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道に迷って変な館に連れ込まれました
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言ってしまった。
言うつもりはなかったのに。
「大嫌い」って。
だって、パーティーでカートを待っていたのに。いきなり別の人間が来るって絶対におかしいよ。
そう、楽しみに待っていたのに・・・・
やっと妹ポジションから脱却出来て、カートの恋人になれる、いやそこまでいかなくてもせめて妹以上恋人未満の存在になれたと思ったのに・・・・
カートは私に対して本当に酷いことしたと思う。
そう思っていなかったのも許せなかった。
私の目には涙が溢れ、前がよく見えなかった。
「カートのバカ野郎!」
私は叫んでいた。もうどうにでもなれって感じだった。
私はダンジョンに潜ることによって培われた勘によって前も見ずに走っていた。
途中で誰かを弾き飛ばしたような気がしたが、そんな事にかまっている余裕はなかった。
「はあ、はあ、はあ」
さすがの私も30分も走ると息が切れてきた。
いつの間にか湖岸から離れて、林の中に入っていたみたいだった。
あれ? ここはどこだろう?
私は急に心配になって、涙を拭いて周りを見渡した。
周りに人影は見えなかったが、まあそんなに遠くには来ていないはずだと思う。
迷ってしまっていたらどうしよう!
まあ、ポーションがあるから10日は飲まず食わずで生きていけるはずだ。伊達に小さい時からダンジョンに潜ってはいない。
とは言うものの何か手がかりは・・・・。
私がキョロキョロしていると、視界には珍しい薬草が写った。
「えっ、コマクサって高山植物でなかなかないのよね」
私は少しもらうことにした。
周りを見ると更に先にもある。
「あっ、これはカゲミ草だ」
少し先に行くと更に珍しい高山植物のカゲミ草が生えていた。うそ、こんな所に。
私の悪い癖で薬草を見ると夢中になってしまうのだ。
私はドンドン奥に入っていった。
「あなた、こんな所で何してるの? 」
私はいきなり後ろから声をかけられて驚いた。後ろを振り返るとかごを背負った女の人が立っていた。
「どうやって敷地の中に入って来たの?」
「えっ?」
私はまずいと思った。いつの間にか他人様の敷地に入って薬草を採っていたらしい。
「ごめんなさい。つい夢中になってしまって」
私は慌てて採取した薬草を女の人に差し出した。
「それはどうでもいいから、他の人に見つからないうちに早く出ていきなさい」
女の人は私のことを心配していってくれた。
「ラーナ、そちらはどなたかな?」
後ろから声がかかった。
ラーナと呼ばれた女の人がびくりとした。私が勝手に入って薬草採っていたので、私のせいで怒られるのを怖れているのだろうか?
「すいません。薬草採っていたら、知らない間にお宅の敷地に入っていたみたいで、本当にすいません」
私はラーナが怒られないように、先に謝った。
「いや、それは構いませんよ。あなたも薬剤師の方なんですか?」
「ということはおじさんも薬剤師?」
「いや、私は違うが、彼女ラーナは薬剤師だよ」
「そうなんだ。ここは薬草園なんですか」
「そうだね。標高が高いから高山植物の薬草園だよ」
「それでなんですね。王都にはあんまりない薬草が沢山あるんで、つい入ってしまいました。すいません」
「もし良かったら、倉庫にも色々あるので見て行ったらどうだい?」
男の人は親切そうに言ってくれた。
「えっ、良いんですか?」
私は喜んで言った。自分の店以外の倉庫を見たことがなかったのだ。これは色々参考になるかもしれない。
ラーナは男を怖れているようだったが、何を怖れているのだろうか?親切な良い人知じゃないか。
倉庫にはどんな薬草があるんだろう。ラーナが何か私に合図してるが私は無視して男の人についていくことにした。
男の後についていくと、大きな倉庫が現われた。鍵を開けて中に入れてくれる。
「うわー、凄い」
私は周りを見回していった。
中には乾燥した薬草の他、完成した薬や、ポーションが棚ごとにきちんと整頓されて置かれていた。
こんな大きな倉庫は始めてみた。
文字は帝国語が書かれているのが多い。ここは帝国の系列なんだろうか。
キョロキョロしていた私は、気になる風邪薬ポーションを見た。
「あれーー、これチェスターの風邪薬って書かれているんですけど」
私は驚いて言った。
なんかきれいな文字で『チェスターの風邪薬』と書かれているが、チェスターの風邪薬は私が子供の頃作ったから、子供の文字でそれもすべてひらがなで書かれているのだ。私はそれを直していなかった。それに、なんか薬の色が黄色っぽいんですど、私の風邪薬は苦さを見た目にも出すために、濃い緑色なのだ。苦さを増すために、中に入れた薬草の色なのだ。
「そう、王都で有名な薬屋の風邪薬だよ。お嬢さんよく知っているね」
男は笑って言った。そう言えば男の顔をよく見ると徐々に悪人顔に見えてきた。
ラーナさんを見ると首を振ってきた。
あまり触れるなって言ってくれたんだろう。でも、そう言うわけにもいかない。
「変ですね。チェスターの風邪薬ってもっと濃い緑なんですけど」
「お嬢さんはよく知っているね。教えてくれてありがとう。次からはそうするよ。まあ、お嬢さんには関係なくなる話だが・・・・」
男はニヤニヤ笑ってきた。これはわざと私の偽薬を作っているのは決定的だった。
そして、その男の後ろから人相の悪い大柄な男達が5人ばかり出て来たのだ。
カートらを置いて走って来るんじゃなかった。私は大いに後悔した。
**********************************************
絶体絶命のリア? 続きは今昼更新予定です。
お気に入り登録まだの方はぜひともお願いします。
言うつもりはなかったのに。
「大嫌い」って。
だって、パーティーでカートを待っていたのに。いきなり別の人間が来るって絶対におかしいよ。
そう、楽しみに待っていたのに・・・・
やっと妹ポジションから脱却出来て、カートの恋人になれる、いやそこまでいかなくてもせめて妹以上恋人未満の存在になれたと思ったのに・・・・
カートは私に対して本当に酷いことしたと思う。
そう思っていなかったのも許せなかった。
私の目には涙が溢れ、前がよく見えなかった。
「カートのバカ野郎!」
私は叫んでいた。もうどうにでもなれって感じだった。
私はダンジョンに潜ることによって培われた勘によって前も見ずに走っていた。
途中で誰かを弾き飛ばしたような気がしたが、そんな事にかまっている余裕はなかった。
「はあ、はあ、はあ」
さすがの私も30分も走ると息が切れてきた。
いつの間にか湖岸から離れて、林の中に入っていたみたいだった。
あれ? ここはどこだろう?
