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第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました
閑話 暴虐令嬢視点 アンの仇の息子に襲われそうになったので、不能にしました。ついでにアンの為に立ち上がることにしました
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私はクリスティーン・カールソン、カールソン公爵家の長女だ。
父や母は礼儀作法をきちんとしろとか女の子らしくしろだとか、よく注意してくれるけれど、言うことを聞いたのは10歳までだ。それからは父や母に反発して、好きなように生きてきた。
というか、元々カールソン公爵家は武の一門なのだ。
力が第一で、第二も力、第三も力であって、礼儀作法なんてのは、遥か遥か下、100番目くらいにあるかどうかだ。
そんな私の婚約者は、当然、私より弱いものなど許せるわはなく、19になっても未だにいない。
そんな私に両親はなんとしてでも婚約者を見つけろと、矢のように催促して、色々と目合わせさせてくるのだが、そもそも、学園時代に並み居る男は尽く倒しているのだ。そんな弱いやつと婚約なんてするわけはない。
というか、同じ学年、いや、同じ学園生だった奴ら、すなわち、上2学年と下2学年の男どもは私を見た瞬間逃げ出す者が大半だ。付いた渾名が『暴虐令嬢』。
そんな奴らが私の婚約者になるわけはないではないか。
はっきり言ってこちらからもお断りだ。
そんな私に、業を煮やした父は、国外にまで声をかけ出した。最初はこの豊かなオースティン王国の公爵家の娘が嫁ぎ先を探していると知って、公爵家とつながりが出来るのならばと王族から公爵家、少し落ちて侯爵家、更に伯爵家から釣り書が殺到したのだ。
本当に面倒だった。
しかし、そんな男どもを次々に剣で地面に叩きつけたら、あっと言う間に噂になって釣り書がピタリと来なくなった。
両親の嘆き様は大変なもので、私は嫌気がさして、あっさりと家から離れて修行の旅に出ていたのだ。
そう、我が可愛い後輩で、悲劇の王女アンを助けるために、今のままでは駄目だと私は修行の旅に出たのだ。
ダンジョンに潜り、魔物を倒し、山賊を殲滅、辺境の地の蛮族を配下に従えて、果は古代竜を退治したのだ。
我ながら、剣の腕は多少なりとも上達したと自負している。
両親はそんな他国にいる私の居所を見つけ出して、また、見合いの相手を持って来たのだ。
相手は選りにも選って、アンの両親を殺して簒奪したブルーノの息子だった。
私は一顧だにせず断ろうとしたのだが、使いとしてやってきた家令が、頼むから会うだけ会って欲しいと頼み込んできたのだ。この家令には子供の頃助けてもらった恩があって、仕方なしに、会うことにしたのだ。
まあ、スカンディーナへの出陣前の景気づけに、血祭りに上げてやるのも一興かもしれん。
私はそう思って会うことにしたのだ。
私が滞在しているデン王国の王城に設定された顔合わせの部屋に入った時だ。横柄な態度のドグラス王子は椅子にふんぞり返っていた。
「その方がクリスティーン・カールソンというじゃじゃ馬か」
私を見るなり礼儀を知らないその男が私にほざいてくれた。
「これだから礼儀知らずは困るな。アーンフェ。さすが簒奪者の息子だ」
私は私の後ろについてきた家令に言った。
「いえ、あの、お嬢様」
私の言葉に家令は蒼白になっていた。
「な、何を言う。王子殿下に対して不敬だぞ」
偽王子の後ろに控えていた腰巾着が何か叫んでいる。
「ふんっ、何を言っているやら。スカンディーナ王国の王族はアンネローゼ様ただお一人だ。貴様は反逆者の王妹の息子に過ぎなかろう。王妹など我がオースティン王国の伯爵クラス、その息子が何を言うのだ」
