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第五部 小国フィーアネンの試練編

遅れてやってきた弟たちはとんでもない物を持ってきました。

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結局、騎士団は近衛騎士を除いて全員拘束、王配初め、大半の大臣も拘束されたのだ。
こんなことは前代未聞だ。

カトリーナのところで療養していたアドは、カトリーナの叔父のサンデルらに襲撃されたが、3人で逃げ切ったとのことだった。
そして、カトリーナのつてで、この裁判に乗り込んで私と合流したとのことだった。

「フランソワーズ様、あなた様があのルブラン公爵家のご令嬢だとは知らず、呼び捨てにしてしまい本当に申し訳ありませんでした」
「数々のご無礼お許し下さい」
カトリーヌとスヴェンが謝ってくれるんだけど。

「そんなの別に全然気にしてくれなくていいわ。だって、エルグランの王立学園では平民のクラスメートも皆呼び捨てなのよ」
「えっ、そうなの?」
「流石、大国のエルグランは違うんですね」
カトリーナらは驚いていた。

「いや、決して皆がそうじゃないから。フランだけが特別なんだ」
横から言わなくてもいいのにアドが余計なことを言ってくれた。

「そうですよね」
「フラン様は特別ですものね」
二人が納得しているんだけど、なんだかな。

「それよりも、アドを看病してくれてありがとう。本当に助かったわ」
「俺からも改めて礼を言うよ。有難う」
「いえ、そのような。滅相もない。大国エルグランの第一皇子殿下の看病することが出来て、末代まで誉でございます」
うーん、そこまでの良いものでもないように思うんだけど……
でも、自分が看病できなかったのが、少し癪だ。なんかちょっと嫌な気分がするのは何故?

一方の女王は、王配まで反逆に荷担していて、憔悴していた。

「陛下、大丈夫ですか? すみません。王配殿下を殴り飛ばして大怪我を負わせてしまって」
私が謝ると、
「いえ、フランソワーズ様。 あなたに殴り倒して頂いて、私もすっとしました」
「そうです。あのような不届き者。殺して頂いても良かったくらいです」
近衛の隊長まで言うんだけど。

そう言うわけにも行かない。

後でこの事が王妃様とかフェリシー先生に知られたらどうなることか……



ギャオーーーー
その時だ。大きな咆哮がした。

「陛下大変です。古代竜が攻めてきました」
近衛騎士の一人が叫んできたが、
「あっ、大丈夫ですから。あれはギャオギャオです」
「ギャオギャオ?」
「私のペットなんです」
私はそう言うと慌ててバルコニーに行った。

「酷いよ。姉上、いきなり兵士たちが弓で射てくるなんて」
なんとその背にはヴァンとジェラルドが乗っていたんだけど。

「遅いわよ。あなた達、どれだけかかっているのよ」
「ええええ! 姉上それを言う。姉上がメラニー嬢に送った伝言聞いて、すぐに来たんだから」
「そうですよ、義姉上! ハルスカンプ侯爵家に行ったら変な男が我が物顔でのさばっていたので、ついでに退治してきました」
ヴァンはそう言うと気絶しているサンデルを投げてよこしたのだ。

「お、叔父様」
「叔父様ということは、君がハルスカンプ侯爵だよね。この男が自分が侯爵だと言い張って困ったよ」
「王配がなにかしたみたいですが、今もハルスカンプ公爵はそちらのカテリーナです」
後ろから女王が話してくれた。

「これはフィーアネン王国女王ラウラ様。私はエルグラン王国、第二王子のシルヴァンと申します」
「これはご丁寧に。この国の女王ラウラです。
此度は貴国のフランソワーズ・ルブラン公爵令嬢とアドルフ第一王子殿下に我が国の危機を救って頂き、感謝の言葉もございません」
女王が感謝してくれた。
「まあ、義姉はこういうことは好きなので」
「ちょっとヴァンどういう意味よ」
「いや別に大した意味は」
ヴァンが慌てて誤魔化すんだけど。

「そう言えば、姉上、姉上が暴れたのならばけが人が一杯出たんじゃないかと聖女を連れてきたんだ」
横からジェドが言うんだけど、
「えっ、ピンク頭を」
私は嫌そうな顔をした。

「まあ、そう言わずに」
聖女は袋の中に縛られて入れられていたのだ。

ええええ! これは流石に酷くない?

「絶対に古代竜の背中乗るのは嫌だなんて我儘言うから、仕方なしにだよ」
私の白い目に言い訳がましくヴァンが言うんだけど。

「でも完全に気絶しているわよ」
「そらあそうだよ。僕たちでも気絶しそうになったんだから。船酔いしていた聖女がもつわけ無いでしょ。オーレリアンも半分死んでいたし」
「オーレリアンはどうしたの?」
私はクラスメートの事を慌てて聞くと

「良くわからないんだけど、魔の森の試練から古代竜に乗って僕らの所に来たんだ」
「ええええ! お母様、オーレリアンにも魔の森の試練課したの?」
「側近全部にだよ」
アドが修正してくれたんだけど。もうめちゃくちゃだ。

「僕らも古代竜のギャオギャオが連れてきてくれなかったらここまでこんなに早く来れなかったよ」
「有難う、ギャオギャオ」
私がお礼を言うと

クゥゥゥゥン
と私に顔を擦り寄せてきたので、私は撫で撫でしてやった。

「余計なものを連れてきたんだな」
アドがむっとして言うが、

「何言っているんだよ。魔の森の試練時に、気絶した兄上に食べ物持ってきてくれたのはギャオギャオだよ」
「えっ、そうなのか」
アドが驚いていた。
「凄い、有難う、ギャオギャオ」
私はギャオギャオに抱きついた。

ギャオギャオは嬉しそうだ。

「アド、何か言うことは」
私が言うと

「いや、感謝するよ」
アドが言うとあさっての方を向いたギャオギャオだが少し嬉しそうだった。
この二人が仲良くしてくれたら良いのにと私が思った時だ。

「そうだ、義姉上。義姉上に会ったらすぐに繋ぐようにって言われていたんだ」
なんでも無いようにヴァンが言うので、私はヴァンの手元の物を見た。

それは魔導通信機だった。

私は嫌な予感がした。

すぐに回れ右して逃げようとした時に、

「フランソワーズ。此度のことはどういうことなのですか」
画面には怒髪天の王妃様が立っていたのだった。
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