私は急に心配になって、涙を拭いて周りを見渡した。
周りに人影は見えなかったが、まあそんなに遠くには来ていないはずだと思う。
迷ってしまっていたらどうしよう!
まあ、ポーションがあるから10日は飲まず食わずで生きていけるはずだ。伊達に小さい時からダンジョンに潜ってはいない。
とは言うものの何か手がかりは・・・・。
私がキョロキョロしていると、視界には珍しい薬草が写った。
「えっ、コマクサって高山植物でなかなかないのよね」
私は少しもらうことにした。
周りを見ると更に先にもある。
「あっ、これはカゲミ草だ」
少し先に行くと更に珍しい高山植物のカゲミ草が生えていた。うそ、こんな所に。
私の悪い癖で薬草を見ると夢中になってしまうのだ。
私はドンドン奥に入っていった。
「あなた、こんな所で何してるの? 」
私はいきなり後ろから声をかけられて驚いた。後ろを振り返るとかごを背負った女の人が立っていた。
「どうやって敷地の中に入って来たの?」
「えっ?」
私はまずいと思った。いつの間にか他人様の敷地に入って薬草を採っていたらしい。
「ごめんなさい。つい夢中になってしまって」
私は慌てて採取した薬草を女の人に差し出した。
「それはどうでもいいから、他の人に見つからないうちに早く出ていきなさい」
女の人は私のことを心配していってくれた。
「ラーナ、そちらはどなたかな?」
後ろから声がかかった。
ラーナと呼ばれた女の人がびくりとした。私が勝手に入って薬草採っていたので、私のせいで怒られるのを怖れているのだろうか?
「すいません。薬草採っていたら、知らない間にお宅の敷地に入っていたみたいで、本当にすいません」
私はラーナが怒られないように、先に謝った。
「いや、それは構いませんよ。あなたも薬剤師の方なんですか?」
「ということはおじさんも薬剤師?」
「いや、私は違うが、彼女ラーナは薬剤師だよ」
「そうなんだ。ここは薬草園なんですか」
「そうだね。標高が高いから高山植物の薬草園だよ」
「それでなんですね。王都にはあんまりない薬草が沢山あるんで、つい入ってしまいました。すいません」
「もし良かったら、倉庫にも色々あるので見て行ったらどうだい?」
男の人は親切そうに言ってくれた。
「えっ、良いんですか?」
私は喜んで言った。自分の店以外の倉庫を見たことがなかったのだ。これは色々参考になるかもしれない。
ラーナは男を怖れているようだったが、何を怖れているのだろうか?親切な良い人知じゃないか。
倉庫にはどんな薬草があるんだろう。ラーナが何か私に合図してるが私は無視して男の人についていくことにした。
男の後についていくと、大きな倉庫が現われた。鍵を開けて中に入れてくれる。
「うわー、凄い」
私は周りを見回していった。
中には乾燥した薬草の他、完成した薬や、ポーションが棚ごとにきちんと整頓されて置かれていた。
こんな大きな倉庫は始めてみた。
文字は帝国語が書かれているのが多い。ここは帝国の系列なんだろうか。
キョロキョロしていた私は、気になる風邪薬ポーションを見た。
「あれーー、これチェスターの風邪薬って書かれているんですけど」
私は驚いて言った。
なんかきれいな文字で『チェスターの風邪薬』と書かれているが、チェスターの風邪薬は私が子供の頃作ったから、子供の文字でそれもすべてひらがなで書かれているのだ。私はそれを直していなかった。それに、なんか薬の色が黄色っぽいんですど、私の風邪薬は苦さを見た目にも出すために、濃い緑色なのだ。苦さを増すために、中に入れた薬草の色なのだ。
「そう、王都で有名な薬屋の風邪薬だよ。お嬢さんよく知っているね」
男は笑って言った。そう言えば男の顔をよく見ると徐々に悪人顔に見えてきた。
ラーナさんを見ると首を振ってきた。
あまり触れるなって言ってくれたんだろう。でも、そう言うわけにもいかない。
「変ですね。チェスターの風邪薬ってもっと濃い緑なんですけど」
「お嬢さんはよく知っているね。教えてくれてありがとう。次からはそうするよ。まあ、お嬢さんには関係なくなる話だが・・・・」
男はニヤニヤ笑ってきた。これはわざと私の偽薬を作っているのは決定的だった。
そして、その男の後ろから人相の悪い大柄な男達が5人ばかり出て来たのだ。
カートらを置いて走って来るんじゃなかった。私は大いに後悔した。
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