「な、何だと」
さすがの偽王子が激昂した。
「貴様、我がスカンディーナ王国を愚弄するのか」
「フンッ、事実だろうが」
私は吐き捨てた。
私の威圧にそう簡単に逆らえるわけはない。
「何度も申すに、スカンディーナ王国の王族はアンネローゼ様ただお一人。貴様こそ、偽王子の分際で殿下を愚弄するなど許されん・・・・」
そう言いつつ、私は何か変な感じがした。頭がくらくらしたのだ。
そして、後ろに居た家令のアーンフェが倒れ込んだのだ。
「き、貴様何をした」
私の呂律も回らない。体がとても重い。
「ふんっ、少し動きの鈍くなる香を焚いただけだ。お前がジャジャ馬だと聞いていたのでな。解毒薬を飲んでいる我らは大丈夫だが、貴様らには効くだろう」
王子が笑って言った。
「ここで既成事実を作れば、貴様はもう俺の后になるしかなかろう。喜べ、二度と逆らえないようにしてやるわ」
いやらしい笑みを浮かべて偽王子がゆっくりと私に向かってきた。
その王子が私の目には二重に見える。
下卑た笑みを浮かべた偽王子がゆっくりと歩いてきた。
「ははは、怯える顔は少し可愛いな。良く見ると顔も整っているではないか」
気持ちの悪い笑みを浮かべた男が私の顎に手をかけようとした瞬間だ。
私は思いっきりその男の股間を蹴り上げていた。
「ギャっ」
王子は叫び声を上げて壁に頭から突っ込んでいた。
そして、壁を突き抜けて、庭に吹っ飛んでいた。
王子は悶絶していた。
「きゃーーーー」
外から悲鳴が上がる。
「クリステイーン様」
慌てて私の騎士達が突入してきた。
瞬時に偽王子の騎士を拘束した。
「大丈夫ですか。クリスティーン様」
「この偽王子。あろうことか、私に襲いかかろうとしたのだぞ」
「えっ」
騎士たちは唖然としていた。
「物凄く勇気のある人なんですね」
「本当だな」
クチの悪い騎士達が何か言っている。
私がきっとして睨むと、慌てて二人は口を噤んだ
「この婦女暴行未遂男は素っ裸に剥いて、呪縛して直ちにスカンディーな王国に送り返せ」
私が言うと、皆嫌そうな顔をする。
「クリスティーン殿。流石にそれは、国際問題になるのでは」
騎士たちの後ろからこのデン王国の王太子のケインが入ってきた。
「ほう、これはデン王国の王太子殿下はこの男の肩を持たれると」
「いや、そうは申しませんが、この王子、おそらく二度とあれが役に立たないかと」
王太子が可哀想なものを見るように偽王子を見た。
「ふんっ、そもそも、殿下が今回の場を設けられたのだろうが。私が襲われそうになったのだが、その責任はどうとってくれるのだ」
私が白い目で聞くと
「じゃあ責任を取って我が妃になっていただくというのは」
王太子は豪胆にもそう言ってくれたが、
「パス、私は弱いものには興味はない」
私はにべもなく却下したのだが、
「まあ、ドラゴンを殴り倒したクリスティーン殿よりも強いものなどこの世には存在しないのでは。それよりも、あなたは武を、私は謀をすれば世界統一も夢では無いのでは」
王太子は更に言い募ってきたのだ。
「下らん。そのような暇は私は無い」
「そう言わずにぜひとも考えて頂きたいですな」
「考えるまでもない」
私は一顧だにしなかった。
「べーン。全軍に出撃用意だ。スカンディーナに鉄槌を加えてやるわ」
「えっ、本当にやるのですか」
騎士は慌てて聞いてきた。
「当たり前だ。これを機に、我が可愛い後輩のアンの王位擁立に動く」
「アン嬢にとっては、ありがた迷惑なのでは」
この騎士も私にそこまで言うとは勇気があるようだ。
「その方もこの偽王子と同じ目に合いたいと見えるな」
「いえ、直ちに全軍に出撃命令を伝えます」
私が睨みつけると、ベーンは慌てて部屋を飛び出して言った。
「ふんっ、どいつもこいつも口だけ達者になりおって」
