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王女の侍女は平民クリスと知り合いになりました

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でも、どこにでもいるのだ。横柄な人間が。
学園長のお話の後に私達はそれぞれのクラスに向かった。

教室に行って座席表を見ると私は後ろの方の席だった。

席について隣の女の子を見て驚く。

さっき隣だった大きな黒縁メガネの女の子だった。

「あっ、あなたさっき隣だった」
私は嬉しくて声をかけた。ここはインダルではなくてボフミエ魔導国、知っている人は全くいなかった。

「私はソニア・サンスクリット。インダル王国から来たの」
私は挨拶する。
「私はクリス。ボフミエの平民なの。よろしくね」
「あっ、あなたも平民なんだ。良かった。私も平民なの」

私は嬉しくなってきた。もちろん貴族でも良いんだけど、できれば我が王女に力を貸してくれそうな大貴族が一番嬉しい。でも、貴族と付き合うのは気疲れのほうが大きい。絶対にこちらが平民だと見下してくれる。それに対して平民だと少なくとも気を使う必要はない。クラスの隣の席の子が平民の子で私はホツとした。

「でも、インダルってとても遠い国じゃない。そんなところから平民の女の子が来るなんて大変じゃない」
「あなた、インダル王国知っているの。こっちじゃ誰も知らなくて」
私は感動した。インダルはちっぽけな国だけど私の母国だ。でも、寮で会った子たちに言っても誰も知らなかった。それなのに、この平民の女の子が知ってくれているなんて。
私は嬉しくなった。

その時だ。

「おい、そこのさえない女。席を代われ」
いきなりクリスに命じてきた奴がいた。
見るといかにも傲慢な男が立っていた。この立ち居振る舞い絶対に貴族の息子だ。

「座席は決まっているんですけど」
クリスは不思議そうな顔で男を見た。
そうだ。こいつは馬鹿か。私はクリスと一緒に睨んでやった。

「うるさいブス。公爵令息のこのデニス・ハウゼン様がこの席にするって言ったんだよ。平民の分際で口答えするな」
男が威張って言った。

「何言っているのよ。あなた、学園長の話は聞いていなかったの」
私は我慢ならなくて、クリスの前に出て思わず叫んでいた。私が言われたのなら我慢するけれど、友達が、それもインダル王国のことを知ってくれている友達がブスって言われたことに切れていた。

「公爵の息子だろうが、何だろうが、親が偉いだけじゃない。あなた偉そうに言うだけで魔力はあるの?」
「何だと平民の分際で俺に逆らうのか」
男は手を上げた。私は思わず身構えた。でも、手は降りてこなかった。

思わずつかみかかろうとしたデニスの手を横から入って来た男がはじいてくれた。

「何をする?」
「それはこちらのセリフだ」
私はそう言う男が先程講堂で私がぶつかった男だと思い出した。
ムカつく男だったが、今度は助けてくれたらしい。


「近衛騎士のアルバート・バーミンガム様よ」
「うそ、本当だ」
周りの女たちが騒ぎ出す。

その言葉に私も驚いた。アルバート・バーミンガム、元々南の超大国ドラフォード王国の筆頭公爵家の息子で今は筆頭魔導師様の護衛騎士だ。私でも知っている雲の上の人だった。


「あなたが何故ここに」
本人を改めて見てデニスは慌てた。

「デニス・ハウゼン。この学園の規則は平民も貴族も平等だ。それは筆頭魔導師様が決められたことだ。それに対して君は逆らうのか」
「いえ、滅相もありません」
デニスは慌てて去っていった。


「助けて頂いてありがとうございました」
私は改めてお礼を言った。

「いや、俺も親が偉いだけの公爵の息子だ」
そうぶすっとアルバートは言うと自分の席についた。クリスの前の席だった。
その嫌味に私はまた少し頭にきたが、助けてくれたのは事実だ。良いところも少しはあるのだろう。先程の失礼な態度を私は忘れようと思った。

しかし、前途多難だ。貴族のそれも公爵家の男二人と知り合えたが、一人には喧嘩を売ってしまったし、もう一人も怒らせてしまった。明日から果たして有力な後ろ盾を得ることは可能なんだろうか。私は憂鬱になった。

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本日はバンバン更新していこうと思います
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