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第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました
故国の食事事情を鑑みてあまり食べない私の騎士に無理やり食べさせました
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ホームルームの後から、私は配役もらったので、セリフを覚えだした。
イングリッドが私を想定して書いた私のセリフなので、言いやすいし、私そのままなので、覚えやすかったのだが・・・・何か小っ恥ずかしいセリフが随所にあるんだけど・・・・。ちょっとこれはイングリッドに文句を言わないと!
翌日は早めに目が覚めたので、早めに食堂に行くことにした。
そこでは朝練を終えた騎士を目標にした連中がいた。
「おおおい! アン」
食器にサラダを山盛り載せているとアルフの私を呼ぶ声が聞こえたので、そちらに行く。
「あいも変わらず、すごい量だな」
アルフが私のトレイを見て呆れて言う。
「あなた達とそんなに変わらないでしょ」
私はムっとして反論する。
「いや、俺たちは朝練したからな。朝練していない女のお前は多すぎるのでは」
「煩いわね。朝食はとても大切なのよ」
何しろ、無料だし。庶民にはそこはとても大切なのだ。
「メルケル、あなた、量が少なくない」
私は騎士達が多くの量を取っているのに、メルケルの量が少ないのに気がついた。
「いや、俺の国ではこれでも多いんですけど」
メルケルが否定する。
「食料は潤沢ではなくて・・・・」
メルケルの言葉に私は言葉を無くしてしまった。
そうだ。私の故国は政治がうまくいっていないのだ。税金も高くてインフレも酷いて聞いていた。食料生産大国なのに、庶民には食料が行き渡っていないんだ・・・・。
私の食事の量を見てメルケルは呆れたのかもしれない・・・・。でも、食べられる時に食べておかないと。
確かにスカンディーナの事を考えると、自分だけ食べられないかもしれないが・・・・。それを言うと私も元王女だ。平民のメルケルよりはもう少し責任があるはずだ。
皆も気まずそうにしている。
「はい、これ」
私は私のトレイの山盛りの果物を差し出した。
「えっ、殿下これを頂く訳には」
「何言っているのよ。ここにいる時はもっと食べなさい。それと私は殿下ではありません」
私がムッとして言う。そうだ。このまずい雰囲気を壊すにはこいつに食べさせるしかない。ここはオースティン王国。私は今は単なる平民なのだ。
「そうだ。メルケル、お前が食べようが食べなかろうが、食品ロスが出た分は全て捨てられるんだぞ。だからお前も食え」
アルフも言ってくれた。そうよ、そうよ、ここはオースティン王国なのよ。今そんな事考えたら、私も食べられないじゃない。一銭もスカンディーな王国からはお金もらっていないけど、一応元王女みたいだし。
「でも、故国の奴らのことを思うと」
「もう、煩いわね」
メルケルがうじうじ言うので、私はフォークにソーセージを突き刺すと強引にメルケルの口の中に放り込んでいた。
メルケルの目が点になる。皆も驚いていたが、
「ここにいる間はきちんと食べなさい!」
私がそう言った時だ。
「アン、何を食べさせさせているんだ!」
そこには超不機嫌なフィル様が現れたのだ。黒いオーラ満載なんだけど。
「何って、栄養失調になりそうな私の騎士に強引に食べさせただけですけど」
私もムッとして言い返す。
「いや、それは婚約者でない男に食べさせるなど」
「それ言うなら、前、フィル様に嫌いな人参食べさせましたよね」
フィル様の言葉に私は反論した。
「いや、君は俺の婚約者で」
「その時は違いました」
「いやいやいやいや、生まれた時から俺と君は婚約者だ」
「でも、その時は知らなかったでしょ」
「いや、オレの心の中ではそうかなと思っていたし」
「そんな訳ないでしょ」
「いや、そうだ」
「もう、煩いですね。メルケル、ちゃんと食べなさい」
何か埒が明かない。私はフィル様を無視してメルケルに食べさせようとした。
「いや、しかし」
「あの、アン」
「でないと食べさせるわよ」
戸惑うメルケルとまだ文句を言っているフィル様を前に言い切った。
「えっ、いやちょっと待て」
「いくら王女殿下の命令とはいえ・アグ・・・」
私は断ろうと口を開いたメルケルの口の中に、今度はトマトを丸ごと放り込んでいた。
「えっ、アンそんな」
唖然と私を見ているフィル様と
「ちょっとアン、それはデカすぎだろう」
冷静に注意するアルフと
ゴホゴホ喉につまらせてむせるメルケルがいた。
「ちょっと大丈夫?」
私がメルケルの背を撫でてあげると
「アン、俺以外の男に触れるってどういう事だ」
「だって死にかけの人をほっておくわけにいかないし」
「じゃあ、俺がやる」
そういうとフィル様は思いっきりメルケルの背中を叩くんだけど。
「ちょっとフィル様、キツすぎです」
「いや、これっくらいで」
「そんな訳ないでしょ」
フィル様と私が言い合っている横に、
「何々、何を面白いことしているの?」
そこに嬉々としたイングリッドがやってきた。
アルフに聞いて喜んでいるんだけど。これは碌なことにならないのでは・・・・
「えっ、食べさせ、食べさせしてるの?」
イングリッドがハイテンションなんだけど、目の前に怒っているフィル様がいるし、私はそちらを見ていたら
「隙きあり!」
イングリッドは人参に唐辛子満載したものをメルケルの口の中に放り込んでいた・・・・。
それから辛さに転がり周るメルケルと唖然と見る私達で大変な事態になってしまったのだ・・・・
イングリッドが私を想定して書いた私のセリフなので、言いやすいし、私そのままなので、覚えやすかったのだが・・・・何か小っ恥ずかしいセリフが随所にあるんだけど・・・・。ちょっとこれはイングリッドに文句を言わないと!
