悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
276 / 309
第五部 小国フィーアネンの試練編

悪徳商人の視点3 狂犬女を今度こそ泣き喚かせることにしました

しおりを挟む
俺はあのクソガキの蹴りで鼻が陥没し全治1ヶ月の重傷を負ってしまったのだ。

もう赦せなかった。

絶対にあのガキは俺に逆らったことを後悔させてやる。

俺はサンデルから、あの女がどこで拾ったのか病人の男をハルスカンプ侯爵家の離れに匿っているのを掴んだ。男はどうやら、その女の恋人みたいだ。こうなったら、その男共々処刑してやる。


俺は直ちに、騎士団長にケルクドール伯爵とサンデルと一緒に会いに行ったのだ。

「これはブルーセマ殿。この度は申し訳ありませんでしたな」
騎士団長が謝ってくれた。

元々騎士団管轄の獄中での出来事なのだ。騎士団長の責任であると言えば言えたが、

「まあ、あの狂犬に対して、私も油断したのもありましょう」
「そう言っていただくと、こちらとしても胸のつかえが取れます」
ホッとしたように騎士団長が言った。

「で、今日はどのようなご要件ですか。法務大臣殿とご一緒にいらっしゃるとは」
「実はハルスカンプ侯爵家のことですが、あの狂犬女がご令嬢のカトリーナ嬢を焚き付けて叔父のサンデル様一行を追い出されたのはご存知ですな」
「それは聞いておりますが」
「私としてもあの口のでかい詐称女がいなくなれば、カトリーナも態度を変えると思ったのだが、中々頑ななのだ。それで、カトリーナがどうしても反省しないということならば、反省房に入ってもらおうと思っての」
サンデルが私の後を継いで言った。
「こ、侯爵令嬢をですか」
サンデルの声に騎士団長が驚いて聞いていた。

「侯爵家の継承の件だが、ブルーセマ殿のご尽力によって、叔父のサンデル殿で行くという方向で王配殿下の了解まではもらえたのじゃ」
法務大臣のケルクドリール伯爵がにこやかに言った。

「左様でございますか。王配殿下も了承されたと」
騎士団長が安心したように頷いた。
「そうなのじゃ。基本的に女王陛下が王配殿下の意見に反対されることはないしな」
ケルクドリールはにこやかに言う。

金の力は偉大なのだ。あのこしゃくな狂犬が盾に取った貴族年鑑など、国の中枢が認めさえすればなんとでもなる。

王配殿下さえ認めて頂ければ、後は女王陛下の裁可さえ取れれば決まる。
基本的にこのようなことに女王陛下が反対されることはないのだ。

サンデルが侯爵家の後を継げば、カトリーナを俺の後妻にするなど、容易い。サンデルが命じればお終わりだ。俺はそれを思うとほくそ笑んだ。

「サンデル殿の配下が掴んできたのだが、なんでも、あの狂犬女は恋人を侯爵邸に匿っていたのだそうですぞ。今回の詐称事件にも重大な役割を果たしているに違いないと思いましてな。閣下の麾下の騎士団にご足労賜ればと思って参った次第です」
「なるほど、では早速に騎士団を向かわせましょう。サンデル様も一緒に参られますか」
「そうですな。我が屋敷ですからな」
サンデルはもはや侯爵気取りだった。まあ、それだけ金を使ったのだ。今後も俺のために働いてくれれば良いと思っていたのだが……


しかし、喜び勇んで出て行ったサンデルは、その男たちを捕まえるのを失敗したのだ。
騎士団も騎士団だ。何をしているのだ。

カトリーナとその男達は騎士団の襲撃の中、逃げ出したのだ。
騎士団で数名の負傷者が出た模様だ。
また見舞いの付け届けをしなければいけないのかとうんざりした。

なんでも、その狂犬女の恋人の剣技が予想以上に凄まじかったらしい。
百戦錬磨の騎士団の連中が圧倒されたのだとか。

こうなれば逆だ。狂犬女を詐称罪と騎士に対する暴行罪、隣国の大使館員に対する暴行罪。俺に対する暴行罪で本来は処刑したかったが、すぐには難しかろう。

だが、娼館送りくらいにはすぐに出来るはずだ。

娼館に送って部下の破落戸共に襲わせて、そこへ助けに来た男共々始末することにしたのだ。

恋人の前で泣き叫ぶ狂犬女をいたぶるのも一興だ。

「ふん、あの狂犬女め。今度こそ目にもの見せてくれるわ」
俺は高らかに笑ってやったのだった。

***********************************************************************

フランに対して陰謀を企む悪徳商人。
次はやっとフランの登場です。
そろそろ山場です。
明朝をお楽しみに
しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?

蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」 ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。 リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。 「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」 結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。 愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。 これからは自分の幸せのために生きると決意した。 そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。 「迎えに来たよ、リディス」 交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。 裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。 ※完結まで書いた短編集消化のための投稿。 小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。