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新しい友人と休日にお出かけする約束をしました
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次の日はさすがにちゃんと目覚ましで起きられた。
食堂に行くと結構混んでいた。
周りを見るとライラは男爵家の連中と食事していた。
私を見ても完全無視してくれたのだ。
私はムッとして他を探す。
ヨーナスらは騎士の朝練が長引いているのかいなかった。
仕方なしに空いてるところに座って食べていると
「こちら、座ってもいいかしら?」
同じクラスの緑髪の女の子が声をかけて来た。スレンダーな感じで結構美人だ。確か、この子も私と同じ平民だったような気がする。
「ええ、大丈夫よ」
「良かった。結構朝から混んでいるわよね」
ほっとして女の子が言った。
「私はノーラよ」
女の子が名乗ってくれた。
「私は」
「知っているわよ。ニーナさんでしょ」
ノーラが呼んでくれた。
「えっ」
驚いて私がノーラを見ると
「何驚いているのよ。あなたの事を知らない生徒なんかいないわよ。歓迎パーティーで、今まで誰一人エスコートしたことのない殿下にしてもらったり、水魔法でヴィルタネン先生を吹き飛ばしたり、ペトラ先生の授業に二回連続遅刻してきたり、あなたの事を知らなかったら潜りよ」
ノーラは笑って言ってくれた。
「そうなんだ」
私は適当に笑って誤魔化した。
そうか、そこまで有名なんだ……
私はショックだった。
「えっ、どうしたの? ひょっとしてそこまで有名になっているって知らなかったの」
「だって私、地味で大人しい性格だし」
「何言っているのよ。大人しい人がヴィルタネン先生を水魔法でぶっ飛ばしたりしないわよ」
「いやだからあれは失敗して」
「良く言うわね。完全に狙ってやったでしょ」
「……」
ノーラに言われて、私は何一つ言い返せなかった。でも、ほとんど初対面の人にそこまで言われるいわれはないはずだけど……
「まあまあ、そんなに怒らないで。私、そんなニーナさんとお近づきになりたいなって思っていたんだけど、ライラさんがずうーーーーっと傍にいたから中々話しかけられなかったのよ。でも、今日はニーナさんが一人でいらしたから、話しかけてもいいかなって」
「別に話しかけてくれるのはいつでもいいわよ。私たちクラスメートなんだし」
別にライラがいても話しかけてくれて良いのだ。ライラとは絶賛喧嘩中だし。
「有難う。それでね。ニーナさんは甘いものはお好き?」
「それは好きよ」
ノーラがいきなり聞いて来たので、私は頷いた。
「王都に『お菓子の家』っていうカフェがオープンしたのよ。そこのアップルパイが絶品なんだって」
「へえ、そうなんだ」
アップルパイか、今世ではまだ食べたこともない。
でも、前世では私の好物でもあったのだ。出来たら食べたいと思ってしまった。
「明日は土曜日で学園は休みじゃない。実は友達と行くんだけど、良かったらあなたも一緒に行かないかなって」
いきなりノーラが誘ってくれたんだけど。
「えっ、本当に? でも、私が一緒に行っても良いの?」
「大丈夫よ。二人とも気さくな方だから」
私の質問にノーラが笑って答えてくれた。甘いものに私は惹かれてしまった。
「そうね」
でも、ノーラとはまだそんなに親しくないが、今はライラとは絶賛喧嘩中だ。週末の予定もないし。
私はなんか視線を感じたのでそちらの方をちらりと見たら、何かライラがこちらを睨みつけているんだけけど……何故に?
「どうする? とても人気の店なのよ」
「行くわ」
ノーラの誘いに私は思わず頷いてしまっていたのだ。
ライラがなんか言ってきそうだったが、ライラは自分の友達らと仲良くしたらいいし、私はほかの友達とも仲良くなりたかった。
「また、詳しくは連絡するわ」
ノーラの言葉に頷くと私は友達がもう一人できて浮かれていた。
私はお昼休みに、会長に帝国語を教わりながら、新しく友達が出来たことを会長に話したのだ。
「その子に明日、皆と新しく出来た『お菓子の家』に行こうって誘われたんです」
私が嬉しそうに話すと、
「『お菓子の家』か。王都に出来た人気のカフェだよな。若手の貴族とかが良く利用している」
「えっ、会長まで知っているんですか?」
「それはそうだろう。とりあえず、王都のことは父親から任されているから、色んな情報は仕入れるようにしているんだ」
会長は言ってくれたんだけど
そう言えば会長は王子様だった。
父親って当然陛下で、その陛下に任されているってどれだけ凄いのかこの時は知らなかった。
「会長は王都のことは詳しいんですか?」
単純な私は喜んで聞いていたのだ。
「それはニーナ嬢に比べれば当然詳しいよ。俺は地元だしな」
「そうですか。私は安いお出かけ用の服とかもう少し準備したいんですけど」
「安い服なら、下町エリアに多いけれど、治安が悪いところもあるからな。行くならちゃんとした奴らと一緒に行けよ」
「そうですね。そうします」
ノーラらなら平民だし、詳しいだろう。私はノーラに相談しようと思ったのだ。
会長は貴重な昼休みを私の帝国語のために潰してくれたのだ。それもお菓子付きで。
本当に感謝しか無かった。
私は最後にウィル様への手紙を渡して喜んでその場を離れたのだ。
そんな私をライラが物陰から睨んでいるなんて知らなかったのだ。
*****************************************************
今日はここまでお付き合い頂いてありがとうございました。
続きは明日更新予定です。
よろしくお願いします!
