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第一章 娘が生贄にされるのを助けるために地獄から脱獄します
天界のゼウスは閻魔の苦情を聞き流しました
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こちらは天界。珍しく主神ゼウスは執務をしていた。
いつもサボっているので書類は山のように積まれていたが。
それを適当に次々にサインしていく。
「ゼウス」
慌てて兄のポセイドンと警察長官のオオクニヌシが入ってきた。
「どうした兄者」
「地獄の閻魔がシャラの件で怒ってきたぞ」
「シャラ?それは何じゃ」
「何でも貴様が18年前に残された娘が不幸になったら地獄から蘇らせる約束をしたとか言う」
「そんな約束したかの。覚えがないが」
ゼウスは記憶になかった。
「ここに記録がございます。そのシャラとかいうもの、自らを生贄にして蛮族を退治する代わりに娘の幸せを祈りまして、ゼウス様がその心に感激されて許されたとか」
「んっ?」
ゼウスは思い出していた。たしか、義理の娘に嫉妬したヘラの悋気から逃げている時に、この身を捧げるので何卒娘の幸福をお願いしますという殊勝な心がけにヘラにもこれくらい深い愛を娘に注いでくれれば良いのにと思ったのだった。
もっともゼウスはその自らの娘アフロディーアとの浮気をしていたのであって、怒ったヘラに追いかけられており、ヘラにその浮気相手の娘に愛を示せと言っても聞くわけはなかったが。
「ほう、そのような殊勝な母親がおったな。その娘が不幸になったのか」
「左様でございます。娘の事を任せた王家と伯爵家に裏切られて生贄になりそうになったとか」
「それは酷いな。そこで我が魔術が発動して地界に蘇ったか」
「それがそのような魔術は発動しませんでしたが」
言いにくそうにオオクニヌシが言う。
「何、そんなバカな」
言いながらゼウスは思い出した。願叶えようといった時に、ヘラに見つかって逃げるのに精一杯で魔術をかけるのを忘れていたことを。
「我が魔術が発現しなかったのならば、その女はどうやって地界に戻ったのじゃ」
「何でも地獄の門を脱獄したとか」
「なんと、あの地獄の門をか」
ゼウスは驚いた。自分でも中々脱獄できそうもない地獄の門を破るなど信じられなかった。
「それはすごいな。そんなすごいやつがいたのか。部下にほしいところじゃ」
ゼウスが感心して言った。
「感心するところではありませんぞ。地獄からの使者が毎日のように参って地獄に返せの大合唱で仕事も手につかないありさまで」
「そんな事言われても脱獄されたのは閻魔達の失態ではないか。余が出来ることはないわ」
あっさりとゼウスが言い切った。
「あの確固な地獄から脱獄されたら地界に戻してやるのが良いと思うぞ」
「しかし、ゼウス」
「儂がなにかしたのならまだやりようもあるが、それは致し方あるまい。閻魔にも1ヶ月の謹慎とボランテイア活動を言い渡せ」
「御意」
オオクニヌシは頷いた。
最もゼウスはこの母シャラにいずれ自らが地獄に叩き落されることになるとは思ってもいなかった。
*******************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ざまーもほとんど終わり、シャラザール帝国建国記、まもなく終了です。
と言ってももう少し続きますが.....
いつもサボっているので書類は山のように積まれていたが。
それを適当に次々にサインしていく。
「ゼウス」
慌てて兄のポセイドンと警察長官のオオクニヌシが入ってきた。
「どうした兄者」
「地獄の閻魔がシャラの件で怒ってきたぞ」
「シャラ?それは何じゃ」
「何でも貴様が18年前に残された娘が不幸になったら地獄から蘇らせる約束をしたとか言う」
「そんな約束したかの。覚えがないが」
ゼウスは記憶になかった。
「ここに記録がございます。そのシャラとかいうもの、自らを生贄にして蛮族を退治する代わりに娘の幸せを祈りまして、ゼウス様がその心に感激されて許されたとか」
「んっ?」
ゼウスは思い出していた。たしか、義理の娘に嫉妬したヘラの悋気から逃げている時に、この身を捧げるので何卒娘の幸福をお願いしますという殊勝な心がけにヘラにもこれくらい深い愛を娘に注いでくれれば良いのにと思ったのだった。
もっともゼウスはその自らの娘アフロディーアとの浮気をしていたのであって、怒ったヘラに追いかけられており、ヘラにその浮気相手の娘に愛を示せと言っても聞くわけはなかったが。
「ほう、そのような殊勝な母親がおったな。その娘が不幸になったのか」
「左様でございます。娘の事を任せた王家と伯爵家に裏切られて生贄になりそうになったとか」
「それは酷いな。そこで我が魔術が発動して地界に蘇ったか」
「それがそのような魔術は発動しませんでしたが」
言いにくそうにオオクニヌシが言う。
「何、そんなバカな」
言いながらゼウスは思い出した。願叶えようといった時に、ヘラに見つかって逃げるのに精一杯で魔術をかけるのを忘れていたことを。
「我が魔術が発現しなかったのならば、その女はどうやって地界に戻ったのじゃ」
「何でも地獄の門を脱獄したとか」
「なんと、あの地獄の門をか」
ゼウスは驚いた。自分でも中々脱獄できそうもない地獄の門を破るなど信じられなかった。
「それはすごいな。そんなすごいやつがいたのか。部下にほしいところじゃ」
ゼウスが感心して言った。
「感心するところではありませんぞ。地獄からの使者が毎日のように参って地獄に返せの大合唱で仕事も手につかないありさまで」
「そんな事言われても脱獄されたのは閻魔達の失態ではないか。余が出来ることはないわ」
あっさりとゼウスが言い切った。
「あの確固な地獄から脱獄されたら地界に戻してやるのが良いと思うぞ」
「しかし、ゼウス」
「儂がなにかしたのならまだやりようもあるが、それは致し方あるまい。閻魔にも1ヶ月の謹慎とボランテイア活動を言い渡せ」
「御意」
オオクニヌシは頷いた。
最もゼウスはこの母シャラにいずれ自らが地獄に叩き落されることになるとは思ってもいなかった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ざまーもほとんど終わり、シャラザール帝国建国記、まもなく終了です。
と言ってももう少し続きますが.....
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