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翔太と結衣は次のテストでも勝つとお互いに言い合いました

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器械体操も抜群の運動神経を誇り、英語はぺらぺら、容姿端麗の堀田の登場は想定外だった。

「ゴメン、宿題で聞きたい事があったもので、来てしまったんだけど、お邪魔だったかな?」
堀田がすまなそうに結衣に聞いていた。
「えっ、大丈夫よ」
「そうよ。みんなで勉強していたのよ。勉強の出来る堀田くんなら大歓迎よ。さあ、入って入って」
自分の家でもないのに、莉子が進んで堀田を中に招き入れる。

でも、堀田は結衣の横に座ってくれた。
それを見て翔太は少しムッとした。

「遠山のやつ。堀田なんか追い返せばよいのに」
上野が忌々しげに呟いた。が、莉子も堀田も全く無視してくれた。

「どういう組み合わせなの? このメンバーは」
上野の冷たい視線などどこ吹く風。堀田は早速、結衣に聞いていた。

「向こうは、翔太の友達で1組の人らよ。まあ、私の横の莉子も1組だけど、堀田くんも知っているでしょ」
「ああ、英語の時間に加藤先生に色々嫌味を言われていたのが、吾妻さんの弟さんなんだ」
「俺は兄貴だ」
堀田のセリフに気分を害した翔太が言うと

「大丈夫よ。弟だから」
結衣が笑って訂正したくれた。
「何だと!」
「まあまあ、翔太君。堀田くんのことは妹さんに任せて、ここはどうなるの」
翔太の横からまどかが話してきた。
「ああ、そこか、そこはね」
翔太は睨みつけた視線をまどかに向ける。
なんか、まどかの顔が眩しかった。

「私は姉だって言うのに!」
結衣がブツブツ文句を言うが、
「吾妻さんは、わからないところがある?」
「はい、堀田君。私はいっぱいあるんだけど」
結衣が答える前に莉子が手を上げた。
「判らなかったら俺が答えてやるで」
「上野君はどのみち判っていないでしょ」
「何言ってんねん。俺もやればやな」
「はい、やってないから仕方がないわよね。」
莉子に流されて
「で、堀田くん、こことここよ
「ああ、そこはね」
莉子の質問に堀田が答え始めた。
上野は完全に蚊帳の外でムッとした顔しているし、結衣は結衣で翔太とまどかが仲良さそうにしているのを見て、不機嫌そうになっていたのだ。


「どうもありがとうございました」
1時間くらいして勉強が終わって一同ぞろぞろ家から出だした。
「朝倉さん、どちらに帰るん? 何やったら送って行くで」
上野がいけしゃあしゃあと申し出た。

「上野君とは、反対方向だと思うから良いわ」
まどかがあっさりと振った。
そして、まどかは何故か翔太の方を向いたのだ。
「えっ?」
送ってほしいって言っているんだろうか?
翔太は一瞬戸惑った。

「じゃあ、朝倉さん。帰る方向同じだと思うから送っていくよ」
そこへ翔太を無視して堀田が出しゃばったのだ。

「えっ、そう」
まどかは少し残念そうな顔をしたが、
「まあ、良いわ。帰りましょうか」
「じゃあ」
堀田が手を挙げてまどかと連れ立って歩いていく。

「じゃあ、遠山。送ったるわ」
「何を言っているのよ。私は売れ残りと違うんだけど」
ぷいっとして莉子が自転車で漕ぎだす。
「おい、待てや。方向一緒やんけ」
「近寄んな」
上野の自転車を蹴ろうとする莉子。
「まあ、そう言わんと」
上野は莉子の蹴りを躱しつつ、二人して一緒の方向に向かった。



「翔太、朝倉さんを送っていかなくて良かったの?」
結衣が少しいたずらっぽく聞いた。

「堀田が送っていくから良いだろう」
「まどかちゃん、翔太に送ってもらいたそうにしてたのに」
結衣がからかう。
「そうか」
「そうよ。勉強中も二人でべったりだったし」
「そうか? 俺が教えるのがうまいからじゃないのか」
「それにしてはくっつきすぎだったんじゃない」
「そうかな。まあ、見る人が見ると良く見えると言う事かな」
「翔太の本性が判っていないだじゃないの」
自慢げに言う翔太に結衣が突っ込んだ。

「俺は人にはやさしいからな」
「外見だけが良いだけじゃない」
「人のこと言えるのかよ。堀田のやつもお前に騙されていたぞ」
「翔太よりもマシよ」
二人は言い合いを始めた。
「翔太、あなた、この前のテスト私に負けたのにそんな事言っていいの?」
「くくくく、何言っている俺は今回はかならずお前に勝つからな」
「ああら、返り討ちにしてあげるわよ」
「その言葉覚えてろよ」
「そっくり返してあげるわ」
二人は睨み合ったのだ。

「ちょっと翔太に結衣。喧嘩していないでさっさと食事にして」
「「はあい」」
二人は慌ててダイニングに向かったのだった。
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