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第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました

王太子視点9 後悔先に立たず・・・・侯爵令嬢の書いてきた脚本を前にして呆然としてしまいました

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俺は何故前に出てその手袋を取らなかったんだろう、といつまでも後悔させられることになったのだ。

「婚約者に売られた喧嘩を、他の者に取られるなんてどうしようもないよね!」
その後でもイングリッドは俺をボロカスに言うんだけど・・・・

「いや、確かに俺は手袋を取ろうとしたんだ。でも、その前にメルケルに取られてしまって」
俺の言葉は、しかし、俺にも虚しく響いた。

「何言っても言い訳にしかならないわ! こちらの代表は凛々しいメルケル君よ。可憐なアンのために戦ってくれるのよ。本当にうちの男子は情けないわ」
イングリッドが白い目で俺を見下していた。

「メルケル様。頑張って下さいね」
「応援しています」
一躍、我がクラスの留学生のメルケルは時の人になっていた。

おのれ、本来は俺がその位置にいるはずなのに・・・・。俺は歯を食いしばって耐えた。


そのメルケルが決闘の前になんとアンの前に跪いたのだ。
「王女殿下。ぜひとも私をあなたの騎士にして下さい」
俺はメルケルからその役を俺が取り上げたくなった。何でアンの騎士が俺ではなくてメルケルなんだ?

俺はとても悔しかった。こんなことなら、俺から王女に決闘を申し込めばよかった。本当に俺は馬鹿だった。


「メルケル様。頑張って」
「あの傲慢王女の鼻をへし折ってやって下さい」
「いけーーー」
「やっておしまい」
皆好きなことを言ってメルケルを応援している。アンなんて両手を握って応援しているのだ。本来ならば俺が応援されるはずだったのに・・・・。

しかし、流石に魔力はブルーノの血を継いだ王女だ。メルケルが抵抗できたのは最初だけだった。

あっという間に王女にボロボロにされる。

でもそれを見てアンが悲鳴を上げている。やられては立ち上がるメルケルに感情移入しているみたいだ。

「き、貴様のような偽王女に負けはせん」
「よくもそこまで言えるわね。判ったわ。終わらせてあげる」
傲慢王女はニタリと笑った。

「吹き飛べ、爆裂魔術」
傲慢王女がなんと威力の大きい爆裂魔術を使ってきたのだ。普通こんなところで使うものではない。

まずい、俺は流石に障壁を張ろうとしたが、間に合わなかった。

凄まじい、炎がメルケルを襲ったのだった。

そこには、倒れたメルケルを庇う形で、両手を腰に当てたミニアンが立っていたのだ。

えっ、決闘の最中に他人が手を出して良いのか? というか、アンが俺以外の別の男のためにミニアンちゃんをだしたというのが、許せなかった・・・・。男として小さいとまたイングリッドやアルフに言われそうだ。アンがやってくれなかったらメルケルは死んだかも知れなかったし・・・・。でも、俺はそれが嫌だった。

王女はメルケルが召喚魔術を使ったと思っているみたいだった。こいつ本当に馬鹿だ。どう考えてもそんな高尚な魔術を騎士のメルケルが使えるわけ無いではないか。

まあ、王女がそのつもりなら良いだろう。俺はその事を放置してしまったのだ。それが間違いだった。

ミニアンが王女に負けるわけはなかったが、火の玉を避けなかった王女が被弾、凄まじい爆発が起こってしまったのだ。

それで先生らにバレてアンらはトイレ掃除一ヶ月の刑になってしまった・・・・。



そして、それを題材にイングリッドが学園祭の脚本を上げてきたのだ。それは良いんだが、王女に虐められて、物語の最後の方でアンが王女に決闘を申し込まれて、それをアンの騎士が受けるのだ。
いや、まて、そこは王子の俺だろう!

必死にイングリッドに変更させようとしたが、イングリッドは変えてくれなかった。
「だって事実じゃない」
俺はその一言に倒れてしまいそうになった。ここまで手袋を取らなかった事が、というか前に一歩出なかったことが響くのか? 普通は少しのミスは皆で助け合って庇うものだろう? 更に塩を塗るか? 

「お前の妹は酷すぎないか」
イングリッドの兄のクリストフに愚痴ると
「元々妹はそういうところは鬼ですから。俺も何度も泣かされてきましたから・・・・」
涙目で返されてしまった。そうだった。そういうところはイングリッドは鬼なのだった。


脚本では騎士は王女にボロボロにされるのだが、殺されそうになった時にアンがミニアンちゃんで介入、王女を退治するのだ。

そして、スカンディーナから虐げられてボロボロになった流民が流れてきて、アンに帰ってきてくれと頼むのだ。

王子もその前に結婚してくれと頼むのだが、アンは俺を捨てて、騎士らの手を取ると戦う為に一緒に国に帰っていく話なのだ。

いや、ちょっと待て、これはおかしいだろう。俺が振られて終わりか?
アンが帰るならば俺も絶対についていくだろう。16年間アンを探したのだ。やっと会えたのに、見捨てるわけ無いだろう。

でも、俺の意見は全く通らずに、それなら俺は騎士役をやるって言ったのに、それも拒否されてしまった。

巷の本も演劇も全て俺とアンが結ばれて終わりなのだ。なのに、イングリッドは何て脚本作ってくれたんだ! このベストセラーや演劇で皆が俺とアンの事を応援してくれて結婚しようと思ったのに・・・・。俺の苦労が水の泡じゃないか。

決闘の手袋を取れなかったらこんな苦労するなんて知っていたら絶対に取ったのに・・・・。

俺は後悔先に立たずという諺を思い知ったのだった。

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他の物語紹介

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/377591254

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。
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