆罪で処刑だぞ」
そう、この首輪は母からは自分の大切な女に渡すように言われていたのだ。
でも、婚約者の聖女には渡せずに命を失わせてしまった。
宝の持ち腐れだった。
新聖女の顔を拝みに行ったアリストンで、青白い顔をして今にも死にそうだったアオイを、取り敢えず死なせないようにするために付けただけだったのだが。こんな時に効力を発揮してくれるとは思ってもいなかった。
婚約者に渡すようにと言っていた母が今回の件を聞いたらまた色々言われそうだが、アオイはどうやら聖女らしかったから、そこまで怒られることはないだろう。
アオイはなかなか辺境伯等を許そうとは言わなかった。
でも、アオイの話を聞いたら、俺は納得した。アオイは本当に悲惨な目に遭っていた。
アオイは俺が気絶している間、石牢に入れられていたそうだ。
「牢屋の床は冷たかった」
そう言うアオイは本当に悲しそうにした。
こんなか弱い子供を石牢に入れるなんて辺境伯はどういうつもりだ。死んだらどうするんだ。俺も更に怒り狂っていた。
俺達は慌てた辺境伯等に応接に案内されたが、俺はアオイを膝の上に抱いていた。あと少しでまた、大切なものが失われるところだったと思うと、アオイを降ろすわけにはいかなかったのだ。
そこにノックの音がして
「カロラインです」
辺境伯の娘が俺達を食事に誘いに来たのだ。
そして、この娘はまた、俺に媚びを売ってきた。
その上アオイを酷く睨みつけていた。
「アオイ・チハヤと申します」
この女はアオイが挨拶したのに、ほとんど無視したのだ。
気に食わない俺は食事はいらないと婉曲に断った。
なのに、娘は自分等が世話するのだから食べてくれないと困ると言ってきたのだ。
「判った。今すぐ、この屋敷を出ていく」
俺はそういうと直ちに屋敷を出ていこうとしたのだ。
それは辺境伯の必死の懇願で無くなったが……
人の良いアオイは、辺境伯が無礼な娘を石牢に入れて反省させると言ったのに、可愛そうだから止めてあげてとお願いしていた。
俺はそんなアオイを抱えて部屋まで連れて行ったのだ。アオイはとても軽かった。また痩せたんだろうか? 石牢に入れられるわ、拷問されそうになるわ本当に辛かったんだと思う。
周りの騎士や使用人らは白い目で見てきたが、構わなかった。
あと少しでアオイが酷い目に遭ったかもしれないと思うと離せなかったのだ。
アオイを抱いていると心が安らかになるというか安心できた。
「クリフ、歩けるから」
アオイが必死に言い張ったが、
「ふんっ、まだ、恐怖は抜けていないだろう!」
俺は無視して運んだのだ。
「そんな事はないわよ」
「俺の服をしっかり握っているじゃないか」
俺は笑って言ってやった。
「えっ、いや、これは」
アオイは慌てて服を剥がそうとしたが、うまくいかない。
それだけ俺を頼りにししてくれているんだと思うと、ちゃんと守ってやれなかったことが悔やまれた。
「悪かったな、酷い目に合わせて」
俺はアオイに謝ったのだ。
「うん」
アオイが目から涙を光らせて頷くと改めてぎゅっと俺の服を持つ手に力を入れた。
「すまなかった」
俺がそう言うとアオイはギュッと抱きついてきたのだ。
涙を流しながら……
「もう絶対に大丈夫だから」
俺はそう言うとぎゅっとアオイを抱きしめてたのだ。
「クリフ、怖かったよ」
「よしよし」
泣くアオイを俺は頭をなでて慰めたのだ。
何かアオイがとても可愛く感じたのだ。
そして、二度とこんな目には合わせないと心に誓ったのだ。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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「この剣で叩き切ってやる」
騎士の大声が聞こえた。
「お前ら止めろ」
先頭にいた辺境伯が慌てて止めてくれた。
「しかし、お館様。この女が変な魔導具を使ってくれて」
「愚か者、その首輪は帝室の秘宝、守りの首輪だ」
辺境伯は光り輝いている銀の首輪を見て即座に理解したみたいだった。王家の秘宝、王族を守ってくれる守りの首輪だ。主に王族の配偶者や婚約者に渡されて、彼女らを守る魔道具だった。
高位貴族にはこの首輪のことは良く知られているらしい。
「アオイ、大丈夫か?」
俺は慌ててアオイに駆け寄った。
「クリフ!」
