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第一皇子視点 聖女召喚が行われると聞いて見に行って召喚された少女を連れ帰りました
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俺はクリフォード・モンターギュ、このモンターギュ帝国の第一皇子だ。
モンターギュ帝国はこの大陸の北半分を支配するこの大陸最大の帝国だ。人口は二千万を超える。人口でも大陸最大の帝国だった。
この大陸には他にも国があったが、唯一キンロス王国のみが我が国に近い人口を誇っていた。領土の広さは十分の一だったが。
それとは別に我が帝国が唯一気を使うのが、帝国の南に接する山岳国家のアリストン王国だった。人口50万人にも満たない小国だったが、大陸の大半の民が信じる女神教の総本山があったのだ。そして、そこには聖女がいて、聖女が女王として君臨するのだ。
その王配は国境を接する4カ国が交互に出してきた歴史があった。
そして、丁度今回は我が国がその順番に当たっていたのだ。
基本的に我が帝国は長男が国を継ぐのが基本だが、聖女の王配に当たる時だけは皇帝にならずにアリストン王国に下って女王の王配になるのが習わしだった。
俺は6歳の時にその時の聖女と婚約したのだ。相手はすでに16歳だった。異世界から召喚されたという聖女はとても儚げに見えた。俺は姉のような聖女と婚約したのだ。
聖女は婚約者と言うよりは年の離れた姉といった感じで、良く俺の面倒を見てくれた。
会えたのは小さい時は年に一回だったが、俺が一人で馬に乗って遠乗り出来るようになってからは、良く城を抜け出しては聖女に会いに行った。
聖女の王配としてきめられた俺は、皇帝となるべく育てられた弟と違って、ある程度の自由が認められていたのだ。
父は呆れていたが。
そんな聖女が死んだのは俺がそろそろ聖女に嫁ごうとした18の時だった。
何でも馬車の事故にあったらしい。
俺は信じられなかった。
聖女だ。当然聖なる力も一番あって自分の怪我も治せるはずなのに。
だから、俺には信じられなかった。俺が婚約者だった聖女に会いに行った時には、聖女は既に荼毘に処せられた後だった。
それからの俺は荒れた。
聖女が死んだと知った時に、初めて聖女が好きだったと判ったのだ。婚約者だった聖女は、時折、とても悲しそうな顔をしていた。考えたら、最後の一年間は寝台に臥せっている方が多かった。
そんな聖女が何故、宮殿を出たんだろう? 事故に遭った時は帝国との国境近くだったと言う。俺に会いに来てくれたんだろうか? 何か相談したい事でもあったのかもしれない。
最近は俺も学園の卒業間近で、レポートやら仕事やらで、忙しくしていて、聖女にもあまり会いに行けなかった。俺はそんな彼女になにもしてやれなかったのだ。俺は無力感に包まれた。
そんな俺が新たに聖女が召還されることを聞いた。俺はもう王配になるつもりはなかった。母は俺に新たな婚約者を見繕いたかったみたいだか、俺は拒否していた。婚約者がすぐに死んで、新たな婚約などすぐに出きるわけはなかった。
帝位継承も微妙になってきた。
元々、帝位を継ぐことになっていた弟の母親はキンロス王国の王女で、俺と異母兄弟だったのだ。帝臣の中にはキンロスの血筋が帝位に付くのは良くないと思うものも多く、俺を押す声も少なくなかったのだ。俺の婚約者がいなくなって、その声はますます強くなってきた。
俺としては元々この国を出ていくつもりだったから、帝位を継ぐ気はなく、弟に任せようと思っていたのだ。そんな俺が高位貴族の令嬢と婚約すれば、それは帝位争いの火種になる。
俺としても、婚約者を無くしたばかりで、新たな婚約者を迎えるつもりはなかった。
そんな状況に嫌気が指したのもあって、俺は気分転換に新しい聖女を見にでも行くかと、思ってしまったのだ。
俺は昔から、聖女の王配になると決まっていたので、ある程度自由だった。聖女が死んでからは、母達が途端にうるさくなったが、知った事ではなかった。
俺はいつものごとく宮殿を飛び出したのだ。
愛馬のホワイトに強化魔術をかけて、飛ばせば国境までは2日、国境からは山道なので1日で、アリストンの王都に着いた。
そこで、たまたま王宮から放り出された子供が破落戸に絡まれているところを助けたら、聖女召還された片割れだったのだ。でも、この子は俺の婚約者だった聖女と同じ感覚がするんだけれど。
