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伯爵家で眠らせられました

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「何かものすごく寂れていない?」
私が街並みを見て言った。

街のメインロードを馬に乗って歩いているのだが、人通りも少ないし、開いている店自体が少ないのだ。

「そうですな。2年前に水害があったと聞いておりますから、それから立ち直っていないのでしょう」
エイブさんが言ってくれた。

でも、本当に少ないんだけど。伯爵領なのに、こんな人が少なくて良いのだろうか?




伯爵邸は街の外れにあった。

広大な敷地だ。

門番がいて、
「キャサリン・シェフィールドが着いたと、お伝えいただけますか」
門番に話す。

「ロンド王国のシェイフィールド様とは公爵家のお嬢様でしたか」
エイブさんが驚いて声を出された。

「もう、エイブさんったら。もうじき、平民になるかもしれないので。そのような気遣いは止めて下さい」
私はエイブさんに言った。エイブさんもおそらくお貴族様。それも高位貴族だ。

私達は建物の中に案内された。

「これはこれはキャサリン様。ようこそいらっしゃいました。ケタリング伯爵家の当主ケインです。こちらが家内のマリーンです」
伯爵が挨拶してくれた。

「すみません。しばらくお世話になります」
私が頭を下げた。

「このようなところで何もお世話は出来ませんが、しばし、ごゆるりとお寛ぎ下さい」
「ありがとうございます」
なんか当主からは、時折蔑んだような視線を感じるのだが、私が冒険者の格好だからだろうか?

部屋はこじんまりした部屋が充てがわれた。まあ、公爵家の部屋に比べれば小さいが、伯爵家なのだからこんなものなんだろう。前世の記憶からしたら広い部屋だから。

私は一人で風呂を入れた。
私は部屋にペットとしてそのまま龍ちゃんを連れてきていた。伯爵は犬だと踏んだのだろうが、あまりいい顔はしなかったが、持ち込みの許可をくれたのだ。

「じゃ、龍ちゃん。お風呂一緒にはいる?」
「ピー」
龍ちゃんは喜んで風呂に入ってきたのだ。

龍ちゃんを浴槽でワシャワシャ洗う。

「ピーーー」
龍ちゃんは私の胸の中でご機嫌だった。

私もダンジョンでの汗を流した。




風呂を出ると、部屋着に着替えた。

服も少し、買い揃えてもらっていてよかった。

でも、金を無くしたから、少し公爵家から送ってもらったほうが良いだろう。そうか、早速ギルドに登録して冒険者家業に入るかだ。おそらくこの伯爵領にも冒険者ギルドはあるはずだ。

そう考えている時にノックの音がした。

「どうぞ」
声をかけるとハロルドだった。

私はむっとする。私はまだ許していないのだ。

「何しに来たの?」
私の視線を感じてハロルドは視線をそらす。

「何か狭い部屋だな。使用人部屋みたいな部屋なんだが」
「あなたの部屋が?」
「違う。この部屋だ。君は曲がりなりにも公爵家令嬢だろう?」
「そうかな。伯爵家ならこんなものじゃないの?」
「そんなわけ無いだろう。専属のメイドもいないし、何か扱いが雑だな」
まあ、それは感じたことだが、前世では風呂は一人では入れていたし、問題は全然なかった。伯爵家としては復興もままならないのに、余計なのが来たという感じなのだろう。

「まあ、いずれ平民になるんだから、仕方が無いんじゃない」
「あのな。一応、陛下からも許されたんだろう」
ハロルドが言ってくるが、

「でも、あのピンク頭が許してくれそうにないし。絶対にまたなんかやってくれるわよ。そんな危険な所に戻るよりもこちらで暮らしたほうが楽じゃない」
私の説明にハロルドは不満そうだ。

「しかし、冒険者としては無理だぞ」
「ええええ、やってみないとわかんないじゃない」
「あのな」
ハロルドは頭を抱えていた。


そこへメイドが現れて、食事の用意ができたと言いに来た。

私達はメイン食堂に案内された。

なんと騎士達も全員メイン食堂で食べさせてくれるみたいだ。伯爵夫妻をぐるっと囲む感じだ。

伯爵の隣がエイブさんで、エイブさんはこの伯爵領の近くの辺境伯領の騎士らしい。
ええええ! そのエイブさんが若って言うことはハロルドは辺境伯の子息なんだろうか。うーん、私が平民になったら近寄れない存在だ。

「ハロルド様はバーミンガム辺境伯のご家族ですか」
エイブさんが若ってハロルドのことを呼ぶから伯爵が聞いてほしいことを聞いてくれた。

「いえ、私は辺境伯の遠縁にあたります」
ハロルドが応える。

「キャサリン様は1年間のご遊学ということですが、もう間もなく、社交シーズンに入りますから、王都に行かれますの」
夫人が聞いてきた。

「そうですね。社交も出させて頂けたらとは思いますが、それよりも将来的には、出来たらこちらで生活できるようになりたいので、色々見て回りたいのですが、この近くの大きな都市はどちらになりますか」
「やはり王都ですな。辺境伯のご領地の街も大きいのですが、王都はなにしろ100万都市ですから」
私の問に伯爵が答えてくれた。

「なるほど100万都市ですか」
まあ、それだけ大きければ一人紛れても問題がないように思うけど、職なんかあるんだろうか?
私の能力って障壁に特化しているからやっぱり冒険者が良いと思うんだよね。

「やっぱり王都まで行けば、冒険者ギルドはありますよね」
「それはありますが、冒険者ギルドに何しに行かれるのですか?」
夫人が不思議そうに聞いてくる。
エイブさんとハロルドは呆れたように私を見てくるし、やってみないとわからないじゃない。

そう思った時だ。いきなり隣の騎士さんがガタリと突っ伏して眠り込んでしまった。

ええええ! 何で?
と思う間もなく、私も眠くなってきた。そのまま突っ伏したところで意識を無くしていた。


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script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。

前作

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/904668301

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。二人をくっつけようとするシルフィだけど、何故か上手くいかなくて・・・・。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
前の投稿作品がこちら
『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。

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