悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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王太后様が礼儀作法の先生を学園に送り返してくれました

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「私の授業を遅刻するとは良い度胸をしていますね!」
 怒髪天のロッテンマイエル先生が私を見下ろしてくれた。

 それから延々お小言が始まったのだ。
 延々20分怒られて、いい加減に嫌になった時だ。

 グーーーー
 と私のお腹が盛大に鳴ったのだ。

 や、やばい!
 私が恐怖で震えると
「クラリス様! どういう事ですか? 私の授業中にお腹を鳴らすとはいい度胸していらっしゃいますね」
 ロッテンマイエル先生が怒りのあまり噴火した時だ。

「ふぉっふぉっふぉっふぉ」
 大きな笑い声がしたのだ。
 そちらを見るとさっきのおばあちゃんが、笑っているんだけど……良かったんだろうか?
 私はおばあちゃんのためにそう思った。

 でも、ぎろりとロッテンマイエル先生がそちらを睨み付けてぎょっとしたのだ。
 あんな驚くロッテンマイエル先生を初めて見た。

 と言うか少し震えていたんだけど。

「王太后様! なぜここに?」
 その口から発せられた言葉に私は驚いた。
 あのおばあちゃんって王太后様だったの?

 ひょっとしてアドリエンヌとエイブラハムってアドリーヌ王太后様とエイブラム前国王陛下の事だったの……私もさあああああっと血が引いた。

「ロッテンマイエル。相変わらずね。こんな小さい子にグチグチつまらないことを指導して。私はさっきもこの子と話したけれど最低限の礼儀作法は既に出来ているじゃない」
 良かった。不敬だって怒られなくて。でも、最低限か……まあ、王太后様のことをおばあちゃんって言った段階でアウトだけど。

「いえ、私は王妃様に言われて」
「そうなの? カロリーヌはこんな小さい子にご飯も満足に食べさせないで教育するように言っているの?」
「いえ、それはクラリス様が遅刻してこられたから注意しただけで」
 皇太后様の嫌みにロッテンマイエル先生はなんとか反論していた。

「何言っているのよ。この子は私と話をしていたのに、合図の鐘が鳴ったからと慌てて駆けて行ったのよ。遅刻といってもほとんど遅れていないはずだわ」
「王太后様とのお話を途中で止めてですか」
 ぎろりとロッテンマイエル先生が私を睨み付けたんだけど

 そんなのおばあちゃんが王太后様だなんて知らなかったからからなのに! もっとも知っていてもロッテンマイエル先生の講義を優先させた気がするけれど……

「この子は私が誰かも知らなかったのよ。まあ、それはあなたたちの教育不足だと思うけれど、どのみち私は離宮に追いやられた老婆ですからね」
 やばい、おばあちゃんは怒っているよ。私もおばあちゃんと読んでしまったし……私はぎくりとしたのだ。

「お、お母様、突然、王宮に来られてどうされたのですか?」
 そこに、私がロッテンマイエル先生と一緒にいる時は絶対に顔を出さない王妃様が慌てて飛んで来たんだけど……
「何を驚いているの、カロリーヌ? 私が王宮に来てはいけない理由でもあるのかしら?」
 王太后様は笑っておっしゃられてたが、目が笑っていなかった。

「いえ、そんな。滅相もない。ただ、何の先ぶれもなくいきなり来られたから驚いただけですわ」
「孫のエミールの婚約者が決まったって風の便りに聞いたから来てみたのよ。でも、かわいそうにこの子は王宮ではご飯も満足に食べられないみたいだけど」
「えっ?」
 王妃様はぎょっとして私を睨み付けてきたんだけど……
 いや、私はまだ一言も話していないわよ。

「いえ、あの王妃様。本日から食事時の礼儀作法マナーもお教えしようとしたら、クラリス様が遅刻してこられたものですから、注意していただけなのです」
 慌ててロッテンマイエル先生が言い訳したが、

「こんな小さい子を延々20分もご飯を食べさせずに注意することではないと思うわ。それにクラリスの侍女に今聞いたら、昨日も四時間もクラリスをいびり倒していたそうでは無いの」
「いえ、王太后様。私は指導していただけで」
 必死にロッテンマイエル先生は言い訳するが
「こんな小さい子にすることではないでしょう」
 王太后様が言ってくれたのだ。私はとても嬉しかった。

「小さい子の指導にはステーシーの方が向いていると思うわ」
 私は王太后様に思いっきり賛成したかった。

「でも、お母様。ロッテンマイエルは学園長の推薦で」
「何言っているの! どのみちあのじじいがロッテンマイエルを煙たがって寄越したに違いないのよ。ロッテンマイエル、あなたはもう一度学園でいろんな生徒を指導してじっくりと勉強してきなさい」
「そんな、王太后様、私は……」
 ロッテンマイエル先生は必死に言い訳しようとしたが、

「良いわね。学園の生徒は今後わがブルゾン王国を背負って立つ逸材ですからね。ロッテンマイエル。あなたには期待しています」
「はあ、あの王太后様……」
「判ったわね。それと学園の先生達も最近たるんでいるみたいだから、必ず週に一度は一同集まめて会食して、態度の悪い先生方をみっちりと指導してちょうだい。特に学園長をはじめね! 判ったわね!」
 王太后様は強引にロッテンマイヤー先生を学園に返してくれた。代わりに優しいステーシー先生が来ることになって私は万々歳だった。

 ただ、このことを根に持たれて10年後に学園で徹底的に虐められる事になるとは私はこの時は考えもしなかったのだ。
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