1 / 62
破落戸に寝ている所を襲われました
しおりを挟む
たくさんの物語の中から、このお話を選んでいただいてありがとうございます。
*****
私はニーナ・イナリ、この世界では珍しい黒目黒髪だ。そして銀縁メガネをしているんだけど、見た目はとても地味で、他の男の子らが言うにはダサイそうだ。そう言った男の子は思いっきり蹴飛ばしてやったけど……
私は、この髪の色のせいで、「魔王」とか、「化け物」とか言われて、同い年の子らにはやし立てられて虐められることも多かった。
なんでも、千年前にこの世を支配していた魔王が黒目黒髪だったそうだ。
そんな昔の話を持ってくるなよ!
昔は何を言われても黙っていた。そして、皆が言い飽きるまでただひたすら堪えていたんだけど、最近は反撃している。
それも魔法で!
そう、なんとこの世界では魔法が使えるのだ。
まあ、私の使える魔法なんて、水をぶっかけるとかお尻に火を付けるとか本当に簡単な物しかできないんだけど。
一度火魔法で逃げられて家具に火がついて慌てて水をぶっかけて消したことがあって、それ以来火魔法の使用は禁止されているんだけど。
もっとも魔法が使えるのは一部の人みたいで、平民の中では少ないみたい。
そして、どうやら、私は前世の記憶があるらしいのだ。
もっとも病院とかいう所でずうーーーーっと寝ていた記憶が大半なんだけど。
前世は病弱で外で遊んだ記憶なんてほとんど無かった。
前世で死ぬ時に来世は健康な体で生まれたいってお祈りしたら、本当に健康体になっていたのだ。
今まで風邪一つ引いたことはない。
前世の記憶はふざけて、川に突き落とされて溺れかけた時に、一気に甦ったのだ。
そのまま、3日間高熱にうなされて大変だった。
この生まれ変わった世界が前世の小説によくあったようなゲームの世界かどうかは判らない。だって親にはゲームは目が悪くなるからだめと言われて、あまりさせてもらえなかったし……
でも、どのみちなら、公爵令嬢とか、王女様とかに生まれ変わりたかった。
それをおばあちゃんに言うと、
「欲張るんじゃないよ!」
って怒られたけど、まあ、五体満足で健康に生まれたのだから、そこでよしとすべきなんだと思った。
そんなおばあちゃんが私をおいて亡くなった。
両親を事故で亡くした私をここまで育ててくれた大切なおばあちゃんだった。
私はついに一人になってしまったのだ。
私は大泣きした。
葬式は近所のおばちゃん達が総出でやってくれた。私は悲しくてそれどころではなかったのだ。
そんな涙にくれているなかだ。
私の前で、駆けていた向かいの家のキッカが盛大に転けてくれた。
血を出して、盛大に泣き出したのだ。
私は思わずキッカを片手で抱いて、やってしまったのだ。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」
そう、おまじないをかけたのだ。
私の手からキラキラした光が光って、それがキッカの傷に向かって飛ぶと、その傷を包んだ。そして、傷ががあっという間に塞がったのだ。
皆が、ぎょっとして私達を見た。
や、やってしまった!
前世の記憶を思い出した頃から急にこんな事が出来るようになったのだ。
そして、喜んでおばあちゃんに自慢したら、おばあちゃんには人前では絶対に使うなときつく言われていたのだ。こんなの使うって皆に知られたら、どこかに連れ去られて監禁されてしまうよと。
まずい、やってしまった……
「おい、今の見たか?」
たまたま通りかかった、冒険者らしき男達が言っているのが聞こえた。
みんな驚いて私を見ているし……
「何をやっているんだい。そろそろ葬儀を始めるよ」
そんな時、となりのおばちゃんが声をかけてくれて、慌てて皆、動き出した。
そう、何も無かったかのように。
私は完全に誤魔化せたと思ったのだ。
その夜中までは……
私は葬儀を終えて疲れきっていた。
大半は近所のおばちゃん達がしきってくれたのだけど……
最後に大家さんに、言われたのだ。
「今まではあんたのおばあちゃんがいたから、格安に貸し出していたんだけど、おばあちゃんがいなくなったんだから、出来たらさっさと出て行ってほしい」と
「あんた、こんな時に何を言うんだい!」
となりのおばちゃんが文句を言ってくれたから、大家さんは引っ込んでくれたけど、すぐとは言わなくてもいずれは出て行かざるを得ないだろう。
出るったって、どこに行けば良い?
私はおばあちゃんが亡くなって天涯孤独になってしまったのだ。
行くところなんてあるわけない。
それやこれやを考えてたら、いつの間にか私は寝てしまっていた。
そして、夢の中で私はこけたキッカに
「痛いの痛いの飛んでいけ」
と魔法をかけていた。これはおそらく、前世の物語に見た癒し魔法のヒールだと思う。普通は「ヒール」ってカッコよく呪文を唱えるんだけどなんかヒールではうまくいかなくて、いつも「痛いの痛いの飛んでいけ」なんだけど。
そう思っていた私は突然、男に襲われたのだ。
伸し掛かられて、必死に抵抗しようとしてはっとして目を覚ましたのだ。
そして、私は目の前に男の顔を見たのだ。
現実にも私は男にのしかかられていたのだ。
「えっ?」
とっさに何が起こったか判らなかった。
「動くんじゃない!」
そんな私の首筋にナイフが突きつけられたのだ。
私は恐怖のあまり声も出なかった。
とっさのことに魔法も何も使えなかったのだ。
金縛りにかかったみたいだった。
「結構かわいい顔しているぜ」
男がいやらしい目で私を睨めつけたのだ。
*******************************************************
絶体絶命のニーナ
続きはすぐです。
*****
私はニーナ・イナリ、この世界では珍しい黒目黒髪だ。そして銀縁メガネをしているんだけど、見た目はとても地味で、他の男の子らが言うにはダサイそうだ。そう言った男の子は思いっきり蹴飛ばしてやったけど……
私は、この髪の色のせいで、「魔王」とか、「化け物」とか言われて、同い年の子らにはやし立てられて虐められることも多かった。
なんでも、千年前にこの世を支配していた魔王が黒目黒髪だったそうだ。
そんな昔の話を持ってくるなよ!
