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ベルファスト第二王子視点4 エセ聖女の公爵令嬢を捕まえて、俺の女にしようと思いました

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「伝説の聖女だと」
俺は宰相に聞き返していた。建国秘話には始祖を竜を連れた聖女が助けたと記載されていた。

「はい、なんでも、辺境伯の地に竜を連れた聖女が現れたと影が報告してきました」
「その様な者がいるわけはなかろうが」
俺は馬鹿にしていった。建国神話なんぞ今頃持ち出されても、どうしようもない。

「しかし、そのものが言うには、確かにその女が連れている小型の竜のような物が巨大化したというのです」
「何を言っているのやら。竜を自在に使えるわけはなかろう。どのみち、森か洞窟に潜んでいたスノードニアの軍勢が、たまたまいた竜の機嫌を損ねたのであろうが」
俺は馬鹿にして言った。

「まあ、そうでしょうな。竜などこちらの良いように使えるわけもありませんし、もし使えるならば、その女は凄まじい戦力を持っていることになるのですから」
宰相も頷く。

「昔の建国神話をてらって、ハロルドが細工をしただけでしょう。そんなつけ刃すぐに剥がれますわ」
母も頷いてくれた。

それよりも、俺はハロルドがここまで色々計画しているとは知らなかった。今回は本気で俺とやり合う気らしい。今まで逃げていたのに、愚かなやつだ。帰ってこなければまたまだ長生きできたのに。

俺たちは王妃の護衛名目で、50名の騎士を中に入れるのに成功した。騎士職として50名もパーテイーに潜り込ませた。これだけいればなんとかなるだろう。
場外の宰相の屋敷に200名の騎士も待機させているし。完璧だった。

そんな中、ハロルド一行が到着した。

辺境伯はなんと50騎もの騎士を引き連れてきていたのだ。

大半は場外に待機したが、10名ほどが中に入ってきた。帯剣はしていないが、武器も隠し持っている可能性がある。

裏切り者のヘリフォード伯爵は妻と娘を連れてきていたのだ。まあ、3人共生かしては返さないが。
まずはハロルドの命を奪うことだ。流石にハロルドは皆の注目を浴びているが、連れてきた女を捕まえれば良かろうと俺は楽観していた。

その女がまさか、ロンド王国の公爵令嬢だとは思ってもいなかったのだ。

その娘が公爵令嬢だとしれた時に、俺は躊躇した。
公爵令嬢を亡き者にすると流石に国際問題になる。

しかしも、その娘が、竜を連れているというのだ。

よく見ると、どう見ても竜では無くて竜もどきだ。爬虫類をして竜などと、人を馬鹿にするにも程がある。

俺は思わず笑ってしまった。

でも、それをハロルドや辺境伯は大真面目で言うのだ。父までそれに頷くとはどういう事だ。

勲一等が竜もどきなど周辺諸国にとっては笑止ものだろう。死んでいったスノードニアの兵士たちにも失礼だと思うのだが。

ムカつくハロルドらは踊りでも俺たちを虚仮にしてくれた。折角目立つ衣装を着ていたのに、地味な衣装のハロルドらのほうが目立っていやがったのだ。

まあ、ここで、貴様らは死ぬのだ。ろうそくも消える前に燃え上がるのだ。

俺は公爵令嬢を囮にするために捕まえようとした。

幸いなことに、トイレに向かった女をベリンダが王宮の奥に連れ込むのに成功したのだ。
麻酔の針を首筋に刺すとあっさりと公爵令嬢は意識をなくした。

その公爵令嬢を騎士達によって捕縛して、客間の床の上に放り出した。

顔を見れば結構見え麗しい女だ。最悪俺の妃にしても良いかと俺は思ってしまった。

どのみちロンド王国で婚約破棄された女だ。王妃になるのであれば俺の相手でも文句は言わないだろう。

俺はほくそ笑んだ。

「殿下、その娘に手を付けてはいけませんぞ」
「ふんっ、ハロルドのものならば俺のものにしてもよかろう」
俺は笑うと娘の胸に手を伸ばした。
女は胸はないようだが、隣国の公爵令嬢ならば十分に使い道はあろう。煩いヘリフォード伯爵の娘を妃にする必要はなくなったのだ。この娘でもよかろうと俺は娘の顎を掴んでこちらに向けた。

「うーん」
そう言って女が目を覚ました。

「娘、目が覚めたか」
俺は言ってやった。

「あなたは第二王子」
「殿下だ」
俺は娘の前で敬称をつけてやった。
女はきっとして俺を睨みつけてきたが、俺は気の強い女も好きだ。その気の強い女を言うことをきかすように調教していくのが好きなのだ。言うことを聞かなければ殺すだけだ。

「暴れようとしても無駄だ。貴様には魔術避けの縄で縛ってある。魔術を使おうとしても使えまい」
暴れようとした女に俺は言った。

「なあに、もうじきお前の愛しの第一王子がここにやってくる。その時に最後のお別れをさせてやる」
俺は女の顔が絶望に歪むのを期待して女の顔を覗き込んだのだ。

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