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厄災女偏

お祖父様が亡くなって公爵家に変えられたらいきなり皇太子の婚約者にされそうになってので、即座に断りました

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私はそれからジャルカについて必死に魔術の訓練をした。

ジャルカに連れられてエイミーとともに色んなところに出かけた。

相変わらず、ジャルカの魔術の訓練は命がけで、私も死にかけたことが二度や三度あったが、そのおかげか、魔術はメキメキ伸びていった。

お祖父様には私が危険なことをしているのを時々知られて、そんな危険な事をしてはダメだとジャルカと一緒に怒られたけれど。

「伯爵様、魔術の訓練は危険と隣り合わせなのです」
ジャルカは何を言われてもびくともしなかった。
それに、私にとっても魔術の特訓は死活問題なのだ。
お祖父様はお前のことは護衛が守ってくれるって言うけれど、帝国の皇太子に婚約破棄、断罪された令嬢の命を誰が守ってくれるというのか?

そんな命知らずな奴はセドとか白馬の騎士様くらいだ。
その二人にしても、皇太子に面と向かって逆らえるとかと言うと私には疑問だった。
前に命がけで命を守ってもらっていてそんな事を言うのもなんだけど……

だから、どれだけ怒られようと自分の命を守るのは自分なのだ。

私はお祖父様に怒られても魔術の訓練をするのは止めなかった。

でも、魔術の練習だけではなくて、私はいろんな勉強もさせられた。
いろんな領地の勉強もそうだ。
確かに今後この帝国で行きていくのならば、たとえ、将来的に貴族社会を見限って出奔したとしても、いろんな領地の知識は必要だろう。
そんな中で物語を読む宿題で、私はお祖父様の図書室から傭兵部隊のお話を見つけたのだ。
彼らはこの大陸中を渡り歩いて、魔獣や悪徳領主を倒したりしていたのだ。
まさしく私にぴったりじゃない!
私は女だてらに昔の戦いのアニメもよく見ていて、

「貴様はもう死んでいる」???魔術で心臓を破裂させる?
「ふんっ、またつまらないものを斬ってしまった」おいおい魔術でどうやって斬るのよ?

とか、言ってみたいセリフが一杯あった。
一度で良いから、めちゃくちゃ格好良いセリフが言ってみたかった。
前世はオレオレ詐欺だし、今世は悪役令嬢だし……

悪役令嬢で皇太子相手に
「貴様はもう死んでいる」
って言ってやろうかしら……

ダメだ。

その瞬間皇太子暗殺容疑で反逆罪が適応されてしまう!

まあ、私ははこの物語に出てくるような傭兵団で働いてみたいと思ったのだ。

貴族社会から追放されても、今まで通り私が必死に魔術の訓練を続けていけば、魔術師ならば雇ってもらえる可能性はあるとジャルカにも言われたし。

私は一生懸命に魔術を練習して一人前になろうと思ったのだ。


でも、私が12歳の時にそんな私を温かい目で見てくれていたお祖父様が亡くなったのだ。

私はショックだった。

お祖父様のお葬式では私らしからぬ態度で号泣したのだ。

お祖父様はお母様以外では、初めて私のことを親身に心配してくれた身内だった。

そして、跡を継いだ伯父は私には冷淡だった。

「お前のような金食い虫には用がない」
とあっさりと追い出されてしまったのだ。
なんでも、ジャルカの教師代が結構な費用を占めていたらしい。
「ふんっ、新しい伯爵はみみっちい男よ。私のような偉大な魔術師をたった魔術師3人分の費用で雇えるなど格安で奉仕してやったのに」
ジャルカはブツブツ文句を言っていた。
まあ、確かにジャルカは魔術師の腕は一流だったが、伯爵家としてはそこまでの費用が出せないということだった。

「ジャルカ、ごめんなさいね。こんな事になってしまって」
「なあに儂はどこでも行きていけるからの。次は隣の大陸にでも渡ってやっていけばいいがの」
ジャルカは笑って言ってくれた。

「それよりもお主はどうするのじゃ?」
「私は親の公爵家から呼ばれているから取り敢えず、帰ってみるわ」
そう、私は父親から帰ってくるように命令されていたのだ。

行くところがないので、ジャルカについていこうかとも思っていたのたが、帰ってこいというのならば取り敢えず帰ったほうが良いだろう。

まあ、どのみち碌なようではないような気がするが、帰るだけは帰ってみることにしたのだ。
父親も反省しているかもしれないし……

でも、その考えは甘かったのだ。

私は帰るなり、父に応接に呼ばれたのだ。

そこには、父の他に会いたくもない継母もいた。
私はまた継母に叩かれたらどうやって仕返ししてやろうか、思わず考えたのだ。

火の玉で燃やすか、
水を頭の上からぶっかけるか、
そうだ! 燃やした後に水で消してやろう!
そこまで考えた時だ。

何故か父はとても機嫌が良かった。
逆に継母は不機嫌そうだった。

「喜べ、キャロライン。陛下から『ぜひともお前を皇太子殿下の婚約者にしたい』とのお言葉を頂いたのだ」
父は満面の笑みを浮かべて言ってくれた。

「お断りします」
でも、私は即決したのだった。
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