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閑話 第二王子視点 破壊女に常識はないが、何故か涙が止まらなかった。
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俺はそれが羨ましくもあった。自分にはそんな存在はなかった。女どもは俺を見ると寄ってくるがそれだけだ。
母は俺がいくら言っても俺を王にするのを諦めなかった。俺は絶對に無理だと言ったのに。
そして、母が兄を毒殺しようとする事件が起こったのだ。
大逆事件だ。基本は処刑だ。
叔父は自死させられた。
母は塔に永久に閉じ込められると言う。
でも、一番悪いのは俺だと思う。
俺さえ、いなければ母もこんな事をしなかったのだ。
でも、皆は俺にには罪がないと言った。
そんな訳無いだろう。俺はここにいるべきでないと思った。
俺は母が事件を起こしてから自室に綴じ込もった。
もう全て終わりだ。
俺は何もやる気が起こらなかった。
俺はただひたすらベッドの上にいた。
もうじき卒業パーティーがあるとのことだったが、俺は顔を出すつもりは一切なかった。
兄は何回も来て説得してくれたが、俺は頷けなかった。
そんな閉じ籠もっていたある朝だ。
「この先はだめです」
「リアさん。だめなんです」
近衛の叫ぶ声がした。
「いや、ちょっと」
「ギャーー」
近衛の叫び声とともに近衛の声が聞こえなくなった。
破壊女か。確か帝国の皇女だったんだとか。兄上の想い人だったそうだ。
何しに来たんだ。また、偉ぶって説教に来たのか。
誰が言うことなんか聞くか。
というか、そんな奴に会いたくない。
俺が思った時だ。
声をかけてきたら会いたくないというつもりだった。
でも、破壊女にそんな常識は無かった。
ドカーン
大音響とともに鍵を締めていた扉と壁が木っ端微塵に吹き飛んだのだ。
大量の木片が俺に飛んできてたともろ命中したら死にかねなかった。
俺は横っ飛びに飛んで大量の木片の直撃からなんとか避けた。
「あんた、いつまで寝ているのよ」
そこには破壊女が立っていた。
「き、貴様、殺すつもりか」
俺は必死に叫んだ。こいつは凶器だ。
「グチグチ煩いわね。落ち込んでいるって聞いたから来てあげたんじゃない」
仁王立ちの破壊女は偉そうに言ってくれた。
「煩い。俺は一人でいたいんだ」
「ふんっ、何ふざけたこと言っているのよ。王子は一人で遊んでいる暇はないのよ。私と一緒にダンジョンに潜るわよ」
「だ、ダンジョンに潜るだ! 貴様は俺を殺すつもりか」
「ふんっ、何言っているのよ。カーティス殿下は9歳の時に潜っていたのよ。あんた今何歳よ」
「は?」
「ちなみに私はその時7歳よ」
「それがどうした」
「ちょっと大貴族の為に超特級ポーションを作る必要が出来たのよ。荷物持ちが必要だからあなたが来なさい!」
「き、貴様、第二王子を荷物持ちにするのか」
「第一皇子はいつも荷物持ちしてくれるわよ。今回、私が特別にあなたを荷物持ちにしてあげたんだから喜びなさい」
「な、何で俺が喜ばなければいけないんだ」
「あんた怖いの?、言っとくけどね。私は帝国の4歳の弟皇子も連れて行ったのよ。あんた4歳の帝国の皇子でさえついてきたのに、来れないなんて言わないでしょうね」
「な、何だと」
「はいっ、決まり。行くわよ」
俺は腕を破壊女に掴まれるといきなり馬車の上に転移した・・・・・
「あ、アリスター」
「て、テレンスか。何でお前が」
「いや、殿下こそ」
「俺はリアに無理やり」
「俺もだ」
「テレンス、さっさと馬車を出して」
「リア、ちょっと待て」
そこにかけてきた、兄上が飛び乗った。
「兄上」
「リア、二人を連れて俺を置いていくなよな」
「えっ、別に荷物持ちは二人いれば十分よ」
「いや、俺を置いていくな」
