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第一王子視点15 リアがいなくなって特級ポーションはリアの母の七転八倒ポーションに変わり、騎士たちは不満を募らせました

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「でも、なんで、帝国の皇女が殿下とくっつく話になったんですか? 元々、アリスター殿下がお相手でしたよね」
ザカリーが聞いてきた。

「それが、帝国の大使がその事を皇帝に話したら、皇帝の激怒を買ったそうで、皇帝は娘は誰にもやらんと叫んでいたそうなんです。慌てた大使ら帝国側があの手この手で皇帝に探りを入れたら、嫁にはやりたくないが、皇女がどうしてもいきたいと言うならば、カーティス殿下にならやってもいいと」
「はああ、どういう事だよ。俺は帝国の皇女なんかに会ったことはないぞ」
俺はメルヴィンの説明に思わず叫んでいた。

「お忍びか何かで会われたんじゃないですか。この前の第一王子殿下みたいに」
「そもそも、帝国の皇女は殿下の所に行くと言ったんですか?」
「そこは判らないが、王妃殿下がこんな事になって、王弟殿下も負傷されたのだ。殿下も命の危機に陥られて、大貴族たちは少しでも、先のことを考えて、殿下の後ろ盾をしっかりさせたかったみたいです」
「でも、帝国の皇女の意向はわからないんだろう」
「まあ、それはそうなんですが」
「そもそも、リアは平民かもしれないが、母親は破壊の魔女だし、魔力量は大きいぞ。リアのポーションは騎士たちもとても喜んでいたと聞いていたが・・・・」
俺は不審に思って聞いた。

「貴族共が言うには、今回は王妃とリア嬢の争いで、喧嘩両成敗だとか」
「なんだと! どこのどいつがそんな事を言っているのだ」
俺は切れた。あれはどう見てもリアが巻き込まれたのだ。それに対してそんな事言うやつは許さん。

「そうなんですよ。
実際のところは大貴族たちはリア嬢の母親を嫌ったのだと。それでなくても恐ろしいのに、外戚となって力をふるわれたらかなわないと思ったのではないですか」
「何なんだ。それは、リアは何も関係ないのかよ」
俺はやりきれなくなった。

「今回の件で、リア嬢が怒って帝国に出ていったので、騎士団の一部のものがとても不満に思っているそうです。大貴族共は騎士たちの苦労をわかっているのかと。おそらくメイナード様達が流している噂であると思いますが・・・・」
「そらあ、そうだろう。リアがいなくなったら騎士たちに特級ポーション卸してくれるものなどいなくなるぞ。帝国のローマン商会の出来損のポーションしかなくなるからな」
「それで王弟殿下がこのポーションを使えって提供されたポーションがあるんですが・・・・」
メルヴィンが言い澱んだ。

「どうなったんだ」
「何でもアリシア様が作られたみたいで」
「破壊の魔女のポーションか」
「えっ、あの、3回に1回は外れがあるっていうあれですか」
ザカリーも聞き及んでいるらしい。
「確か、外れは治るまで激痛が続くってやつだろう」
「それが今回は外れが100%らしいです」
「えっ」
「100%だと」
ザカリーと俺は絶句した。

「治るのは治るんですけど凄まじい激痛が走るそうなんです。それも治ってからも後遺症で、激痛が続くみたいで」
メルヴィンの説明に俺は騎士たちに同情した。リアのポーションは一切そんなことはなかった。

「すごいですね」
「さすが破壊の魔女だな。やることがえげつない」
「もう騎士たちは畏れてしまって、こんな激痛のポーションは飲みたくないって。そうかと言って帝国のポーションは馬鹿みたいに高くて、なおかつ治るかどうかもわからない代物で、もう騎士たちは今回の決定をした大貴族たちに怒りまくっていて、二度と大貴族のところには救援には行かないと」
「そらあ、そうなりますよね」
「更に、大貴族のところの騎士たちも怒っていて、だって手に入るのは破壊の魔女のポーションか帝国の効かないポーションのどちらかで、なおかつ、破壊の魔女のポーションは大貴族の所に出荷されるぶんには痛みを倍にしていると噂がたっていて、実際に飲んだ騎士の一人が痛みにまる1日のたうち回ったとか回っていないとか。もう大貴族たちもしたからの突き上げに参っているそうです。
それにセドリックもこうなったのも全てお前のせいだとメイナード様と公爵様に責められて、今は領地に帰って死の特訓やらされていますよ」
メルヴィンが話してくれた。
「そうか」
それではセドリックを怒るわけにも行かなくなった。あの一族の死の特訓は本当に大変そうなのだ。まあ、自業自得だが・・・・・

「でも、今回の件、国王陛下も悪いんですよ」
「父上が」
「殿下の妃などどうでも良いみたいな感じで、お話されたんです。『陛下はどちらが宜しいと思われるのですか』とうちの父が応援してくれと暗に頼んだのに、『どちらでも同じだと』言われたのです」
「あのクソ親父。」
俺は拳を握りしめた。いつか、必ず一発見舞ってやる。

「陛下は、『違いは平民の女を妃にするか、帝国の皇女を妃にするかの違いだけだ。好きな方を選べ。それ以外の違いは全くない』とおっしゃられて、それならばとアボット公爵も帝国の皇女に賛成されたのです。リア嬢に賛成したのは我が家とセドリックのウィンチェスター家だけだっんです」
「あのクソ親父もう許さん」
俺は一発必ず殴ってやうと心に決めた。

「でも、アボット公爵も今大変みたいですよ」
「まあ、あそこはプリシラのところだろう」
「そうなんです。プリシラがそんなの聞いていないと激怒して『父娘の縁をきります』って領地に帰ったんですけど、それを聞いた奥方もまた切れられて」
「あそこの母上はリアを気に入っていたものな」
「そうなんですよ。『私もこの家から出ていきます』ってもう大変で。何しろあそこは領地の事は何から何まで全て奥方が取り仕切っていましたから。公爵も下からも突き上げ食らって大変みたいです」
俺は少し笑った。でも、カラ笑いだ。

リアが帝国の剣聖に連れて行かれたって事を思い出していたのだ。剣聖も年はオヤジくらいだが独身のはずだ。リアを狙おうとしたら十二分に狙えるではないか。
俺はもう居ても立ってもいられなかった。


「ザカリー、俺はリアを諦めない。だから助けてほしい」
俺は改まってザカリーにお願いした。

「判りました。あんまり時間がないですが、出来る限りさせていただきますよ」
「ありがとう。君らの協力に感謝する」
俺はザカリーの手を握った

この時までは俺は浅はかにもまだなんとかなると思っていたのだ。


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