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聖女視点3 悪役令嬢が苦しんでいる様を予想して王子と楽しんでいたら、何故が魔物がこの国に大群で攻めてきました

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私はやっと帰ってきた。
修道院での謹慎期間を無理やり解いてもらって王都に聖女として復帰したのだ。

確かに未だに悪役令嬢が撒いてくれた淫乱聖女とかいう2つ名を噂する奴らもいる。

だが、淫乱聖女と揶揄する奴らは、文官や騎士は見つけ次第左遷、女官は破落戸に襲わせて、二度とお天道様の下を歩けない体にしてやった。

あからさまにそういうことが続くと、流石に面と向かってそういう輩もいなくなった。

そして、今日は大臣共にこの体を武器に、帰国させた王子エイベルと久しぶりにベッドで戯れていた。

「お前のいう、悪役令嬢が隣国で聖女となったと聞くが」
「まあ、エイベル、いつの話をしていますの。今ベルファストの国境地帯には魔獣が満ちているとか。なんでも、あのエセ聖女が魔獣共をおびき寄せたそうですわよ」
私はエイベルの裸の胸に顔を寄せつつそう言った。

「そうか。それはあのキャサリンも大変だな」
「はい。私達にしてくれたことをじっくりと反省してくれませんと」
王子の悪どい笑みに私も笑い返した。

「あのエセ聖女が魔女として火あぶりにされるのは時間の問題ですわ」
私はそう言って笑うとエイベルに抱きついた。
エイベルが抱き返してきた時だ。

「申し上げます」
騎士の大声が扉の外から聞こえてきた。

「何事だ。誰も中に取り継ぐなと申しておったはずだが」
エイベルが怒って叫んだ。私とエイベルとの久々の逢瀬を邪魔するとは本当に無粋なやつもいるものだ。私も少しムッとした。まあ、悪役令嬢と言い、考え違いをした者はどこにでもいるのだ。

「殿下緊急事態です。国境の街ホーリヘッドに魔物の大軍が現れたとの報告がありました」
「魔物など、国境の守備隊で対処できるであろうが」
更に不機嫌そうにエイベルは言うや、私を抱こうとした。

「向かった守備隊の大半は全滅、周辺地域にも多くの魔物が出現しており、陛下によって非常招集がかかりました」
流石にそこまで言われると事を続けるわけにも行かず、舌打ちするとエイベルは服を着出した。
私もやむを得ず、服を着る。

しかし、魔物はベルファストに向かわせたはずだ。何故こちらに向かってくるのだ。私は不吉な予感がした。



国王の間には既に大臣や騎士団長が揃っていた。

「父上、お呼びと伺い参りました」
「おお、夜遅くにすまんの」
「魔物が出たとお伺いしました」
「おお、これは聖女殿、このような夜遅くにどうして宮殿に?」
私が夜遅くに現れたので陛下の不審を招いたらしい。

「なにやら胸騒ぎがいたしまして、急遽王宮に参ったのです」
私は何事もなかったかのように言った。

「左様か。さすが聖女殿じゃ。あまりに急がれたのじゃろう。ボタンを掛け間違っておるぞ」
「な、何分、急いで参った次第でして」
私は慌ててボタンのかけ間違いを直す。

この国王め、嫌味を言いやがって・・・・私はプッツン切れたが、ここは笑うしかない。いずれこの国王も闇に葬ってやると私が心に決めた瞬間だった。

「陛下。ここ一週間前にベルファストに現れた魔物達の一部がこのロンド王国にも現れたものと思われます」
「しかし、魔物たちはベルファストに向かったのでは」
騎士団長の言葉に私が思わず言ってしまった。

「聖女様。魔物の向かう先など、判るものではないと思いますが」
騎士団長が不思議そうに聞いてきた。

「聖魔術で特定ができるのですか?」
「流石にそれは出来ません」
私は余計なことを言ったと反省した。

「我が方も当然、その可能性もあるので、対処していたのであろうが」
「はい。国境地帯の各領主に通達、こちらからも騎士第二騎士団を派遣いたしました」
騎士団長が国王に返答した。

「ならばそれで良いのではないか」
エイベルが言った。

「その第二騎士団が壊滅的な打撃を受けたのです」
「なんだと」
第二騎士団は兵士も合わせて5千人規模だったはずだ。それが壊滅するなんて・・・・。

「我が方も第一騎士団を向かわせる。各領主にも非常招集をかけた。指揮官はエイベル、その方が取れ」
「わ、判りました」
エイベルが慌てて頷いた。

「聖女殿。当然今回は聖女殿もご同行願えましょうな」
第一騎士団長が嫌な笑いをしてくれた。

「しかし、私が王都を離れるのは、教会もなかなかすぐにはうんといいますまい」
私は必死に抵抗したが、

「既に大司教殿の了解は取ってある。直ちにエイベルとともに向かって欲しい」
国王にそう言われれば頷くしか無かった。

なんで、なんで、このゲームのヒロインの聖女の私が、魔物退治に辺境の地に行かなければならないのよ!

何か変だ。魔物は確かにベルファストに向かうはずだったのだ。

絶対に悪役令嬢が何かやったに違いない。もう絶対に許さない。

むかついた私だが、そのまま衣装を取リに帰る暇もなく、侍女もなしに着の身着のまま軍の荷馬車に乗せられて一路国境地帯に向けて行軍させられたのだった。

何よ、この座り心地の悪さは。

うっ、馴れぬ馬車に思わず私は口に手を抑えた。
護送される馬車ですらもっと立派な馬車だったのだ。それが荷馬車とは・・・・。


「あの悪役令嬢絶対に許さない!」
私は何度も吐きながら心の底から誓ったのだった。





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