翌日は早めに目が覚めたので、早めに食堂に行くことにした。
そこでは朝練を終えた騎士を目標にした連中がいた。
「おおおい! アン」
食器にサラダを山盛り載せているとアルフの私を呼ぶ声が聞こえたので、そちらに行く。
「あいも変わらず、すごい量だな」
アルフが私のトレイを見て呆れて言う。
「あなた達とそんなに変わらないでしょ」
私はムっとして反論する。
「いや、俺たちは朝練したからな。朝練していない女のお前は多すぎるのでは」
「煩いわね。朝食はとても大切なのよ」
何しろ、無料だし。庶民にはそこはとても大切なのだ。
「メルケル、あなた、量が少なくない」
私は騎士達が多くの量を取っているのに、メルケルの量が少ないのに気がついた。
「いや、俺の国ではこれでも多いんですけど」
メルケルが否定する。
「食料は潤沢ではなくて・・・・」
メルケルの言葉に私は言葉を無くしてしまった。
そうだ。私の故国は政治がうまくいっていないのだ。税金も高くてインフレも酷いて聞いていた。食料生産大国なのに、庶民には食料が行き渡っていないんだ・・・・。
私の食事の量を見てメルケルは呆れたのかもしれない・・・・。でも、食べられる時に食べておかないと。
確かにスカンディーナの事を考えると、自分だけ食べられないかもしれないが・・・・。それを言うと私も元王女だ。平民のメルケルよりはもう少し責任があるはずだ。
皆も気まずそうにしている。
「はい、これ」
私は私のトレイの山盛りの果物を差し出した。
「えっ、殿下これを頂く訳には」
「何言っているのよ。ここにいる時はもっと食べなさい。それと私は殿下ではありません」
私がムッとして言う。そうだ。このまずい雰囲気を壊すにはこいつに食べさせるしかない。ここはオースティン王国。私は今は単なる平民なのだ。
「そうだ。メルケル、お前が食べようが食べなかろうが、食品ロスが出た分は全て捨てられるんだぞ。だからお前も食え」
アルフも言ってくれた。そうよ、そうよ、ここはオースティン王国なのよ。今そんな事考えたら、私も食べられないじゃない。一銭もスカンディーな王国からはお金もらっていないけど、一応元王女みたいだし。
「でも、故国の奴らのことを思うと」
「もう、煩いわね」
メルケルがうじうじ言うので、私はフォークにソーセージを突き刺すと強引にメルケルの口の中に放り込んでいた。
メルケルの目が点になる。皆も驚いていたが、
「ここにいる間はきちんと食べなさい!」
私がそう言った時だ。
「アン、何を食べさせさせているんだ!」
そこには超不機嫌なフィル様が現れたのだ。黒いオーラ満載なんだけど。
「何って、栄養失調になりそうな私の騎士に強引に食べさせただけですけど」
私もムッとして言い返す。
「いや、それは婚約者でない男に食べさせるなど」
「それ言うなら、前、フィル様に嫌いな人参食べさせましたよね」
フィル様の言葉に私は反論した。
「いや、君は俺の婚約者で」
「その時は違いました」
「いやいやいやいや、生まれた時から俺と君は婚約者だ」
「でも、その時は知らなかったでしょ」
「いや、オレの心の中ではそうかなと思っていたし」
「そんな訳ないでしょ」
「いや、そうだ」
「もう、煩いですね。メルケル、ちゃんと食べなさい」
何か埒が明かない。私はフィル様を無視してメルケルに食べさせようとした。
「いや、しかし」
「あの、アン」
「でないと食べさせるわよ」
戸惑うメルケルとまだ文句を言っているフィル様を前に言い切った。
「えっ、いやちょっと待て」
「いくら王女殿下の命令とはいえ・アグ・・・」
私は断ろうと口を開いたメルケルの口の中に、今度はトマトを丸ごと放り込んでいた。
「えっ、アンそんな」
唖然と私を見ているフィル様と
「ちょっとアン、それはデカすぎだろう」
冷静に注意するアルフと
ゴホゴホ喉につまらせてむせるメルケルがいた。
「ちょっと大丈夫?」
私がメルケルの背を撫でてあげると
「アン、俺以外の男に触れるってどういう事だ」
「だって死にかけの人をほっておくわけにいかないし」
「じゃあ、俺がやる」
そういうとフィル様は思いっきりメルケルの背中を叩くんだけど。
「ちょっとフィル様、キツすぎです」
「いや、これっくらいで」
「そんな訳ないでしょ」
フィル様と私が言い合っている横に、
「何々、何を面白いことしているの?」
そこに嬉々としたイングリッドがやってきた。
アルフに聞いて喜んでいるんだけど。これは碌なことにならないのでは・・・・
「えっ、食べさせ、食べさせしてるの?」
イングリッドがハイテンションなんだけど、目の前に怒っているフィル様がいるし、私はそちらを見ていたら
「隙きあり!」
イングリッドは人参に唐辛子満載したものをメルケルの口の中に放り込んでいた・・・・。
それから辛さに転がり周るメルケルと唖然と見る私達で大変な事態になってしまったのだ・・・・
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