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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
球技大会2 聖女がいるB組相手に大苦戦しますが、小さなヒロインの登場で反撃に出ました
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それから少し大変だった。
私が高位貴族に囲まれているのを見て、もう母はなんか息も出来ていないようだった。
取り敢えず落ち着かせるために、今は私と母さんの二人だけにしてもらった。
「大丈夫? 母さん」
「アン、お前に侯爵様とか公爵様のご令嬢の友人が出来たのなら、出来たと言っておいて欲しかったんだけど」
「ごめん、母さん。手紙でそんな事書いたら驚かすかなと思って、会ってから話そうと思っていたのよ」
私は素直に母に謝った。
「でも、平民のあなたが、高位貴族の方々と友達付き合いするなんて、基本的に無理だよ。判っているのかい?」
「学園の中だけよ」
母さんの言葉に私は言う。そうだ、エルダとかと普通に話せるのは今だけなのだ。
「本当にそれが判っているのかい? 後で悲しい思いをするのはあんたなんだよ! それに先程いらっしゃったのは王太子殿下だと思ったんだけど」
「殿下は席が隣なのよ。隣の方が高貴な方で色々気を使うって書いたでしょう?」
「席がフィリップ様の隣なのかい?」
母は唖然としていた。
「それよりも母さん。アンネ様って誰なの?」
私は聞きたかったことを聞いた。
「隣国の元王妃様だよ」
「それは知っているんだけど、皆、私が似ているって言うんだけど。そうなの?」
「そんなの平民の私が判るわけないじゃないか」
母は常識的な回答をしてきた。でも、さっきの反応は絶対に違う。
「本当に? 母さん、アンネ様の話聞いた途端に顔色悪くなったから」
「それは気のせいだよ。いきなり大貴族様方がアンの周りにいらっしゃることが判って驚いただけだよ」
母さんがそう言うけれど、私はなにか腑に落ちなかった。でも、それ以上突っ込むのも何だと思ったので、そのままになってしまったのだ。
そして、2回戦。私達は聖女のB組との戦いに挑んだ。
私達のクラスは1時間休みがあったとはいえ、少し皆の顔に疲れが見えた。
でも、出てきたB組の面々は全然疲れいない。
それもベストの土人形たちだ。偵察していた人の話によるとB組はメンバーを替えていないみたいなのだ。こちらは最初の補欠組でも少し疲れているのに・・・・。
「あっ、敵は聖女がいるから、ヒールかけているんじゃない?」
エルダが思いついたように言ってくれた。
「そうだ。そうに違いないよ」
フィル様も頷く。
そうか、敵は聖女がヒールをかけて疲れていないから、選手を替える必要がないんだ。私達は納得した。と言うことは、今回の戦い、苦戦することが目に見えているじゃない。
元気満々のフルメンバーのB組対、疲れが見え始めた補欠組では、なかなか厳しい。
今回は何故かずうーっと人形を出し続けても疲れない私のフル出場が決まった。
役に立つかどうかは別の問題なんだけど。とても小さいし・・・・。
ゴール前にいても、今回はE組と同じで、敵も動いてくれない。
私は少し焦った。
敵のボールを取りに行こうとするが、私が近付くとすぐにパスをしてくれた。
そして、私のミニアンちゃんはすぐには止まれない。そのまま土人形の足にぶつかってしまった。
「ギャッ」
私は弾き飛ばされたのだが、
「痛い」
大げさに土人形が転けてくれたのだ。
「ひどーい! ぶつかるなんて!」
聖女が黄色い悲鳴を上げるけど、どう見ても、小人のアンちゃんが弾き飛ばされたのだ。
ピー
「A組18番ファール」
私がファール取られてしまったのだ・・・・
「ええええ!」
「そんなのおかしいだろう」
フィル様が叫ぶが判定が覆るわけはない。
他の観客もざわざわしている。
でも、やってしまった・・・・・
B組はフリースローを決める。
いきなり1点先行された。
次はこちらからのフリースローだ。
しかし、途中のパスがカットされて、シュートを打たれる。
入るな!
私は祈ったがあっさりとシュートは決まってしまった。
3対ゼロだ。
「いいわよ!」
「もっとやってやれ!」
B組は大盛り上がりだ。
「まだまだこれからよ!」
「頑張って!」
イングリッドやエルダの声援に頑張ろうと思ったんだけど・・・・
それからも点数は一方的に入れられた。
時たまカットするのだが、その後が続かない。
ゴール下で止めようとしたんだけど、身長差がありすぎる!
そして、また、土人形に弾き飛ばされた! そしてゴールが決まる。
ウソーーー!
