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第一章 娘が生贄にされるのを助けるために地獄から脱獄します
地獄の閻魔はゼウスの言葉に怒り狂い、ヘラクレスが逃げ出したシャラを捕まえに行くことになりました
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一方、シャラによって破壊しつくされた地獄の状況は悲惨だった。
閻魔を始め大半の職員が死傷し、甚大な被害が出ていた。天界にクレームを入れるもゼウスによって無視され、閻魔も切れていた。
「何じゃと、人も金も出せないだと、その上儂に1ヶ月謹慎しろだと、この現状ゼウスは判って言っているのか」
目の前の台を叩き壊して閻魔は使者に怒鳴り散らしていた。
「いえ、それは・・・・」
使者に立たされたヘラクレスは、門は破壊され、地獄自体も破壊され尽くしているのを見て流石に言葉も無かった。
「そもそも、ゼウスが勝手な約束をシャラとするからこういう事になったのだろう。ゼウスが約束を守らないのは許せんと儂に言われても、儂も何も聞いておらんし、どうしようも無かったではないか。儂はゼウスの代わりにそのシャラの怒りを一身に浴びたのだぞ。責任はゼウスが取るべきであろう」
「閻魔様。一応ゼウス様は全能神であらせられます。そのゼウス様を呼び捨てにされるのはいかがなものかと」
「何だと」
体中包帯だらけの閻魔が身を乗り出して使者を睨めつけた。
「ヒィィィぃ」
使者にされたさすがのヘラクレスも閻魔の怒りの前には霞んでしまった。
「きさま、この現状を見て儂にそう言う事を言うのか」
「いえ、あの・・・」
さすがのヘラクレスもタジタジだった。
「もう、良い。1ヶ月謹慎するならしてやろうじゃないか。その代わり地獄に来た奴らは全て天界に送るからな。後は天界でやってくれ」
「そ、それは困ります」
「こまろうが何しようが儂が1ヶ月休んだらそうするしかなかろう。そうか貴様が儂の代わりに審判をやッても良いぞ」
「そのような滅相もございません」
「まあまあ、閻魔殿。使者のヘラクレスも逃げた囚人の捜索を手伝うと申しておるのです。それくらいで許してやってくださいませんか」
後から入ってきたオオクニヌシが助け舟を出した。
「オオクニヌシ様。そのような………」
ヘラクレスが文句を言おうとしたが、閻魔の顔を見て言うのを止めた。
「まあ、手伝ってくれるというものに、あまり当たるのもよくないか」
閻魔の機嫌が少し良くなった。
「我ら司法も少しお手伝いいたそう」
「なら、我らも地獄の整備に人手が回せる」
「地獄の整備には新たに送られた囚人共も当てられたらいかがですか」
「それもそうだが。あのシャラめ、また大量の囚人共を送ってきたのじゃ。この人手不足の地獄では、これ以上の罪人は扱いきれん。オオクニヌシ殿。あなたが地上に行って逃げ出したシャラを捕まえてきてくれんか」
閻魔が頼んだ。
「うーむ。ゼウス様が許したというシャラをですか」
オオクニヌシは急速に頭を回転させた。
(閻魔は怒っているが、基本はシャラとはもうやり合いたくないはずだ。天界のゼウスも許すと言っているのだし、オオクニヌシが行って捕まえてきても、また脱走すれば地獄の被害も甚大になる。ここは見逃したほうがお互いのためになると思うが、)
オオクニヌシが悩んでいる間に、ヘラクレスが前に出た。
「閻魔様。シャラなど所詮人間。私めが捕まえてまいりましょう」
力自慢のヘラクレスが申し出た。
「おお、さようか、力自慢のヘラクレス殿がやってくれるなら、それに越したことはない」
閻魔は喜んで言った。
オオクニヌシは微妙な顔をしたが、それで収まるならそれで良かろうと納得した。