もう一方が聖女だと判断したのなら、この子は聖女ではないのだろう。
まあ、勝手に召還したのに、そのまま何もせずに放り出すというのはよく理解できなかったが、将来が決まっていないのは俺と同じだった。
俺は急に親密さを感じて、その子に守りの首輪をつけてやったのだ。
これは帝室に伝わる家宝で、大切な者を守るための首輪なのだそうだ。もらった時は、こんな首輪を着けるやつなんていない。婚約者の聖女になんて恥ずかしくて、こんな首輪なんてつけられるものかと思っていたが、その聖女は死んでしまった。
何があるか先は一寸先は闇だ。俺は今回はその二の舞いは嫌だったのだ。
そいつには秘宝だとは言わずに単なる奴隷の首輪だとしか伝えなかったので、ブツブツ文句を言っていたが……。
俺は取り敢えず、その子を国に連れて帰ることにしたのだった。
その子はとてもてのかかる子供だったが、俺はペットを一匹見つけた気分だった。
俺にぶつぶつ文句も言ってきたが、俺に意見してくるなんて命知らずだ。だが、それも新鮮だった。
見た目は前の聖女には及びもしなかったが、そのちょこまかした行動は結構楽しませてもらった。釣りをさせた時なんて、喜んでちょこまか動いて、全然釣れないとぼやいていた。「もう少し、じっくりと待たないと」
そう教えたのだが、言うことを聞かずにダボハゼを釣って喜んでいた。
「不味いぞ」
「自分で釣ったから美味しいの……」
無理して食べていたが……
そんな奴が、少し目を離した隙にティラゴンに襲われそうになっていた。
俺は躊躇せずに、アオイの前に出た。守りの首輪に任せておけば良かったのかもしれないが、俺は二度と可愛がっているものが死ぬのは嫌だった。
ティラゴンの一撃を強化した釣竿で受けたが、さすがに無理だった。
釣竿は一瞬で粉砕されて、肩から腹を切り裂かれたが、最後の力を振り絞って、ティラゴンに爆裂魔術を浴びせて倒したのだ。
しかし、そのまま俺は気を失ってしまったのだ。
俺は夢を見ていた。
亡くなった聖女の夢だ。
聖女は悲しそうに俺を見ていた。
その聖女がいつの間にかアオイに変わっていた。
アオイは傷付いた俺にヒールをかけてくれたのだ。
そして、次の瞬間、そのアオイの悲鳴が俺の頭に響いて、俺は飛び起きだのだ。
「殿下、良かった」
俺を見て看病してくれていたらしい若い女が女が言った。
確か辺境伯の娘だ。
「アオイ、アオイはどうした?」
俺が娘に聞くと
「アオイ様ですか? どなたか良く判りませんが」
辺境伯の娘では埒が明かない。
俺が慌てて立ち上がろうとした時だ。
「殿下。まだ急に動かれるとよくはありません」
女が俺に抱きついて止めようとした。
それどころじゃない。アオイが危険なのだ。
「殿下、気づかれましたか!」
扉を開けて俺の近衛の護衛騎士のケンが顔を出した。
「ケン! アオイはどうした?」
俺は慌てて立ち上がりつつ言った。
「アオイとは、あの殿下を魅了しようとした、スパイですか?」
ケンが見当違いなことを言っている。
「何を言っている。あいつは俺の命の恩人だ。どこにいる? すぐに案内しろ」
俺は焦っていた。今のは守りの首輪が反応したのだ。
すぐにアオイの元に向かわねば……
「えっ、命の恩人?」
しかし、ケンは戸惑ったみたいだ。こいつでは埒があかない
「グズグズ言わずにすぐに案内しろ!」
俺の怒声が建物内に響き渡った。この地を守る辺境伯が飛んでくるのに時間はかからなかった。
*********************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
果たしてアオイは無事なのか。
今日は後3話更新予定です
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この大陸には他にも国があったが、唯一キンロス王国のみが我が国に近い人口を誇っていた。領土の広さは十分の一だったが。
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俺は6歳の時にその時の聖女と婚約したのだ。相手はすでに16歳だった。異世界から召喚されたという聖女はとても儚げに見えた。俺は姉のような聖女と婚約したのだ。
聖女は婚約者と言うよりは年の離れた姉といった感じで、良く俺の面倒を見てくれた。
会えたのは小さい時は年に一回だったが、俺が一人で馬に乗って遠乗り出来るようになってからは、良く城を抜け出しては聖女に会いに行った。
