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学園祭当日一番にナゼか第一王子がやって来ました

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ドタバタしたが、あっという間に学園祭当日になってしまった。私達女性全員、部屋で出来上がったメイド服を着る。男どもの執事服はベッキーが格安で手に入れていた。一方問題のメイド服はハンナらが必死に修正してくれた。

「えええ!こんなに丈短いの!」
私は悲鳴を上げた。短いと着るのを躊躇した白いスカートよりも更に短い。確かにあのジルおじさんがくれたメイド服よりは大分長くなったが、それでも短い。

「ごめんね。リア。あなた、皆よりも脚が長いみたいでちょっと短めになってしまって」
ハンナが謝ってきたが、これはハンナのせいじゃ無い。元が短いのが悪いのだ。すなわち何も考えずにジルおじさんからもらった私の自業自得なのだ。

「ううん、ハンナのせいじゃ無いわ」
「いや、リア、すごく似合うよ!」
「本当に!」
男どもが言うが信じられない。

「まあ、皆、色々言いたい事もあるとは思うけど、もうここまで来たらやるしかないわ」
ベッキーが言う。
「打倒王子で頑張ろう!」
「おう!」
一部男子が元気だった。私はと言うと短い足元が気になってそれどころでなかった。

時間になってベッキーらが外の位置につくが、私は出遅れた。そもそもこんな衣装で接客するなんて無理。私はそのまま逃げ帰りたかったのだが。

「殿下!」
「お帰りなさいませ。ご主人様」
皆が一斉に挨拶する声が聞こえる。あの声の感じだと第一王子か。エロ満開で早速来たのか?次期国王と呼ばれる男がそれで良いのか?
私は完全に他人事だった。

「えっ? リアですか? リア、お呼びよ!」
ベッキーの声が聞こえた。

「えっ? 私?」
私は仕方なく外に出る。

「どうしたんですか? 殿下?」
殿下は私を見て固まっていた。

「リア、ご挨拶」
ベッキーがあたかも犬に命じるように言う。犬じゃ無いっての。

「お帰りなさいませ。あなた!」
私はカテーシした。
皆が固まっている。

「えっ、カテーシ間違えた?」
私は皆から何回もダメ出し食った、カテーシに気がいっていて、言い間違いに気付かなかったのだ。

「違う。ご主人様!」
「?」
ベッキーが注意するが私も慌てていて良く判っていなかった。後で気付いて死にたくなったが、このときは気付かなくてよかった。

「いや、良いよ。今の良かった」
なぜか殿下が納得したのでそのまま中に案内する。

椅子を引いて
「ご主人様、こちらにお掛けください」
「今度はあなたって言ってくれないんだ」
「はいっ?」
私は王子が何を言っているか判らなかった。

「いや判らなければ良い」
王子は席に座る。
うん見るだけならイケメンだ。あんまりお近づきになりたくないけど。

私が王子の横に立つと

「リアも座ってよ」
「いえ、私はメイドですから」
「だって今は人もほとんどいないじゃないか。主人に言われたらメイドは座るものだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうだよ」
「判りました。失礼します」
私は殿下の前の席に座った。

殿下の視線が私の脚に釘付けだ。

「殿下もいやらしいんですね」
私が軽蔑して言うと。

「いや、そんなこと無いよ。そのスカートは、あまりに短すぎないか?」
「そうですよね。短すぎますよね。ジルおじさんから倉庫に眠っているメイド服をわけてもらったんですけど」
「ジルが、あのエロジジイめ!」
忌々しそうに王子が言う。

「ご存じなんですか?」
「ああ、少しな。こんな服を寄越すような男はあまり信用ならないんじゃないか」
「ジルおじさんはそんなこと無いと思っていたのに。クラスの男らも本当にエロ全開で」

「コーヒーです」
戸惑ったオーガストが盆を差し出した。本来は立った私が受け取るのだがその私が座っているからだ。

「このオーガストなんか、いかがわしいお店からマニュアル持ってくるし」
「それは良くないな」
王子が厳しい顔でオーガストを一瞥する。

「おい、リア、何も殿下の前でそんなこと言わなくても」
オーガストが蒼白になって言う。

「大丈夫よ。殿下もあなた方とそんなに変わらないから」
私の言葉に殿下は思わずコーヒーを吹き出した。

「もう、殿下汚ない!」
私が非難すると、
「リアが変なこと言うからだろう」
王子が言い返してきた。

「だってオーガストが、男は皆同じでいやらしいって」
「ちょっとリア、俺は殿下がいやらしいとは一言も言ってないぞ」
「男は全員同じむじなみたいなこと言っていたでしょ」
王子が白い目でオーガストを見る。

「殿下もそういういやらしい店に行ったりしているんですか?」
私の言葉に再度王子がコーヒーを吹き出す。

「そんなわけ無いだろ」
「でもザカリーも見た目は紳士だけど、そういう店に行きたいみたいなこと言ってましたし」
「ちょっとリア、止めて。殿下これは誤解です」
後ろから慌ててザカリーが飛んでくる。

「君たちは女の子の前でなんと言う事を言っているんだ」
王子からは吹雪のようなオーラが立ち上っていた。

「ザカリー、君には後で話がある」
王子の言葉にザカリーは青くなる。

「ちょっと殿下」

「やっぱりカートもそうなんですかね」
私が不安になって言うと、
「そらあそうだろう。カートも男だからな」
オーガストがさも当然と言うように頷いてくる。

「いや、リア、彼は皆とは違うと思うぞ」
王子が何故か慌ててカートの弁護を始めた。

「そんなことは無いですよ。彼も男ですからね」
「いや、彼は真面目だよな。ザカリーもそう思うだろう」
オーガストの言葉に王子が反論する。

「いやあ、そうなんじゃないですかね」
ザカリーはどっち付かずの反応だった。

「ザカリー!」
「いや、そう思いますよ。当然」
「ふーん。なんか怪しいです。最近カートは全然私の前に来ないし」
「女でも出来たんじゃないか」
オーガストが言う。

「いや、彼には仕事を頼んでいて、なかなかいそがしいんだ。だから彼に代わって私が様子を見に来たんだ」
「えっ。殿下が代わりに見に来て頂いたんですか」
私は驚いて聞いた。

「そうだよ。本当は彼はとても来たがっていたんだ」
「なんか怪しいですけど」
私が白い目で殿下を見る。

「それよりも君のその格好見たらカートは妬くぞ。もう少し丈の長いスカートは無いのかい。ザカリー」
王子が非難するようにザカリーを見た。

「良いじゃないですか。殿下。彼も男なんですから」
「うーん。オーガスト君だっけか。私は今はリアと話しているんだが」
「これは失礼しました」
慌ててオーガストが席を外す。

回りを見るといつの間にか席は結構埋まっていた。
「殿下。どうもご利用有り難うございます。どうぞ、ごゆっくりなさって下さい」
私はまだ話したそうな王子をおいて席を離れた。
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