上 下
89 / 144

クラス対抗戦はいきなり障壁使えなくなりピンチに立ちました

しおりを挟む
本日3話目です。もう一話更新予定です。

***

そしてホームルームの時間が来た。

「さて、皆さん。今学期はクラス対抗戦があります。今日はそれについて説明します」
担任のガスコンが前に立って説明を始めた。

「基本的に王様を一人決めて、王様がやられたら終わりです」
「うちはリアにしたら絶対に勝てるんじゃないのか」
「そうだ、そうだ」
皆好き勝手なことを言っている。
うーん、でもそれで良いのか。私が障壁張っていれば絶対に私は負けない。それで相手の王様障壁でしばけば終わりだ。でも、それって絶対に勝つと決まっていたらそれは戦いではないのでは???

基本は騎士は剣を使っていいとのことだが、剣をもっていない人間には剣を向けてはいけない。
各自がつけている小さい風船を割る、割ると真っ赤な液体が飛び散るので割れたと判る、とそのものは失格だ。制限時間は1時間。1時間以内に王様を倒すか、フィールドに生き残っている生徒の数の多い方の勝ちだ。


「それと今回は、障壁は使えなくなりました」
ガスコンは最後に爆弾発言をした。

「えっ」
「そんな」
「なんで」
その言葉に全員阿鼻叫喚とかした。障壁が使えないということはすなわち私が障壁を使えないということで、我がAクラスの絶対的優位が無くなるということだ。

「えっ、何故なんですか」
「障壁って防御魔術じゃないですか」
「リア潰しですか」
男性連中がいきりたった。
女性陣も怒っている。

「魔術はほとんど使えないということですか」
ベッキーが聞いてきた。
「そうですね。ろうそくの火の大きさのファイアーボールと隠遁魔術は大丈夫です」

「それじゃあほとんど意味がないじゃないか」
「くっそー、貴族の奴ら、普通じゃ勝てないからってルール変えてまでリアつぶしに走るなんて」
オーガストが悔しそうに言った。

皆呆然としていた。でも、私が障壁使えないほうがゲームになって良いはずだ。だって私が障壁使えたら誰も私の障壁を突破できないはずだ。

何しろドラゴンですら張り倒したのだから・・・・

ひょっとして私も本気になって参加できるのではないだろうか。障壁以外も色々使えるかもしれない。

クラスの皆のやる気はだだ下がりかもしれないが、私のやる気は盛り上がってきた。


「で、あんた達、リアの力が使えないからってもう諦めたわけ?」
悄然とする皆を前にしてベッキーが言い放った。

「オーガスト、あんたの剣はなまくらなわけ」
「な、何を」
「だってそうじゃない。リアの力がなくっちゃ勝てないんなら、あんたの剣なんてなまくらよ」
「そんな事あるか。このオーガスト様の剣はそんな事で折れたりしない」
オーガストが言い切った。

「そうだよな。このクラス対抗戦はリアに頼りきろうとしていた。それじゃあオレたちの価値がないよな」
オーガストがボソリと言った。

「そうだ。リアさえいれば勝てると思っていたけど、それじゃあ、クラスにリア一人いればいいよな」
「今回はクラス対抗戦なんだ。クラスのみんなの力で勝とうじゃないか」
「少なくともこの前の学祭はみんなの力で勝てたんだ」
「そうよ、皆、リアの力が使えない今こそ、私達の力を見せてやりましょうよ」
な、なんとハンナまでもが言い出した。

「そうだ。俺たちにはリアしかいないことはないぞ!」
「そうだ。俺らもオリエンは10位に入ったんだ」
「貴族の連中が卑怯な手を使ってくるなら、返り討ちにしてやろうじゃないか」
皆、口々に言いだした。そうね俄然、皆、盛り上がりを見せたのだ。

「ガリは過去の戦い研究、私とザカリーは各クラスの戦力分析するわ。他の皆は各々の力を伸ばす練習してよね」
ベッキーが皆に指示を飛ばした。

「ようし皆、がんばっていこう」
私がいきなり言った。

「えっ、リア、急にやる気になってくれたんだ」
ベッキーが驚いて聞いてきた。

「やっぱ、これっくらいハンディがなくちゃ。私の障壁だけじゃ、皆も勝った気にならないでしょう。今回はみんなの力で優勝目指すわよ」
私は言い切った。

「まあ、障壁が使えなくなった途端にリアがやる気になってくれて良かったけれど」
ベッキーが笑って言ってくれた。

「じゃあ皆、行くわよ。目指せ、学園ナンバーワン。目指せ、打倒王子よ」
「またかよ」
ザカリーが突っ込んできた。でも、勝つためには王子に勝たねばならない。

「当たり前じゃない。トップに立つには打倒王子しか無いわ」
「まあ、いいか」

「では、勝つのは我がクラス」
「勝つのは我がクラス」
私の声に続いて皆が唱和する。

「目指せ学園ナンバーワン」
「目指せ学園ナンバーワン」
「目指せ打倒王子」
「目指せ打倒王子」

最後に皆で手を突きあげていた。ブリトニーとかは嫌そうな顔していたけど・・・・
まあ、仕方ないよね。

こうして我がクラスは一致団結クラス対抗戦に燃えていったのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する

ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。 卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。 それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか? 陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。

王妃さまは断罪劇に異議を唱える

土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。 そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。 彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。 王族の結婚とは。 王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。 王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。 ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。 彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。 しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。 悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。 その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・

【完結】強制力なんて怖くない!

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のエラリアは、十歳の時に唐突に前世の記憶を取り戻した。 どうやら自分は以前読んだ小説の、第三王子と結婚するも浮気され、妻の座を奪われた挙句、幽閉される「エラリア」に転生してしまったらしい。 そんな人生は真っ平だと、なんとか未来を変えようとするエラリアだが、物語の強制力が邪魔をして思うように行かず……? 強制力がエグい……と思っていたら、実は強制力では無かったお話。 短編です。 完結しました。 なんだか最後が長くなりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

処理中です...