ミニアンちゃんは立ち上がれなかった。
「A組18番ファール」
その上、私がファールを取られてしまった。
「ええええ!」
「どう見てもB組のファールだろう!」
アルフらが叫んでくれるが
「ふんっ、そっちの役立たず人形が悪いのよ!」
「そうだ、そんな役立たず、試合に出すな!」
「横でバニーガールでもしてろ!」
そう言われてなんと土人形に踏みつけられたのだ!
「ギャー!」
私が思わず声を上げる。
「おい酷いぞ!」
「審判どう見てもファールだろう!」
「頑張れ!ちびっこ」
回りの観客からも声援が上がる。どう見てもB組がヒール役になっていた。
ミニアンちゃんは何とか立ち上がった。
「頑張れ!ちびっこ!」
「そうよ。そんなデカ人形に負けるな」
「ガンバ!」
私はミニアンちゃんに周りの観客に手を振らせた。
拍手が起こった。
B組のフリースローだけど、周りの観客からブーイングが起こる。
なんかこれだけ言われるとやりにくそうだ。
「あんたら黙っていなさいよ。お貴族様のA組を応援するの?」
聖女が観客に叫ぶが、更にブーイングの声が大きくなる。
「煩いぞ」
「ピンク頭は引っ込め!」
「な、何ですって!」
聖女は更に頭に血が上っている。
そんな中のフリースローは失敗した。
しかし、前半9分で、4対20になっていた。残り1分。
「アン、もう時間がないわ」
残り1分でイングリッドがゴーサインを出した。
前半終了間際にあれをやるのか。
私は空いている空間に駆け出した。
「よし、行けちびっ子」
観客から声援が上がる。
土人形が私のカバーに入ろうとするが、
「アン!」
ディオーナの声を聞いてミニアンちゃんを振り返らせる。そこにボールが飛んできた。
ミニアンちゃんにボールを受け取らせる。
「行けーーーー」
イングリッドの声が聞こえる。
「ジャンプ」
私はミニアンちゃんをゴールボードめがけて飛ばさせた。
「えっ」
B組の面々は驚きの声をあげる。距離は10メートル以上あるのだ。
誰も途中にはいない。
ボールをゴールに叩き込むとゴールボードの前に障壁を張ってぶつかって地上に回転して降り立つ。
皆唖然とそれを見ていた。
少しして、
ピーー
やっとゴールの笛がなる。
2点ゲットだ。
そこへ観客の大歓声が上がる。
「凄いぞ! ちびっ子」
「小さいのに凄い」
小さなヒーロー、いやヒロインの誕生した瞬間だった。
私が高位貴族に囲まれているのを見て、もう母はなんか息も出来ていないようだった。
取り敢えず落ち着かせるために、今は私と母さんの二人だけにしてもらった。
「大丈夫? 母さん」
「アン、お前に侯爵様とか公爵様のご令嬢の友人が出来たのなら、出来たと言っておいて欲しかったんだけど」
「ごめん、母さん。手紙でそんな事書いたら驚かすかなと思って、会ってから話そうと思っていたのよ」
私は素直に母に謝った。
「でも、平民のあなたが、高位貴族の方々と友達付き合いするなんて、基本的に無理だよ。判っているのかい?」
「学園の中だけよ」
母さんの言葉に私は言う。そうだ、エルダとかと普通に話せるのは今だけなのだ。
「本当にそれが判っているのかい? 後で悲しい思いをするのはあんたなんだよ! それに先程いらっしゃったのは王太子殿下だと思ったんだけど」
「殿下は席が隣なのよ。隣の方が高貴な方で色々気を使うって書いたでしょう?」
「席がフィリップ様の隣なのかい?」
母は唖然としていた。
「それよりも母さん。アンネ様って誰なの?」
私は聞きたかったことを聞いた。
「隣国の元王妃様だよ」
「それは知っているんだけど、皆、私が似ているって言うんだけど。そうなの?」
「そんなの平民の私が判るわけないじゃないか」
母は常識的な回答をしてきた。でも、さっきの反応は絶対に違う。
「本当に? 母さん、アンネ様の話聞いた途端に顔色悪くなったから」
「それは気のせいだよ。いきなり大貴族様方がアンの周りにいらっしゃることが判って驚いただけだよ」
母さんがそう言うけれど、私はなにか腑に落ちなかった。でも、それ以上突っ込むのも何だと思ったので、そのままになってしまったのだ。
そして、2回戦。私達は聖女のB組との戦いに挑んだ。
私達のクラスは1時間休みがあったとはいえ、少し皆の顔に疲れが見えた。
でも、出てきたB組の面々は全然疲れいない。
それもベストの土人形たちだ。偵察していた人の話によるとB組はメンバーを替えていないみたいなのだ。こちらは最初の補欠組でも少し疲れているのに・・・・。
「あっ、敵は聖女がいるから、ヒールかけているんじゃない?」