1時間後、必死に止めようとする家令と王子を無視して、私はデン王国から一路オースティン王国への帰路についたのだった。
************************************************
ついに彗星? 怪獣? 魔王? いや暴虐令嬢立つ。
いよいよ明朝 第三部開始です。
父や母は礼儀作法をきちんとしろとか女の子らしくしろだとか、よく注意してくれるけれど、言うことを聞いたのは10歳までだ。それからは父や母に反発して、好きなように生きてきた。
というか、元々カールソン公爵家は武の一門なのだ。
力が第一で、第二も力、第三も力であって、礼儀作法なんてのは、遥か遥か下、100番目くらいにあるかどうかだ。
そんな私の婚約者は、当然、私より弱いものなど許せるわはなく、19になっても未だにいない。
そんな私に両親はなんとしてでも婚約者を見つけろと、矢のように催促して、色々と目合わせさせてくるのだが、そもそも、学園時代に並み居る男は尽く倒しているのだ。そんな弱いやつと婚約なんてするわけはない。
というか、同じ学年、いや、同じ学園生だった奴ら、すなわち、上2学年と下2学年の男どもは私を見た瞬間逃げ出す者が大半だ。付いた渾名が『暴虐令嬢』。
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はっきり言ってこちらからもお断りだ。
そんな私に、業を煮やした父は、国外にまで声をかけ出した。最初はこの豊かなオースティン王国の公爵家の娘が嫁ぎ先を探していると知って、公爵家とつながりが出来るのならばと王族から公爵家、少し落ちて侯爵家、更に伯爵家から釣り書が殺到したのだ。
本当に面倒だった。
しかし、そんな男どもを次々に剣で地面に叩きつけたら、あっと言う間に噂になって釣り書がピタリと来なくなった。
両親の嘆き様は大変なもので、私は嫌気がさして、あっさりと家から離れて修行の旅に出ていたのだ。
そう、我が可愛い後輩で、悲劇の王女アンを助けるために、今のままでは駄目だと私は修行の旅に出たのだ。
ダンジョンに潜り、魔物を倒し、山賊を殲滅、辺境の地の蛮族を配下に従えて、果は古代竜を退治したのだ。
我ながら、剣の腕は多少なりとも上達したと自負している。
両親はそんな他国にいる私の居所を見つけ出して、また、見合いの相手を持って来たのだ。
相手は選りにも選って、アンの両親を殺して簒奪したブルーノの息子だった。
私は一顧だにせず断ろうとしたのだが、使いとしてやってきた家令が、頼むから会うだけ会って欲しいと頼み込んできたのだ。この家令には子供の頃助けてもらった恩があって、仕方なしに、会うことにしたのだ。
まあ、スカンディーナへの出陣前の景気づけに、血祭りに上げてやるのも一興かもしれん。
私はそう思って会うことにしたのだ。
私が滞在しているデン王国の王城に設定された顔合わせの部屋に入った時だ。横柄な態度のドグラス王子は椅子にふんぞり返っていた。
「その方がクリスティーン・カールソンというじゃじゃ馬か」
私を見るなり礼儀を知らないその男が私にほざいてくれた。
「これだから礼儀知らずは困るな。アーンフェ。さすが簒奪者の息子だ」
私は私の後ろについてきた家令に言った。
「いえ、あの、お嬢様」
私の言葉に家令は蒼白になっていた。
「な、何を言う。王子殿下に対して不敬だぞ」
偽王子の後ろに控えていた腰巾着が何か叫んでいる。
「ふんっ、何を言っているやら。スカンディーナ王国の王族はアンネローゼ様ただお一人だ。貴様は反逆者の王妹の息子に過ぎなかろう。王妹など我がオースティン王国の伯爵クラス、その息子が何を言うのだ」
「な、何だと」
さすがの偽王子が激昂した。
「貴様、我がスカンディーナ王国を愚弄するのか」
「フンッ、事実だろうが」
私は吐き捨てた。
私の威圧にそう簡単に逆らえるわけはない。
