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帝国皇子が変です
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戦いが終わった。
オーバードルフの国王陛下は結局、王太子がやってしまったことと、配下が私のお父さまを怒らせてしまったことにショックを受けて、それが原因で戦いの途中で亡くなっていたそうだ。
結局最後は王妃と家臣らの暴走であったらしい。
その結果、オーバードルフ王国はハインツェル王国になり、大半の貴族は没落した。今後の政治が大変だけど、それは皆で考えていけばいいだろう。
というよりも優秀な文官達が既に考えているはずだ。
それよりも私には、今、悩みがあった。
フェルが変なのだ。
「姫様。フェルナンデス様からまた、花束です」
「えっ、また?」
そう、フェルが何かやたらと花を私に贈りだしたのだ。
「今度は何を贈ってきたの?」
「それが彼岸花なんですけど・・・・」
ビアンカが言いにくそうに言う。
そこには真っ赤な彼岸花が花束にして置かていた。
その横には白い菊の花が。
そして、蘭の花が。
何か葬儀の花みたいなんですど。
どういう意味があるの?
蘭の花を貰った時はまだ嬉しかったけど、次の日は白い菊で今度は彼岸花だ。
私のお葬式でも始めるつもりなのかと思ってしまう。
「でも姫様。彼岸花はお墓によく咲いているだけで、お葬式の花ではないですよ」
ビアンカが真面目に答えてくれた。
「でも、帝国ではそうなのかもしれないじやない」
「でも、姫様を殺した所で、何の得にもならないと思いますけど」
ビアンカの言うことはもっともなのだ。
我が国で一番偉いのはお父さまで次がお兄様、そしてお姉様。いや違ったかも。一番はお母様だ。お母様には誰も勝てないし・・・
何にしても、私は最後なのだ。出来損ないの姫の私を殺した所でどうしようもない。私に早く死ねって言っているんだろうか?
昔は色々フェルにも迷惑をかけたけど、最近は酷いことはしていないはずなんだけど。
そうか、国王に贈る花を間違えて私に贈ったとか。
いや、それはないだろう。
もっと死んだ国王を敬えと言っているのか?
昔からフェルは過保護だったけど・・・・
どういう意味があるんだろう?
「ビアンカ、どういうつもりだと思う?」
「うーん、フェルナンデス様は昔からいたずら好きでしたから、これは新しい、いたずらでは」
ビアンカがフェルがやりそうなことを言う。
「うーん、でも花を使ったいたずらって何だろう?」
「クイズだとか」
「えっ、この花をもとに何かを暗示しているというの?」
「ええ、そうです。例えば頭文字を取って蘭のら、菊のき、彼岸花のひで、らきひ・・・・」
「何も意味になっていないじゃない。逆に読んでもひきら・・・でどうしようもないわよ」
「じゃあ、下の文字を取って、んくな。あっ、判りました。逆で泣くん」
「何も意味になっていないじゃない」
「間違えて、泣くなじゃないですか」
「私は別に泣いていないわよ」
「うーん、そうですね」
二人してああでもない、こうでもないとやっていると、そこにいきなりお姉様が転移してきた。
「わあああ、びっくりした」
私達は驚いた。
「何してるの?」
「ちょっとお姉様。いきなり転移してくれるの止めてもらえませんか」
私が文句を言う。
「ああ、ごめんごめん」
お姉様が謝ってくるが絶対にわざとやっている。皆が驚くのを楽しんでいるのだ。
「それより、何してるの?」
「いやあ・・・・」
私は事情を説明した。
それを聞きながら何故かお姉様は吹き出した。
「えええ!、これ、フェルがあんたに贈ってきたの?」
お腹を抱えて笑いながら花を見てお姉様が言う。
「そうなんです」
「何かお葬式みたいね」
「そうでしょう。絶対に贈るところ間違えてしますよね」
私が憤慨して言うと、
「何やっているんだろ。フェルの奴」
お姉様は少し怒っているみたいだ。
「ビアンカはこれはクイズかなんかじゃないかっていうんですけど、絶対に変ですよね」
「そんなの当たり前じゃない。男が女に花を贈るって一つしか無いわ」
「・・・・???」
「ですよね。私も最初はそう思ったんですけど、でも流石にこの花は・・・・」
私を除いて二人で何か納得しあっている。
「あのう、お二人が何言っいるか全然わかんないんですけど」
私が思わず言うと、
「まあ、元々あんたは鈍いからね」
お姉様が私を馬鹿にしてくれる。
「でも、クラウディア様。私でもこの花ではその方の言わんとするところがわからないですけど」
「本当よね」
ビアンカとお姉様が首を傾げるところにノックの音がした。
「はいっ」
ビアンカが慌ててドアを開けるとそこにはリンドウの花束を持ってビシッと白い帝国の皇族の正装をしたフェルが立っていた。
リンドウの花って、それも青いリンドウの花を持ってきていた。
まあ、その花自体はきれいなんだけど・・・・
「あっ、エル」
フェルは私を見ると何故かぎこちない足取りでこちらに来た。
そして、いきなり跪いたのだ。
「エルヴィーラ姫!」
そして、私の名前を呼んだのだった。
えっ、一体何の冗談が始まるの???
