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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
クラス分けがAクラスになって、なんと私の隣の席が王太子でした
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そして、エルダと一緒に行った中庭でクラス分けを見て、私はまたしても絶句した。
「やった、アン、同じAクラスよ。これはもう運命ね」
喜んでエルダが言った。
ええええ! 絶対におかしい。平民がAクラスになるなんて思ってもいなかった。私はEクラスだと思っていたのに。Aクラスってお貴族様がたくさんいるんじゃないの?
私はメチャクチャ胃が痛くなってきた。
ゲームではAクラスには王太子殿下のフィリップ様がいらっしゃるし、その側近方も、それに王太子殿下の婚約者であり、隣国の王女で、悪役令嬢のアンネローゼ様もいらっしゃるはずだ。聖女はまだ、いないはずだけど。聖女は途中で転入してくるのだ。
ゲームの世界を間近で見たいとは思ったけれど、まさか自分がその同じAクラスになるとは思ってもいなかった。嬉しい反面、平民としては胃が痛い。
「あっ、お兄様」
いきなり、エルダがこちらに歩いてくる男に声をかけた。昨日会った生徒会長だ。
「エルダ。クラス分けは見たか」
「ええ。アンと一緒のAクラスよ」
「ああ、昨日の名前の末尾がeのアンさんだったな」
生徒会長が私の名前を覚えてくれていた。でも末尾がeはもう言ってほしくないんだけど。
「はい、エルダさ・・・・痛い」
様をつけようとしたら思いっきりエルダに足を踏まれてしまった。
「お兄様。私生まれて初めて私を呼び捨てにしてくれる友だちが出来たの」
ええええ! それを公爵令息様に言うか!
「しかし、エルダ・・・・」
「お兄様。学園は皆平等でしょ! 私、昨日まではお兄様に無理やりここに連れてこられて、とても嫌だったけど、友達が出来て楽しくなったわ」
エルダは公爵令息にも嫌味をバンバン言っている。
それを聞いて公爵令息様はため息をついた。
「アン嬢、妹は一旦こうと決めたら、他人の言うことを聞かないんだ。色々と大変だとは思うが、よろしく頼む」
ええええ! 生徒会長で公爵令息様に頭を下げられたじゃない。呼び捨ては兄で生徒会長の公爵令息公認になったの?
「そう言うことで、アン、よろしくね」
エルダの瞳がなんか怖いんだけど・・・・
私はそのまま、エルダと一緒に講堂に入った。今日は全生徒600人が中に入るのだ。席はクラスごとには決められていたが、後は自由みたいだった。先生の指示で前から来た順番に座らされていく。
皆制服着ているから誰がお貴族様か判らないけれど、恐らくこのクラスの殆どがお貴族様のはずだ。
皆、次から次に入ってきて、直ぐに講堂は埋まった。
「あっ、あれ、王太子殿下じゃない?」
隣のクラスの女生徒が、私のクラスの前の方を見て言った。
「あっ、本当だ」
「いつお見かけしても素敵ね」
女の子らがキャーキャー言う。
私もそちらを見るとゲームの表紙にもなった金髪碧眼の見目麗しいフィリップ王太子殿下がいらっしゃった。
嘘ーーー! 生フィリップだ。ゲームより遥かに麗しい。生で見られるなんて。この学園に入れて良かった。私の苦労が報われた瞬間だった。
ということはと赤髪の悪役令嬢をキョロキョロと探すのだが、いらっしゃらない。
「あれ?」
「どうしたの。アン」
エルダが聞いてきた。
「殿下の婚約者がいらっしゃらないなって」
「何言っているのよ。アン、王太子殿下には婚約者はいらっしゃらないわよ」
「えっ。そうなの!」
私は驚いた。ゲームと違う。
「だから女どもが騒いでいるんじゃない。王太子殿下を巡ってこれからドロドロした闘いが始まるのよ」
「そ、そうなんだ」
なんかゲームの設定が変わっているんだけど。だからモブでもない平民の私がAクラスに入れたのだろうか? 私にはよく判らなかった。
「静粛に!」
壇上にメガネを掛けたエレオノーラ・ルンド女史が話しだした。礼儀作法の先生だ。ヒロインの聖女がこの先生には徹底的にしごかれるのだ。平民の私も気をつけないと。どうしてもお貴族様の中では私のあらが目立つに違いないし。私は自分を戒めた。
どこにでもある学園長の長い挨拶が終わって、次は生徒会長が壇上に上がった。
「イェルド様よ」
「いつ見ても凛々しいわ」
女生徒たちが騒ぐ。イェルド・オールソンはゲームの中でも聖女に優しくしてくれて、モブの中でも人気があった。私はやったことがないが、何でも裏ルートで攻略対象者にもなれるそうだ。
まあ、公爵家の嫡男で、この方のハートを射止められれば、公爵夫人になれるのだ。お貴族様のご令嬢達が騒ぐのも判る。平民の私には全く関係のない話だけれど。
エルダのお兄様の話は短くて的確だった。
そして、我らが一番人気の王太子殿下が立ち上がられた。一年生代表なのだ。私はその一挙手一投足を逃すまいと見入った。
「桜の咲く今日この日、私達1年生は伝統あるこの学園の生徒となりました。今の気持は不安もありますが、希望に満ちています。この学園で3年間努力すれば前途洋々、未来が開けるのです。
この学園内では平民だろうが、貴族だろうが、身分差はありません。王族である私ですら単なる一生徒です。その事を肝に銘じつつ、諸先輩方や先生方のご指導ご鞭撻の元、1日も早く、この学園に馴染んで日々勉学に励んでいこうと思います」
みんな王太子の言葉に一斉に拍手した。なまフィリップは、いや、生フィリップ殿下は全ての仕草や振る舞いが美しかった。私はその仕草に見とれていた。
でも、身分差はないって言われるけど、絶対に建前よね。先程もお貴族様に絡まれたし。
私はそんな中、公爵令嬢のエルダを呼び捨てにしなければいけないの? そんなの無理だ。
そうだ!