「何度も申すに、スカンディーナ王国の王族はアンネローゼ様ただお一人。貴様こそ、偽王子の分際で殿下を愚弄するなど許されん・・・・」
そう言いつつ、私は何か変な感じがした。頭がくらくらしたのだ。
そして、後ろに居た家令のアーンフェが倒れ込んだのだ。
「き、貴様何をした」
私の呂律も回らない。体がとても重い。
「ふんっ、少し動きの鈍くなる香を焚いただけだ。お前がジャジャ馬だと聞いていたのでな。解毒薬を飲んでいる我らは大丈夫だが、貴様らには効くだろう」
王子が笑って言った。
「ここで既成事実を作れば、貴様はもう俺の后になるしかなかろう。喜べ、二度と逆らえないようにしてやるわ」
いやらしい笑みを浮かべて偽王子がゆっくりと私に向かってきた。
その王子が私の目には二重に見える。
下卑た笑みを浮かべた偽王子がゆっくりと歩いてきた。
「ははは、怯える顔は少し可愛いな。良く見ると顔も整っているではないか」
気持ちの悪い笑みを浮かべた男が私の顎に手をかけようとした瞬間だ。
私は思いっきりその男の股間を蹴り上げていた。
「ギャっ」
王子は叫び声を上げて壁に頭から突っ込んでいた。
そして、壁を突き抜けて、庭に吹っ飛んでいた。
王子は悶絶していた。
「きゃーーーー」
外から悲鳴が上がる。
「クリステイーン様」
慌てて私の騎士達が突入してきた。
瞬時に偽王子の騎士を拘束した。
「大丈夫ですか。クリスティーン様」
「この偽王子。あろうことか、私に襲いかかろうとしたのだぞ」
「えっ」
騎士たちは唖然としていた。
「物凄く勇気のある人なんですね」
「本当だな」
クチの悪い騎士達が何か言っている。
私がきっとして睨むと、慌てて二人は口を噤んだ
「この婦女暴行未遂男は素っ裸に剥いて、呪縛して直ちにスカンディーな王国に送り返せ」
私が言うと、皆嫌そうな顔をする。
「クリスティーン殿。流石にそれは、国際問題になるのでは」
騎士たちの後ろからこのデン王国の王太子のケインが入ってきた。
「ほう、これはデン王国の王太子殿下はこの男の肩を持たれると」
「いや、そうは申しませんが、この王子、おそらく二度とあれが役に立たないかと」
王太子が可哀想なものを見るように偽王子を見た。
「ふんっ、そもそも、殿下が今回の場を設けられたのだろうが。私が襲われそうになったのだが、その責任はどうとってくれるのだ」
私が白い目で聞くと
「じゃあ責任を取って我が妃になっていただくというのは」
王太子は豪胆にもそう言ってくれたが、
「パス、私は弱いものには興味はない」
私はにべもなく却下したのだが、
「まあ、ドラゴンを殴り倒したクリスティーン殿よりも強いものなどこの世には存在しないのでは。それよりも、あなたは武を、私は謀をすれば世界統一も夢では無いのでは」
王太子は更に言い募ってきたのだ。
「下らん。そのような暇は私は無い」
「そう言わずにぜひとも考えて頂きたいですな」
「考えるまでもない」
私は一顧だにしなかった。
「べーン。全軍に出撃用意だ。スカンディーナに鉄槌を加えてやるわ」
「えっ、本当にやるのですか」
騎士は慌てて聞いてきた。
「当たり前だ。これを機に、我が可愛い後輩のアンの王位擁立に動く」
「アン嬢にとっては、ありがた迷惑なのでは」
この騎士も私にそこまで言うとは勇気があるようだ。
「その方もこの偽王子と同じ目に合いたいと見えるな」
「いえ、直ちに全軍に出撃命令を伝えます」
私が睨みつけると、ベーンは慌てて部屋を飛び出して言った。
「ふんっ、どいつもこいつも口だけ達者になりおって」
1時間後、必死に止めようとする家令と王子を無視して、私はデン王国から一路オースティン王国への帰路についたのだった。
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