その俺にアオイが抱きついてきたのだ。
「ああん、怖かったよ。皆して、私を拷問にかけるって」
「な、何だと」
俺はその言葉に辺境伯を睨みつけた。
「どういうことだ、辺境伯!」
「も、申し訳ありません。殿下の意識が戻られないので、我々も少し慌てまして」
「こんなか弱い子供を拷問するとはどういうことだ! いつから帝国の騎士団はそのような卑劣なことをするようになったのだ」
俺は激怒した。こいつらはアオイになんてことをしてくれたのだ。
「重ね重ね申し訳ありません」
慌てて辺境伯が頭を下げた。
辺境伯等は納得のいっていない騎士達にも頭を下げさせた。アオイに剣を向けていた騎士も。
「愚か者。貴様は帝国の至宝、守りの首輪に弾き飛ばされたのだぞ。下手したら反逆罪で処刑だぞ」
そう、この首輪は母からは自分の大切な女に渡すように言われていたのだ。
でも、婚約者の聖女には渡せずに命を失わせてしまった。
宝の持ち腐れだった。
新聖女の顔を拝みに行ったアリストンで、青白い顔をして今にも死にそうだったアオイを、取り敢えず死なせないようにするために付けただけだったのだが。こんな時に効力を発揮してくれるとは思ってもいなかった。
婚約者に渡すようにと言っていた母が今回の件を聞いたらまた色々言われそうだが、アオイはどうやら聖女らしかったから、そこまで怒られることはないだろう。
アオイはなかなか辺境伯等を許そうとは言わなかった。
でも、アオイの話を聞いたら、俺は納得した。アオイは本当に悲惨な目に遭っていた。
アオイは俺が気絶している間、石牢に入れられていたそうだ。
「牢屋の床は冷たかった」
そう言うアオイは本当に悲しそうにした。
こんなか弱い子供を石牢に入れるなんて辺境伯はどういうつもりだ。死んだらどうするんだ。俺も更に怒り狂っていた。
俺達は慌てた辺境伯等に応接に案内されたが、俺はアオイを膝の上に抱いていた。あと少しでまた、大切なものが失われるところだったと思うと、アオイを降ろすわけにはいかなかったのだ。
そこにノックの音がして
「カロラインです」
辺境伯の娘が俺達を食事に誘いに来たのだ。
そして、この娘はまた、俺に媚びを売ってきた。
その上アオイを酷く睨みつけていた。
「アオイ・チハヤと申します」
この女はアオイが挨拶したのに、ほとんど無視したのだ。
気に食わない俺は食事はいらないと婉曲に断った。
なのに、娘は自分等が世話するのだから食べてくれないと困ると言ってきたのだ。
「判った。今すぐ、この屋敷を出ていく」
俺はそういうと直ちに屋敷を出ていこうとしたのだ。
それは辺境伯の必死の懇願で無くなったが……
人の良いアオイは、辺境伯が無礼な娘を石牢に入れて反省させると言ったのに、可愛そうだから止めてあげてとお願いしていた。
俺はそんなアオイを抱えて部屋まで連れて行ったのだ。アオイはとても軽かった。また痩せたんだろうか? 石牢に入れられるわ、拷問されそうになるわ本当に辛かったんだと思う。
周りの騎士や使用人らは白い目で見てきたが、構わなかった。
あと少しでアオイが酷い目に遭ったかもしれないと思うと離せなかったのだ。
アオイを抱いていると心が安らかになるというか安心できた。
「クリフ、歩けるから」
アオイが必死に言い張ったが、
「ふんっ、まだ、恐怖は抜けていないだろう!」
俺は無視して運んだのだ。
「そんな事はないわよ」
「俺の服をしっかり握っているじゃないか」
俺は笑って言ってやった。
「えっ、いや、これは」
アオイは慌てて服を剥がそうとしたが、うまくいかない。
それだけ俺を頼りにししてくれているんだと思うと、ちゃんと守ってやれなかったことが悔やまれた。
「悪かったな、酷い目に合わせて」
俺はアオイに謝ったのだ。
「うん」
アオイが目から涙を光らせて頷くと改めてぎゅっと俺の服を持つ手に力を入れた。
「すまなかった」
俺がそう言うとアオイはギュッと抱きついてきたのだ。
涙を流しながら……
「もう絶対に大丈夫だから」
俺はそう言うとぎゅっとアオイを抱きしめてたのだ。
「クリフ、怖かったよ」
「よしよし」
泣くアオイを俺は頭をなでて慰めたのだ。
何かアオイがとても可愛く感じたのだ。
そして、二度とこんな目には合わせないと心に誓ったのだ。
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