ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
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スードニアの辺境伯視点2 勝てる戦が古代竜の出現で完敗しました
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作戦は順調に進んでいた。
オーガスト第二王子の大軍は王都を南下し、山伝いに東進してきたのだ。
我がコルリス辺境伯の林に到着したのが、昨日のことだ。おそらく敵には伝わっていないだろう。
そこから、敵ベルファスト王国のバーミンガム辺境伯の本拠の城まで、1日の距離だ。
我軍2千は5日前から前線の砦あたりに展開し、バーミンガム領に対して侵攻の姿勢を取っていたのだ。
索敵を増やし、旅人の通行を遮断した。
大軍が直ぐ側にいるのだ。それをバーミンガム領に知らせないためにも前もって手を打っていたのだ。影を大量にバーミンガム領に入れて放火や、食料奪取にも走らせた。そのたびにバーミンガムの兵士たちが駆けつけるが、その前に我軍は引いて行く。
俺たちの動きが怪しいと、バーミンガム伯爵は王都に救援を依頼したらしいが、案の定、王宮関係者の反対に会い、援軍は送られなかった。
こちらの思い通りだ。
そして、作戦の開始の時が来た。
夕刻をもって我が伯爵軍2千は峠の間道を進み、敵前線の砦を急襲、これを30分で殲滅占拠した。
何しろ50人くらいで守っている砦とは名ばかりのボロ屋を二千人で襲ったのだからひとたまりもなかった。敵は我軍の多さを見て驚愕しただろう。気付いた時には既に死体となっていたと思うが。
そのまま、近くのバーミンガムの食料貯蔵庫の1つを強襲したのだ。
この二千の兵が1年は余裕で食べていける食料だ。
そこも兵士が100人もおらず、2千の我軍の敵ではなかった。
我軍は急遽そこに陣地を作り始めたのだ。
持って来た柱を植え、空堀を掘る。
そうしていた所へそこへ慌てたバーミンガム軍が攻めて来たのだ。
数は2千弱。
しめた、敵はどうやらこちらを全軍だと思ったらしい。
バーミンガム伯を先頭に一気呵成に攻めてきた。
「なんとしても敵を引き付けて守り切るのだ」
俺は大声で部下たちを叱咤激励した。
一応、周りの建物を占拠して、そこから弓矢や魔術で攻撃する。
バーミンガム軍は自分らが攻めてきたら我々が引くと思っていたようだが、今回は引くわけにはいかないのだ。
我らが囮になってバーミンガム軍の大半を引き付けている間に、オーガスト王子の本体がバーミンガム伯の本拠地を占拠するはずなのだ。
これだけの軍をこちらに向けてきたということは本拠地にはほとんどの兵士はいないだろう。
バーミンガムの本拠地の城にも、影を何人か入れてある。それが今頃は本隊と渡りをつけて、先遣部隊を伯爵邸の城に入れているはずだ。
彼らが城門を開けて本隊を城の中に招き入れれば占拠は容易だ。その本体がこちらに攻めてくれば、バーミンガム伯の部隊を挟み撃ちにして殲滅するのも容易だ。
こちらは食物庫を後ろにしているので、敵も火力攻撃はし辛いはずだ。2時間も防げば本隊もやってくるだろう。
「者共、どんな事をしても2時間、敵を支えきれ」
俺が大声で叱咤激励する。
こちらは建物の影から攻撃するので敵の被害は結構甚大なはずだ。
今頃はバーミンガム伯も慌てているはずだ。我々がいつものように引かないのだから。
敵の本陣が騒がしくなった。どうやら敵は我が本隊が要塞を攻撃しだしたのを知ったようだ。
「今更遅いわ」
俺はほくそ笑んだ。
ここからバーミンガムの要塞までは馬でも1時間弱のところだ。
今から戻っても間に合わない。
ドカーーーーーン
その俺の耳に遠くで爆発音がした。
ん、何だこの爆発音は。俺は不吉な予感がした。
本隊がバーミンガム伯の要塞を破壊したのか? しかし、要塞は今後の攻撃の拠点にするはずで、破壊するとは聞いていなかった。
そして、続いて
「ガォーーーー」
遠くで巨大な魔物の雄叫びなようなものが聞こえてきたのだ。
兵士たちはお互いを見回して少し不安がった。
バーミンガム軍は慌てて大半の兵士たちが帰っていった。
本来ならば即座に後ろから攻撃をかけるところなのだが、俺のかんが止めたほうが良いと告げていた。
そこへ、秘密の連絡が来た。
影からの報告だ。
副官が慌てて俺の方に来た。
「閣下大変です。我が本隊は魔女の展開する巨大魔術で壊滅したと」
「な、何だと。2万弱の兵士がいたのだぞ。そんな馬鹿なことがあるか」
俺は副官を怒鳴りつけていた。そうなのだ。いくら凄い魔術師でも2万の兵力を瞬時に殲滅するなど不可能なのだ。敵バーミング伯は、それだけの魔術師を城に配置していて、逆襲に転じたのだろうか。いや、それなら慌てて帰る必要はなかったはずだ。今頃余裕で我らと渡りあっているだろう。
「その後に古代竜が突如現れて、残った兵士たちを強襲、兵士たちはほうほうの体で逃げ帰ったと」
「こ、古代竜が、そんなに都合よく古代竜が現れるものか」
俺は信じられなかった。
「閣下。今、伯爵領から緊急の連絡があり、古代竜が我が方の砦を殲滅、そのまま領都に炎を吐いて大暴れしているとの報です」