できるだけ名前を呼ばなければ良いんだ。私は良いことを思いついた。
その後、私たちは担任、担任はなんとあのおっかなそうなエレオノーラ・ルンド女史だった、の先導のもと、教室に向かった。Aクラスは貴族の人が大半を占めるはずだ。お貴族様と関わると碌なことはないから私は出来る限り静かにしていようと思ったのだ。
座席は名簿の順番に座るというもので、教室の扉に貼り付けられた座席表を見ると、私の席は窓側の前から2番めだった。
そして、私はその席に座った。教室は2階で、窓からはグランドが見えて、その周りの桜並木が見えた。つまらない授業の時は外を見ていればいいかなと私は不埒な事を考えた。
私の目の前には背の高い男の子が座っていた。何か精悍そうな体つきだ。そして、その横、私の斜め前は、なんとエルダだった。良かった、知り合いがすぐそばにいて。何かあったら、助けてもらおう、嬉しくなって私は何気なく、その後ろ、すなわち私の真横を見たのだ。
「えっ!」
隣に目を向けた瞬間、私は固まってしまった。
そこには金髪碧眼容姿端麗と男に向かって言っても良いのかと思えるほどのイケメン、このオースティン王国の王太子殿下が座っていらっしゃったのだった。
嘘ーーーー!
私は驚愕のあまり頭が真っ白になってしまった。
「やった、アン、同じAクラスよ。これはもう運命ね」
喜んでエルダが言った。
ええええ! 絶対におかしい。平民がAクラスになるなんて思ってもいなかった。私はEクラスだと思っていたのに。Aクラスってお貴族様がたくさんいるんじゃないの?
私はメチャクチャ胃が痛くなってきた。
ゲームではAクラスには王太子殿下のフィリップ様がいらっしゃるし、その側近方も、それに王太子殿下の婚約者であり、隣国の王女で、悪役令嬢のアンネローゼ様もいらっしゃるはずだ。聖女はまだ、いないはずだけど。聖女は途中で転入してくるのだ。
ゲームの世界を間近で見たいとは思ったけれど、まさか自分がその同じAクラスになるとは思ってもいなかった。嬉しい反面、平民としては胃が痛い。
「あっ、お兄様」
いきなり、エルダがこちらに歩いてくる男に声をかけた。昨日会った生徒会長だ。
「エルダ。クラス分けは見たか」
「ええ。アンと一緒のAクラスよ」
「ああ、昨日の名前の末尾がeのアンさんだったな」
生徒会長が私の名前を覚えてくれていた。でも末尾がeはもう言ってほしくないんだけど。
「はい、エルダさ・・・・痛い」
様をつけようとしたら思いっきりエルダに足を踏まれてしまった。
「お兄様。私生まれて初めて私を呼び捨てにしてくれる友だちが出来たの」
ええええ! それを公爵令息様に言うか!
「しかし、エルダ・・・・」
「お兄様。学園は皆平等でしょ! 私、昨日まではお兄様に無理やりここに連れてこられて、とても嫌だったけど、友達が出来て楽しくなったわ」
エルダは公爵令息にも嫌味をバンバン言っている。
それを聞いて公爵令息様はため息をついた。
「アン嬢、妹は一旦こうと決めたら、他人の言うことを聞かないんだ。色々と大変だとは思うが、よろしく頼む」
ええええ! 生徒会長で公爵令息様に頭を下げられたじゃない。呼び捨ては兄で生徒会長の公爵令息公認になったの?
