悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
247 / 309
第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

【書籍発売記念】アド視点10 古代竜が婚約者の周りに出没すると聞いて慌てて飛んでいきました。

しおりを挟む
俺はフランに許されもせずに、そのまま、公国の後始末に駆り出されたのだった。
これをきちんとやったら、今度こそ許してもらおうと思いながら。

でも、仕事は次から次に出てくるのだ。

まず、公国には、大公が言った帝国教の前教皇はいなかった。
というか、逃げてもぬけの殻だった。

それも、公国に着くやいなや地下室に踏み込んだのだが、何か薬品がばらまかれていたみたいで、騎士たちの多くが被害に遭って使い物にならなくなったのだ。

いきなりの失態で、踏んだり蹴ったりだった。

その上、公国の民達は大公の下からこのエルグラン王国の統治になるのは嫌だと抵抗しだしたのだ。
旧帝国の公爵家の統治下から、下賤のエルグラン王国の臣民になるのは嫌だと。

文官達もサボタージュを始める始末だ。

何を言ってくれるのだ! 旧帝国なんて遥か昔に滅び去っているのだ。言いたくはないが、このエルグラン王国は周辺諸国のなかでも栄えている。今回の公国領の併合は、貧しい滅び去った帝国の遺物を引き受けるだけのとても面倒で我が国には何のメリットもない事なのだ。

文官達には、シルヴァンとジェラルドが奸計を張り巡らせて、汚職を二、三摘発した途端に、大人しくなったが、すべてが期待していたようには運ばなかった。

領民もたかだか貧乏公国に過ぎないのに、プライドだけがやたらと高いのだ。

俺はうんざりしていた。


そんな時だ。エルグランの北方に古代竜が出たと一報が入ってきたのは。

なんでも竜はフランが遊びに行ったという離宮のある高原の方に向かったというのだ。

国境警備隊は何をしている!

「殿下、古代竜じゃ、国境騎士団じゃ無理ですよ。帝国の最強の第二師団でさえ殲滅させられたんですから」
オーレリアンが言ってくれた。

「確かにその通りだが、それじゃあ、フランが危険じゃ無いか!」
「いや、殿下、フランは別格ですから」
俺の心配にオーレリアンが能天気に言ってくれるが、いくらフランが無敵だとはいえ、さすがに古代竜は無理だろう。
俺は慌てて、フランのところに駆けつけようとした。

「シルヴァン!」
「嫌です」
俺が後のことをシルヴァンに託そうと執務室に行くと、一言も言えないままに却下されてしまった。
「何が嫌なんだ?」
俺が慌てて聞くと
「ここを俺に任せて義姉上の所に行こうと言うんでしょう」
シルヴァンは何故か正確に判っていたのだ。

「兄上が行くなら、俺も行きますよ」
「何を言うんだ。そんな事したらここはどうなるんだ」
「後は優秀な文官に任せておけばいいんじゃないですか」
シルヴァンは言うんだが、今ひとつ言うことに信用ならない。

「ジェラルドに任せるのか?」
「ジェラルドはもう行く準備に入っていますよ」
俺の問にシルヴァンが答えてくれた。

「じゃあ誰がここを見るんだ」
「トルクレール公爵がいるでしょう。彼に任せましょう」
シルヴァンは言うんだけど、良いのか? いつもみたいに任せても。

「こんなちっぽけな公国をまとめることなんて、いつも犬猿の仲のルブラン公爵とラクロワ公爵の仲を取り持っている公爵にとっては朝飯前の事でしょう」
「それもそうだな」
思わず俺も頷いてしまったのだ。

俺はフランが心配で、この件でトルクレール公爵に恨まれることなんて考える暇もなかったのだ。

俺は直ちに、連れてきた中央騎士団の半数と、付近の騎士団に召集令を出して、フランのいる高原に向かったのだった。

準備に半日もかかってしまって、俺が出たのは夜半になっていた。

夜間の移動は危険だ、と言う騎士団長を無理やり連れ出して、俺は馬で駆けに駆けたのだ。

「絶体に着いたときはフラン様が古代竜を退治してますって」
騎士団の一部はそう言ってくれるが、そんなの判らないではないか?
フランは魔術は凄いが、古代竜は天災級なのだ。それに多少抜けているところもあるし。
俺は心配で、夜どうし駆け通したのだ。流石に精鋭の中央騎士団は落語者はほとんどいなかった。

流石の俺も徹夜で馬を飛ばしたので、着いた時はフラフラだった。


しかしだ。俺は必死に到着した途中の村で、とんでもないものを見せつけられたのだ。

「お手!」
「ギャオ!」
フランの掛け声に合わせて、座った古代竜が右手を差し出したのだ。

俺は目をひんむいていた。
な、何なのだこれは?
古代竜は飼い犬じゃあないんだぞ!

「おかわり」
ギャオ!
フランの声で今度は逆の手を差し出した。
「伏せ」
で伏せて
「服従」
でお腹出して寝そべっているんだけど、これが史上最強の古代竜のすることなのか?
どう見ても巨大な飼い犬にしか見えなかった。

何でも、フランは自分等の食料を古代竜に食べられて、完全に怒りのあまりプッツン切れてしまって、一撃で古代竜を蹴倒したらしい。
その結果、古代竜は完全にフランのペットと化してしまったらしいんだけど……

そんな事があり得るのか?

俺も見なければ到底信じられなかっただろう。
そう言えばフランは5歳の時に魔の森の主のフェンリルをペットにしてしまったんだった。
古代竜とフェンリルは違うような気もするが、まあ、フランにとっては同じなのかもしれない。
その母親ももう一匹、古代竜をペットにしているし……。

でも、俺達は何故必死に走ってきたのだ?

しかし、

「で、この忙しい時に何しに来たの?」
最悪最強の古代竜をペット状態にしてしまった、フランの一言に、俺たちは何も言い返せなかったのだった。

****************************************************************
ここで、書籍発売記念は終わりです。
読んで頂いてありがとうございました。

本の方も読んでいただきましたか?

本屋さんに私の本が山積みになっているのを見て作者としても感激しています。

皆様にも、ぜひともお取り頂けたら嬉しいです!

レジーナブックスの説明ページ
https://www.regina-books.com/lineup/detail/1056603/9532


新作『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/878785114

ついに学園編に入り、皇子様も悪役令嬢も果てはドラゴンまで飛び出して……

絶賛公開中です
しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

最後に報われるのは誰でしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
散々婚約者に罵倒され侮辱されてきたリリアは、いい加減我慢の限界を迎える。 「もう限界だ、きみとは婚約破棄をさせてもらう!」と婚約者に突きつけられたリリアはそれを聞いてラッキーだと思った。 限界なのはリリアの方だったからだ。 なので彼女は、ある提案をする。 「婚約者を取り替えっこしませんか?」と。 リリアの婚約者、ホシュアは婚約者のいる令嬢に手を出していたのだ。その令嬢とリリア、ホシュアと令嬢の婚約者を取り替えようとリリアは提案する。 「別にどちらでも私は構わないのです。どちらにせよ、私は痛くも痒くもないですから」 リリアには考えがある。どっちに転ぼうが、リリアにはどうだっていいのだ。 だけど、提案したリリアにこれからどう物事が進むか理解していないホシュアは一も二もなく頷く。 そうして婚約者を取り替えてからしばらくして、辺境の街で聖女が現れたと報告が入った。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。