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転校生等の家に4人で行ってみると、一人は留守で、もう一人の住所はマンションの工事中でした。

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結局転校生は6限目までにやってこなかった。

「翔太、お前がいらん事したからまどかちゃん、学校に来なくなったんとちゃうんか?」
上野からはそう責められたが、

「俺は何も悪いことはしていないぞ。そもそも数学のわからないところがあるから教えてほしいって家で教えていただけだし」
「何い! 翔太、お前、まどかちゃんの家に行ったのか!」
上野が怒っていった。
「許さん。絶対にお前がなにかイランことしたんや」
上野が言うが、
「上野くんじゃあるまいに、翔太くんはそんな事はしないんじゃない」
莉子が庇ってくれた。

「何い、遠山さん、えらい翔太の肩もつんやな」
「それはそうでしょ。女たらしの上野くんと比べたら翔太くんは真面目よ」
「その言い方はないんちゃうん。その言い方やと、俺は誰彼構わず声かけているみたいやないか」
「事実でしょ」
莉子は言い張るが
「違う。お前には声かけていないぞ」
「ふうん、そんな事言うんだ」
ムッとして莉子が上野を睨みつけた。
「もう絶対に上野君とは口効かない」
莉子が切れていた。

「おい、上野、良いのか」
翔太が慌てるが、
「翔太、何言ってんねん、そもそもお前が俺に隠れてまどかちゃんの家に行くのが悪い」
「たまたま、送っていったらそうなっただけで」
「送って行ったやと! どういう事や!」
更に上野がヒートアップした。

「いや、まあ、成り行きで」
翔太は笑って誤魔化した。

「何やと」
上野がさらにヒートアップしようとした時だ。

「朝倉さんが休んだのもそうだけど、堀田くんも休んだのよね。その二人が一緒に休んだっていうのもおかしくないかな」
結衣がポツリと言った。

「堀田、そんなんまどかちゃんと関係あるわけはないやろう。あいつは男子陣の呪いが当たったんや」
「何、それは。どのみち藁人形とか上野君がなんかやったんじゃないの?」
莉子が疑い深そうに見た。

「藁人形なんてまどろっこしいことするわけ無いやろ。俺がやるんやったら階段から突き落とすとか校舎の屋上から突き落とすわ」
上野が胸を張って言ってくれた。

「「「そんなのするな」」」
周りから盛大なツッコミを受けていた。

今日は金曜日なので、翔太達は部活が終わってから二人の家を訪ねることにしたのだ。



部活の終わった19時に校門の前に翔太等は集まった。

「結衣ちゃん、自転車はどうしたん」
自転車に乗っていない結衣を目ざとく見つけて上野が聞いてきた。

「ちょっと朝から鍵が開かなくて」
「あるある」
「あるか!」
頷く上野に翔太が噛みついた。
普通そんなことはないのだ。

「何なら俺の自転車に乗ったら」
「有難う。翔太に乗せてもらうから良いわ」
上野の誘いをあっさりと結衣は断った。

「上野は本当に誰でもいいのか?」
ブスッとして莉子が切り捨てた。
呼び方も、もう呼び捨てになっていた。

「それは翔太やろ。まどかちゃんも結衣ちゃんも、なんで翔太ばっかし優遇されるんや」
上野はブツブツ文句を言っていた。

「じゃあ行くぞ」
翔太は結衣を後ろに乗せると自転車を漕ぎ出した。

家を知っている翔太が先頭でその後を莉子と上野が付いてくる。


城の山高校は丘の上にあるので帰るのは楽だ。

まどかの家は翔太の家の反対側だったけれど、自転車は10分も走らずについた。

4人は自転車を降りて、アパートの2階に上がる。

チャイムはないのでノックをしてみた。

トントン

でも、返事がない。

ドンドン
「朝倉さん! 俺や、上野や」
上野も叫ぶが返事は無かった。

「いないね」
「どうする?」
「担任から預かった手紙を入れておくしかないんじゃない?」
翔太は結衣の言うように担任から預かった連絡の手紙をポストの中に入れた。


「で、次は堀田くんの家だけど」
結衣がスマホの地図を表示する。

「本当に行くのか? 単に俺達の呪いがかかっただけやと思うぞ」
「上野君! そんな訳無いでしょ」
上野の言葉に莉子が怒って言った。

「しゃあないな」
4人は自転車で移動した。


「あれっ、工事中だけど」
莉子が素っ頓狂な声をあげた。

「おかしいわね」
「本当に合ってんの?」
再度翔太も結衣の地図を確認したが、その場所であっていた。

学校に登録されていた堀田の住所はマンションの工事中だったのだ。
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