エルダが思いついたように言ってくれた。
「そうだ。そうに違いないよ」
フィル様も頷く。
そうか、敵は聖女がヒールをかけて疲れていないから、選手を替える必要がないんだ。私達は納得した。と言うことは、今回の戦い、苦戦することが目に見えているじゃない。
元気満々のフルメンバーのB組対、疲れが見え始めた補欠組では、なかなか厳しい。
今回は何故かずうーっと人形を出し続けても疲れない私のフル出場が決まった。
役に立つかどうかは別の問題なんだけど。とても小さいし・・・・。
ゴール前にいても、今回はE組と同じで、敵も動いてくれない。
私は少し焦った。
敵のボールを取りに行こうとするが、私が近付くとすぐにパスをしてくれた。
そして、私のミニアンちゃんはすぐには止まれない。そのまま土人形の足にぶつかってしまった。
「ギャッ」
私は弾き飛ばされたのだが、
「痛い」
大げさに土人形が転けてくれたのだ。
「ひどーい! ぶつかるなんて!」
聖女が黄色い悲鳴を上げるけど、どう見ても、小人のアンちゃんが弾き飛ばされたのだ。
ピー
「A組18番ファール」
私がファール取られてしまったのだ・・・・
「ええええ!」
「そんなのおかしいだろう」
フィル様が叫ぶが判定が覆るわけはない。
他の観客もざわざわしている。
でも、やってしまった・・・・・
B組はフリースローを決める。
いきなり1点先行された。
次はこちらからのフリースローだ。
しかし、途中のパスがカットされて、シュートを打たれる。
入るな!
私は祈ったがあっさりとシュートは決まってしまった。
3対ゼロだ。
「いいわよ!」
「もっとやってやれ!」
B組は大盛り上がりだ。
「まだまだこれからよ!」
「頑張って!」
イングリッドやエルダの声援に頑張ろうと思ったんだけど・・・・
それからも点数は一方的に入れられた。
時たまカットするのだが、その後が続かない。
ゴール下で止めようとしたんだけど、身長差がありすぎる!
そして、また、土人形に弾き飛ばされた! そしてゴールが決まる。
ウソーーー!
ミニアンちゃんは立ち上がれなかった。
「A組18番ファール」
その上、私がファールを取られてしまった。
「ええええ!」
「どう見てもB組のファールだろう!」
アルフらが叫んでくれるが
「ふんっ、そっちの役立たず人形が悪いのよ!」
「そうだ、そんな役立たず、試合に出すな!」
「横でバニーガールでもしてろ!」
そう言われてなんと土人形に踏みつけられたのだ!
「ギャー!」
私が思わず声を上げる。
「おい酷いぞ!」
「審判どう見てもファールだろう!」
「頑張れ!ちびっこ」
回りの観客からも声援が上がる。どう見てもB組がヒール役になっていた。
ミニアンちゃんは何とか立ち上がった。
「頑張れ!ちびっこ!」
「そうよ。そんなデカ人形に負けるな」
「ガンバ!」
私はミニアンちゃんに周りの観客に手を振らせた。
拍手が起こった。
B組のフリースローだけど、周りの観客からブーイングが起こる。
なんかこれだけ言われるとやりにくそうだ。
「あんたら黙っていなさいよ。お貴族様のA組を応援するの?」
聖女が観客に叫ぶが、更にブーイングの声が大きくなる。
「煩いぞ」
「ピンク頭は引っ込め!」
「な、何ですって!」
聖女は更に頭に血が上っている。
そんな中のフリースローは失敗した。
しかし、前半9分で、4対20になっていた。残り1分。
「アン、もう時間がないわ」
残り1分でイングリッドがゴーサインを出した。
前半終了間際にあれをやるのか。
私は空いている空間に駆け出した。
「よし、行けちびっ子」
観客から声援が上がる。
土人形が私のカバーに入ろうとするが、
「アン!」
ディオーナの声を聞いてミニアンちゃんを振り返らせる。そこにボールが飛んできた。
ミニアンちゃんにボールを受け取らせる。
「行けーーーー」
イングリッドの声が聞こえる。
「ジャンプ」
私はミニアンちゃんをゴールボードめがけて飛ばさせた。
「えっ」
B組の面々は驚きの声をあげる。距離は10メートル以上あるのだ。
誰も途中にはいない。
ボールをゴールに叩き込むとゴールボードの前に障壁を張ってぶつかって地上に回転して降り立つ。
皆唖然とそれを見ていた。
少しして、
ピーー
やっとゴールの笛がなる。
2点ゲットだ。
そこへ観客の大歓声が上がる。
「凄いぞ! ちびっ子」
「小さいのに凄い」
小さなヒーロー、いやヒロインの誕生した瞬間だった。
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