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聖女視点2 悪役令嬢が隣国の王太子の婚約者になったと聞いて仕返しすることにしました

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「な、何ですって!」
私は大声で叫んでいた。何とか、厳しい戒律の修道院からほうほうのていで何とか王都の大聖堂に帰ってきたのだが、そこでとんでもない新たな報告を受けたのだ!


あの単細胞な悪役令嬢を、この国の暗黒街のボスを向かわせて、傷物にして娼館に売りつける計画は、何故か失敗続きだった。
手を組んだ山賊もハロルドの活躍で殲滅された。こんなことならハロルドをこちら側に引きずり込んでおけばよかった。王太子を私の虜にするのに力を使い過ぎたのだ。その王太子は隣国に遊学と言う名の追放されているし。
更に、借金のかたに悪役令嬢の向かった伯爵家をこちら側に引きずり込んだのは良かったのだ。そこに暗黒街のボスを向かわせたまでは完璧だった。なのに、何故か、伯爵家も元締めも殲滅されてしまったのだ。意味がよく判らない。ハロルドの力はそれだけ強いのか?

そう思っていたら、なんと、ハロルドが隣国のベルファストの王太子になってしまったのだ。
そもそも、ハロルドは隣国の国王の前妻の子供で、第2王子からの暗殺を避けるためにこの国に来ていたのだとか。そんなの本の中には書いていなかった。
続編か何かでそうなっていたのだろうか?

そして、隣国の第二王子はハロルドの暗殺に失敗して、監禁幽閉されて、なんとハロルドが王太子になってしまったのだ。

その上、なんと、あの悪役令嬢が、その婚約者に収まってしまったとのことだった。

「そんなバカな!」
私は飲んでいた紅茶のカップを思わず地面に叩き割っていた。

許せない! 私はあのボケ悪役令嬢のために、散々辛酸を嘗めさせられたのだ。

私は王太子の婚約者になれず、戒律の厳しい修道院で、厳しいシスターは転属させたけれどもそれでも厳しかった・・・・、修行三昧だったのに! その間に、あの単細胞で脳筋の悪役令嬢はこの国の王太子に婚約破棄されたのに、のほほんと隣国の王太子の婚約者になってしまうなんて。
そんなの許せるわけはなかった。

それも、単細胞の女は隣国ではなんと、聖女として崇められているらしい。

あの女には聖魔法なんて使えなかったはずだ。

あの単細胞の脳筋は階段を落とされたふりをするのが得意なだけの詐欺女だ。あの単細胞が悪巧みを出来るわけはないのだが、なんとかして聖女として潜り込んだらしい。

聖女は私なのに! あの単細胞の悪役令嬢が聖女なんて、許されるわけはなかった。

私は直ちに大司教に抗議して頂けるように、スケスケの衣服を来て大司教にしなだれかかったのだ。この世界の男どもは本当にアホで、私がそうすれば敵わないことはなかった。

しかし、大司教が抗議してくれたにも関わらず、隣国の国王からは「我が国の聖女様を貶されるとはどういう心つもりか」と、逆に抗議し返される始末で、大司教からは白い目で見られてしまった。

しかし、あの女が聖魔法を使えるわけがないのだ。

こうなれば最後の手段だ。


私は今の暗黒街のボスの元に足を向けた。

その男はずんぐりむっくりとして前のボスの腰巾着をしていた男だ。こんな男に身を任せるのは嫌だったが、致し方なかった。そして、男を骨抜きの状態にすると、悪役令嬢に仕返しするために、隣国との国境にあるダンジョンに闇魔術の秘宝と言われる黒い十字架を仕掛けさせたのだ。

ボスは嬉々として仕掛けに行った。そして、黒い十字架が発動すると同時に、闇魔術の生贄としてその身を生贄えにされたのだ。まあ、私を抱けたのだから良しとすべきだろう。

同行した10名の破落戸は一人も帰らなかったと、新たな見目麗しい、ボスが言ってきた。この男は見どころがあると昔からこなをかけて来た男だ。

そして、国境の町に、新たなボスを通して大量の噂を流したのだ。

「ベルファストの偽聖女が魔物を大発生させた」と
ベルファストの国境付近の村は次々に魔物たちに襲われているとの報告が上がってきた。

「フンッ、偽聖女は宗教裁判で魔女として火あぶりにされるといいわ」
私は新たなボスの腕の中で笑ったのだった。
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