食堂に行くと結構混んでいた。
周りを見るとライラは男爵家の連中と食事していた。
私を見ても完全無視してくれたのだ。
私はムッとして他を探す。
ヨーナスらは騎士の朝練が長引いているのかいなかった。
仕方なしに空いてるところに座って食べていると
「こちら、座ってもいいかしら?」
同じクラスの緑髪の女の子が声をかけて来た。スレンダーな感じで結構美人だ。確か、この子も私と同じ平民だったような気がする。
「ええ、大丈夫よ」
「良かった。結構朝から混んでいるわよね」
ほっとして女の子が言った。
「私はノーラよ」
女の子が名乗ってくれた。
「私は」
「知っているわよ。ニーナさんでしょ」
ノーラが呼んでくれた。
「えっ」
驚いて私がノーラを見ると
「何驚いているのよ。あなたの事を知らない生徒なんかいないわよ。歓迎パーティーで、今まで誰一人エスコートしたことのない殿下にしてもらったり、水魔法でヴィルタネン先生を吹き飛ばしたり、ペトラ先生の授業に二回連続遅刻してきたり、あなたの事を知らなかったら潜りよ」
ノーラは笑って言ってくれた。
「そうなんだ」
私は適当に笑って誤魔化した。
そうか、そこまで有名なんだ……
私はショックだった。
「えっ、どうしたの? ひょっとしてそこまで有名になっているって知らなかったの」
「だって私、地味で大人しい性格だし」
「何言っているのよ。大人しい人がヴィルタネン先生を水魔法でぶっ飛ばしたりしないわよ」
「いやだからあれは失敗して」
「良く言うわね。完全に狙ってやったでしょ」
「……」
ノーラに言われて、私は何一つ言い返せなかった。でも、ほとんど初対面の人にそこまで言われるいわれはないはずだけど……
「まあまあ、そんなに怒らないで。私、そんなニーナさんとお近づきになりたいなって思っていたんだけど、ライラさんがずうーーーーっと傍にいたから中々話しかけられなかったのよ。でも、今日はニーナさんが一人でいらしたから、話しかけてもいいかなって」
「別に話しかけてくれるのはいつでもいいわよ。私たちクラスメートなんだし」
別にライラがいても話しかけてくれて良いのだ。ライラとは絶賛喧嘩中だし。
「有難う。それでね。ニーナさんは甘いものはお好き?」
「それは好きよ」
ノーラがいきなり聞いて来たので、私は頷いた。
「王都に『お菓子の家』っていうカフェがオープンしたのよ。そこのアップルパイが絶品なんだって」
「へえ、そうなんだ」
アップルパイか、今世ではまだ食べたこともない。
でも、前世では私の好物でもあったのだ。出来たら食べたいと思ってしまった。
「明日は土曜日で学園は休みじゃない。実は友達と行くんだけど、良かったらあなたも一緒に行かないかなって」
いきなりノーラが誘ってくれたんだけど。
「えっ、本当に? でも、私が一緒に行っても良いの?」
「大丈夫よ。二人とも気さくな方だから」
私の質問にノーラが笑って答えてくれた。甘いものに私は惹かれてしまった。
「そうね」
でも、ノーラとはまだそんなに親しくないが、今はライラとは絶賛喧嘩中だ。週末の予定もないし。
私はなんか視線を感じたのでそちらの方をちらりと見たら、何かライラがこちらを睨みつけているんだけけど……何故に?
「どうする? とても人気の店なのよ」
「行くわ」
ノーラの誘いに私は思わず頷いてしまっていたのだ。
ライラがなんか言ってきそうだったが、ライラは自分の友達らと仲良くしたらいいし、私はほかの友達とも仲良くなりたかった。
「また、詳しくは連絡するわ」
ノーラの言葉に頷くと私は友達がもう一人できて浮かれていた。
私はお昼休みに、会長に帝国語を教わりながら、新しく友達が出来たことを会長に話したのだ。
「その子に明日、皆と新しく出来た『お菓子の家』に行こうって誘われたんです」
私が嬉しそうに話すと、
「『お菓子の家』か。王都に出来た人気のカフェだよな。若手の貴族とかが良く利用している」
「えっ、会長まで知っているんですか?」
「それはそうだろう。とりあえず、王都のことは父親から任されているから、色んな情報は仕入れるようにしているんだ」
会長は言ってくれたんだけど
そう言えば会長は王子様だった。
父親って当然陛下で、その陛下に任されているってどれだけ凄いのかこの時は知らなかった。
「会長は王都のことは詳しいんですか?」
単純な私は喜んで聞いていたのだ。
「それはニーナ嬢に比べれば当然詳しいよ。俺は地元だしな」
「そうですか。私は安いお出かけ用の服とかもう少し準備したいんですけど」
「安い服なら、下町エリアに多いけれど、治安が悪いところもあるからな。行くならちゃんとした奴らと一緒に行けよ」
「そうですね。そうします」
ノーラらなら平民だし、詳しいだろう。私はノーラに相談しようと思ったのだ。
会長は貴重な昼休みを私の帝国語のために潰してくれたのだ。それもお菓子付きで。
本当に感謝しか無かった。
私は最後にウィル様への手紙を渡して喜んでその場を離れたのだ。
そんな私をライラが物陰から睨んでいるなんて知らなかったのだ。
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今日はここまでお付き合い頂いてありがとうございました。
続きは明日更新予定です。
よろしくお願いします!
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