聖女の王配としてきめられた俺は、皇帝となるべく育てられた弟と違って、ある程度の自由が認められていたのだ。
父は呆れていたが。
そんな聖女が死んだのは俺がそろそろ聖女に嫁ごうとした18の時だった。
何でも馬車の事故にあったらしい。
俺は信じられなかった。
聖女だ。当然聖なる力も一番あって自分の怪我も治せるはずなのに。
だから、俺には信じられなかった。俺が婚約者だった聖女に会いに行った時には、聖女は既に荼毘に処せられた後だった。
それからの俺は荒れた。
聖女が死んだと知った時に、初めて聖女が好きだったと判ったのだ。婚約者だった聖女は、時折、とても悲しそうな顔をしていた。考えたら、最後の一年間は寝台に臥せっている方が多かった。
そんな聖女が何故、宮殿を出たんだろう? 事故に遭った時は帝国との国境近くだったと言う。俺に会いに来てくれたんだろうか? 何か相談したい事でもあったのかもしれない。
最近は俺も学園の卒業間近で、レポートやら仕事やらで、忙しくしていて、聖女にもあまり会いに行けなかった。俺はそんな彼女になにもしてやれなかったのだ。俺は無力感に包まれた。
そんな俺が新たに聖女が召還されることを聞いた。俺はもう王配になるつもりはなかった。母は俺に新たな婚約者を見繕いたかったみたいだか、俺は拒否していた。婚約者がすぐに死んで、新たな婚約などすぐに出きるわけはなかった。
帝位継承も微妙になってきた。
元々、帝位を継ぐことになっていた弟の母親はキンロス王国の王女で、俺と異母兄弟だったのだ。帝臣の中にはキンロスの血筋が帝位に付くのは良くないと思うものも多く、俺を押す声も少なくなかったのだ。俺の婚約者がいなくなって、その声はますます強くなってきた。
俺としては元々この国を出ていくつもりだったから、帝位を継ぐ気はなく、弟に任せようと思っていたのだ。そんな俺が高位貴族の令嬢と婚約すれば、それは帝位争いの火種になる。
俺としても、婚約者を無くしたばかりで、新たな婚約者を迎えるつもりはなかった。
そんな状況に嫌気が指したのもあって、俺は気分転換に新しい聖女を見にでも行くかと、思ってしまったのだ。
俺は昔から、聖女の王配になると決まっていたので、ある程度自由だった。聖女が死んでからは、母達が途端にうるさくなったが、知った事ではなかった。
俺はいつものごとく宮殿を飛び出したのだ。
愛馬のホワイトに強化魔術をかけて、飛ばせば国境までは2日、国境からは山道なので1日で、アリストンの王都に着いた。
そこで、たまたま王宮から放り出された子供が破落戸に絡まれているところを助けたら、聖女召還された片割れだったのだ。でも、この子は俺の婚約者だった聖女と同じ感覚がするんだけれど。
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何があるか先は一寸先は闇だ。俺は今回はその二の舞いは嫌だったのだ。
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俺にぶつぶつ文句も言ってきたが、俺に意見してくるなんて命知らずだ。だが、それも新鮮だった。
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しかし、そのまま俺は気を失ってしまったのだ。
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アオイは傷付いた俺にヒールをかけてくれたのだ。
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「殿下、良かった」
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「何を言っている。あいつは俺の命の恩人だ。どこにいる? すぐに案内しろ」
俺は焦っていた。今のは守りの首輪が反応したのだ。
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しかし、ケンは戸惑ったみたいだ。こいつでは埒があかない
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俺の怒声が建物内に響き渡った。この地を守る辺境伯が飛んでくるのに時間はかからなかった。
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