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貴公子を癒し魔術で助けたら騎士団が飛んできて手錠をはめられました
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「ヒール!」
私は大声で叫んでいた。
何でそんなことしたのか良く判らなかった。でも、異世界から召喚されたのだ。何かチートなものがあるはずだ。それに私も聖女かもしれないではないか。聖女として召喚されたのだから。
私の必死さに神様も力を与えてくれたのかもしれなかった。
私が叫ぶと同時に私の体が金色の光に包まれたのだ。そして、金色の光が私の手からクリフの体を目掛けて飛んでいくとクリフの体を包んだ。みるみる間にクリフの傷口がふさがっていく。光が消えた後にはどこにもけがの痕跡は残っていなかった。
「良かった」
私はほっとした。そして、急に眠気を感じて、気を失うように眠っていたのだ。
「うーん」
ぺろぺろ顔を舐められて、私は気付いた。
目の前には心配そうに私を見るクリフの愛馬のホワイトがいた。
「ありがとう、ホワイト! 起こしてくれたんだね」
私はその顔に抱きついた。
ホワイトは私に顔を擦り寄せてくる。私はそのホワイトを撫でた。
周りを見ると既に薄暗くなり始めている。
私は慌てて起き上がった。少し寒い。
クリフは意識を失って倒れたままだ。
心配になって顔に近付くとかすかに息はしている。
「良かった。死んでいない」
私はほっとした。
今までまじまじとクリフの顔を見たことなかったけれど、こうやって目の前で見てもその顔は本当に整っていた。神々しいと言うのが正しいほど、前の世界なら絶対に凄まじい人気になっていたはずだ。
なんか衣服も破れてボロボロだ。寒いかもしれないと、慌てて毛布を掛けた。
その後も、思わず見とれていたけれど、ホワイトがそんな私を鼻でつついた。
「あっ、ごめん、ご飯だよね」
ホワイトは贅沢なのだ。そのあたりの草を食べていたらいいと思うのだが、過保護なのかクリフは必ず、黄金色のニンジンも食べさせていたのだ。
クリフのカバンをあさって、そのニンジンをホワイトに与える。
ホワイトは喜んで食べてくれた。
「そうだ。こうしてはいられない」
私はすぐに集めた薪に火をつけようとした。
ここ二日ほどクリフと旅をしていたので、火のつけ方とかは見ていたのだ。
見よう見まねで、覚えていた通り、組んだ薪の下に、燃えやすそうな小枝とか枯葉を集めてその横で火打石を叩く。
「これでもか」
何度か失敗した後にやっと火がついた。
私はホッとした。
バチバチと燃えだした薪を見る。
そして、何とか一晩もつだけの薪を集める。
そして、お腹が減ったので、クリフのカバンからパンと非常食を少し頂戴する。
こんな時間から釣りは出来ないし、私では釣れない。
一度させてもらったけれど、クリフの手伝いがあってやっと一匹釣れた程度だったのだ。私が竿を動かしすぎるとか、もっとじっとしていないと行けないとか、言われたけど、ダボハゼが釣れたのだ。「こいつは何でも食いつくンだけど不味いんだ」クリフの言う通り、他の魚に比べて、味は今一つだった。それからは私はクリフを見るだけで釣りはしていない。
その固形の非常食は味もあんまりしなかった。これならダボハゼの方がましだった。クリフからはいざという時の非常食だと聞いていたけれど。まあ、でも背に腹は変えられない。
外は真っ暗だし、ホワイトは側にいてくれるるけれど何かとても心細かった。
今まではムカつくけれどクリフが傍にいてくれたからそうは思わなかったけれど。
クリフは上着も服もティラゴンの爪にやられて無いに等しかったし、毛布を掛けたけれど寒くないだろうか?
高原は夜も冷える。
それに外は何か怖い。
一人で夜外にいた事なんて今まで無かったのだ。
私はクリフの掛けた毛布の中に潜り込んだ。
クリフが元気だったら絶対にこんなことはしなかった。
いつもは出来るだけクリフから離れて寝るのだ。
安全のためにはダメだと言うからクリフと焚火の間で寝ていたけれど。
でも今日は、ちょっと心細い。私はクリフがいてくれたから今まで安心していられたということがはじめて判った。クリフは口は悪いけれど紳士だし、私を奴隷にしてくれたけのは事実だけど、守ってくれたのは事実だ。隣国に入ったらどうなるか判らないけれど、ずっとクリフと一緒にいられたらいいな、と思ってしまった。
なんかクリフのからだが暖かかった。私はクリフを抱き締めて眠ったのだ。クリフの側はとても気持ちよかった。その日の眠りはとても安らかだったのだ……
翌日だ。私は周りの騒々しさに、目が覚めた。
気付いたらなんと、剣が私に突きつけられていたんだけど。
「動くな!」
そう言われて、私が固まっていると、ガチャリと手錠が私の手にはめられたのだった。
***********************************************
手錠をはめられたアオイの運命やいかに?