昔は何を言われても黙っていた。そして、皆が言い飽きるまでただひたすら堪えていたんだけど、最近は反撃している。
それも魔法で!
そう、なんとこの世界では魔法が使えるのだ。
まあ、私の使える魔法なんて、水をぶっかけるとかお尻に火を付けるとか本当に簡単な物しかできないんだけど。
一度火魔法で逃げられて家具に火がついて慌てて水をぶっかけて消したことがあって、それ以来火魔法の使用は禁止されているんだけど。
もっとも魔法が使えるのは一部の人みたいで、平民の中では少ないみたい。
そして、どうやら、私は前世の記憶があるらしいのだ。
もっとも病院とかいう所でずうーーーーっと寝ていた記憶が大半なんだけど。
前世は病弱で外で遊んだ記憶なんてほとんど無かった。
前世で死ぬ時に来世は健康な体で生まれたいってお祈りしたら、本当に健康体になっていたのだ。
今まで風邪一つ引いたことはない。
前世の記憶はふざけて、川に突き落とされて溺れかけた時に、一気に甦ったのだ。
そのまま、3日間高熱にうなされて大変だった。
この生まれ変わった世界が前世の小説によくあったようなゲームの世界かどうかは判らない。だって親にはゲームは目が悪くなるからだめと言われて、あまりさせてもらえなかったし……
でも、どのみちなら、公爵令嬢とか、王女様とかに生まれ変わりたかった。
それをおばあちゃんに言うと、
「欲張るんじゃないよ!」
って怒られたけど、まあ、五体満足で健康に生まれたのだから、そこでよしとすべきなんだと思った。
そんなおばあちゃんが私をおいて亡くなった。
両親を事故で亡くした私をここまで育ててくれた大切なおばあちゃんだった。
私はついに一人になってしまったのだ。
私は大泣きした。
葬式は近所のおばちゃん達が総出でやってくれた。私は悲しくてそれどころではなかったのだ。
そんな涙にくれているなかだ。
私の前で、駆けていた向かいの家のキッカが盛大に転けてくれた。
血を出して、盛大に泣き出したのだ。
私は思わずキッカを片手で抱いて、やってしまったのだ。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」
そう、おまじないをかけたのだ。
私の手からキラキラした光が光って、それがキッカの傷に向かって飛ぶと、その傷を包んだ。そして、傷ががあっという間に塞がったのだ。
皆が、ぎょっとして私達を見た。
や、やってしまった!
前世の記憶を思い出した頃から急にこんな事が出来るようになったのだ。
そして、喜んでおばあちゃんに自慢したら、おばあちゃんには人前では絶対に使うなときつく言われていたのだ。こんなの使うって皆に知られたら、どこかに連れ去られて監禁されてしまうよと。
まずい、やってしまった……
「おい、今の見たか?」
たまたま通りかかった、冒険者らしき男達が言っているのが聞こえた。
みんな驚いて私を見ているし……
「何をやっているんだい。そろそろ葬儀を始めるよ」
そんな時、となりのおばちゃんが声をかけてくれて、慌てて皆、動き出した。
そう、何も無かったかのように。
私は完全に誤魔化せたと思ったのだ。
その夜中までは……
私は葬儀を終えて疲れきっていた。
大半は近所のおばちゃん達がしきってくれたのだけど……
最後に大家さんに、言われたのだ。
「今まではあんたのおばあちゃんがいたから、格安に貸し出していたんだけど、おばあちゃんがいなくなったんだから、出来たらさっさと出て行ってほしい」と
「あんた、こんな時に何を言うんだい!」
となりのおばちゃんが文句を言ってくれたから、大家さんは引っ込んでくれたけど、すぐとは言わなくてもいずれは出て行かざるを得ないだろう。
出るったって、どこに行けば良い?
私はおばあちゃんが亡くなって天涯孤独になってしまったのだ。
行くところなんてあるわけない。
それやこれやを考えてたら、いつの間にか私は寝てしまっていた。
そして、夢の中で私はこけたキッカに
「痛いの痛いの飛んでいけ」
と魔法をかけていた。これはおそらく、前世の物語に見た癒し魔法のヒールだと思う。普通は「ヒール」ってカッコよく呪文を唱えるんだけどなんかヒールではうまくいかなくて、いつも「痛いの痛いの飛んでいけ」なんだけど。
そう思っていた私は突然、男に襲われたのだ。
伸し掛かられて、必死に抵抗しようとしてはっとして目を覚ましたのだ。
そして、私は目の前に男の顔を見たのだ。
現実にも私は男にのしかかられていたのだ。
「えっ?」
とっさに何が起こったか判らなかった。
「動くんじゃない!」
そんな私の首筋にナイフが突きつけられたのだ。
私は恐怖のあまり声も出なかった。
とっさのことに魔法も何も使えなかったのだ。
金縛りにかかったみたいだった。
「結構かわいい顔しているぜ」
男がいやらしい目で私を睨めつけたのだ。
*******************************************************
絶体絶命のニーナ
続きはすぐです。
10
お気に入りに追加
1,191
あなたにおすすめの小説
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました
白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。
「会いたかったーー……!」
一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。
【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる