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第三部 隣国潜伏編 母の故国で対決します
川で溺れている王太子を助けました
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私は次の日も精力的に領地を回ってヒールで疫病を治療した。
苦しんでいた人が、私のヒールで翌日には良くなっているのを見るのは嬉しかった。
でも、私の心はポッカリと大きな穴が空いていた。
フィル様との婚約が無くなったことがまだ尾を引いていたのだ。
もう忘れなければ行けないと心の中では思うのだけど、中々忘れられないのだ。
忙しくしているとフィル様の事を思い出さないので、それだけは良かった。夜も疲れているのでフィル様の事を考えるまもなく寝れるのもとても良かった。
その日は領都の村を6つ回った。最後の村からの帰りの馬車で、さすがの私も疲れ切ってしまった。
「200年前にこの村から、詩人バイロンが出たのだと言われているんです」
「そうなのですか」
伯爵令息の言葉に私はもう目が閉じそうだった。
「バイロンは『友情はしばしば愛へと成長する』と謳っています。私も聖女様と友人から始められたらと思うのです・・・・・」
伯爵令息が色々話しかけてくるけれど、私は彼が何を言っているかもう聞いていなかった。半分寝ていたのだ。
お貴族様の前で寝るなんてとんでもないことなのだが、疲れ切った私には仕方がないことだった。これで文句言われるのならば、次から馬車の中はメルケルにしてもらえばいいかと私は勝手なことを考えながら、眠りの世界に入ってしまった。
私ははっと気付くと、何故か水の中にいた。それも凄まじい濁流だ。
馬車が川に落ちてしまったのだろうか?
その先に金髪の人が流されているのが見えた。
誰だ? あんな濃い金髪の人などいただろうか。
その人は苦しんでいた。回転して、その顔がはっきりと見えた。
それはとても懐かしい顔だった。
「フィル様!」
私は流されるフィル様に思わず手を差し伸ばした。
しかし、フィル様は私の手では捕まえられなかった。そのまま、濁流の中、流されて行ったのだ。
「フィル様!」
私は、自分の大声ではっと目覚めた。
馬車では私の声に驚いた伯爵令息がいた。
「馬車を止めてください!」
「どうされたのですか?」
二クラスは私に慌てて聞いてきた。
私は構わずに、馬車の扉を開ける。
「な、何をされるのです。アン様」
慌てふためく二クラスに構っている暇はなかった。
「メルケル、馬車を止めて」
私は横を馬で走っているメルケルに頼んでいた。
メルケルが慌てて御者に命じるが、馬車が止まる時間も惜しかった。
「ど、どうされたのですか? アン様」
私は伯爵令息を無視して、フィル様を思い浮かべた。フィル様は川の中に沈んでいくところだった。
「フィル様、今行きます!」
私は叫ぶと転移したのだ。
最後に慌ててこちらに駆けてくるメルケルに無私は手を振っていた。
次の瞬間には私は川の中に転移していた。
濁流に飲み込まれそうになる。必至に目を開けると、川底に落ちていくフィル様が見えた。
私は必至に、フィル様目掛けて泳いだ。
服が体にまとわりついて中々前に進まなかったが、もうそんな事を考えている余裕もなかった。
邪魔な上着を引きちぎるように脱いで泳ぐ。そして、やっとフィル様に抱きいた。
それと同時に転移したのだ。
転移した先はヒルッカさんの傍だった。
「ギャッ」
何故か男の人の悲鳴が聞こえたが、そんなのは無視だ。
誰かの上に乗ったみたいだが、慌てて退くと
「フィ、フィル様」
私はフィル様を揺するがフィル様はびくともしない。
「ど、どうしたんだい。アン。びしょ濡れじゃないか」
ヒルッカさんが聞いてきた。
「ヒルッカさん。フィル様が死んじゃう」
私はそういうとフィル様を必至に揺すった。
「川で溺れたんだろう。アゴを上げて鼻をつまむんだよ」
私はヒルッカさんの言う通りにする。
「そして、口の中に思いっきり息を吹き込むんだ」
私は必至に言われた通りした。
「そして、もう一度」
もう一度ヒルッカさんの言う通りにする。
「良かった、呼吸を始めたよ」
ヒルッカさんがフィル様の口元をみて、安心したように言ってくれた。
「この子はどうしたんだい」
「直ぐ傍の川で溺れていたんです」
私が言うと
「あんた、すぐに村のものを集めて川の周りを、まだ溺れている人がいないか捜索してきな」
「な、何で俺が」
「クズグス言わずにすぐ行くんだよ」
ヒルッカさんの怒声に慌ててヘイモさんが、飛び出していった。
「アン、あんたも濡れているからすぐに着替えな」
ヒルッカさんが言ってくれたが、私は張り詰めた気が抜けたのかそのままフィル様の横で気を失ってしまったのだ。
苦しんでいた人が、私のヒールで翌日には良くなっているのを見るのは嬉しかった。
でも、私の心はポッカリと大きな穴が空いていた。
フィル様との婚約が無くなったことがまだ尾を引いていたのだ。
もう忘れなければ行けないと心の中では思うのだけど、中々忘れられないのだ。
忙しくしているとフィル様の事を思い出さないので、それだけは良かった。夜も疲れているのでフィル様の事を考えるまもなく寝れるのもとても良かった。
その日は領都の村を6つ回った。最後の村からの帰りの馬車で、さすがの私も疲れ切ってしまった。
「200年前にこの村から、詩人バイロンが出たのだと言われているんです」
「そうなのですか」
伯爵令息の言葉に私はもう目が閉じそうだった。
「バイロンは『友情はしばしば愛へと成長する』と謳っています。私も聖女様と友人から始められたらと思うのです・・・・・」
伯爵令息が色々話しかけてくるけれど、私は彼が何を言っているかもう聞いていなかった。半分寝ていたのだ。
お貴族様の前で寝るなんてとんでもないことなのだが、疲れ切った私には仕方がないことだった。これで文句言われるのならば、次から馬車の中はメルケルにしてもらえばいいかと私は勝手なことを考えながら、眠りの世界に入ってしまった。
私ははっと気付くと、何故か水の中にいた。それも凄まじい濁流だ。
馬車が川に落ちてしまったのだろうか?
その先に金髪の人が流されているのが見えた。
誰だ? あんな濃い金髪の人などいただろうか。
その人は苦しんでいた。回転して、その顔がはっきりと見えた。
それはとても懐かしい顔だった。
「フィル様!」
私は流されるフィル様に思わず手を差し伸ばした。
しかし、フィル様は私の手では捕まえられなかった。そのまま、濁流の中、流されて行ったのだ。
「フィル様!」
私は、自分の大声ではっと目覚めた。
馬車では私の声に驚いた伯爵令息がいた。
「馬車を止めてください!」
「どうされたのですか?」
二クラスは私に慌てて聞いてきた。
私は構わずに、馬車の扉を開ける。
「な、何をされるのです。アン様」
慌てふためく二クラスに構っている暇はなかった。
「メルケル、馬車を止めて」
私は横を馬で走っているメルケルに頼んでいた。
メルケルが慌てて御者に命じるが、馬車が止まる時間も惜しかった。
「ど、どうされたのですか? アン様」
私は伯爵令息を無視して、フィル様を思い浮かべた。フィル様は川の中に沈んでいくところだった。
「フィル様、今行きます!」
私は叫ぶと転移したのだ。
最後に慌ててこちらに駆けてくるメルケルに無私は手を振っていた。
次の瞬間には私は川の中に転移していた。
濁流に飲み込まれそうになる。必至に目を開けると、川底に落ちていくフィル様が見えた。
私は必至に、フィル様目掛けて泳いだ。
服が体にまとわりついて中々前に進まなかったが、もうそんな事を考えている余裕もなかった。
邪魔な上着を引きちぎるように脱いで泳ぐ。そして、やっとフィル様に抱きいた。
それと同時に転移したのだ。
転移した先はヒルッカさんの傍だった。
「ギャッ」
何故か男の人の悲鳴が聞こえたが、そんなのは無視だ。
誰かの上に乗ったみたいだが、慌てて退くと
「フィ、フィル様」
私はフィル様を揺するがフィル様はびくともしない。
「ど、どうしたんだい。アン。びしょ濡れじゃないか」
ヒルッカさんが聞いてきた。
「ヒルッカさん。フィル様が死んじゃう」
私はそういうとフィル様を必至に揺すった。
「川で溺れたんだろう。アゴを上げて鼻をつまむんだよ」
私はヒルッカさんの言う通りにする。
「そして、口の中に思いっきり息を吹き込むんだ」
私は必至に言われた通りした。
「そして、もう一度」
もう一度ヒルッカさんの言う通りにする。
「良かった、呼吸を始めたよ」
ヒルッカさんがフィル様の口元をみて、安心したように言ってくれた。
「この子はどうしたんだい」
「直ぐ傍の川で溺れていたんです」
私が言うと
「あんた、すぐに村のものを集めて川の周りを、まだ溺れている人がいないか捜索してきな」
「な、何で俺が」
「クズグス言わずにすぐ行くんだよ」
ヒルッカさんの怒声に慌ててヘイモさんが、飛び出していった。
「アン、あんたも濡れているからすぐに着替えな」
ヒルッカさんが言ってくれたが、私は張り詰めた気が抜けたのかそのままフィル様の横で気を失ってしまったのだ。
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