「あんたら良い。今から皆でポーションを作るの。何か、貴族共が煩いからね。出来たポーションはあんたら二人が貴族共にやってね」
「えっ、俺達がか」
「当たり前でしょ。恩を売っときなさい。今が一番高く売れるから。あんたを廃嫡するとかいう貴族にはやらなくていいからね」
「いや、でも、作るのはリアじゃないか」
「そんなの私が作ったのなんてすぐに判るわよ。私に頼んでもらってきたとか言えばいいでしょ。特にテレンス。あんたら、4月からちゃんと学園に来なさいよ。でないと叩く相手がいなくなって寂しくなるからね」
「ふんっ、何を言っている! 来年こそは貴様に必ず勝ってやる。今日助けたことを後悔させてやるからな」
俺はリアに叫びながら何故か目から涙が流れていた。
それはテレンスも同じだった。
ダンジョン探索は思ったよりも大変だった。
何故かウォータースライがいて、それを駆除するのが本当に大変だった。
でも、その大変さの中で、なんとか今後生きていくという目標が認識できたのだ。
それと破壊女は何も考えていないようで、考えてくれているのがよく判ったのだった。
*******************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
新作はじめました
『ブス眼鏡と呼ばれても王太子に恋してる~私が本物の聖女なのに魔王の仕返しが怖いので、目立たないようにしているつもりです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/845615056
今回も学園モノです。
平民のメガネっ娘が王太子に助けられて恋している話です。当然平民なので王太子には話しかけられもせず、遠くから見つめているだけのはずが・・・・。勝手に主人公が動き出してしまって・・・・
地味ヒロインのはずが、目立っています。
実は王太子も昔魔王に襲われた時に助けてくれた女の子を必死に探しています。
二人の恋の行方に偽聖女や王女様悪役令嬢が絡み、そこに魔王の恐怖が迫ります。
今回もハッピーエンド目指して頑張るので是非ともお読みください。
母は俺がいくら言っても俺を王にするのを諦めなかった。俺は絶對に無理だと言ったのに。
そして、母が兄を毒殺しようとする事件が起こったのだ。
大逆事件だ。基本は処刑だ。
叔父は自死させられた。
母は塔に永久に閉じ込められると言う。
でも、一番悪いのは俺だと思う。
俺さえ、いなければ母もこんな事をしなかったのだ。
でも、皆は俺にには罪がないと言った。
そんな訳無いだろう。俺はここにいるべきでないと思った。
俺は母が事件を起こしてから自室に綴じ込もった。
もう全て終わりだ。
俺は何もやる気が起こらなかった。
俺はただひたすらベッドの上にいた。
もうじき卒業パーティーがあるとのことだったが、俺は顔を出すつもりは一切なかった。
兄は何回も来て説得してくれたが、俺は頷けなかった。
そんな閉じ籠もっていたある朝だ。
「この先はだめです」
「リアさん。だめなんです」
近衛の叫ぶ声がした。
「いや、ちょっと」
「ギャーー」
近衛の叫び声とともに近衛の声が聞こえなくなった。
破壊女か。確か帝国の皇女だったんだとか。兄上の想い人だったそうだ。
何しに来たんだ。また、偉ぶって説教に来たのか。
誰が言うことなんか聞くか。
というか、そんな奴に会いたくない。
俺が思った時だ。
声をかけてきたら会いたくないというつもりだった。
でも、破壊女にそんな常識は無かった。
ドカーン
大音響とともに鍵を締めていた扉と壁が木っ端微塵に吹き飛んだのだ。
大量の木片が俺に飛んできてたともろ命中したら死にかねなかった。
俺は横っ飛びに飛んで大量の木片の直撃からなんとか避けた。
「あんた、いつまで寝ているのよ」
そこには破壊女が立っていた。
「き、貴様、殺すつもりか」
俺は必死に叫んだ。こいつは凶器だ。