「そう言うことで、アン、よろしくね」
エルダの瞳がなんか怖いんだけど・・・・
私はそのまま、エルダと一緒に講堂に入った。今日は全生徒600人が中に入るのだ。席はクラスごとには決められていたが、後は自由みたいだった。先生の指示で前から来た順番に座らされていく。
皆制服着ているから誰がお貴族様か判らないけれど、恐らくこのクラスの殆どがお貴族様のはずだ。
皆、次から次に入ってきて、直ぐに講堂は埋まった。
「あっ、あれ、王太子殿下じゃない?」
隣のクラスの女生徒が、私のクラスの前の方を見て言った。
「あっ、本当だ」
「いつお見かけしても素敵ね」
女の子らがキャーキャー言う。
私もそちらを見るとゲームの表紙にもなった金髪碧眼の見目麗しいフィリップ王太子殿下がいらっしゃった。
嘘ーーー! 生フィリップだ。ゲームより遥かに麗しい。生で見られるなんて。この学園に入れて良かった。私の苦労が報われた瞬間だった。
ということはと赤髪の悪役令嬢をキョロキョロと探すのだが、いらっしゃらない。
「あれ?」
「どうしたの。アン」
エルダが聞いてきた。
「殿下の婚約者がいらっしゃらないなって」
「何言っているのよ。アン、王太子殿下には婚約者はいらっしゃらないわよ」
「えっ。そうなの!」
私は驚いた。ゲームと違う。
「だから女どもが騒いでいるんじゃない。王太子殿下を巡ってこれからドロドロした闘いが始まるのよ」
「そ、そうなんだ」
なんかゲームの設定が変わっているんだけど。だからモブでもない平民の私がAクラスに入れたのだろうか? 私にはよく判らなかった。
「静粛に!」
壇上にメガネを掛けたエレオノーラ・ルンド女史が話しだした。礼儀作法の先生だ。ヒロインの聖女がこの先生には徹底的にしごかれるのだ。平民の私も気をつけないと。どうしてもお貴族様の中では私のあらが目立つに違いないし。私は自分を戒めた。
どこにでもある学園長の長い挨拶が終わって、次は生徒会長が壇上に上がった。
「イェルド様よ」
「いつ見ても凛々しいわ」
女生徒たちが騒ぐ。イェルド・オールソンはゲームの中でも聖女に優しくしてくれて、モブの中でも人気があった。私はやったことがないが、何でも裏ルートで攻略対象者にもなれるそうだ。
まあ、公爵家の嫡男で、この方のハートを射止められれば、公爵夫人になれるのだ。お貴族様のご令嬢達が騒ぐのも判る。平民の私には全く関係のない話だけれど。
エルダのお兄様の話は短くて的確だった。
そして、我らが一番人気の王太子殿下が立ち上がられた。一年生代表なのだ。私はその一挙手一投足を逃すまいと見入った。
「桜の咲く今日この日、私達1年生は伝統あるこの学園の生徒となりました。今の気持は不安もありますが、希望に満ちています。この学園で3年間努力すれば前途洋々、未来が開けるのです。
この学園内では平民だろうが、貴族だろうが、身分差はありません。王族である私ですら単なる一生徒です。その事を肝に銘じつつ、諸先輩方や先生方のご指導ご鞭撻の元、1日も早く、この学園に馴染んで日々勉学に励んでいこうと思います」
みんな王太子の言葉に一斉に拍手した。なまフィリップは、いや、生フィリップ殿下は全ての仕草や振る舞いが美しかった。私はその仕草に見とれていた。
でも、身分差はないって言われるけど、絶対に建前よね。先程もお貴族様に絡まれたし。
私はそんな中、公爵令嬢のエルダを呼び捨てにしなければいけないの? そんなの無理だ。
そうだ!
できるだけ名前を呼ばなければ良いんだ。私は良いことを思いついた。
その後、私たちは担任、担任はなんとあのおっかなそうなエレオノーラ・ルンド女史だった、の先導のもと、教室に向かった。Aクラスは貴族の人が大半を占めるはずだ。お貴族様と関わると碌なことはないから私は出来る限り静かにしていようと思ったのだ。
座席は名簿の順番に座るというもので、教室の扉に貼り付けられた座席表を見ると、私の席は窓側の前から2番めだった。
そして、私はその席に座った。教室は2階で、窓からはグランドが見えて、その周りの桜並木が見えた。つまらない授業の時は外を見ていればいいかなと私は不埒な事を考えた。
私の目の前には背の高い男の子が座っていた。何か精悍そうな体つきだ。そして、その横、私の斜め前は、なんとエルダだった。良かった、知り合いがすぐそばにいて。何かあったら、助けてもらおう、嬉しくなって私は何気なく、その後ろ、すなわち私の真横を見たのだ。
「えっ!」
隣に目を向けた瞬間、私は固まってしまった。
そこには金髪碧眼容姿端麗と男に向かって言っても良いのかと思えるほどのイケメン、このオースティン王国の王太子殿下が座っていらっしゃったのだった。
嘘ーーーー!
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