悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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逃げ出した魔物が私の前に現れたんだけど、私が睨み付けたら何故か一目散に逃げていきました

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 魔物討伐訓練。
 毎年学園で行われている訓練だ。
 今までは、近くのダンジョンでやっていたのだが、教会と聖女がそのダンジョンを浄化してしまったので、今年は中止になるのではないかと言われていた。

 でも、中止することは今後の為には良くないだろうと陛下と教皇猊下、それに騎士達や宮廷魔導師団が中心になって、冒険者ギルドや付近の街の領主達も巻き込んで、どうすれば良いか検討委員会が発足された。

 そこで喧々諤々協議された結果、ダンジョンでの魔物討伐体験を出来るようにすることになった。

 しかし、基本的にダンジョンは聖女によって浄化されている。

 すなわち、魔物が出てこようがないのだ。
 それを学園の魔物生物研究所が中心になって魔物を別の所で捕まえて繁殖させて放つことにしたそうだ。

 私はわざわざ魔物なんかを養殖する必要があるのかとも思ったが、騎士や冒険者達は大喜びだった。
 取りあえず、今年の討伐訓練では魔物の数も少ないので、魔物のとどめは刺さずに、傷ついた魔物をヒールで癒やす事になっていた。
 魔物にヒールをかけるなんて絶対におかしいだろう!
 変だと思ったのは私だけだろうか?

「まあ、クラリスがそう指摘するのは判るけれど、王都では近くにダンジョンがなくなったので、魔物討伐の訓練が全く出来なくなったんだ。一番近くのダンジョンに行くのも馬車でなら下手したら1週間くらいかかるし。繁殖等の魔物の生態を研究することも今後の魔物討伐にはとても役に立つことになると思う。一番の目的は騎士団と冒険者達とダンジョン周りの街の人々の不満を解消することだけどな」
 エミールが言ってくれたけれど、ほとんど魔物を討伐したい者とそれで利益を上げていた街の人々の機嫌をとる為だけだと私には思えた。

「そんなんだったら何故、そのダンジョンを浄化させたんですか?」
 私が不思議に思って聞くと。

「俺は聖女達が訓練も兼ねて調査に入るとしか聞いていなかったんだ。それは他の皆も同じ。浄化すると判っていたら絶対に行かせなかったよ。
 まさか聖女がダンジョンを浄化できるなんて思ってもいなかったし。聖女自体もダンジョンでヒールをかけてしまったら、ダンジョン自体が浄化されてしまうなんて、予想もしていなかったらしい」
「なんともはた迷惑な聖女ですね」
 私は呆れて言ってしまった。

「本当に。まあ、教会だからな。せっかく聖女が100年ぶりに現れたんだから、力を誇示したくなったんじゃないか? ダンジョンを浄化したら、そのインパクトは大だ。あそこまで反発を食うとは想像だにしていなかったんだろう」
 エミールが解説してくれたけれど、それをやらされている魔物生物研究所もとんだとばっちりだったんじゃないのだろうか?

 私がそう聞くと、
「いや、あいつらは魔物をおおっぴらに飼うことが出来てとても喜んでいるよ」
 エミールの言葉に私は目が点になってしまった。
 まあ、確かに魔物生物研究所は魔物キチガイの集まりだから、正々堂々と育てられることに喜んでいるのかもしれない。

 しかし、どこの国に人間に害悪しか与えない魔物を育てている国があるんだろう?
 私には理解できなかった。


 そして、魔物討伐訓練の実施日が迫ってきたとある日だ。

 私は中庭をゆっくりと歩いていたのだ。
 私は前方から歩いてくるアニエスの集団に出くわしたのだ。

「あああら、クラリスさんは相も変わらず、地味な装いです事」
 私の前にアニエスが現れたのだ。
 嫌な奴に又出会った。

 最近アニエスは教室外で会うとよくこんな挑発的な発言をしてくるのだ。
 それに今日は私に援護射撃をしてくれるフェリシーもいなかった。

 でも、私はそんなこと言われても聖女に対して無視するしか出来なかった。
 まあ、地味な装いはその通りだけれど。

 そのまま通り過ぎようとする。

 誰かが足を出してくれたのだ。

 私は物の見事に引っかかって転けてしまった。

 もっともエミールが私に施してくれている守護魔術に防がれて怪我はしなかったけれど……

 本当に私はドジだ。
 しかし、誰よ! 私を引っかけたのは?

「グウォーー」
 しかし、後ろを振り返るより先に私の前に巨大な魔物が立ち塞がるのを感じたのだ。

「キャーーーー」
「オーガよ」
 後ろからアニエス達の悲鳴が聞こえたのだ。

 私は目が点になった。

 オーガは巨大な鬼だ。

 私の目の前には二本の巨大な足しか見えなかった。

 やばい。

 このままではやられる。

 私は恐怖で足がすくんで立ち上がれなかった。

「グウォーー」
 再度オーガが吠えた。

 その咆哮で私はなんとか呪縛が解けて顔を上げたのだ。

 そこには今にも私に襲いかかろうとしているオーガの姿を捉えた。

「キャーーーー」
 次の瞬間、私の恐怖のリミッターが外れて、私は大音声の悲鳴を上げた。

 でも、もう絶体絶命なのは判った。

 しかしだ。私が悲鳴を上げるとオーガはぎょっとした顔で私を見つめてきた。

 私の視線とオーガの視線がぶつかった。

 私は犬に襲われた時には絶対にひるんではいけないと習っていた。
 魔物も動物だから一緒だろう!
 こうなったら思いっきり睨み付けてやる。

 私の目とオーガの目が合わされる。

 なんと、オーガは私の視線を受けてピクリと震えた。

 そして、次の瞬間だ。
「ギャーーーーー」
 一目散に後ろを向くと悲鳴を上げて逃げ出してくれたのだ。

 えっ、なんで?

 何でか弱い私を見て逃げ出す訳?
 私には全然理解できなかった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
取りあえず命の危機は去りました。
でも、何故オーガはクラリスを見て逃げ出したのか?
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