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第二章 愛娘との幸せな生活を邪魔することは許しません

シャラは元司法長官に国王即位を依頼されました

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その時、シャラは建物に客人を迎えていた。
その男は元司法大臣のブリエントだった。

「ジャルカ。貴様、何でこんな奴を通した」
その顔を見てシャラは切れた。

「も、申し訳ありません。シャラ様。クローディア様に卑劣なことを致した点、このブリエント平伏するのみでございます」
ブリエントは平伏していた。

「どういう事だ。ジャルカ。コヤツはダレルの手下であったやつではないか」
シャラは睨みつけた。

クローディアを生贄にしようとしたダレル王国の連中には全員地獄に叩き落としたはずであった。何故こいつが生きるている。

「まあ、まあ、シャラや、このブリエントはお主が来た時に地下牢に入れられていらしい。、お主が助けたのじゃろうが」
ジャルカが苦笑いして言った。

「たまたま、我が天誅を受けなんだか。ならばその幸運を喜び我が前より消え失せろ」
今更殺す気力もシャラには無かった。

そもそも自分に平伏している人間を殺せるほどシャラは人間が完成してはいなかった。

「は、ありがたき幸せにございます。その幸運に面し、私、シャラ様に折り入ってお頼みしたき義がございます」
平伏したままブリエントは言った。

「はんっ。命を助けてやると言っただろう。その上頼みごととは図々しいにもほどがあるのではないか」
「申し訳ございません。ただ、臣はただただ、民のためにお願いしたき義がございます」
シャラの怒りをスルーして平伏したままブリエントは言った。

「民のためだと。何か困っているのか」
「聞くだけでも聞いて頂けますか」
ブリエントは少し顔を上げて聞いた。

「ふん、碌でもないことならその方の命をもらうが」
「お聞き届け頂き、ありがとうございます。ダレル国が消滅してより、我がダレルの地に、ノザレやマーマの手の者が入り込んで狼藉を重ねておりまする」
「チェレンチー、そうなのか」
部下の中で一番まともそうなチェレンチーにシャラは尋ねた。

「さあ、ダレルの地のことについては詳しくは調べておりませんが、十分に考えられることではあります」
「なんだか、面倒くさいな。その者共を追い払えばよいのか」
シャラは面倒そうに聞いた。

「はっ、ありがたき幸せにございます」
ブリエントは平伏した。

「しかし、王の居ぬこのダレルの地に進出しようとする輩は多々おりましょう。
シャラ様にはそのたびにお手を煩わすのは我々共もしのびなく」

「ブリエント。なんか回りくどいな。どうしてほしいのだ」
聞き飽きてシャラが言った。

「はっ。マーマ王国軍を一撃で殲滅、悪逆非道の国王らを成敗されたシャラ様には民のことを鑑みられて、ぜひとも王に即位頂きたく平にお願いいたす次第でございます」

その一瞬にシャラは固まっていた。
シャラは平民で指導者から見れば反逆者だ。その反逆者に王になれなどこいつは何を言っているのだ。

「何を言っている。ブリエント。私はダレル王国に反逆した謀反人だぞ。それも平民だ。王なんてなれるわけはないだろう」
シャラは叫んでいた。

「何をおっしゃいます。シャラ様は義の人。元々約束を破ったのは悪逆非道のダレル国王でございます。そもそも、ここにはダレル王国を開闢された大賢者ジャルカ様もいらっしゃいます。シャラ様が即位されることに何の問題もございません」
「何を言っている。ジャルカ、お前も何とか言え」
シャラは叫んだが、

「ほっほっほっ、元々ダレル王国の始祖は平民でござる。反逆者ということで言えばマーマ王国の現国王こそ反逆者ですぞ。別にシャラが即位するのに何の問題もございません」
「はっ、ありがたき幸せ」
そのジャルカの言葉にブリエントが平伏する。

「何を言っておる。私は無理だ」
シャラは叫んでいた。王なんて面倒なことやってられるか。
出来るわけないのに、ジャルカは何を言いやがるんだ。そう思い、ジャルカを見たが、ジャルカは笑っていた。

絶対に楽しんでやがる。

シャラが更に切れそうになった時だ。

「姉御。大変だ。山賊が地元の村を襲っているそうだ」
ステバンが駆け込んできた。

「何だと。直ちに出撃だ。行くぞ野郎ども」
これ幸いとシャラは叫んでいた。

そして、仲間を集めると直ちに飛び出していった。

それがノザレの作った囮だとも知らずに。
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