婚約破棄されたので下剋上することにしました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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大国の王宮を竜とともに急襲しました

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私はドラちゃんを飛ばして、そのまま、最短距離の国境の山越えで行くことにした。
ドラちゃんは高度をぐんぐん稼いでくれる。
「寒くなってきたな」
私にくっついてレックスが言ってきた。
私にぴったりとくっついているんだけど……
なんか暖かい。レックスにくっつかれて少し変な気分だ。
いつもドラちゃんに皆を乗せる時と同じなのに……
普通ならば吹っ飛ばして、後ろに乗っている人間は気絶していることが多いからだろうか?
でも、今はその事を考えている暇はない。

「ベティは王妃の部屋に捕まっているの?」
私は気になっていることを聞いてていた。
「その近くに座敷牢みたいなところがあってそこに捕まっているそうだ。近衞に配属になっているマック先輩が陰から見守っているはずだ」
王宮はお妃教育で散々通わされた。王妃の部屋でも散々くだらない注意を受けていたので、どこにあるかはよく判っていた。その傍の物置部屋だろう。何で鉄格子がついているのか不思議だったけれど、王妃の気に入らない侍女とを閉じ込めたり折檻に使ったりするために使っていたみたいだ。
もう、あの王妃、絶対に許さない。
私が誓った時だ。

「「「姫様!」」」
「リディ!」
山を越えたところで、斜め後ろから飛竜部隊が飛んで来たのが見えた。
「貴方たちなんできたのよ?」
私が驚いて聞くと、
「はああああ! 姫様。何を言っているんですか? 俺達に黙って攻撃に行くのはなしですよ」
「そうですよ。今度は置いていかないって言われてましたよね!」
チャーリーとザカリーが文句を言ってきた。
「何を言っているのよ! 貴方たち判っているの? 私はお父様と喧嘩して出てきたからもう、インスブルクには帰れないわよ」
「大丈夫ですよ」」
「我々にもインスブルクの姫様に対する態度には思うところがありますから」
「そうですよ。今度は姫様にどこまでもついて行きますから」
「それよりもリディアーヌ様。アーチが勝手にトーマスを連れて王宮に向かったらしいです」
ハワードが報告してくれた。
「何ですって? なんでそんな勝手なことをしたの?」
私が怒って言うと
「あいつもベティのことが心配だったんだ。まさか一人で乗り込むとは思ってもいなかったけれど」
「仕方がないわね。追いつくわよ」
レックスの言葉に私がドラちゃんに合図した。

「ギャオーーーー」
ドラちゃんは速度を上げてくれたのだ。
「ちょっと姫様!」
「リディアーヌ様!」
「貴方たちはゆっくりいらっしゃい。ついたら王宮を徹底的に魔導爆弾で攻撃して良いから」
私はチャーリー達に指示したのだ。
「いや、リディ、ちょっと早いって」
動揺するレックスを無視して私は一路王都に向かった。

さすがドラちゃん。
飛ばしたら早い。
でも、トーマスの飛竜はどこにも見えなかった。
そんなに前に出たんだろうか?
結局王都が見えてくるまでに追いつくことは出来なかった。
月明かりに見える夜のシュタインの王都は空から見ても大きかった。
王都は魔道ランプのネオンがきれいだった。

王宮が見えた。

まだ時刻は真夜中になっていないはずだ。
とりあえず、ベティを救出して、その後アーチを探そう。
後ろで必死にレックスが私に捕まっているのが判った。
なんとか気絶しないでいるみたいだ。
「レックス、起きている?」
「なんとか」
弱々しそうなレックスの声がかすかに聞こえた。
着いたらレックスにも働いてもらおう。

「仕方がないわ。ドラちゃん。こうなったら、王宮に攻撃をかけるわ」
「ギャオーーーー」
ドラちゃんが私に合図してくれた。
「よし、ドラちゃん、王宮の城門をぶっ壊して」
「ギャオーーーー」
ドラちゃんは叫ぶや、口から火の玉を発射したのだ。

ドッカーーーーン
大音響とともに一瞬で大きな城門が吹っ飛んでいた。

騎士達がわらわらと出てくるがものともせずにドラちゃんは風圧で弾き飛ばしてくれた。

「そのまままっすぐよ。適当にぶっ放してやって」
「ギャオーーーー」
ドラちゃんは叫ぶや火の玉を次々に発射した。

ドカーン
一つは王宮の塔の根元に命中した。
塔がゆっくりと倒れて周りの建物を巻き込んでいく。

ドカーン
一つは大きな倉庫に命中したみたいだ。

ドカーン
一つは燃料庫か何かに命中したみたいで、巨大な火柱が立っていた。

「何だ。」
「爆発だ」
「竜だ! 竜が襲ってきたぞ」
人々がわらわらと出てきて叫んでいる。

そして、メインの王妃の部屋のある巨大な王宮の主殿の前に来た。

「あそこよ、突っ込んで」
私はそして、王妃の部屋にドラちゃんを突っ込ませたのだ。
ドカーン
大きな音がして、ドラちゃんは壁を突き破ってくれた。

そこは丁度物置部屋だった。

「キャーーーー」
ドラちゃんの巨体に驚いて悲鳴を上げる鞭を持った王妃がいた。
その先に天井から縛られた血まみれのベティがいたのだった。
その横にも血まみれで縛られたアーチが。

私はドラちゃんから王妃の真上に飛び降りていた。
「ギャッ!」
足下で何かが悲鳴を上げたが、それどころではなかった。
私はベティに駆け寄ったのだ。
「ベティ!」
「リディ」
かろうじて目を開けてリディがかすかに返事してくれた。
「良かった生きていて」
私はほっとした。
「アーチも大丈夫みたいだ」
横からレックスが言ってくれた。

「り、リディアーヌ、貴様、良くもおめおめとやってきたな」
そこには地獄の閻魔も顔負けの怒り狂った王妃がいた。
そして、その後ろには大挙して現れた魔術師とおぼしき面々がいた。
その中にはナイフを突きつけられて、引き立てられてきたトーマスがいたのだ。
「動くな、このものがどうなっても良いのか?」
王妃が私に叫んでくれたのだった。
*********************************************:
ここまで読んで頂いてありがとうございます
現れた魔術師の大軍。捕まっているトーマス。
どうするリディ?

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