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第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました
王太子視点10 婚約者とあまりにもうまく行っていて浮かれていました
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俺はとても浮かれていた。
最近ますますアンとの仲が良い。
一時期はスカンディーナの王女が留学してきてどうなることかと思ったが、ガーブリエルの怒りの雷撃を食らって手を控えているようだ。
それにもかかわらず、俺のいないところでわざわざアンに、Bクラスの女子をまとめて喧嘩を売りに来たみたいだが、イングリッドとエルダの前に撃退されたと聞いていた。
俺でも勝てないのに、ポッと出の貴様でイングリッドに勝てるわけはなかろうと言いたい。
まあ、俺とアンの間はとてもうまくいっている。
唯一のネックはそのイングリッドが書いた脚本だ。
最後は俺が捨てられるなんて許せない。絶対になんとかしてやる。と闘志を燃やしている俺だが、「おまえ、勝手にアドリブでラストを変えたら、絶対にイングリッドに殺されるぞ」
アルフが言ってくれた。確かにそうだ。ただではすまないだろう。
でも、夢にまで見た、アンとの婚姻計画を邪魔するやつはたとえイングリッドと言えども許せなかった。
「寝ている間に顔に落書きされるぞ」
ルーカスが言う。
「いやいや、そんなの甘いぞ。唐辛子満載の人参を口の中に突っ込まれるのに1票」
バートが言う。
「アンとの既成事実を勝手に作られる」
言ってしまってアルフが口を噤んだ。
「それ、フィルにとって褒美以外の何物でもないぞ」
バートに言われ、
「可哀想な。アン。フィルもいたいけなアンにあんな酷いことするなんて」
「本当に最低!」
ルーカスと言い出しっぺのアルフまで言うんだげと。
「私がどうかしましたか」
そこになんとアンが顔を出してきたのだ。
「えっ」
「おいっ、ちょっと待て」
机に座っていた、アルフが体制を崩してバートの上に倒れ込んでいた。
バートがアルフの巨体の下敷きになっていた。
「大丈夫ですか? アルフとバートさん」
「いや、何でも無いよ」
アルフが慌てて首を振る。
「怪しいです」
アンが不審そうに二人を見るんだけど。
「それよりもアン。いい加減に俺も呼び捨てにしてくれよ。アルフは呼び捨てなのに、何で俺だけさん付けなんだ」
バートがアルフを退けながら文句を言っている。
「待て、それ言うなら俺なんて婚約者なのに、様付けだぞ」
俺が言うと、
「お前らバカップルはどうでもいいんだよ」
バートが怒っていっている。
「バートさん。バカップル呼ばわりは無いのではないですか」
アンがムッとして言う。
「だって聞いたぞ。今日の朝、フィルを転移で起こしに行くの行かないの話していたんだって」
「いや、だから、それはイングリッドが言っただけで」
アンが真っ赤になったんだけど、めちゃくちゃ可愛い。誰も居なかったら確実に抱きしめていた。
こいつらこんなときは本当に邪魔だ。
「それよりも用があったんだろう、アン」
そんなアンの可愛いところを他の男に見せておくのも癪なので要件を聞いた。
「そうでした。そろそろ練習再開するようです。イングリッドが集合をかけてます」
「判った。じゃあ行こうか」
もう今日は演劇の前日だ。今回の学園祭の演劇では他のクラスに負けるわけにはいかないのだ。
我がA組をライバル視しているB組は、イングリッドに逆襲食らってから、演技の辞退者が続出しているらしい。急遽台本を見直したそうだ。そらあ、人気のアンをそこまで貶めた脚本なのだ。王家とオールソン公爵家とバーマン侯爵家に睨まれるかもしれないと考えれば引くだろう。
この演劇のラストを改良して、絶対に二人の幸せぶりをアピールしてやるんだ。
最後は本人を王太子である俺が抱きしめて、うまく行けばキスシーンで皆に見せつけて終えるのだ!
俺は完全に燃えていたのだ!
