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罰として貴族令嬢と一緒に礼儀作法三昧です。
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それからの処理が大変だった。
私は巨大な給水タンクのすべての水を結果的に副学長室に流し込んでしまったのだった。
中は悲惨な状況になってしまったのは言うまでもない。
溢れた水が、廊下を流れて階段は滝になって結構大変だった。
授業中で歩いている人がいなくて良かった。
先生たちは直ちに風魔法で水を乾かしたりして大変だった。
せっかく逃れた副学長室に呼び戻された私はそれから延々アビゲイル先生のお小言を食らうことになった。
かつらが水で流された副学長は最初その事を知らずに一緒になって怒っていたが、かつらがないことに気付いた途端の慌てようは思わず吹き出してしまったほどだった。
そして、放課後の補習、何故か私はレベッカらと一緒に受けることになってしまったのだ。
何故? 礼儀作法の授業だけでも大変なのに・・・・・
「オーレリアさん。なんですか、その立ち方は、背筋をもっと伸ばして。レベッカさんを見習いなさい」
私はアビゲイル先生に注意された。もう何度目だろう。礼儀作法は無理だって。私はやる気もなかった。
レベッカらは馬鹿にしたように私を見る。悔しかったが、礼儀作法でレベッカに叶うわけない。
私は歯を食いしばってきちんと立つようにする。
「レベッカさんもオーレリアさんよりましだからって、喜ばない。彼女は礼儀作法では学園最低ラインにいるのです。貴族のあなたが勝てて当たり前です。はいっ。ブリトニーさんももっと顔上げて!」
レベッカらは注意される。ざまあみろと私は思った。
「ほら、首が歪んでいる。背筋をきちんと伸ばす。その姿勢がきっちりできないことには、殿下の隣には立てませんよ」
そうアビゲイル先生に言われたらレベッカは必死にやりだした。そんなに殿下の隣に立ちたいらしい。
「先生。私は皆さんと違って王族とか貴族の方々の隣に立ちたいとは思いませんので、そろそろ失礼させて頂いて宜しいですか」
思わず言ってしまった。
「何を言っているのです。オーレリアさん。あなたのはそれ以前で、学園生として最低限度の礼儀作法マナーが出来ていないんです。このまま行くと落第ですよ」
「えっ、それは困ります」
流石に落第はまずい。私は思わず姿勢を正した。
「それに夏休み前にあるサマーパーティーにも、そんな姿勢では参加は許されないと思います」
「えっ、そうなんですか」
私は思わず声わあげた。
「そうです。いまだかつて礼儀作法がなっていないから参加を禁止された生徒はいません。あなたが第一号になるのですか」
「それは流石に困ります」
そうだ、カートにサマーパーティーは誘われているのだ。そもそも礼儀作法で落第って絶対に馬鹿にされる。それだけは避けないと。
「ならしっかりしなさい」
「まあ、でも、がさつなあなたを誘ってくれる殿方なんかがいるの?」
ブリトニーが馬鹿にしたように言った。
「ブリトニーさん。そんな事を言ってはいけません」
さすがにアビゲイル先生が注意してくれる。
「何言っているのよ。サマーパーティーはカートに誘われていますよだ」
でも私は売り言葉に買い言葉で言っていた。
「誰よ、カートって」
「3年生の平民の人よ」
「ふーん。ま、あなたなら平民がお似合いよ」
ブリトニーが馬鹿にしたように言った。
「そうよ。私は王子様とかお貴族様なんて全然興味ないんだから」
私は自信満々に言った。本当にお貴族様とかには関わりたくない。
「あのう、オーレリアさん。カートというのは茶色い髪の黒目の男の子ですよね」
「そうです。先生ご存知ですか」
私は嬉しくなって聞いた。
「あなた、何言っているのですか。こんな礼儀作法の出来で、その子と一緒にいられると思っているのですか」
アビゲイル先生はきっと私を見た。
「えっ、そうなんですか?」
「その子はとても人気のある子で、貴族の令嬢からも引っ張りだこです。こんな礼儀作法でその子の隣に立ったらその子がとても恥をかいてしまいますよ。あなた友達に恥をかかせたいのですか」
「いえ、そんな事はありません」
私は思わず言った。
「それにあまりにひどいと他の貴族令嬢に取られてしまいますよ。それで良いのですか?」
「えっ、それは嫌です」
カートが他の貴族令嬢に取られるのは嫌だった。絶対に。カートは優しいし、強いし頼りになるし、考えたら他の令嬢が群がっていそうだった。
「じゃあ今からレベッカさん並みに頑張りなさい」
「はい」
私はいつの間にか必死にレベッカと一緒に練習させられるようになってしまった。
うーん、なんか上手いこと乗せられたような気がするのだが・・・・。
