モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第三部 隣国潜伏編 母の故国で対決します

国軍が攻めてきた時に、赤いマフラーを靡かせて仮面を被ったミニアンちゃんが現れました。

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村長については私は期待していなかったのに、直ちに村長の家に招かれたのだ。

「アン様がヘドルンド伯爵令息様とお知り合いだとは知りませんでした」
村長はとても丁重に迎えてくれた。聖女の待遇よりも良いんだけど、ヘドルンド家ってそんなに国外で有名なの?

後で聞いたら、昔、村長の遠縁を屋敷で雇っていたことがあるのだそうだ。それだけでこの待遇の差はおかしいと思って、更に聞いたら、飢饉の時にこの村に食料を援助したこともあるらしい。

「まあ、大した量では無かったんだけど」
「いえ、そのお陰でこの村では一人の餓死者も出さなかったのです。あの時のご恩は忘れておりません」
村長はしみじみと言ってくれた。

「我が村に実験台よろしく疫病を流行らせた、摂政殿下の行いは許されるものではありません。
それに対して、聖女アン様には助けて頂きました。聖女様がいらっしゃらなかったら、いかほどの者が死んでいたのか。このご恩を我らは忘れません。聖女様を引き渡せだ? 何をふざけた事を言ってくれるのやら。
我らから聖女様を取り上げて奴らはこの領地を疫病で皆殺しにする計画なのでしょう。我らにとって到底許されることではありません!
伯爵領都の反乱勢力が物言ってきた所で我らには聖女様がいらっしゃるのです! か奴らは必ず我らに膝を屈して来るに違いありません!」
村長は何か過大な事言ってるけど、聖女がいるということがそれほど大きなアドバンテージになるとは私は思えなかった。

「だってフィル様のお母様みたいに、特効薬を与えるから私を差し出せと言われれば聞く人もいると思うのよね」
後で私がフィル様らに言うと、

「アン、それはもう触れないでくれ」
フィル様は憔悴した表情で私を見るんだけど、

「そうだよ。アン姉ちゃん。俺たちはそこのフィルとは違って一度受けた恩は忘れないかね」
そのアーロンの言葉に更にフィル様はショックを受けたみたいだった。

「聖女っていうだけで、敵の反乱軍が攻撃を待ってくれるとは思えないんですけど」
「まあ、その時はアンの力を見せつけてやれば良いんじやないかな。アンの魔術を見せつてやれば敵はおいそれとは攻撃出来ないと思うぜ」
私の言葉にアルフがとんでもないことを言うんだけど。

それは確かにそうかもしれないけれど、人を化け物みたいに言うのは止めてほしい。



結局、村の皆は自分の家を出て村長の家に集まってきた。
そして、村長宅にあった武器で武装する。でも、皆素人に毛の生えた様な感じだ。
元兵士達というのも片手ほどもいない。

戦力になるのはメルケルらと逃れてきて集まった10名とフィル様ら4名、それに私だった。

農民の皆は索敵で四方に哨戒に行ってもらう事にした。

村の見張り櫓にも4人ほど登ってもらった。

それから私たちは、必至に準備したのだ。各自の家の傍に動物用の罠を仕掛け、魔道具でトラップを作成する。

落とし穴も村の境目にたくさん作った。

村人が引っかからないように地図に記載する。



領都以外の各村とも連携を取ろうといろいろ画策している時だ。
警戒している領都と反対側で、唐突にトラップが発動したのだった。

凄まじい爆発が起こる。あそこまで大げさなもの作った覚えはないんだけど。
「さすがアンだ」
アルフが言うんだけど、そうだっけ?

「た、大変だ。反対側にスカンディーナの軍隊が迫ってきている」
半鐘がなって村長宅に見張りのハッリが飛び込んできた。

「何だと、国の軍が攻め込んできたのか」
村長が驚いて叫んでいた。

「次々に火を家に放っているんだ」
「なんてことしてくれるんだ」
「問答無用の攻撃に出てきたみたいだな」
「奴らは降伏勧告もしていないということは全員の抹殺を計っているんじゃないか」
ヘイモさんが言う。

「そんな、私達、ここで殺されちゃうの?」
イリヤが悲鳴を上げた。

「お前さん。縁起でもないことを言うんじゃないよ」
ヒルッカさんが注意したが、その声は少し不安そうに震えていた。

どうしよう。このままじゃまずい。
私が思った時だ。

私の目の前が光っていきなりミニアンちゃんが現れたのだった。

そう、さっそうと救世主のように現れた彼女は、何故か赤いマフラーに仮面をつけていて、腰に手を当てていたのだ。

そして、
「わっはっはっはっは」
と大声で笑い声をあげたのだった・・・・

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私の他の物語紹介
『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/615674666


ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。
そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。
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script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。この話の続編始めました
『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした!勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/782706326

両親を幼い頃に殺された王女アンネローゼはその仇を討つために母国スカンディーナ王国に仲間とともにアンネローゼ王国を建国した。悲劇の王女として祖国に暖かく迎え入れられると思ったのに、周りの民の反応は疫病神に対するようで、その上、そこに現れた勇者と名乗る男に魔王と言われ、自分が前世のゲーム『スカンディーナの聖女』のラスボス魔王だと知るのだ。何でこうなった? 自分は悲劇のヒロインのはずが…ラスボスは両親の仇、悪逆非道の摂政ブルーノのはずなのに…。ブルーノが慈悲深い聖王だと…そんな訳あるか
弱小国の軍隊を率いて必至にあがく可憐な王女のはずが、素手で勇者を粉砕、付いた渾名が暴虐の山姥、とか赤髪の魔王、私を見ると皆逃げていくんだけど、なんで!前世コミュ障引きこもりだった私が気弱なふりをすればするだけドツボに嵌って…。隣国の暴虐令嬢の先輩と大魔術師、冷酷非道な内務卿に良いように振り回されて、いく国盗り物語です。


是非ともお読み下さい。
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