そう、俺はこの時、とんでもない計画が進行しているなんて思ってもいなかったのだ。
最近ますますアンとの仲が良い。
一時期はスカンディーナの王女が留学してきてどうなることかと思ったが、ガーブリエルの怒りの雷撃を食らって手を控えているようだ。
それにもかかわらず、俺のいないところでわざわざアンに、Bクラスの女子をまとめて喧嘩を売りに来たみたいだが、イングリッドとエルダの前に撃退されたと聞いていた。
俺でも勝てないのに、ポッと出の貴様でイングリッドに勝てるわけはなかろうと言いたい。
まあ、俺とアンの間はとてもうまくいっている。
唯一のネックはそのイングリッドが書いた脚本だ。
最後は俺が捨てられるなんて許せない。絶対になんとかしてやる。と闘志を燃やしている俺だが、「おまえ、勝手にアドリブでラストを変えたら、絶対にイングリッドに殺されるぞ」
アルフが言ってくれた。確かにそうだ。ただではすまないだろう。
でも、夢にまで見た、アンとの婚姻計画を邪魔するやつはたとえイングリッドと言えども許せなかった。
「寝ている間に顔に落書きされるぞ」
ルーカスが言う。
「いやいや、そんなの甘いぞ。唐辛子満載の人参を口の中に突っ込まれるのに1票」
バートが言う。
「アンとの既成事実を勝手に作られる」
言ってしまってアルフが口を噤んだ。
「それ、フィルにとって褒美以外の何物でもないぞ」
バートに言われ、
「可哀想な。アン。フィルもいたいけなアンにあんな酷いことするなんて」
「本当に最低!」
ルーカスと言い出しっぺのアルフまで言うんだげと。
「私がどうかしましたか」
そこになんとアンが顔を出してきたのだ。
「えっ」
「おいっ、ちょっと待て」
机に座っていた、アルフが体制を崩してバートの上に倒れ込んでいた。
バートがアルフの巨体の下敷きになっていた。
「大丈夫ですか? アルフとバートさん」
「いや、何でも無いよ」
アルフが慌てて首を振る。
「怪しいです」
アンが不審そうに二人を見るんだけど。
「それよりもアン。いい加減に俺も呼び捨てにしてくれよ。アルフは呼び捨てなのに、何で俺だけさん付けなんだ」
バートがアルフを退けながら文句を言っている。
「待て、それ言うなら俺なんて婚約者なのに、様付けだぞ」
俺が言うと、
「お前らバカップルはどうでもいいんだよ」
バートが怒っていっている。
「バートさん。バカップル呼ばわりは無いのではないですか」
アンがムッとして言う。
「だって聞いたぞ。今日の朝、フィルを転移で起こしに行くの行かないの話していたんだって」
「いや、だから、それはイングリッドが言っただけで」
アンが真っ赤になったんだけど、めちゃくちゃ可愛い。誰も居なかったら確実に抱きしめていた。
こいつらこんなときは本当に邪魔だ。
「それよりも用があったんだろう、アン」
そんなアンの可愛いところを他の男に見せておくのも癪なので要件を聞いた。
「そうでした。そろそろ練習再開するようです。イングリッドが集合をかけてます」
「判った。じゃあ行こうか」
もう今日は演劇の前日だ。今回の学園祭の演劇では他のクラスに負けるわけにはいかないのだ。
我がA組をライバル視しているB組は、イングリッドに逆襲食らってから、演技の辞退者が続出しているらしい。急遽台本を見直したそうだ。そらあ、人気のアンをそこまで貶めた脚本なのだ。王家とオールソン公爵家とバーマン侯爵家に睨まれるかもしれないと考えれば引くだろう。
この演劇のラストを改良して、絶対に二人の幸せぶりをアピールしてやるんだ。
最後は本人を王太子である俺が抱きしめて、うまく行けばキスシーンで皆に見せつけて終えるのだ!
俺は完全に燃えていたのだ!
そう、俺はこの時、とんでもない計画が進行しているなんて思ってもいなかったのだ。
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