「グチグチ煩いわね。落ち込んでいるって聞いたから来てあげたんじゃない」
仁王立ちの破壊女は偉そうに言ってくれた。
「煩い。俺は一人でいたいんだ」
「ふんっ、何ふざけたこと言っているのよ。王子は一人で遊んでいる暇はないのよ。私と一緒にダンジョンに潜るわよ」
「だ、ダンジョンに潜るだ! 貴様は俺を殺すつもりか」
「ふんっ、何言っているのよ。カーティス殿下は9歳の時に潜っていたのよ。あんた今何歳よ」
「は?」
「ちなみに私はその時7歳よ」
「それがどうした」
「ちょっと大貴族の為に超特級ポーションを作る必要が出来たのよ。荷物持ちが必要だからあなたが来なさい!」
「き、貴様、第二王子を荷物持ちにするのか」
「第一皇子はいつも荷物持ちしてくれるわよ。今回、私が特別にあなたを荷物持ちにしてあげたんだから喜びなさい」
「な、何で俺が喜ばなければいけないんだ」
「あんた怖いの?、言っとくけどね。私は帝国の4歳の弟皇子も連れて行ったのよ。あんた4歳の帝国の皇子でさえついてきたのに、来れないなんて言わないでしょうね」
「な、何だと」
「はいっ、決まり。行くわよ」
俺は腕を破壊女に掴まれるといきなり馬車の上に転移した・・・・・
「あ、アリスター」
「て、テレンスか。何でお前が」
「いや、殿下こそ」
「俺はリアに無理やり」
「俺もだ」
「テレンス、さっさと馬車を出して」
「リア、ちょっと待て」
そこにかけてきた、兄上が飛び乗った。
「兄上」
「リア、二人を連れて俺を置いていくなよな」
「えっ、別に荷物持ちは二人いれば十分よ」
「いや、俺を置いていくな」
「あんたら良い。今から皆でポーションを作るの。何か、貴族共が煩いからね。出来たポーションはあんたら二人が貴族共にやってね」
「えっ、俺達がか」
「当たり前でしょ。恩を売っときなさい。今が一番高く売れるから。あんたを廃嫡するとかいう貴族にはやらなくていいからね」
「いや、でも、作るのはリアじゃないか」
「そんなの私が作ったのなんてすぐに判るわよ。私に頼んでもらってきたとか言えばいいでしょ。特にテレンス。あんたら、4月からちゃんと学園に来なさいよ。でないと叩く相手がいなくなって寂しくなるからね」
「ふんっ、何を言っている! 来年こそは貴様に必ず勝ってやる。今日助けたことを後悔させてやるからな」
俺はリアに叫びながら何故か目から涙が流れていた。
それはテレンスも同じだった。
ダンジョン探索は思ったよりも大変だった。
何故かウォータースライがいて、それを駆除するのが本当に大変だった。
でも、その大変さの中で、なんとか今後生きていくという目標が認識できたのだ。
それと破壊女は何も考えていないようで、考えてくれているのがよく判ったのだった。
*******************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
新作はじめました
『ブス眼鏡と呼ばれても王太子に恋してる~私が本物の聖女なのに魔王の仕返しが怖いので、目立たないようにしているつもりです』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/845615056
今回も学園モノです。
平民のメガネっ娘が王太子に助けられて恋している話です。当然平民なので王太子には話しかけられもせず、遠くから見つめているだけのはずが・・・・。勝手に主人公が動き出してしまって・・・・
地味ヒロインのはずが、目立っています。
実は王太子も昔魔王に襲われた時に助けてくれた女の子を必死に探しています。
二人の恋の行方に偽聖女や王女様悪役令嬢が絡み、そこに魔王の恐怖が迫ります。
今回もハッピーエンド目指して頑張るので是非ともお読みください。
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