***********************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次回は明日更新です。
私は巨大な給水タンクのすべての水を結果的に副学長室に流し込んでしまったのだった。
中は悲惨な状況になってしまったのは言うまでもない。
溢れた水が、廊下を流れて階段は滝になって結構大変だった。
授業中で歩いている人がいなくて良かった。
先生たちは直ちに風魔法で水を乾かしたりして大変だった。
せっかく逃れた副学長室に呼び戻された私はそれから延々アビゲイル先生のお小言を食らうことになった。
かつらが水で流された副学長は最初その事を知らずに一緒になって怒っていたが、かつらがないことに気付いた途端の慌てようは思わず吹き出してしまったほどだった。
そして、放課後の補習、何故か私はレベッカらと一緒に受けることになってしまったのだ。
何故? 礼儀作法の授業だけでも大変なのに・・・・・
「オーレリアさん。なんですか、その立ち方は、背筋をもっと伸ばして。レベッカさんを見習いなさい」
私はアビゲイル先生に注意された。もう何度目だろう。礼儀作法は無理だって。私はやる気もなかった。
レベッカらは馬鹿にしたように私を見る。悔しかったが、礼儀作法でレベッカに叶うわけない。
私は歯を食いしばってきちんと立つようにする。
「レベッカさんもオーレリアさんよりましだからって、喜ばない。彼女は礼儀作法では学園最低ラインにいるのです。貴族のあなたが勝てて当たり前です。はいっ。ブリトニーさんももっと顔上げて!」
レベッカらは注意される。ざまあみろと私は思った。
「ほら、首が歪んでいる。背筋をきちんと伸ばす。その姿勢がきっちりできないことには、殿下の隣には立てませんよ」
そうアビゲイル先生に言われたらレベッカは必死にやりだした。そんなに殿下の隣に立ちたいらしい。
「先生。私は皆さんと違って王族とか貴族の方々の隣に立ちたいとは思いませんので、そろそろ失礼させて頂いて宜しいですか」
思わず言ってしまった。
「何を言っているのです。オーレリアさん。あなたのはそれ以前で、学園生として最低限度の礼儀作法マナーが出来ていないんです。このまま行くと落第ですよ」
「えっ、それは困ります」
流石に落第はまずい。私は思わず姿勢を正した。
「それに夏休み前にあるサマーパーティーにも、そんな姿勢では参加は許されないと思います」
「えっ、そうなんですか」
私は思わず声わあげた。
「そうです。いまだかつて礼儀作法がなっていないから参加を禁止された生徒はいません。あなたが第一号になるのですか」
「それは流石に困ります」
そうだ、カートにサマーパーティーは誘われているのだ。そもそも礼儀作法で落第って絶対に馬鹿にされる。それだけは避けないと。
「ならしっかりしなさい」
「まあ、でも、がさつなあなたを誘ってくれる殿方なんかがいるの?」
ブリトニーが馬鹿にしたように言った。
「ブリトニーさん。そんな事を言ってはいけません」
さすがにアビゲイル先生が注意してくれる。
「何言っているのよ。サマーパーティーはカートに誘われていますよだ」
でも私は売り言葉に買い言葉で言っていた。
「誰よ、カートって」
「3年生の平民の人よ」
「ふーん。ま、あなたなら平民がお似合いよ」
ブリトニーが馬鹿にしたように言った。
「そうよ。私は王子様とかお貴族様なんて全然興味ないんだから」
私は自信満々に言った。本当にお貴族様とかには関わりたくない。
「あのう、オーレリアさん。カートというのは茶色い髪の黒目の男の子ですよね」
「そうです。先生ご存知ですか」
私は嬉しくなって聞いた。
「あなた、何言っているのですか。こんな礼儀作法の出来で、その子と一緒にいられると思っているのですか」
アビゲイル先生はきっと私を見た。
「えっ、そうなんですか?」
「その子はとても人気のある子で、貴族の令嬢からも引っ張りだこです。こんな礼儀作法でその子の隣に立ったらその子がとても恥をかいてしまいますよ。あなた友達に恥をかかせたいのですか」
「いえ、そんな事はありません」
私は思わず言った。
「それにあまりにひどいと他の貴族令嬢に取られてしまいますよ。それで良いのですか?」
「えっ、それは嫌です」
カートが他の貴族令嬢に取られるのは嫌だった。絶対に。カートは優しいし、強いし頼りになるし、考えたら他の令嬢が群がっていそうだった。
「じゃあ今からレベッカさん並みに頑張りなさい」
「はい」
私はいつの間にか必死にレベッカと一緒に練習させられるようになってしまった。
うーん、なんか上手いこと乗せられたような気がするのだが・・・・。
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次回は明日更新です。
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