「な、何だと」
俺は慌てて全軍を集めると取り敢えず、領都に帰った。
俺の目の前には焼けただれて廃墟と化した、領都が広がっていたのだ。
オーガスト第二王子の大軍は王都を南下し、山伝いに東進してきたのだ。
我がコルリス辺境伯の林に到着したのが、昨日のことだ。おそらく敵には伝わっていないだろう。
そこから、敵ベルファスト王国のバーミンガム辺境伯の本拠の城まで、1日の距離だ。
我軍2千は5日前から前線の砦あたりに展開し、バーミンガム領に対して侵攻の姿勢を取っていたのだ。
索敵を増やし、旅人の通行を遮断した。
大軍が直ぐ側にいるのだ。それをバーミンガム領に知らせないためにも前もって手を打っていたのだ。影を大量にバーミンガム領に入れて放火や、食料奪取にも走らせた。そのたびにバーミンガムの兵士たちが駆けつけるが、その前に我軍は引いて行く。
俺たちの動きが怪しいと、バーミンガム伯爵は王都に救援を依頼したらしいが、案の定、王宮関係者の反対に会い、援軍は送られなかった。
こちらの思い通りだ。
そして、作戦の開始の時が来た。
夕刻をもって我が伯爵軍2千は峠の間道を進み、敵前線の砦を急襲、これを30分で殲滅占拠した。
何しろ50人くらいで守っている砦とは名ばかりのボロ屋を二千人で襲ったのだからひとたまりもなかった。敵は我軍の多さを見て驚愕しただろう。気付いた時には既に死体となっていたと思うが。
そのまま、近くのバーミンガムの食料貯蔵庫の1つを強襲したのだ。
この二千の兵が1年は余裕で食べていける食料だ。
そこも兵士が100人もおらず、2千の我軍の敵ではなかった。
我軍は急遽そこに陣地を作り始めたのだ。
持って来た柱を植え、空堀を掘る。
そうしていた所へそこへ慌てたバーミンガム軍が攻めて来たのだ。
数は2千弱。
しめた、敵はどうやらこちらを全軍だと思ったらしい。
バーミンガム伯を先頭に一気呵成に攻めてきた。
「なんとしても敵を引き付けて守り切るのだ」
俺は大声で部下たちを叱咤激励した。
一応、周りの建物を占拠して、そこから弓矢や魔術で攻撃する。
バーミンガム軍は自分らが攻めてきたら我々が引くと思っていたようだが、今回は引くわけにはいかないのだ。
我らが囮になってバーミンガム軍の大半を引き付けている間に、オーガスト王子の本体がバーミンガム伯の本拠地を占拠するはずなのだ。
これだけの軍をこちらに向けてきたということは本拠地にはほとんどの兵士はいないだろう。
バーミンガムの本拠地の城にも、影を何人か入れてある。それが今頃は本隊と渡りをつけて、先遣部隊を伯爵邸の城に入れているはずだ。
彼らが城門を開けて本隊を城の中に招き入れれば占拠は容易だ。その本体がこちらに攻めてくれば、バーミンガム伯の部隊を挟み撃ちにして殲滅するのも容易だ。
こちらは食物庫を後ろにしているので、敵も火力攻撃はし辛いはずだ。2時間も防げば本隊もやってくるだろう。
「者共、どんな事をしても2時間、敵を支えきれ」
俺が大声で叱咤激励する。
こちらは建物の影から攻撃するので敵の被害は結構甚大なはずだ。
今頃はバーミンガム伯も慌てているはずだ。我々がいつものように引かないのだから。
敵の本陣が騒がしくなった。どうやら敵は我が本隊が要塞を攻撃しだしたのを知ったようだ。
「今更遅いわ」
俺はほくそ笑んだ。
ここからバーミンガムの要塞までは馬でも1時間弱のところだ。
今から戻っても間に合わない。
ドカーーーーーン
その俺の耳に遠くで爆発音がした。
ん、何だこの爆発音は。俺は不吉な予感がした。
本隊がバーミンガム伯の要塞を破壊したのか? しかし、要塞は今後の攻撃の拠点にするはずで、破壊するとは聞いていなかった。
そして、続いて
「ガォーーーー」
遠くで巨大な魔物の雄叫びなようなものが聞こえてきたのだ。
兵士たちはお互いを見回して少し不安がった。
バーミンガム軍は慌てて大半の兵士たちが帰っていった。
本来ならば即座に後ろから攻撃をかけるところなのだが、俺のかんが止めたほうが良いと告げていた。
そこへ、秘密の連絡が来た。
影からの報告だ。
副官が慌てて俺の方に来た。
「閣下大変です。我が本隊は魔女の展開する巨大魔術で壊滅したと」
「な、何だと。2万弱の兵士がいたのだぞ。そんな馬鹿なことがあるか」
俺は副官を怒鳴りつけていた。そうなのだ。いくら凄い魔術師でも2万の兵力を瞬時に殲滅するなど不可能なのだ。敵バーミング伯は、それだけの魔術師を城に配置していて、逆襲に転じたのだろうか。いや、それなら慌てて帰る必要はなかったはずだ。今頃余裕で我らと渡りあっているだろう。
「その後に古代竜が突如現れて、残った兵士たちを強襲、兵士たちはほうほうの体で逃げ帰ったと」
「こ、古代竜が、そんなに都合よく古代竜が現れるものか」
俺は信じられなかった。
「閣下。今、伯爵領から緊急の連絡があり、古代竜が我が方の砦を殲滅、そのまま領都に炎を吐いて大暴れしているとの報です」
「な、何だと」
俺は慌てて全軍を集めると取り敢えず、領都に帰った。
俺の目の前には焼けただれて廃墟と化した、領都が広がっていたのだ。
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