********************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
HOT女性向けランキング第一位を獲得できました。
これも皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
今後とも宜しくお願いします。
オーバードルフの国王陛下は結局、王太子がやってしまったことと、配下が私のお父さまを怒らせてしまったことにショックを受けて、それが原因で戦いの途中で亡くなっていたそうだ。
結局最後は王妃と家臣らの暴走であったらしい。
その結果、オーバードルフ王国はハインツェル王国になり、大半の貴族は没落した。今後の政治が大変だけど、それは皆で考えていけばいいだろう。
というよりも優秀な文官達が既に考えているはずだ。
それよりも私には、今、悩みがあった。
フェルが変なのだ。
「姫様。フェルナンデス様からまた、花束です」
「えっ、また?」
そう、フェルが何かやたらと花を私に贈りだしたのだ。
「今度は何を贈ってきたの?」
「それが彼岸花なんですけど・・・・」
ビアンカが言いにくそうに言う。
そこには真っ赤な彼岸花が花束にして置かていた。
その横には白い菊の花が。
そして、蘭の花が。
何か葬儀の花みたいなんですど。
どういう意味があるの?
蘭の花を貰った時はまだ嬉しかったけど、次の日は白い菊で今度は彼岸花だ。
私のお葬式でも始めるつもりなのかと思ってしまう。
「でも姫様。彼岸花はお墓によく咲いているだけで、お葬式の花ではないですよ」
ビアンカが真面目に答えてくれた。
「でも、帝国ではそうなのかもしれないじやない」
「でも、姫様を殺した所で、何の得にもならないと思いますけど」
ビアンカの言うことはもっともなのだ。
我が国で一番偉いのはお父さまで次がお兄様、そしてお姉様。いや違ったかも。一番はお母様だ。お母様には誰も勝てないし・・・
何にしても、私は最後なのだ。出来損ないの姫の私を殺した所でどうしようもない。私に早く死ねって言っているんだろうか?
昔は色々フェルにも迷惑をかけたけど、最近は酷いことはしていないはずなんだけど。
そうか、国王に贈る花を間違えて私に贈ったとか。
いや、それはないだろう。
もっと死んだ国王を敬えと言っているのか?
昔からフェルは過保護だったけど・・・・
どういう意味があるんだろう?
「ビアンカ、どういうつもりだと思う?」
「うーん、フェルナンデス様は昔からいたずら好きでしたから、これは新しい、いたずらでは」
ビアンカがフェルがやりそうなことを言う。
「うーん、でも花を使ったいたずらって何だろう?」
「クイズだとか」
「えっ、この花をもとに何かを暗示しているというの?」
「ええ、そうです。例えば頭文字を取って蘭のら、菊のき、彼岸花のひで、らきひ・・・・」
「何も意味になっていないじゃない。逆に読んでもひきら・・・でどうしようもないわよ」
「じゃあ、下の文字を取って、んくな。あっ、判りました。逆で泣くん」
「何も意味になっていないじゃない」
「間違えて、泣くなじゃないですか」
「私は別に泣いていないわよ」
「うーん、そうですね」
二人してああでもない、こうでもないとやっていると、そこにいきなりお姉様が転移してきた。
「わあああ、びっくりした」
私達は驚いた。
「何してるの?」
「ちょっとお姉様。いきなり転移してくれるの止めてもらえませんか」
私が文句を言う。
「ああ、ごめんごめん」
お姉様が謝ってくるが絶対にわざとやっている。皆が驚くのを楽しんでいるのだ。
「それより、何してるの?」
「いやあ・・・・」
私は事情を説明した。
それを聞きながら何故かお姉様は吹き出した。
「えええ!、これ、フェルがあんたに贈ってきたの?」
お腹を抱えて笑いながら花を見てお姉様が言う。
「そうなんです」
「何かお葬式みたいね」
「そうでしょう。絶対に贈るところ間違えてしますよね」
私が憤慨して言うと、
「何やっているんだろ。フェルの奴」
お姉様は少し怒っているみたいだ。
「ビアンカはこれはクイズかなんかじゃないかっていうんですけど、絶対に変ですよね」
「そんなの当たり前じゃない。男が女に花を贈るって一つしか無いわ」
「・・・・???」
「ですよね。私も最初はそう思ったんですけど、でも流石にこの花は・・・・」
私を除いて二人で何か納得しあっている。
「あのう、お二人が何言っいるか全然わかんないんですけど」
私が思わず言うと、
「まあ、元々あんたは鈍いからね」
お姉様が私を馬鹿にしてくれる。
「でも、クラウディア様。私でもこの花ではその方の言わんとするところがわからないですけど」
「本当よね」
ビアンカとお姉様が首を傾げるところにノックの音がした。
「はいっ」
ビアンカが慌ててドアを開けるとそこにはリンドウの花束を持ってビシッと白い帝国の皇族の正装をしたフェルが立っていた。
リンドウの花って、それも青いリンドウの花を持ってきていた。
まあ、その花自体はきれいなんだけど・・・・
「あっ、エル」
フェルは私を見ると何故かぎこちない足取りでこちらに来た。
そして、いきなり跪いたのだ。
「エルヴィーラ姫!」
そして、私の名前を呼んだのだった。
えっ、一体何の冗談が始まるの???
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