続きは明朝です!
つぎラノ2023にノミネートされた私の書籍
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』全国の書店、ネット書店で絶賛発売中です
https://www.regina-books.com/lineup/detail/1056603/9532
買ってね(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
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何でそんなことしたのか良く判らなかった。でも、異世界から召喚されたのだ。何かチートなものがあるはずだ。それに私も聖女かもしれないではないか。聖女として召喚されたのだから。
私の必死さに神様も力を与えてくれたのかもしれなかった。
私が叫ぶと同時に私の体が金色の光に包まれたのだ。そして、金色の光が私の手からクリフの体を目掛けて飛んでいくとクリフの体を包んだ。みるみる間にクリフの傷口がふさがっていく。光が消えた後にはどこにもけがの痕跡は残っていなかった。
「良かった」
私はほっとした。そして、急に眠気を感じて、気を失うように眠っていたのだ。
「うーん」
ぺろぺろ顔を舐められて、私は気付いた。
目の前には心配そうに私を見るクリフの愛馬のホワイトがいた。
「ありがとう、ホワイト! 起こしてくれたんだね」
私はその顔に抱きついた。
ホワイトは私に顔を擦り寄せてくる。私はそのホワイトを撫でた。
周りを見ると既に薄暗くなり始めている。
私は慌てて起き上がった。少し寒い。
クリフは意識を失って倒れたままだ。
心配になって顔に近付くとかすかに息はしている。
「良かった。死んでいない」
私はほっとした。
今までまじまじとクリフの顔を見たことなかったけれど、こうやって目の前で見てもその顔は本当に整っていた。神々しいと言うのが正しいほど、前の世界なら絶対に凄まじい人気になっていたはずだ。
なんか衣服も破れてボロボロだ。寒いかもしれないと、慌てて毛布を掛けた。
その後も、思わず見とれていたけれど、ホワイトがそんな私を鼻でつついた。
「あっ、ごめん、ご飯だよね」
ホワイトは贅沢なのだ。そのあたりの草を食べていたらいいと思うのだが、過保護なのかクリフは必ず、黄金色のニンジンも食べさせていたのだ。
クリフのカバンをあさって、そのニンジンをホワイトに与える。
ホワイトは喜んで食べてくれた。
「そうだ。こうしてはいられない」
私はすぐに集めた薪に火をつけようとした。
ここ二日ほどクリフと旅をしていたので、火のつけ方とかは見ていたのだ。
見よう見まねで、覚えていた通り、組んだ薪の下に、燃えやすそうな小枝とか枯葉を集めてその横で火打石を叩く。
「これでもか」
何度か失敗した後にやっと火がついた。
私はホッとした。
バチバチと燃えだした薪を見る。
そして、何とか一晩もつだけの薪を集める。
そして、お腹が減ったので、クリフのカバンからパンと非常食を少し頂戴する。
こんな時間から釣りは出来ないし、私では釣れない。
一度させてもらったけれど、クリフの手伝いがあってやっと一匹釣れた程度だったのだ。私が竿を動かしすぎるとか、もっとじっとしていないと行けないとか、言われたけど、ダボハゼが釣れたのだ。「こいつは何でも食いつくンだけど不味いんだ」クリフの言う通り、他の魚に比べて、味は今一つだった。それからは私はクリフを見るだけで釣りはしていない。
その固形の非常食は味もあんまりしなかった。これならダボハゼの方がましだった。クリフからはいざという時の非常食だと聞いていたけれど。まあ、でも背に腹は変えられない。
外は真っ暗だし、ホワイトは側にいてくれるるけれど何かとても心細かった。
今まではムカつくけれどクリフが傍にいてくれたからそうは思わなかったけれど。
クリフは上着も服もティラゴンの爪にやられて無いに等しかったし、毛布を掛けたけれど寒くないだろうか?
高原は夜も冷える。
それに外は何か怖い。
一人で夜外にいた事なんて今まで無かったのだ。
私はクリフの掛けた毛布の中に潜り込んだ。
クリフが元気だったら絶対にこんなことはしなかった。
いつもは出来るだけクリフから離れて寝るのだ。
安全のためにはダメだと言うからクリフと焚火の間で寝ていたけれど。
でも今日は、ちょっと心細い。私はクリフがいてくれたから今まで安心していられたということがはじめて判った。クリフは口は悪いけれど紳士だし、私を奴隷にしてくれたけのは事実だけど、守ってくれたのは事実だ。隣国に入ったらどうなるか判らないけれど、ずっとクリフと一緒にいられたらいいな、と思ってしまった。
なんかクリフのからだが暖かかった。私はクリフを抱き締めて眠ったのだ。クリフの側はとても気持ちよかった。その日の眠りはとても安らかだったのだ……
翌日だ。私は周りの騒々しさに、目が覚めた。
気付いたらなんと、剣が私に突きつけられていたんだけど。
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