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王太子に婚約破棄されました
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この物語見つけていただいてありがとうございます。
今回もハッピーエンド目指してがんばります。
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「出来損ないのエルヴィーラ・ ハインツェル!」
幸せそうにケーキを食べていた私は、いきなり壇上から大声で呼ばれて、驚きのあまりケーキが喉に詰まった。
必死に胸を叩く。
今日は私達の王立学園の卒業パーティーなのだ。
王立学園は私達貴族の子弟が16歳から18歳までの3年間通うことが義務付けられている教育機関だ。貴族の子弟はそこで婚約者を見つけたり、友人を作ったりして今後に備えるのだ。
今日はその最後のパーティーで、皆、男女のペアになってダンスしたり、歓談したりしていた。その中一人、デザートのケーキを喜んで食べているというのもどうかとは思うが・・・・。
「何をしている! 何をやっても出来損ないは様にならんな」
壇上から怒った声が聞こえた。声の主はベルンハルト・オーバードルフ、このオーバードルフ王国の王太子だ。そして、私の婚約者でもあった。
最近のベルンハルトは、その婚約者である私をないがしろにして、今も横に寄り添っている侯爵令嬢のアマーリエ・バルチュとよろしくやっているようだったが・・・・
それが私が一人でケーキを食べている原因でもあった。まあ、こいつの相手をするのも面倒だから良いんだが・・・・。
いや、良くない! 今日は人生で一度の晴れの卒業パーティーなのだ。私も婚約者にエスコートされたかった。その婚約者の私を出来損ないと叫ぶなどとんでもない事だ。
私も昔は、顔だけは良いベルンハルトのことが好きだった。もっとも学園に入る前までは私は父の辺境伯の領地にいたので、距離的にもほとんど会うことはなかったが。
16歳になったので、私も領地を出て王立学園に入学し、そこではじめて、会おうと思えばすぐに会えるようになったのだ。
最もベルンハルトはほとんど私の相手をしなかったが。
何しろ、私は辺境伯の出来損ないと呼ばれている残念な令嬢なのだ。剣術では次期剣聖と噂されている兄にまともに相手にしてもらったこともなく、魔術はこれも魔術師団に入った姉の足元にも及ばなかった。
身長も3人の中で一番低く、胸の大きさは姉に完敗し、何故か兄にも胸囲で負けていた・・・・
それを領地では侍女たちに
「本当にお嬢様は残念ですね」
と呆れられていたのだ。
でも、待って! お兄様には胸板の分厚さで負けたのであって、おっぱいの大きさで負けたわけではないわよ。
そう言ったら、
「お嬢様の可愛い胸では、お兄様のと比べてもそんなに大きさは変わらないのではありませんか」
と私の侍女のビアンカに大変失礼なことを言われてしまった。
本当に領地の奴らも容赦がない。ま、こちらと違って陰で愚痴愚痴言われることはなかったが・・・・いや、こちらも陰でなく大声で言っている奴がいるな。壇上に!
「おい、聞いているのか。出来損ない!」
王太子が宣った。何か面倒くさい。
人の至福のデザートを食べる時間を邪魔してくれて、それよりも意味のあることを言ってくれるのだろうか?
私はため息をついた。絶対に文句か何かだ。
そう、思った時だ。
「エルヴィーラ・ ハインツェル、貴様のアリエールに対する数々の蛮行は許しがたい。よって貴様との婚約を破棄する」
言い切った感満載で、ベルンハルトは言い切ってくれた。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きが読みたいと思われら、お気に入り登録していただければ幸いです。
今回もハッピーエンド目指してがんばります。
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「出来損ないのエルヴィーラ・ ハインツェル!」
幸せそうにケーキを食べていた私は、いきなり壇上から大声で呼ばれて、驚きのあまりケーキが喉に詰まった。
必死に胸を叩く。
今日は私達の王立学園の卒業パーティーなのだ。
王立学園は私達貴族の子弟が16歳から18歳までの3年間通うことが義務付けられている教育機関だ。貴族の子弟はそこで婚約者を見つけたり、友人を作ったりして今後に備えるのだ。
今日はその最後のパーティーで、皆、男女のペアになってダンスしたり、歓談したりしていた。その中一人、デザートのケーキを喜んで食べているというのもどうかとは思うが・・・・。
「何をしている! 何をやっても出来損ないは様にならんな」
壇上から怒った声が聞こえた。声の主はベルンハルト・オーバードルフ、このオーバードルフ王国の王太子だ。そして、私の婚約者でもあった。
最近のベルンハルトは、その婚約者である私をないがしろにして、今も横に寄り添っている侯爵令嬢のアマーリエ・バルチュとよろしくやっているようだったが・・・・
それが私が一人でケーキを食べている原因でもあった。まあ、こいつの相手をするのも面倒だから良いんだが・・・・。
いや、良くない! 今日は人生で一度の晴れの卒業パーティーなのだ。私も婚約者にエスコートされたかった。その婚約者の私を出来損ないと叫ぶなどとんでもない事だ。
私も昔は、顔だけは良いベルンハルトのことが好きだった。もっとも学園に入る前までは私は父の辺境伯の領地にいたので、距離的にもほとんど会うことはなかったが。
16歳になったので、私も領地を出て王立学園に入学し、そこではじめて、会おうと思えばすぐに会えるようになったのだ。
最もベルンハルトはほとんど私の相手をしなかったが。
何しろ、私は辺境伯の出来損ないと呼ばれている残念な令嬢なのだ。剣術では次期剣聖と噂されている兄にまともに相手にしてもらったこともなく、魔術はこれも魔術師団に入った姉の足元にも及ばなかった。
身長も3人の中で一番低く、胸の大きさは姉に完敗し、何故か兄にも胸囲で負けていた・・・・
それを領地では侍女たちに
「本当にお嬢様は残念ですね」
と呆れられていたのだ。
でも、待って! お兄様には胸板の分厚さで負けたのであって、おっぱいの大きさで負けたわけではないわよ。
そう言ったら、
「お嬢様の可愛い胸では、お兄様のと比べてもそんなに大きさは変わらないのではありませんか」
と私の侍女のビアンカに大変失礼なことを言われてしまった。
本当に領地の奴らも容赦がない。ま、こちらと違って陰で愚痴愚痴言われることはなかったが・・・・いや、こちらも陰でなく大声で言っている奴がいるな。壇上に!
「おい、聞いているのか。出来損ない!」
王太子が宣った。何か面倒くさい。
人の至福のデザートを食べる時間を邪魔してくれて、それよりも意味のあることを言ってくれるのだろうか?
私はため息をついた。絶対に文句か何かだ。
そう、思った時だ。
「エルヴィーラ・ ハインツェル、貴様のアリエールに対する数々の蛮行は許しがたい。よって貴様との婚約を破棄する」
言い切った感満載で、ベルンハルトは言い切ってくれた。
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