あくまでも閻魔が納得すれば良い訳で、シャラが捕まる可能性や、無事に五体満足でヘラクレスが帰ってこれる可能性など、全くオオクニヌシは考慮にも入れていなかった。
閻魔を始め大半の職員が死傷し、甚大な被害が出ていた。天界にクレームを入れるもゼウスによって無視され、閻魔も切れていた。
「何じゃと、人も金も出せないだと、その上儂に1ヶ月謹慎しろだと、この現状ゼウスは判って言っているのか」
目の前の台を叩き壊して閻魔は使者に怒鳴り散らしていた。
「いえ、それは・・・・」
使者に立たされたヘラクレスは、門は破壊され、地獄自体も破壊され尽くしているのを見て流石に言葉も無かった。
「そもそも、ゼウスが勝手な約束をシャラとするからこういう事になったのだろう。ゼウスが約束を守らないのは許せんと儂に言われても、儂も何も聞いておらんし、どうしようも無かったではないか。儂はゼウスの代わりにそのシャラの怒りを一身に浴びたのだぞ。責任はゼウスが取るべきであろう」
「閻魔様。一応ゼウス様は全能神であらせられます。そのゼウス様を呼び捨てにされるのはいかがなものかと」
「何だと」
体中包帯だらけの閻魔が身を乗り出して使者を睨めつけた。
「ヒィィィぃ」
使者にされたさすがのヘラクレスも閻魔の怒りの前には霞んでしまった。
「きさま、この現状を見て儂にそう言う事を言うのか」
「いえ、あの・・・」
さすがのヘラクレスもタジタジだった。
「もう、良い。1ヶ月謹慎するならしてやろうじゃないか。その代わり地獄に来た奴らは全て天界に送るからな。後は天界でやってくれ」
「そ、それは困ります」
「こまろうが何しようが儂が1ヶ月休んだらそうするしかなかろう。そうか貴様が儂の代わりに審判をやッても良いぞ」
「そのような滅相もございません」
「まあまあ、閻魔殿。使者のヘラクレスも逃げた囚人の捜索を手伝うと申しておるのです。それくらいで許してやってくださいませんか」
後から入ってきたオオクニヌシが助け舟を出した。
「オオクニヌシ様。そのような………」
ヘラクレスが文句を言おうとしたが、閻魔の顔を見て言うのを止めた。
「まあ、手伝ってくれるというものに、あまり当たるのもよくないか」
閻魔の機嫌が少し良くなった。
「我ら司法も少しお手伝いいたそう」
「なら、我らも地獄の整備に人手が回せる」
「地獄の整備には新たに送られた囚人共も当てられたらいかがですか」
「それもそうだが。あのシャラめ、また大量の囚人共を送ってきたのじゃ。この人手不足の地獄では、これ以上の罪人は扱いきれん。オオクニヌシ殿。あなたが地上に行って逃げ出したシャラを捕まえてきてくれんか」
閻魔が頼んだ。
「うーむ。ゼウス様が許したというシャラをですか」
オオクニヌシは急速に頭を回転させた。
(閻魔は怒っているが、基本はシャラとはもうやり合いたくないはずだ。天界のゼウスも許すと言っているのだし、オオクニヌシが行って捕まえてきても、また脱走すれば地獄の被害も甚大になる。ここは見逃したほうがお互いのためになると思うが、)
オオクニヌシが悩んでいる間に、ヘラクレスが前に出た。
「閻魔様。シャラなど所詮人間。私めが捕まえてまいりましょう」
力自慢のヘラクレスが申し出た。
「おお、さようか、力自慢のヘラクレス殿がやってくれるなら、それに越したことはない」
閻魔は喜んで言った。
オオクニヌシは微妙な顔をしたが、それで収まるならそれで良かろうと納得した。
あくまでも閻魔が納得すれば良い訳で、シャラが捕まる可能性や、無事に五体満足でヘラクレスが帰ってこれる可能性など、全くオオクニヌシは考慮にも入れていなかった。
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